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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2010/09/25
  • 出版社: 早川書房
  • サイズ:22cm/620p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-15-209160-4
  • 国内送料無料

紙の本

量子の海、ディラックの深淵 天才物理学者の華々しき業績と寡黙なる生涯

著者 グレアム・ファーメロ (著),吉田 三知世 (訳)

【コスタ賞(2009年度)】寡黙で非社交的な科学者が示した人間的側面とは? ノーベル物理学賞を受賞した天才物理学者、ポール・ディラックの業績をわかりやすく解説すると同時に...

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量子の海、ディラックの深淵 天才物理学者の華々しき業績と寡黙なる生涯

税込 3,630 33pt

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商品説明

【コスタ賞(2009年度)】寡黙で非社交的な科学者が示した人間的側面とは? ノーベル物理学賞を受賞した天才物理学者、ポール・ディラックの業績をわかりやすく解説すると同時に、人間ディラックの知られざる素顔を豊富な文献をもとに紹介する。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

グレアム・ファーメロ

略歴
〈グレアム・ファーメロ〉ロンドン科学博物館主任研究員。ノースイースタン大学物理学兼任教授。編著に「美しくなければならない」がある。

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みんなのレビュー4件

みんなの評価4.4

評価内訳

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紙の本

孤影の科学者に相応しい量子世界の「変人」称号

2021/04/24 13:06

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:永遠のチャレンジャー - この投稿者のレビュー一覧を見る

「わたしはそれほど変人じゃありません。もしもそうなら、わたしは気が狂ってしまうでしょう。休むとき、仕事からも実験からも、完全に離れます。ここ(頭)で爆発が起こらないようにするには、それが必要なのです」と記者の質問に真顔で答えたディラックは、相当な変わり者だ。

アインシュタイン=ボーア論争で「巨人」が激突した量子物理学の発展を二十世紀科学史の一部として概観するだけで興奮するが、同じ土俵に名乗りを上げたハイゼンベルク、パウリ、シュレディンガーら新進気鋭の顔ぶれに眼が眩む。

好きな相撲で喩えれば、量子力学“揺籃期”場所は見逃せない取組が目白押しだ。なかでも、ディラックという英国部屋の新鋭は、研究(稽古)でも言動(取り口)でも断トツに風変わりなソップ(痩せ)型力士だ。

突っ張りもせずひょろりと立会い、飲酒喫煙の悪癖に染まらず、紅茶珈琲さえも滅多に口にせぬ小食家で、唯一散歩だけを楽しむ。“修道僧”めいた寡黙な「変人」、「空気が読めない人間」だったらしい。

思いがけず荒技を繰り出すのに、幾ら文献に当たっても人物像が掴めない。霞がかった隙間から孤影が覗くだけのディラックは、人好きのするボーアやパウリと違って仲間と“群れ”ないマイペース人間ゆえに、人柄を物語る逸話にも乏しい。気遣いや社交儀礼と隔絶した存在だ。

本書は、ディラック本人の性格や素地を形成した幼少期の家庭生活を詳述する。三つ子の魂百までというが、一家の暴君だった実父に親しみが湧かぬとは悲しい。自殺した実兄との確執不仲もトラウマだ。著者は「変人」ディラックの裏付けを事細かに読ませようと努める。

愛情に乏しい家庭生活が却って天才を育んだのか、我関知せずの孤高が母親の偏愛と過剰な干渉に耐えさせたのか。情愛すら上手く伝えられない家系だったのか。両親をめぐる愛憎の相剋は、本当のところ誰にも判らない。

本文二段組の六百頁を超えるこの大部な評伝を読破しても量子力学の真髄が掴める筈はないが、「量子の海」(空孔理論)の深淵世界を覗き見た科学者ディラックの孤影に秘められた憂愁の原因が少し解った気がする。

不幸に魅入られた同じポールという名の大先輩エーレンフェストのように人生の淵で身を滅ぼすことなく、ディラックは量子研究に身を投じて心の安らぎを得たことは確かだ。名声と栄誉を手にした本人が両親ほどには喜びを表に顕わさないのも、「変人」の称号に相応しい。

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2010/09/27 18:39

投稿元:ブクログ

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2012/09/10 23:04

投稿元:ブクログ

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2013/01/22 02:36

投稿元:ブクログ

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