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商品説明
村上春樹が語る村上春樹の世界。1997〜2009年の日本と海外メディアからのインタビュー18本を収録。物語が生まれた事情や経緯、執筆に関わるエピソード、創作のプロセスや執筆の技法などについて語る。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
アウトサイダー | ローラ・ミラー 聞き手 | 7−25 |
---|---|---|
現実の力・現実を超える力 | 洪金珠 聞き手 | 27−39 |
『スプートニクの恋人』を中心に | 島森路子 聞き手 | 41−79 |
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著者/著名人のレビュー
メディアにはほとんど...
ジュンク堂
メディアにはほとんど出ない村上春樹氏へのインタビュー集。
タイトルは、そのインタビューの中での村上氏の言葉です。小説を書き始めたきっかけや創作の様子などは、まさに“神に選ばれし者”の感あり。
自身の作品だけでなく、日本文学や現代社会についても言及している興味深い一冊。
仙台店文芸書担当
書店員レビュー
インタビューは好き...
ジュンク堂書店梅田ヒルトンプラザ店さん
インタビューは好きではないと語る村上春樹の、日本だけでなく海外の取材にも答えた、1997年から2009年の13年間にわたるインタビュー集です。
「文学史の中で、出版されるべきではなかったと思われる本はありますか?」
著者が「そんな質問をされたのは生まれて初めて―」と言ったロシアの読者からの質問に答える章は興味深いです。
その答えは、本書を読んで確かめてください。
小説を読むだけでは分からない創作の裏側を知ることができ、著者の小説を改めて読みたくなります。
文芸担当
紙の本
これまで語られなかった村上春樹が満載
2011/01/21 09:51
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ルルシマ - この投稿者のレビュー一覧を見る
インタビュー集という性質上、記憶に残った部分について書いてみます。
だからそれらの前後の脈絡はあまり関係ないものと思っていただきたいな。
この本には1997年から2009年にかけておこなわれたものであること。
彼はジャズのお店をやりながら書いた「風の歌を聴け」が賞を獲ったのを機に、
執筆活動に専念する。
そして「ノルウェイの森」が爆発的な売れ行きだったために有名にはなったけど、
その頃の文壇のシステムというかあり方になじめずアメリカへ行きます。
そのことを、ここに納めてあるいくつかのインタビューで話しているわけですが、
やはりかなり日本が居心地が悪くなったんだろうと推察されます。
確かにあれは尋常じゃない売れっぷりでしたからね。
誰がそんな継子いじめもどきなことをしてたんでしょう。
あの人か?それともこの人?
まぁでもアメリカでは名前も売れていないので自由な生活を送れたようでよかったというべきでしょうか。
そんな今までの執筆活動の変遷や、短編・長編の彼流の書き方や、
作品に対する考え方が語られます。
「・・・主人公は2人の女性によって支えられているのです。どちらか一人だけでは、彼はやっていけないのです。『ノルウェイ』は僕自身が書くという行為の中で行っていることの、ひとつのきわめて率直な例証であるわけです。」
「(レイコさんについて)彼女の精神は半分が正常で、半分が非正常です。僕は彼女のキャラクターがとても好きです。レイコさんの事を書いている時は、とても幸福な気持ちになることができました。」
村上作品に頻繁に見られる女性2人と主人公の男性という構図。
いつもこうだよなぁ、って思いつつ読んでいることが、このインタビューで、なるほど、そういう意図があったんだと。
そして彼の副業(?)のような翻訳について。
あんなによく自分の作品中にも出てくるフィッツジェラルドやカーヴァーに心底傾倒しているかと思えばそうではないのです。
「ドストエフスキーが僕のアイドルです。」
なんと!アイドルですとっ!!
