紙の本
暴言でも提言でもなく、魚拓
2011/03/08 21:30
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mikimaru - この投稿者のレビュー一覧を見る
Gigazineはほぼ毎日拾い読みをしているし、速報性や着眼点には好感をもっている。ではそのサイト編集長が書く「暴言」とはなんだろうと(最初は目の錯覚で「提言」だと思ったことは正直に白状する)、書名に興味を持ったので読んでみた。
結果として暴言というほどのものは見あたらなかったし、全体の8割以上は何の苦労もなく頭にはいったので、もしかするとわたしは著者が想定する読者ではなかったのか…と、あとがきに進めば、"未来に希望を持てない若者に希望を与えたい、ネットに対して反感だけを抱いている人にいい面を知ってほしい"といった思いがこもった本だったそうである。
…いや、動機はともかくとして、実際はそうだろうか。これを読むのはすでにネットと日常(もしくは人生)を切り離せない人々のような気がする。反感だけを抱いている人が読んでおもしろいとは(そもそも手にとるとすら)思えない。これは提言でも暴言でもなく、この10年分くらいのネット社会をそのまま凝縮させた本として価値がある。著者が誰かに何かを投げかけるというよりは、ネットという生きものをそのまま描いた本のように感じる。
おもしろいと思った見出しをいくつか紹介。
++++++++++
P.101 入試の時にパソコン持ち込み可・インターネット可であれば大学の教授はどういう問題を作るのか?
P.141 10人中9人に嫌われてもいいから残りの1人に興味を持ってもらう
P.245 インターネット上に出現する国家のカタチ、領域・人民・権力
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世の中を動かし法律を作る側の人間(ある意味で旧世代)は、既得権益の中に暮らしインターネットの必要性を持たないことを著者は指摘している(例P.240)。だが世の中は数年単位で状況が変わり、古い法律がカバーする範囲を大きく超えた状況もしくは想定していないことが日々発生する。
そうした旧世代側にありがちな反応として、生理的な嫌悪感をもって新しい側を悪とすることがじゅうぶんに考えられ、摩擦や激突は避けられない。そしていったん「これは悪」の法律を作られ施行されてしまったら、あとから覆すことにはたいへんな努力と犠牲が求められる。あるいは新しい法律でなくとも、現行法の解釈で悪の目で見られたら(本文中の事例で書くならWinny裁判、わたし個人が気になる例としては岡崎市立図書館のシステム不具合が個人による犯罪と誤認された件)、その期間中に当事者が奪われる膨大な時間と気力は、想像すら困難な苦痛をともなうものだろう。
インターネットは日々動いている。人を動かし、政治を揺るがし、国家を変えることもある。本書はある意味で、ネットという生きものを活字にうまく写した魚拓だと感じた。
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日本でもっとも読まれているニュースサイト「GIGAZINE」の編集長・山崎恵人氏がネット社会の未来を語り尽くした一冊。 タイトルに暴言とある通り、スキも多く、荒削りなのだが、無視のできない”熱い何か”を感じる。
◆本書の内容について
layer01:「Knowledge Is Our Power」知識は我らの力なり
layer02:専門バカvsオタクの構図「専門バカになるな、オタクになれ」
layer03:「理性・知性・感性」のバランス
layer04:インターネットは「悪魔の道具」か「天使の羽根」か
layer05:YouTubeのみが真の「破壊的ビジネスモデル」
layer06:「個人の力の最大化」=「インターネット」
layer07:「フリー」のその先、無料戦略の次
layer08:ファンがパトロンになる「パトロンモデル」成立への道
layer09:しかるべき場所にしかるべき人を、職業選択の最適化
layer10:入試の時にパソコン持ち込み可・インターネット可であれば大学の教授はどういう問題を作るのか?
