紙の本
大仕掛けミステリー×遊園地的ホラー
2024/01/13 23:49
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投稿者:ブラウン - この投稿者のレビュー一覧を見る
またとんでもない物を読んでしまった。一応のロジックの通った推理が軸なのだろうが、舞台を彩るのは不気味な城に霊能力者、熱にうなされながら見る夢のようなフリークたち、果ては無動機。事件の真相に迫れば迫るほど二転三転の混迷を極めていく様は、この本が物語として成立していることさえ疑いたくなるような、危ういまでに朧なリアリティの上に立つ砂上の城……本書になぞらえれば奇傾城を実際に目の当たりにしたような錯覚さえ想起させる。本気でこんな展開に読者が納得すると思ってんのか!? と思わず叫びそうになるくらいにはハチャメチャであるため人を選ぶ作品だが、インパクトに振り回されるジェットコースターのような展開がお好みなら一読の価値はある。
紙の本
ホラーもの
2022/04/08 05:12
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ホラー……なんだけど、黒をめぐる周りの愛憎劇みたいに考えられます。しかし、読んでいて、引き込まれるとか興味しんしん……なんていう雰囲気は無し、でした。そこがねえ……
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奇傾城という怪奇趣味なガジェット満載の奇妙な館での密室首切り殺人という古典的ともいえる設定ながら登場人物が基地外、変態ばかりw。そこに凝らされた仕掛けも巧妙で、全ての伏線がひとつに継がる美しさも素晴らしい。これぞ飛鳥部ワールド。先行作品とのリンクも嬉しかった。
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ややホラーじみた雰囲気のあるミステリ。ゴシック・怪奇・退廃的な美が好きな人にはもうたまらない作品です。舞台となる「奇傾城」や、かなり異色なヒロイン「黒」のインパクトも抜群。
密室トリックや事件の動機、犯人の〇○などはしっかり本格。だけれどラストの展開はホラーかも。異形のものたちが雪崩を打って登場する様は圧巻です。あれははたして現実だったのか、幻想だったのか。
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奇妙に傾く狂気の城、奇傾城。
血と内臓と腐肉が主題の絵画が集う一室に幽霊が出没する噂がたち、「探偵」亜久は心霊特番に協力して城を訪れる。
遅れて「霊能リポーター」役の女子高生、全身黒服の少女・示門黒(しもんくろ)が現れ、亜久にそっと囁いた。
「あなたは、鋏が好きですか」
やがて密室状況で、黒と親しい男がくだんの部屋で首を切断された。
これは幽霊の凶行か?
多分、初・飛鳥部作品。
書評で気になって手にとってみましたが、う~ん・・・。
心霊特番専門のTVクルーたちが下見のため奇傾城へ赴き、その夜に中の一人が密室で惨殺される。
が、早い段階で探偵により犯人が指弾され、どういうこと?
と思ったら、この事件が起きる背景がその後展開されていくのです。
黒を中心とした、その周囲の人たち目線の回想(?)。
この構成と雰囲気はとても好みだったのです。
舞台が奇傾城へ戻り、徐々に真実が明らかになるところも、わくわくしました。
が、あのカタストロフについていけませんでした・・・。
それらしい伏線はあったものの、動き回るアレらの群れって、そりゃないでしょ。
ミスリードや真犯人についても巧い、と思ったのですが、ココの部分がもうダメで。
なんともどっちつかずな読後感になってしまいました。
大好きな世界観ではあっただけに、残念。
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読了、55点。
かつて死者も出た、奇形や不気味な想像物をテーマにした奇傾城。
そこを心霊番組で取り上げる為にロケハンティングするということでスタッフに同行する亜久。
全身黒尽くめの霊能レポータ役の美少女示門黒や不気味な雰囲気を漂わせた城主北条夏夫、さらに番組スタッフとともに城内で一夜を明かす事に。
そして番組スタッフのチーフが密室状況下で首を切断され…
怪しげな住人や登場人物、謎の美少女、エログロの詰め込まれた不気味な建造物という設定、さらに起こるべくして起きた密室殺人
という導入部は非常に惹き込まれました。
導入部の最後に探偵が自らの推理で導き出した犯人の名を告げたかと思ったら、次の章では別の人物の独白が始まる。
この展開も導入部に興味を持てていただけに悪くはなかったんですが、さすがに長過ぎるのが戴けませんでした。
謎の美少女黒を中心に事件が回っているとは言え本筋の事件をほったらかしにして、話が進むのは結構だれました。
また話が奇傾城に戻ってからの展開とラストのどんでん返しも腑に落ちないし、読み直すと伏線の張り方そのものは上手いと思いますが、トリックの肝がそれは強引過ぎるだろうとツッコミを入れたくなるのも、もどかしい。
この作家さん、短編は『ミステリ★オールスターズ』(http://booklog.jp/asin/4048741039)で読んだだけで、長編は初めてでしたが、