そして多くのインタビュアーに対しても「カラマーゾフの兄弟」が、
彼・村上さんが思う最高傑作だと。
なるほど・・・
そして常々、自分と同時代もしくはそれより若い作家に関してはコメントしないと断言している彼が言った。
「今だって、カズオ・イシグロの新作が出たらすぐ買いに行って読みます。でもそういう人は数としては、残念ながらだんだん少なくなっています。」
去年読んだ「走ることについて語るときに僕の語ること 」はもっぱら執筆以外の村上さんが垣間見え(ほとんどがタイトル通り走る事だけど)、
今回は、あまり国内では聞くことができなかった本業について、
私達読者が「マジでどうなのよ」と思っていることの真偽のかけらをしることができたようです。
毎朝4時に起き、5~6時間仕事、午後に10キロのランか1500m泳ぐ(もしくは両方)そして午後9時就寝。
私達からすればその生活は感心することはできても同じようにはできないでしょう。
そのようにやれたらいいかもしれないけど、できない、もしくはやりたくない(笑)
そのペースをずっとキープしている(彼にとっては無理ではないし苦痛でもない)ことに小さく拍手してあげよう。
追記:この本を読むにあたって急遽「スプートニクの恋人」は再読しました。
あともし参考にするとしたら「神の子どもたちはみな踊る」「アフターダーク」とかも予習しておくといいかもしれません。
もちろん長編「ノルウェイの森」「ねじまき鳥・・」「世界の終わりと・・」「海辺のカフカ」などは言わずもがなです。
紙の本
対談集も捨てたものではありません。特に話し手に中身がある場合、対談相手のレベルが高い時、読んで得することがたくさんあります。私の注目したのは、トリを務める古川日出男とのもの、古川も本気で勉強して臨んでいるのがよくわかります。
2011/10/25 19:34
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
青柳いづみこ『ピアニストは指先で考える』でも書いたんですが、ちょっとブルータルな感じの版画というか線描を見ると「あ、ピカソ」なんて簡単に思うんです。で、この村上の対談集もてっきりそのデンだな、と思ったんですが、やはり見事に外れてしまいました。でも、このカバーは好きです。それと全体を黒くして、文字を白抜きとオレンジにした、これが実にいい。
そして軽装本にしたこと。これもいいです。古川日出男との対談にも出てきますが、私なども気にするのは本が分厚くなった時の、本自体の重さ。基本的には片手で持てる重さであってほしいわけです。ハードカバー、ソフトカバーは問いませんが、紙質も単にきれいなものがいいのではなく、めくる時の指へのすいつきとか、汗の吸い方、紙の厚み、しなり、色々気にします。でも、この本はどれもいい。まず、530頁を超えるのに、あまり重くありません。
それと、それなりに自然に紙がしなる。親指一本のどのところに当てれば、本を傷めずに全頁に目を通すことができます。紙質は、気になるのは色変わりだけ。肌触りは抜群ですが、多分、この紙だとクレストブックのように一年で抹茶色に変色してしまうのではないでしょうか。洋書的な風合いは嫌いではありませんが、用紙メーカーさん、なんとかこの風合いで変色しない紙を開発してほしいものです。
装画 長谷川潔「日蝕」(横浜美術館蔵)
装丁 野中深雪
内容的には、あとがきにもあるように若干のダブりはあります。でも、それが読んでいて気にならないのは、読者の側にも似た想いがあるからではないでしょうか。いくつかポイントがあるので、書いておけば、
1)小説を書き始めるきっかけとなった神宮球場でのこと。
2)その前までの肉体労働と、いわゆるサラリーマンにはなる気がなかったこと。
3)「ノルウェイの森」を書くまでは、決して人気作家ではなかったこと。
4)文壇に反発はしないけれど、そこに属そうとか仲間と何かをしようとは基本的に思わないこと。
5)「ノルウエィ」が売れたことで、周囲の見る目が変わり、それのわずらわしさもあって国外にでたこと。
6)作家生活に入って、健康維持のために身体を鍛え始めたこと、それが自分にあっていること。
7)規則正しい生活、毎日きちんと決まった時間に執筆をすること。
8)自分が書きたいものを書きたいときに書くこと。
9)書かないときは、旅をしたり、本を読んだり普通人の生活をしていること。
10)自分はあくまで作家であって、対談や講演、サイン会などをしたいとは思っていないこと。
11)現在、自分は書きたいと思うものを自由自在に書けるようになっていること。
12)老いて枯れるのではなく、年齢を追うごとにもっと素晴らしい作品を書くことを目標にしていること。
13)あと四、五作の長編を書けるだけの材料が頭の中にあること。
