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- カテゴリ:一般
- 発売日:2010/06/10
- 出版社: 早川書房
- レーベル: ハヤカワ・ポケット・ミステリ・ブックス
- サイズ:19cm/235p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-15-001837-5
紙の本
機械探偵クリク・ロボット (HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOKS)
四角い頭に鋼鉄の身体、チェックのスーツを着こなし、頭には小粋なチロリアン・ハット…古代ギリシャの偉大なる発明家の直系の子孫、ジュール・アルキメデス博士の発明になるクリク・...
機械探偵クリク・ロボット (HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOKS)
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商品説明
四角い頭に鋼鉄の身体、チェックのスーツを着こなし、頭には小粋なチロリアン・ハット…古代ギリシャの偉大なる発明家の直系の子孫、ジュール・アルキメデス博士の発明になるクリク・ロボットをご覧ください。事件が起こるや、計算機としての能力を最大限に発揮し、正確無比な方程式を立て、代数学的に謎を解くのです。その冷徹な推理力の前に、解けない謎などこの地球上には存在いたしません。広大な庭園で起きた殺人事件の謎を解く「五つの館の謎」と、有名人の遺体を強奪した悪党団に挑む「パンテオンの誘拐事件」の二大巨篇を一挙収録。【「BOOK」データベースの商品解説】
ミステリ史上類を見ない、機械仕掛けの名探偵! 広大な庭園で起きた殺人事件の謎を解く「五つの館の謎」、有名人の遺体を強奪した悪党団に挑む「パンテオンの誘拐事件」の2篇を収録。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
五つの館の謎 | 9−107 | |
---|---|---|
パンテオンの誘拐事件 | 109−229 |
著者紹介
カミ
- 略歴
- 〈カミ〉1884〜1958年。フランスのユーモア作家。著書に「ルーフォック・オルメスの冒険」など。
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紙の本
たとえば杉浦茂の漫画を、忍法作品としてどうだ、なんて議論してもむなしいでしょ、なんたってナンセンスが信条なんだから。で、このカミの作品もミステリとして論じるのは意味ないだろうな、って思うんです。戦前の徳川無声の小説のようにただ楽しむ、それが最高。それにしても、カミって絵が上手・・・
2011/01/07 19:27
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
カミは日本人にとって、一度聞いたら忘れられない作家といっていいでしょう。といっても、私が彼の作品を読んだのは 『エッフェル塔の潜水夫』 『ルーフォック、オルメスの冒険』 くらいなもので、それもいつ読んだものか、話の内容も含めて完全に忘れていますから、名前ほどに強烈な印象を抱いたわけではありません。そのせいでもないでしょうが、調べてみてもさほど多くのものが翻訳されてはいないようで、ある意味、忘れられた作家と言えそうです。
この本を書店で見かけたときも、私が最初に思ったのは「なぜ、今頃になってカミ?」というもので、面白そうだというものではありませんでした。タイトルにしても古色蒼然、前谷惟光の『ロボット三等兵』とか、レムの『ロボット物語』『宇宙創生ロボットの旅』とかを思い出させるものなわけです。気にはなりますが、積極的に読もう、という具合にはなりません。ちなみに原本は1947年のものらしいので、古臭くて当たり前ではあります。
それはともかく、本を開いてみて驚きました。ともかく挿絵が多いわけです。それも、ある意味、今風。ま、同じ今風といっても、レトロな味を楽しむ人向けのものではあるのですが、悪くはありません。本文を読んでみてもスラスラ読めそうですし、ページ数もたいしたものではありません。つまらなければ、古いものに興味をもっている娘たちに回せばいい。そう判断して読むことにしました。ちなみに、挿絵を描いているのはカミ本人、装幀は勝呂忠。多分、勝呂が装幀した最後のポケミスでしょう。
カバー後の案内は
*
ミステリ史上に類を見ない名探偵の登場です
四角い頭に鋼鉄の身体、チェッ
クのスーツを着こなし、頭には
小粋なチロリアン・ハット……
古代ギリシャの偉大なる発明家
の直系の子孫、ジュール・アル
キメデス博士の発明になるクリ
ク・ロボットをご覧ください。
事件が起こるや、計算機として
の能力を最大限に発揮し、正確
無比な方程式を立て、代数学的
に謎を解くのです。その冷徹な
推理力の前に、解けない謎など
この地球上には存在いたしませ
ん。広大な庭園で起きた殺人事
件の謎を解く「五つの館の謎」
と、有名人の遺体を強奪した悪
党団に挑む「パンテオンの誘拐
事件」の二大巨篇を一挙収録!