ホラー的な描写は読み応えがありそうですし、著者略歴を見ると異形コレクションに多数短編があり、とあるのでホラーは面白そうかなと。
そのうち読んでみたい、というか読もう。
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図書館より。
ノワール系なのかと思ったら、途中からどんどんホラーというかスプラッターものに。特に後半の立ち回りはあえてB級映画風を狙ったのかと思えるほど。
呆れかえるような結末で、正直すべては主人公「黒」の「抗いがたい魅力」という「論理を超えた力」、飛鳥部先生のナンバー18に帰結してしまうような気がするが、密室トリックは一応の結末をみている。密室が案外しょぼいのは、物語の外堀で大風呂敷を広げまくっている錯覚のせいだろうか。
とにかく飛鳥部先生の作品は、回を重ねるごとに「霊能力VSロジック」の様相が濃くなっていく気がする。ちゃんとロジックの部分もきちんと組んであるからまだいいものの、氏の作品はかなりミステリとサイコホラー作品のあわいにあるような気がする。
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純愛と帯には書いてあるけれど、いったい誰の愛なのか。
絶世の美少女、示門黒に心を奪われ、己の中のフリークを晒し、殺人を犯していく人間たち、を周りに持ちながらけしてそれらに委ねようとしない黒の心の解放と前進していく様が最終的に話の芯になっていると思う。
ミステリ、と分類したけれど、トリックうんぬんはほとんど力を入れられず、殺人を犯し、それを黒への欲求として正当化していく人間たちの浅ましさが描かれていることの殆どだった。
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表紙を描いた笹井一個さん目当てで読み始めたが
最初は話が見えず、読むのが億劫になってやめようかと思った。
終盤になるにつれ段々面白くなった。
個人的には亜久さんと杉さんが好き。
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杉さん以外はそんなに好きではない件。
何でこんな黒ちゃんモテんの?と言う境地です。
ちょっと私にはあわない小説だったかな、と思います。
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久々に飛鳥部勝則読んだが、やっぱりこの人は独特のすごいインパクト。
不気味な展示物であふれた奇傾城。そこに心霊特番を撮るためにテレビクルーたちが訪れたとき、密室状況で事件が起こる…
本格ミステリではあるだろうが、謎めいた美少女示門黒をめぐるドロドロの愛憎劇と、終盤のはっちゃけたカタストロフでミステリはどうでもよくなってしまった感じ。ほとんどの登場人物が偏った個性の持ち主だし、話が進むにつれどんどんスプレッタになっていくので、読むのが辛かった反面面白かったのも確か。
序盤に事件が起きて犯人が指摘されてから、視点を変えて回想に入る構成はよかった。
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純愛?傍からすればどうみても偏愛です。
でも、この世界観の中ならこんな純愛でもまかり通るのかも。
事件そのものよりも、先生が黒に倒錯していく過程が面白かった。
全体的に悪趣味で、普通の人は耐性ないとキツいと思う。
登場人物たちがみんなぶっ飛んでて、リアリティが感じられなかったので、私の求めてたモノともちょっと違った。
ゴシックホラーの雰囲気は好きだけど、正直、改造人間だけはいただけないです。
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蠱惑的な少女をとりまくように起こる殺人劇を描いたゴシックホラー調のミステリ…と思いきや、ラスト近くでの雰囲気ぶち壊しの超展開。やりたい放題な感じ、嫌いでは決してないんだけど、「堕天使拷問刑」では許せても今作ではイマイチなのは、本筋との乖離が大きすぎるからかもしれない。黒という少女の物語として読めば、かなり好きです。
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仕掛けられた罠の数には脱帽。話が始まってなかなか起こらない殺人の割にすぐ指名される犯人。残りのページで何が起こるのかと思ったら、陰鬱な高校の司書の回顧から、高校生の語りとリレー形式で話が進んでいく。ちょっとその名前は無理だろうと思ったり、使い古された感のあるおどろおどろしさが減点対象。ラスト一行のセリフは面白かったけどね。
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鋏が好きなひとってどんなひとだろう。美容師さんかなあ。
これを薦めてきたひとの登場人物紹介でヒロイン(?)が「たぶん処女。天使。」って聞いたのが忘れられません。
内容はところどころ壊れていたけれど推理小説としての伏線はしっかりしていて、トリックの内のひとつ以外は好きでした。ラストは、うーん。
登場人物がイタいです。