14)肉体的に衰えていることは理解したうえで、いつまでも走ることができる身体でいたいこと。
15)『アンダーグラウンド』にための取材をしたことで、新しいフェイズに入ったこと、その証が『1Q84』であること。
16)良くも悪くも9.11が世界のありようを変え、自分たちは確固とした基盤の上にたって生きているという確信を抱けなくなっていること。
17)メディアが変化し、本を読む人が少なくなっていることを理解し、嘆いてはいないこと。
18)普通のサラリーマンが通勤時間を利用して読書をしていることを知っていること。
19)今も音楽を聴くのが好きで、ジャズのレコードを集め続けていること、でも演歌は嫌い。
20)創作をしていない時は翻訳をしていて、そこから得るものが大きいこと。
21)カーヴァーの小説が好きで、チャンドラー、フィッツジェラルドもよく読むこと。
22)村上の作品を何度も読み、すべてを理解しようとする読者がいることを喜びながら、でも、自分でもすべてがわかって書いているわけではないと思っていること。
23)ドストエフスキーの人生を見習いたいとは思わないけれど、『悪霊』『カラマーゾフの兄弟』のような長篇をいつかは書いてみたいと思っていること。
24)作品を書き上げると、特設のHPを開設して読者の声をじかに聞き、その幾つかにはきちんと返事を書いていること。
25)自分の作品の批評は、基本的には読まないこと。
26)嫉妬するということが自分にはあまりないこと。
まだまだあるかもしれませんが、順不同で主なところを書いてみました。村上が嫌いな対談、を集めたというので読まないでおこうとした本ですが、書店で立ち読みして、なんだか面白そうだと思い遅ればせながら読むことにしました。結果、十二分に楽しんだわけですが、あらためて「そんなに村上って人気がなかったのかなあ」と思いました。
確かに私も『ノルウェイの森』で読むのを止めました。ただし、私の場合は理由が単純で、
1)ビートルズが嫌い
2)自分が読む前に人が騒いでしまったものは、原則、読まない
3)ベストセラーは読まない
からです。ではなぜ、最近(といっても、この10年くらいですが)村上の作品を読むようになったのか。
1)積読状態にあった『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を読んでみたら、予想以上に面白かった。
2)『ねじまき鳥クロニクル』も面白かった。
3)海辺のカフカが面白かった。
とまあ、彼がベストセラー作家になる前に買っておいた本を読んだら、面白くて、その後に出た長篇二作も楽しめたことが多いと思います。短編集もいくつか読み、満足できたからです。村上に対する嫉妬とか反発は全くありませんし、彼の生きかたは私のそれに極めて似ています。日本的なもの、という決め付けは嫌いで、といって、日本人であることは否定できないと思っている。徒党を組むのが嫌いで、ゴシップに興味はないし、嫉妬ともあまり縁がない。
本を読むこと、音楽を聴くこと、身体を動かすことが好き。無論、こんな人間は掃いて捨てるほどいるわけです。いや、『ノルウェイの森』が出たときよりは明らかに社会の全面に出てきている。ただし、相変わらず、そういう人間を嫌う権威主義的な人間は今も数多くいて、そういう人間が「皇室を敬え、女は家に入れ、子供を生め、両親の介護は自分でやれ、先輩の言うことには黙って従え、戦争は正しかった、中国人も朝鮮人も愚かである」と言い張っている。
大学時代の卒論の話が案外面白くて、村上に「ものを書くのがあっている」といった先生は存命であれば、今の村上をみてどう思っているのかな、一体、誰だったのだろう、なんて思ったりします。
紙の本
人間はカッコつけたら終わりです
2011/04/12 11:47
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あまでうす - この投稿者のレビュー一覧を見る
なるほどなあと思いつつスラスラ読めてあとにはなにも残らない1997年から2009年に行われたインタビュー集だ。
ガス抜きのペリエを飲んだときのような晴朗さと爽快さはいかにもこの作家ならではの持ち味だが、きっと苦いオリや苦悩や後悔は本編前後左右にさらりと投げ捨てられたに違いない。
しかし例えば「短編は三日間で書かねばならぬ」とか、「長編小説を書こうとする者はエッセイを書いてはならない」とか「締め切りに追われて書いてはいけない」などというセリフは、さすが実作者ならではの正鵠を射ぬいた発言と思えた。
折々の真情が卒直に語られていて好感が持てる本だが、このようにきざでこっぱずかしいタイトルをつけて恬として顧みないところに、この作家の隠された盲点があるのだろう。
されど真心が籠った「あとがき」には泣かされます。
人間はカッコつけたら終わりです 茫洋