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この短いコラムと単語だけの本を開くたびに、僕はとても幸せな気持ちになった。それはおそらくこの本の著者であるアモン・シェイという人が本当に読書好きで、文章の端々からそのことが伝わってくるからなんだろうと思う。
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単語のうんちくは飛ばして、著者の生活エッセイ部分を堪能しました。街でばったり出会った友人に「昔と比べて影が薄くなったんじゃない?」と言われるシーンなんかは、映像的にも笑える。コトバ好きな人はもっと楽しめると思う。
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OED=Oxford English Dictionary、全20巻、総計21,730ページ、重量にして60kgを1年間掛けて読んだ記録である。
・・・それだけで、「いや、お疲れさまでした」とお茶を勧めたくなる。
著者は自称・アマチュア辞書愛好家で、OEDに限らず、幾多の辞書を所有し、読み通した辞書もOEDが最初ではない(きっと最後でもないだろう)。学術的研究を目的としているのではなく、アマチュアとして読んでいる、というところが特徴だ。頭痛がしても。目が悪くなっても。
なぜ、ではない。そこに辞書があるから。
アルファベットの各文字ごとに、軽妙なエッセイと著者の気を引いたいくつかの単語と意味が並び、辞書を連想させる洒脱な作りになっている。
著者のお気に入り単語の傾向は、今は使われていない、ある種、マニアックなものである。例えば、特殊で微妙な状況だが、「ああ、あるかも、そんなこと」と思うようなことをすぱっと一語で表すもの。anti-rumour(噂を流し返す)とかobganiate(何度も何度もしつこく繰り返して悩ます)とか。また、「そりゃいったいどういうときに使うんだ」というような、unbepissed(-これはあまり品がよいとは言えないので、興味を持った方は本書なり、OEDなりで調べていただくとしよう)。言うなれば、単語の背後にドラマが感じられる言葉である。それらはまた、この膨大な辞書を編纂した人々の人間味を感じさせる言葉でもある。
2万ページを超える途方もない旅の果てに、著者が下した決心もなかなかにすごい。
ご参考までに、本書のページ数は約300ページ。OEDの70分の1である。
*個人的には、著者の好きな単語と自分の惹かれるものとはちょっと傾向が違いそう。自分は、語源とかの方が興味があるかなぁ・・・。関連のない個々の項目を読み続けるのは、私にはちょっと無理だな。
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辞書通読とか、夢があるよね。広辞苑とかいつか読んでみたいと思ってたけど、さすがにOED20巻とかすごすぎる。MR.Vocablarian、憧れる。
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原題は“Reading the OED: one man, one year, 21,730 pages”
全てを表している。要するにそういうこと。
Oxford English Dictionary全20巻をうずたかく積み上げた表紙写真からして圧倒されてしまった。こりゃ語学好きのはしくれとして黙っておれまい、と手に取ったのだが・・・これが面白い。
本書はアルファベットごとに章が分かれている。一つの章ではその時点での進捗状況を克明に描写したあと、その文字で始まる単語のうち興味深いものをユーモア溢れる注釈とともに紹介するという構成。
筆者は視力の低下、しつこい頭痛、そして世間からの冷たい眼差しに耐えながら来る日も来る日も辞書を読み続ける。20巻のうちの4巻を占めるSの項目と苦闘したり、"Un-"から始まる退屈な語(ほとんどが既出の単語の反意語にすぎない)の洪水に襲われたりしながら。そしてついに・・・
まったく、尊敬に値する偉業である。これをやり遂げたというだけでも、心からの賞賛をシェイさんに捧げたい。
「Advesperate(動詞)ほんの少し陽が傾き始める」という単語を知っていることは大きな喜びをもたらしてくれる。これからは街を歩いていてほんの少しだけ陽が傾き始めたとき、そんなほんの一瞬をどう表現すべきかを知っていることに喜びが込み上げてくるのだ。
・・・というくだりがあるのだが、この感覚、すごく分かる。新しい言葉を知ることで、世界が豊かになる。今まで意識していなかったものに名前を与えることで、はじめてそれを掴めるという感じ。
この世にこれほどまでに言葉を愛し、辞書に埋もれて暮らしている人が存在するということを知ることができただけで、読んだ価値はあった。
・・・広辞苑を読んでみようかしら。
