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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2010.7
- 出版社: 東京大学出版会
- サイズ:19cm/251,17p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-13-083053-9
紙の本
英仏文学戦記 もっと愉しむための名作案内
イギリス文学とフランス文学、どちらが面白いか? 文学者・翻訳家として活躍するふたりの教授が、19〜20世紀に書かれた英仏の名作12本を徹底読解し、その魅力を語り尽くす。【...
英仏文学戦記 もっと愉しむための名作案内
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商品説明
イギリス文学とフランス文学、どちらが面白いか? 文学者・翻訳家として活躍するふたりの教授が、19〜20世紀に書かれた英仏の名作12本を徹底読解し、その魅力を語り尽くす。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
斎藤 兆史
- 略歴
- 〈斎藤兆史〉1958年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。著書に「英語の作法」など。
〈野崎歓〉1959年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科准教授。著書に「ジャン・ルノワール越境する映画」など。
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紙の本
楽しい英仏文学名作談義
2011/04/03 12:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る
文学好きの人間なら、文学談義が好きな人も多いだろう。ある作品なり作家なりについて、自分の感想、解釈を語ったり、それとは違った人の考えを聞いたり。とはいえ、メンバーやら日程の問題で、ふだんなかなかそういう時間を持てるものでもあるまい。となると、自分で参加はできないまでも、本でそうした対談、座談会の類を読むのも楽しい。
その種の楽しみが得られる本として、たとえば大森望+豊崎由美『文学賞メッタ斬り!』(ちくま文庫)とか、丸谷才一ほか『文学全集を立ちあげる』(文春文庫)などが挙げられると思うが、本書もそうした楽しみ方の出来る本の一つである。
東大の同僚で、それぞれ英文学(斎藤)と仏文学(野崎)の研究者である二人が、オースティン、スタンダールから、ナイポール、ウェルベックまで、英仏小説の名作12作品をとりあげて紹介かたがた縦横に語り合ったもの。先の二冊が広く短く多くの作品を扱うのに比べると、対象を絞りこんだ本書は、もちろん数では見劣りするわけだし、読者も英仏文学に興味がないと読まないかもしれないが、その分、扱う作品の世界により深く入り込んでゆっくり浸れる魅力がある。
ただし題から連想されるような丁々発止の議論の応酬があるわけではない。そもそもこういう本を出したくらいだから二人は仲がいいのだろうし、年齢も近く、掲載された写真でもともに優しそうで、雰囲気が似ている。だから『戦記』という題も、前書きで説明されているように、英仏からそれぞれこれはという作品を選んで面白さを比べる、という遊び感覚の設定によるものらしい。
というわけで、もっと激しいぶつかり合いとか、刺激的な鋭い見かたが飛び交うことを期待する向きにはやや物足りないかもしれない。ペアで取り上げられる英仏作品にしても、この際もっと「勝負」に徹して、どっちがどういう点で優れているとか、名作と言われているがこの点は評価できない、などという展開もあり得るのかも思っていたが、実際には、比較対照のような話はあっても、あくまで穏やかなものだ。
それでもあえてして、二人の批評対決とみると、斎藤さんはもともと文学プロパーの人ではないようで、そのせいもあるのかどうか、個人的にはやや野崎さんが優勢に見えた。
いずれにしても楽しい本には違いない。とくに、作品のもつ批評的豊かさのゆえか『ボヴァリー夫人』と、野崎さんの思い入れがたっぷり感じられる『ナジャ』の章などがいいように思った。