layer11:「文明社会でのサバイバル」を教えるのが学校
layer12:好きなことをしてメシを食う時代の到来
layer13:10人中9人に嫌われてもいいから残りの1人に興味を持ってもらう
layer14:著作権という概念の崩壊、ファイル共有ソフトは最終局面に
layer15:量から質が生まれる、大量にならなければ高品質にはならない
layer16:超少額決済システムを握ったところが最終的な勝利者に
layer17:インターネットの規則を考えるというのは世界の規則、世界のルールを考えるのと同じ
layer18:みんなのルールを決めるのは「政治家」ではなく「サイレントガーディアン」に
layer19:旧世代と新世代のかつて無いレベルの「激突」
layer20:インターネット上に出現する国家のカタチ、領域・人民・権力
layer21:結論:「無料であるものに対価を払う」という時代
インターネットの未来を語るために、人はどうあるべきか、ビジネスモデルはどうあるべきか、課金はどうあるべきか、著作権はどうあるべきか、そして、そのためには教育がどうあるべきかまで遡って、モノを考えている。そのほとんどが、思い込みと揶揄されかねない主観によって語られているが、そこがこの本の最大の特長であるとも思う。そもそも著者は評論家ではなく、ニュースサイトの運営者というプレーヤーなのだ。ただし、著書がさらに一枚上手なのは、その思い込みが世の中に受け入れらるかどうかを、プロのニュース・ウォッチャーとして綿密に計算しているように思えるところだ。なにせ、PVで揉まれ続けているツワモノなのだ。その一端は、各章のタイトルの上手さからも、十分に伺い知ることができる。
その提言が合ってるかどうかは、どうでも良い。ネット世界はこうなって欲しいという純粋な思いにこそ、気持ちは動かされる。「未来は、こうなるのではないか」ではなく「未来は、こうあるべきだ」。そんな強い思いを、信じきることができれば、いつか思い込みは現実になる。そんな、可能性を感じさせてくれる一冊である。
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「よりぬきGIGAZINE」ではなく、もしかしたらGIGAZINE初 -- もしかしたら最後の -- 「社説」であることに驚きを禁じ得ない。中の人はこれを書く時間をどうやって捻出していたのか。
インターネットでなんらかの発言をする人は、実名、匿名を問わず、そして賛否を問わず読んでおくべきだ。GIGAZINEは毎日読めても、中の人の直言に触れることは滅多にないのだから。
本書「GIGAZINE 未来への暴言」は、日本最大のblog、GIGAZINEの編集長が、自らの言葉で自ら語った一冊。
目次 GIGAZINE10周年記念書籍「未来への暴言」、本日より発売開始 - GIGAZINEより
◆layer01:「Knowledge Is Our Power」知識は我らの力なり
◆layer02:専門バカvsオタクの構図「専門バカになるな、オタクになれ」
◆layer03:「理性・知性・感性」のバランス
◆layer04:インターネットは「悪魔の道具」か「天使の羽根」か
◆layer05:YouTubeのみが真の「破壊的ビジネスモデル」
◆layer06:「個人の力の最大化」=「インターネット」
◆layer07:「フリー」のその先、無料戦略の次
◆layer08:ファンがパトロンになる「パトロンモデル」成立への道
◆layer09:しかるべき場所にしかるべき人を、職業選択の最適化
◆layer10:入試の時にパソコン持ち込み可・インターネット可であれば大学の教授はどういう問題を作るのか?
◆layer11:「文明社会でのサバイバル」を教えるのが学校
◆layer12:好きなことをしてメシを食う時代の到来
◆layer13:10人中9人に嫌われてもいいから残りの1人に興味を持ってもらう
◆layer14:著作権という概念の崩壊、ファイル共有ソフトは最終局面に
◆layer15:量から質が生まれる、大量にならなければ高品質にはならない
◆layer16:超少額決済システムを握ったところが最終的な勝利者に
◆layer17:インターネットの規則を考えるというのは世界の規則、世界のルールを考えるのと同じ
◆layer18:みんなのルールを決めるのは「政治家」ではなく「サイレントガーディアン」に
◆layer19:旧世代と新世代のかつて無いレベルの「激突」
◆layer20:インターネット上に出現する国家のカタチ、領域・人民・権力
◆layer21:結論:「無料であるものに対価を払う」という時代
同じblogといっても、本blogとGIGAZINEはある意味180度違う。本blogは「本やプログラムや時事を肴に、blog主が言いたい事を言う」という意味で、読者数を除けば実に典型的なblogであるが、GIGAZINEは「独立系ブログメディアのニュースサイトとしては国内で最大規模」(P. 14)。日本語圏の読者は、片手間でニュースをやっているサイトをNo.1にしてくれるほど甘くないことは、著者が一番ご存知のはずだ。