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辞書愛好家アモン・シェイさんの一年におよぶOED読破の記録。読む前はお堅いものかな、と思ったけど全然!笑ってしまう部分もたくさんあったし、記憶しておきたいようなことばかり。辞書って、単語って奥が深い…そして好きなことがあると、毎日とても楽しそうだ。たとえ辞書を長時間読むことによる慢性的な頭痛に悩まされていても…自分の仕事も毎日辞書にちょっとずつ関わっているが、より辞書に愛着が感じられそうだ。「図書館人」の話が面白かった。辞書だけを売って生計をたてているシェイさんの友達はうらやましい限りだ。とにかく(わけのわからぬ)元気が出る本。日本語の題名がいまいちだと思う。
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たまたま図書館の英語の棚で発見。
20冊からなるOEDを一年かけて読破した人の話。小さな頃から辞書を端から読もうと思ってトライするけど、a以降進んだ事がない。彼は1000冊以上の辞書を持ってるとか。
英語では、大きくて醜いものを表す語彙な数が、小さくて可愛らしいものを表す語彙の数を圧倒的に凌駕する。
Secretaryは14世紀では、秘密、内情に通じている者、という意味だった
Setと他の単語の組み合わせが一番多く25ページに渡って、小説一冊分。
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素晴らしい…!!!前書きも途中の日記(雑感)っぽいコラムも全てが「愛すべきバカ」(いい意味で)そのものであり、ある種の偏屈した辞書への愛情が感じられる。「そこに山(OEDのメタファー)があるから登るんだ(きりっ)」「いや、誰も読めって言ってませんからー!(セルフ・ツッコミ)」みたいな思索の過程に思わずコーヒー噴きそうになった。著者はマゾだ。救いようのないマゾだ。だが、このようなOEDへの愛情、楽しみ方こそが、「英語学習=辞書を引け」という一辺倒な先生の指導にうんざりした学生達の癒やしとなるのではないか、あるいは見方が変わるきっかけとなるのではなかろうか、という希望的観測もしてしまいたくなってしまうのだ。こういう本を、英語の授業でお勧めとかしてみるのって、どうかなあ…(131208記)。
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国語辞典には『日本国語大辞典』が、漢和辞典には『大漢和辞典』があるように、英語辞典には“The Oxford English Dictionary”(略してOED)があります。この本は前に紹介した『辞書屋列伝―言葉に憑かれた人びと』(田澤耕著 中央公論新社)に紹介されていたもので、辞書好きの私はこの本の存在を知って、たまらずすぐに本屋に注文しました。
著者のアモン・シェイ氏は家に約1000冊もの辞典・辞書類をもつ辞書マニア、そんな彼が世界最大の英語辞典(21,730頁)を1年かけて読破し、その中から彼が興味を持った単語を紹介する、という内容ですが、このシェイ氏の辞書・言葉に対する並々ならぬ愛情は、とてもかなうものではなく、また辞書好きの端くれとして、こんなに面白かった本は本当に久しぶりです(浅田次郎の『蒼穹の昴』以来?)。少し中身を紹介していきますが、もし本書を読もうと思っている人は、少々ネタバレになってしまうので、お気をつけ下さい。
以下(「 」は著者アモン・シェイ氏の文章)
まず、その行為や事象は知ってはいるが、はじめて名前があることを知った単語がいくつかありました。
Alvion・・・洗い流される物質や物
「おそらく、誰もが、これまでに排水管に流れていく汚い風呂の水を凝視し、それを表す単語があるかなんて考えたことはないだろう。しかし、今、この瞬間からそんな単語が実在することを知って生きていかなければならなくなった。」
Acnestis・・・動物の肩から腰にかけての部分で、かこうと思っても手が届かないところ
「OEDを読み始めてすぐにこの単語に出会えたことを非常に光栄に思う。名前なんて絶対にないと思っていたものを表す単語が実在していたことを知るのは、言い知れぬ喜びであり、俄然、辞書を読むという発想自体は、全く道理に外れたものではないと思わせてくれた。」
Debag・・・罰として、もしくは、冗談でズボンを引きずり下ろす
Pissupprest・・・尿意をこらえること
Ruffing・・・拍手喝采の代わりに足を踏み鳴らすこと
Xerostomia・・・唾液の生成不足による口の渇き
また、いつこのような単語を使う機会があるのだろうと、想像できない単語も紹介されています。まあ、そういう言葉があるということは、そういう言葉を使う機会ないしは必然性があったということでしょうが、そのシチュエーションがよく分かりません。Supersaliencyはいわゆる「ルパンダイブ」のことでしょうか・・・
Cellarhood・・・地下室が地下室である状態