*
となっています。主な登場人物紹介は、まずタイトルにもあるクリク・ロボットから始めましょう。計算機としての優れた能力を発揮して、正確無比な方程式をたて代数学的に謎を解くロボット探偵で、銃弾を食べ、首を伸ばして写真を撮り、録音もする秘密兵器を沢山持った機械です。会話というか、犯人を言う時はボディから文字を記した紙を排出します。話をするのではないところが好ましい。
で、クリクの産みの親と言えるのがジュール・アルキメデス博士です。古代ギリシアの発明家アルキメデスの直系の子孫で、その姿は貧相な悪人としか言いようがありません。その様子はカミの挿絵を見ればよくわかりますが、悪相とは俺のことかとアルキメデス言い、です。ま、犯人を示すのも物言わぬクリクですから無口も気にはなりませんが、絵だけ見れば強欲な泥棒といってもおかしくありません。
最後がグリモー刑事で、アルキメデス博士とクリク・ロボットに反発するものの、その力を認めるところもある頑固な刑事です。挿絵で見る限り、クリクだけがまともで、次がグリモー、最後が博士という順で不細工になります。とはいえ、首を長くしたクリクの姿などはかなり異様で、そのよこに博士をおくと、どうみても犯罪者の秘密兵器、グリモーが偏見を持つのもいたしかたなし、でしょうか。
構成を紹介がてら、収められた二つのお話について書けば
「五つの館の謎」(1945)"Krik-Robot, Detective-A-Moteur: Lenigme Des 5 Pavillons":広大な庭園で起きた殺人事件の謎。銃声がしたにも拘わらず、ナイフが突き刺さった死体。しかもその死体は自分を解剖しろと警察に迫る・・・
「パンテオンの誘拐事件」(1947)"Les Aventures De Krik-Robot: Les Kidnappes Du Pantheon":パンテオンから有名人、ヴォルテール、ルソー、ゾラ、ユゴーの遺体を強奪した悪党団に挑むのはアルキメデス博士とクリク・ロボット・・・
訳者あとがき
という具合です。レトロなユーモアをのんびり味わうのには最適な一冊ではないでしょうか。それにしてもカミの挿絵はすばらしい・・・
紙の本
明朗愉快な探偵小説
2010/07/28 21:50
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:木の葉燃朗 - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公は、かのギリシアの発明家アルキメデスの子孫、ジュール・アルキメデス博士。そして博士が発明した「ロボット探偵」クリク・ロボット! 彼らが挑むは、とある庭園で起こった殺人事件「五つの館の謎」、そしてパリ五区の偉人が祀られた霊廟パンテオンから遺骸が盗難される「パンテオンの誘拐事件」。博士の明晰な頭脳と、強靭で数々の仕掛けを持ったクリク・ロボットが、この難事件を解決すべく躍動するのであった!
……と、時代がかった紹介が似合う小説。なにしろ書かれたのは1940年代。60年以上の時を経た本邦初の翻訳である。著者は、かのチャップリンもその才能を讃えたフランスの作家カミ。それだけに、推理小説として成立している上で、随所にユーモアが溢れている。あとがきによると、日本語訳もそのユーモアを伝えるべく、原文で駄洒落になっている部分は敢えて日本語の駄洒落に置き換えたとのこと。
そうした部分も面白いし、なによりクリク・ロボットの設定が面白い。博士がレバーやボタンを操作することで、「<手がかりキャプチャー>、<推理バルブ>、<仮説コック>、<短路推理発見センサー>」(p.40)などのメカニズムが力を発揮し、更に事件の解決の鍵として口から暗号文をプリントアウトするのである。この、無駄過ぎるギミック、大好きです(だって暗号じゃなくて答えをそのままプリントアウトすればいいじゃないか!)。また、著者自身によるイラストも多数掲載されているが、これも味がある。クリク・ロボットの風貌は、ロボット三等兵をもっとキッチュにしたような感じで、しかもチェックのスーツにチロリアンハット、パイプを加えて登場するなど、憎めない魅力がある。
推理小説としては、「五つの館の謎」にはちゃんと意外な犯人が存在するし、「パンテオンの誘拐事件」は謎解きの要素は薄いものの、活劇としてのテンポのよさで読ませる。この二作しかシリーズを書いていないのが惜しいと思わせるくらい、明朗愉快な面白い小説。