「英文記事を翻訳してるだけ」「編集部でお菓子食ってるだけ」と揶揄する声もネットでは小さくはないが、しかしその声の主がGIGAZINEより良質で多量の記事を書いた例というのを私は知らない。確かに「ネットの再編集」ものも少なくないが、独自取材のオリジナル記事だって少なくない。仮にネットの再編集だけでも、あの分量をこなしていたらとても自分の意見など述べている余裕はない。
著者の親曰く、「地獄のような仕事、常に火の車」。そ���だけに、本書の存在は貴重である。日本で最も読まれているblogの主は、自分の考えを述べるには忙しすぎるのだから。
それだけの「タメ」があるからこそ、言葉が爆ぜる。すばらしい爆発力だ。1 bloggerとしては以下の下りだけでもう元が取れてしまった。
P. 160
また、面白い特徴として、ポジティブなコメントを残す人ほどあらゆることについて大抵ポジテイブな反応をしており、ネガティブなコメントを残す人はあらゆることについてネガティブな反応をしている、という事実があります。ネット上ではすべてが記録されてしまうため、匿名であってもそのハンドルネームで検索することによって、ある程度の嗜好の偏りをプロファイリングすることが可能です。
ここまではネットとのつきあいが十分長い人であれば誰もが抱く感慨だろう。しかしそこからが著者の真骨頂。
結果、あらゆるものについて素直に受け入れている人と、あらゆるものに文句をつけている人に分けることが可能です。ということは、真に問題となるのは、普段はポジティブな評価をする人がネガティブな評価を下した場合、さらには普段ネガティブな評価を下す人がポジティブな評価を下した場合です。
GIGAZINEをネガティブに評価している人には、本書が後者の意味での変曲点になるかもしれない。
そんな著者は、こう言い放つ。
P. 240
現在、この世界を動かしている、つまり法律を作る立場にいるような人たちは「インターネットがなくても何も困らない人たち」なのです。
暴言?
「インターネットがなくても何も困らない人たち」の暴挙を押しとどめるには、これくらい強い言葉が、リアルに、そしてリアルで必要だという認識を、ネットがなくては困る人たちは持つべきではないか。
すでにネットがなくては困る人の数は少なくない。しかし彼ら、いや我らは「この世界を動かしている」ところまでは来ていない。本書はそういう絶妙なタイミングで上梓された。「未来への暴言」は、「現在への諫言」でもあるのだ。
この世界を動かしている、つまり法律を作る立場にいるような人たちは、著者の言葉に耳を傾けるべきだ。それは暴言であっても暴論ではないのだから。
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現在、この世界を動かしている、つまり法律を作る立場にいるような人たちは「インターネットがなくても何も困らない」人たち.
という文が非常に印象的.
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ネットの未来に暴言を吐いています。
とてもわかりやすく、簡潔に書かれています。
無料であるものに対価を払う時代が来るのは目に見えていて、
ある意味私はこの本で教育されました。
リアルタイムに本書を読むことができて、良かったなと思います。
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もう、すごい本です。「GIGAZINE」というものの、存在を今まで知らなかったことが、いかに自分がインターネットに疎いかの証拠だと思う。
「未来への暴言」とあるごとく、これからのネット社会、自分がいかにあるべきかを示し、僕にとってとても参考になりました。
あとは実践あるのみです。
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本書はGIGAZINEという日本のニュースサイトの編集長、山崎恵人氏がサイト10周年記念として著した本。
ちなみにGIGAZINEは日本で最も読まれるニュースサイトとして大変有名。
http://gigazine.net/
内容は山崎恵人氏が想うリアルとインターネットの未来を語ったもの。
ところどころでGIGAZINEのニュースサイトとしての有り様にも触れている。
各章ごとに異なるテーマがあり、最終章でそれらをまとめ、インターネットの未来像を提言している。
気になった箇所
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インターネットを敵視する人、規制したがる人、その根底に横たわっているのはありとあらゆる言い訳を並べ立ててはいるものの、一皮めくれば「恐怖」です。