「この単語は、tableity(テーブルがテーブルである状態)やpaneity(パンがパンである状態)と並んで、誰もが描写する必要を感じていないものを表そうとする、英語の飛び抜けた実力を示す素晴らしい例だ。」
Lant・・・ビールを強くするために尿を加える。
Leep・・・牛の糞や尿で洗う
Supersaliency・・・性交のために男が飛び跳ねること
Testiculous・・・大きい睾丸を持った
あと、そういう言葉もあるんだと、単純に感心した言葉もあります。Keckはいわゆる「えずく」とは違うのでしょう。
Horn-face・・・妻を寝取られた男のような間抜け面
Pneumonoultramicroscopicsilicovolcanokoniosis・・・肺の病気の一種
Sesquihoral・・・一時間半ほど続いている
「an hour and half(1時間と半分)とわざわざ言いたくない気分の時にどうぞ」
Keck・・・今にも吐き出しそうな音を出す。
著者自身の単語の紹介文も面白く読めました。西洋人の論文や著書(もちろん邦訳)を読むときは、そのまわりくどさにいつも辟易するんですが(伝統の修辞法・弁論術ってやつか?)、今回はそれが良い具合にでております。
Indread・・・目に見えない恐怖を感じる
「誰もが得体のしれない恐怖を感じ、ときどきその不安から夜中に目が覚めたりするものである。そう、そのことを表すのがこの単語だ。もちろん、その恐怖を取り除くにはなんの役にもたたないのだけれど。」
Matutinal・・・朝の時間に、活動的な、びしっとしている
「朝にとびきり元気な人以上に迷惑なのは、「朝にとびきり元気な」という単語が何であるかを教えようとしてくる人である。」
Mothersome・・・母親のように心配する、心を痛める
「皮肉屋の人は気づいたかもしれないけれど、このmothersomeは、bothesome(わずらわしい)という単語と一字しか違わない。僕は、この二つの単語がそっくりだと実感したことなんて一度もない・・・。多分。」
Kakistocracy・・・最悪の市民による政治
Disghibelline・・・Ghibelline(ギベリン:皇帝党)からGuelph(ゲルフ:教皇党)を区別すること
Safeyt First・・・安全第一
「安全第一という表現は、19世紀にアメリカの鉄道産業で生まれた言葉のようで、その後、英国でも様々なところで安全性を高めるための標語として用いられるようになった。20世紀初頭には、企業がこの標語を採用し、「事故を未然に防ぐために最善の努力がされています」と高らかにうたっていることが、OEDに記されている。」
英語の話者と日本語の話者とが何となく共通しているな、という単語もありました。Misloveも「憎らしいほどかわいい」とか「愛憎半ば」とかと共通するでしょうし、Mumpishと「むっ」とするという表現が似ています。
Mislove・・・憎む、罪深いほどの愛情をもつ
「このMisloveは、ほとんど正反対の意味を二つもっているという離れ技をやってのけている。(以下略)」
Mumpish・・・むっつりと怒っている
しかし、言葉を知るって面白いですよね。著者も書いてますが、「僕がOEDを読んでいるのは、とにかく語彙数を増やして、カクテル・パーティーで格好をつけたいからというわけではなく、名前なんてないと思っていた世の中の物や事象に、実際は名前があるかもしれず、それを知りたいからだ。いったん名前があるとわかったら(例えば、「雨上がりのにおい」)、それ以降、その物や場面に出会うと、立ち止まって注意を払うようになる。そういう単語を使う機会と理由があれば最高だ。でも、もしそんなことがなくても、単語を覚えて楽しむのは、すごく素晴らしいことなのだけれど。」
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2014年9月28日に行われた、第19回ビブリオバトルinいこまで発表された本です。テーマは「友」。
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◆OED (Oxford English Dictionary) を読破した著者が、おもしろい英単語の世界にいざなってくれる本です。おそらく編纂者でさえ「通読する人間なんていないだろう」と考えているのではないかと思いますが、この著者は一年かけてそれを果たしてしまう。◆なんといってもこの本の一押しポイントは、登場する単語の面白さでしょう。例えばCimicine(虫のにおいがする)とかCellarhood (地下室が地下室である状態)などの単語を見て、「は?」と思わない読者がいたら大したものだと思います。だれが、どんなときにこんな言葉を考えたのか、非常に気になります。◆もう一つの楽しみ方は、OED通読のドラマとして読むことです。例えば、「Uの項目まできて、この辞書とももうすぐお別れだな(残るはVWXYZだけですから)」と思っていたら、Un-の単語が451ページにわたって並んでいて四苦八苦する様子など、容易に想像できて面白いものがあります(挑んでいる当人にとってはとどめに等しかったはずですが)。
