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紙の本
ゴーレムの生命論 (平凡社新書)
著者 金森 修 (著)
かつて魔術の修得の証とされた人造生命(ゴーレム)。その不遜で不敬な夢は現代科学のうちに継承され、現実のものとなりつつある。フランケンシュタインから自動人形、IPS細胞まで...
ゴーレムの生命論 (平凡社新書)
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商品説明
かつて魔術の修得の証とされた人造生命(ゴーレム)。その不遜で不敬な夢は現代科学のうちに継承され、現実のものとなりつつある。フランケンシュタインから自動人形、IPS細胞まで、人類による生命創造の倫理を問う。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
金森 修
- 略歴
- 〈金森修〉1954年札幌生まれ。東京大学大学院教育学研究科教授。著書に「サイエンス・ウォーズ」「科学的思考の考古学」「〈生政治〉の哲学」など。
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ゴーレムって「フランケンシュタインの怪物」つうより「鉄人28号」だよね
2011/01/13 14:23
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SnakeHole - この投稿者のレビュー一覧を見る
オビにこうある。「神をも畏れぬ不遜な企て,人造人間は可能か?」
タイトルのゴーレムは,ユダヤ教の高僧が土くれから造り出すという人造人間。命令は聞くが言葉は話せず善悪の判断もつかない,魂のない存在とされている。……だものワタシは田近信和「未来のアトム」とかスティーブン・レビー「人工生命」みたいな,そっち方面の話だと思って読み始めた。すなわち人造人間の実現可能性というか,「生命論」つうことは「もし鉄腕アトムが実現したら彼は『生きている』と言えるのか」とか,そういう方面の議論かと。
でも違った。そもそも著者の金森先生はフランス哲学とか科学思想史とかの研究者であり,その興味はゴーレムに始まる「人工生命体」という人類の想像の産物(だって当然ながらホントの話ぢゃないからね)が,どうせ想像なんだからまったく人間と同じでも良かろうものをやれクチがきけないだとかどっか抜けてるだとか際限なく育つだとか,とかく「やっぱり人間とはどっか違う」方面に行くのはなんでや? という方面に向かっていく。
その論考は本家ゴーレムに関する各種の伝説を皮切りにメアリ・シェリーによる「フランケンシュタインの怪物」やサマセット・モームの小説に登場する「モンスター」,ホフマンの「砂男」,映画「エイリアン4」に登場する主人公リプリーのできそこないのクローンたちに及ぶ。これら架空の存在が,架空とわかっていながら,なんとなく皮膚が粟立つような「異質性」「異形性」を感じさせるのはなぜか。それは我々の内にある,生命創造という神の,あるいは自然の営みに対する畏敬の念の現れではないか,と。
てなわけでオビはこう書き換えるべきだ。「神をも畏れぬ不遜な企て,人造人間是か非か?」
ま,オレの知るところ是も非もなにも,どう考えても人造人間,ヒトが生命を作るちうのは不可能ごとなので(クローンやES細胞はどうだ,と言うか知らんがあれは「自然のイトナミ」に人間が介入してるだけであってイチから作ってるわけではない。遺伝子組み換えにしても同じ,遺伝子をイチから組んではじめて「人造」である),話としては面白いがそれを前提としての倫理云々には正直困惑以外のなにも感じない。
そもそもユダヤ教におけるゴーレムの製作にはそういう倫理的なコトは問題にされてない。ユダヤの高僧が必要に応じて作り,働かせ,要らなくなったら土に戻す存在。思うにゴーレムというのは自分が人間でないことに悩み苦しむ「フランケンシュタインの怪物」よりも,リモコンで操縦される「鉄人28号」に近い存在だよね。「いいもわるいもリモコンしだい」。ま,その場合も倫理はリモコンを操る手の持ち主に帰されるわけですけど。