ゴキブリを見たら殺そうとする人がいるのと同じように、インターネットを殺そうとする人がいる、この事実が旧世代と新世代のかつてないレベルの「激突」を引き起こす原因です。
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著者が想うインターネットの未来を実現するには、
インターネットの良き部分を受け入れる「新世代」の人間が法律を作り変える必要がある。
インターネットを悪だと否定する「旧世代」によって、このまま規制が大きくなり続けるのでは実現できない。
リアルの世界で起きるのかインターネットで起きるのかはわからないが、著者のいう「激突」は間違いなく起こると思った。
内容的にかなりぶっ飛んでいるというか理想論みたいに感じる部分が多かったのですが、
なかなか面白い本です。
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GIGAZINEの編集長が、ネットの可能性について勢い良く暴言する本。
この本は、ネットの可能性を著者の言葉でまとめていて、自分の言いたい事を熱く代弁していて、若者向けにアジテーションしている感じ。
具体的には、ネットの可能性を生かして知を武器にするために、自己限定せずに成長することを勧めていて、その方法として、最初から好きなものより、知っていくにつれて好きになっていくことを増やすことによって、幅を持たそうとするもの。
こういう所が、自分の感性にあっていて読んでいて楽しかった。
ただ、タイトル通りに暴言していて、内容の掘り下げが浅い点が少し残念な所で、また機会があったら、掘り下げた本を出して欲しいと思った。
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暴言と書いていますが、暴言とは思わなかった本。タイトルは「釣り」かなーと。ひろゆきさんの本を読んだ時と同じような感覚になりました。
http://booklog.jp/asin/459405952X
ブログはこちら。
http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/3721358.html
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「パトロンモデルの到来によって、メシを食える人が増えれば良いな」と個人的にも思っている。
そのためには、無料のものに対価を支払うことが当然となる。
そもそも、無料かどうかを定義するのはリリースする側である。
そして、価値の有無を決定するのは受け取る側である。
このことから、無料=価値が無いという式は成り立たない。
リリースする側は何をリリースすれば良いのか…
思わずお金を払いたくなるモノ。
難しい…
筆者は、パトロンモデルが成り立つには教育レベルでの改革が必要だと訴えている。
それは一理ある。
しかし、教育を行っているのは学校だけではない。
筆者の主張には、親の視点が抜け落ちているように感じられた。
思想や金銭に関わる教育は、学校としてよりも一教師として話す部分が増える可能性が高いため、扱うテーマとしてはかなり重い。
家庭環境はそれぞれなのだから。
各論の部分では「学校」と表記し、結論部分では「教育」と表記されていた。
一緒くたになっていたのが残念。
これは内容とはあまり関係ないが、筆者はp.230において「考え方がメインであって実際にどういうことをするのかという部分が大いに欠落している。(略)実現していくためにはどうすればいいのかがわからないため。」と述べている。
とても潔く、好感がもてる。
これからもGIGAZINEの更新が楽しみだ。
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読み始めはタイトルの割に案外普通の内容だと思っていたが、読み進めるうちにだんだん内容がぶっ飛んできてワクワクしました。
最後の「インターネット=国家」の話は抽象的すぎるし、他にも賛成しかねる部分もいくつかありましたが、さすがGIGAZINEの編集長なだけあって切り口が斬新で面白いです。
特に「著作権破壊ビジネス」、「パトロンモデル」、「嗜好の細分化」の話は良かったです。
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結構読んでいるギガジンの本だったので買って読んで見ました
ちょっと断言し過ぎなところとかもあったりしたけど
確かに個人で生きて行くぐらいの稼ぎを作り出す時代なのかもしれないなぁと感じるところもある
そうなっても別に不思議ではないのかもしれない
こんなにサラリーマンが増えたのもせいぜいここ100年の間の訳だし
その前は日本には会社はあってもサラリーマンは居なかった(詳しくは知らないけど多分そうだろう)訳だし
でも、果たしてそうなるのか?それとも会社組織の魅力を高めた業態に変化して行くのか?