◆英語を専門的に学習なさっている方にとっては学習のモチベーションとして、「英語は苦手だ、おもしろくない」と思っている人にはふつうの読み物としてお勧めできる一冊です。
(おもわず、パソコンに単語を山ほど記録したのをブログに公開してみました)
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筆者の苦悶に満ちた、壮絶な体験とは裏はらに、読んでいて心地いい文章。それは、辞書愛好家の筆者ゆえの、語彙の豊富さに裏付けられた文章力からだろうか。
アメリカ在住の原著者はOED(オックスフォード・イングリッシュ・ディクショナリー)なる全20巻の最大英語辞書を1年間かけて読み切った。AからZまで、にとどまらず「参考目録」まで。引いてしまいそうなその異様な所業が、引き込まれるように語られる。
「なんだか、毎日アルファベットを食べている感じがする。二十六文字それぞれに、それぞれの味わいがある。当然、おいしいと感じる文字もあれば、そうでないものもある。繊細な風味を醸し出すものもあれば、心のこもったとろとろの田舎シチューのようなものもある。おえっとくる味のものもある。Iという文字はケッパーでいっぱいの料理のようだ。ちなみに、僕はケッパーが大嫌いだ。」
著者の体験記に添えられるのは、筆者が出会った単語のメモだ。
「Acnestis(名詞)動物の肩から腰にかけての部分で、かこうと思っても手が届かないところ/OEDを読み始めてすぐにこの単語に出会えたことを非常に光栄に思う。名前なんて絶対にないと思っていたものをあらわす単語が実在していたことを知るのは、言い知れぬ喜びであり、俄然、辞書を読むという発想自体は、全く道理に外れたものではないと思わせてくれた。」
英語母語話者の英語奮闘記。「英語の勉強頑張ろうかな。」と思わせてくれる一冊。
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家にいる。暇である。何か読みたい。でも、今読んでいる本ではない
ものが読みたい。他の本に手を付けるのは気が引ける。
そんな時に引っ張り出すのが辞書である。適当にページを開いて
拾い読みする。やっぱり言葉は面白い。だからと言って辞書を丸々
1冊通読したことはない。
だが、ここに辞書を通読した男がいた。しかもその辞書はOEDだ。
世界最強・最大と言われるオックスフォード英語辞典。
全20巻。総ページ数21,730ページ。総重量62.5kg。約5900万の単語を
収録して定義し、250万以上の引用を用いて説明している。
こんな辞書を通読しようと考えるだけで正気の沙汰ではないと思うの
だが、思っただけじゃなくて実際に約1年の歳月をかけて通読してる。
本書はそんなOED完読への道を綴ったエッセイと、著者がOEDのなか
から選んだいくつかの用語の解説で構成されている。
無謀なことを始めたな…なんて思いながら読み始めたのだが、エッセイ
部分がとにかく面白い。まずは自宅でゆったりと読み始めたのはいいが、
部屋にある他の辞書が気になって仕方がない。OEDではこんな風に
定義している言葉だが、他の辞書ではどのように定義しているのだろう
なんてね。
そう、著者は読書マニアの上に単語マニア・辞書マニアでもあるんだ。
辞典・辞書、用字用語辞典等を含め1000冊のコレクションって…凄いわ。
自宅では落ち着かなくて、結局はニューヨーク市内の図書館に通って、
1日約10時間をOEDと共に過ごす。視力は悪化し、時には頭痛に襲われ、
夢の中でも単語がぐるぐると頭の中を回る。
時にはうんざりしながら、時には「こんな状況を表す単語があったんだ」
と感動しながら、OED完読への道は1歩1歩進んで行く。
そして、訪れる「S地獄」。Sの項目だけで全20巻のうちの4巻があてられ
ているってなんだよ~。私だったら絶対に飽きる。絶対にここで挫折する。
本人が言うのだから間違いない。太鼓判だっ!
見事、OED完読を達成した著者。さぁ、次は何を読むのか。それは素敵な
感動と共に、著者の次の目標が最後の最後に記されている。
いやぁ、凄い人だわ。我が家にも日本語の辞書が何種類かあるが、通読
しようなんて思ったことはないもの。でも、苦しみながらも楽しそうでもある
のだよね、辞書の通読。
さぁ、それでは私も著者を見習って『言海』でも通読してみようかしら。
あ…言ってみただけです。実際の行動に移す踏ん切りはつきません。
真似はしないけれど、読書好きならば著者のOED通読の思い付きと
その行動に共感できるはず。
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ゆる言語学ラジオから。
予想通りの面白さ。こんな単語あったんだ!がいっぱいで、何か辞書を読みたくなった。図書館で借りたけど買って自分の家に置いておきたくなるような本。