そうしない限りはこの本の言っているようになって行きそうな気もする
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本書は日本最大のニュースサイト「GIGAZINE」の編集長が書き下ろした、ウェブの未来についての提言書である。ポジティブなウェブを、世界をどう作っていくか。その一点のみを本書では分析していく。
提言書とは言え堅苦しい文書は一切無く、本のデザインもGIGAZINEの各ニュースエントリのような形式(なんと横書きである)を取っており、ブラウザでニュースサイトを普段から見ている人はあっという間に読み切れるだろう。
まず驚くのが「~というわけ。」でおなじみの編集長、山崎恵人が主張たっぷりの文章を書いているということ。普段GIGAZINEを見慣れている人なら、(一応)客観的なウェブ記事の文体そのままに主観を展開しているのは相当面食らうはずだ。
内容については
・専門バカ(自分の知りたい分野だけ詳しく、他の分野を無視や攻撃する人)から、オタク(特定分野に詳しく、それを人に広めようとする人)になれ。
・ポジティブな人やネガティブな人はウェブの何処に行ってもポジティブ・ネガティブのままなので、その人たちが逆の反応を示すタイミング、そこにサービスのチャンスがある。
・フリーミアム戦略(基本無料で良いオプションに対価を払う)仕組みは今後も続き、行き着く先として「無料である物に金を払う」時代になる。
などなど、全20章にわたって刺激的な話題が繰り広げられている。
ただ、それなりにニュースやインターネットの時事問題を追い掛けている人にとっては、特に新鮮な話題は無いのかもしれない。それでも日本一のモンスターサイトを日々運営している…という一点だけで、いやがおうにも説得力のある文章となっている。読後感はとてもよい。
(アクセス数日本一を稼ぐために、どれだけアンテナを広げ、どれだけ行動力があり、どれだけ多くの記事を書き、どれだけクレーム処理(コメント、トラックバック、メールetc)をすればいいのか。その努力は並大抵ではないだろう)
「問題をそもそも意識しない人」が「問題を意識するようになる」よりも、「問題を分かっている人」が「問題に対する自分の意見を後押しして貰う」本とも言える。諸々の問題にある程度自分の意見をもっていないと、面白いものではないかもしれない。
ある意味GIGAZINEのファンブック。
GIGAZINEの記事を楽しいと思える人なら買って損は無い。
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GIGAZINEの編集長によるインターネット未来地図。ほとんどが無料で食えないといわれるネットで食っていくための方法について、希望的観測も含めて「暴言」を吐きまくった刺激的な論考。
無料で閲覧できるGIGAZINEは広告によって運営されているが、これは圧倒的多数のユーザーがいなければ成立しないビジネスモデル。
ゲーム業界はパッケージ売り切りからオンラインゲームの月額課金→アイテム課金へ、ソフトウェア業界もパッケージ販売からダウンロード販売、更新料モデル(アンチウイルスソフトなど)→月額課金モデル(プレミア会員)へと進化してきたが、いずれも多数のユーザーがいなければ成り立たないという意味で、広告モデルと大同小異。そこまでユーザーを獲得できないだろう個人が取り組むべきモデルではない。
そこで、著者が期待を込めて語るのが「コンテンツやサービスを提供する個人に対してリスペクトするという意味を込めて、お金を寄付する」パトロンモデル。ユーザーからダイレクトに資金調達する方法が主流になると力説しているのだが、ここは正直「?」と感じた。ウィキペディアが寄付で運用できているのも、圧倒的多数のユーザーがいるからでしょう?
とはいえ、アニメやゲームなど、ユーザー作成コンテンツが豊富にあって、それ自体がひとつの市場を形成しているようなものについては、「これだけたくさんファンが存在するにもかかわらず、マネタイズができていない」ことが問題なわけで、「これを有料コンテンツへのフリーライドと見る動きが今は主流ですが、そのような顧客を敵だと見なす動きをしている限り、現状は改まりませんし、自らの首を絞め続けるだけ」という指摘はそのとおりだと思う。
電子書籍との絡みでいうと、「AppleのiTunes Storeの慧眼であった点は、DRMによるコピー制限よりも、その手間を省いてできるだけ廉価にし、海賊版を入手するよりも合法的に入手できる方法の敷居を低くして簡便にする方がいいはずだ、と割り切った点にある」と喝破している。
「現在発生しているインターネット上における著作権侵害のほとんどは「金はないが時間はある」、要するに単なる貧困層によって起きていると考えた方が正しいのではないか」。こういう層を取り締まる方法などないのだから、そこに労力をかけるのはやめましょうというしごくまっとうな主張である。
個人的に面白かったのは、「大学のレポートをコピペで済ませようとする学生が出てくるのも当たり前といえば当たり前、コピペ程度で済ませられるレベルの問題だから」という指摘。調べればすむような問題しか出せない出題者側の力量不足を問題にしているのだ。
そもそも「画一的なテストで計測できない点が最も重要であるというのは、大人であれば誰でも知っていること」「なのになぜ学校ではその点だけをそこまで重視するのか?」「学校と一般社会との間でここまで評価軸が違うのはいくら何でもめちゃくちゃすぎ」。いちいちごもっともである。
では、どんな問題ならいいのか。「入試の時にパソコン持ち込み可、インターネット可であれば大学の教授はどういう問題を作るのか?」を基準に考えればいい��いうのが著者の主張である。検索されることを前提に、考えなければ答えが出ない問題。それは「パーソナル」なものであり「具体的」なものであるはずだ。
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