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困ったが、困っていない。
本書のベースになっている「新文化」の連載を、私は毛嫌いしていたのだった。
なんで業界紙で、ネガティブな話を読み物にするのか。
確かに構造的な問題やら不景気やらはあるかもしれないが、
記事としての分析はともかくとして、救いが見えない連載を
する必要があるのだろうか、と。
筆致は淡々としながらもユーモアがあり、ほろっとさせられたりして
つい読まされてしまう。
そんなところにも腹がたった。
誰が、何のためにこんなにうまい文書いているんだ。
なんか、よくなるのかね、これを読んで。
そう思って、気になりつつも頑張って読んでいなかったのでした。
今、単行本を通して読んで、
突きつけられた事実に向き合うのを避けていただけだったのかな。
直視しても、何かがよくなるわけじゃないから、と、言い訳をしていた
だけかもしれない。
と、思った。
本書は、暴露本ではない。
告発本でもない。
一書店店長の、仕事風景である。
迷いや怒りややりきれなさや喜びのある風景である。
迷いや怒りややりきれなさや喜びのある風景は、どこにでもあるかもしれない。
出版社に勤めているものとして、それっぽい感想を述べることもできるかもしれない。
でも、
働いていた店が閉店になり、会社に残る道もあったが、その道を拒み、
これからどうするかを、ちょっと、ゆっくり考える、ということにした、という
その決断に対しては、私は「おつかれさまでした」という言葉しか持たない。
最初から、本書について何か書くのは無理だと分かっていた。
昨夜酔っ払って勢いで書いたけど、とても公開できるものではなかった。
途中で寝落ちして、本当によかった。危なかった。
ひとことでいえば本書はそんな本でした。
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どこの書店もみんな人手不足である。
ほんとにそうかなと、半信半疑でした。
この本を読んで良かった。
状況が悪化するなか、どういったモチベーションで
突き進んで行くのか。
誰も教えてくれない
でも、誰か先輩に聞いてみたかった。
人間くさく、尚且つ熱血漢で良い。
そんな店長の本に会えて良かった。
書店に勤めていて
路頭に迷っている人には
是非読んで欲しい。
共感出来るし、得るものも大きい。
書店員じゃない人には
衝撃かもしれないけど
これを読んで書店の内部を知って欲しい。
私はこの本を読んで
やり残したことは
まだあると思った。
まだまだやれるなと。
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どうして書店員の給料は他の業界に比べて安いのだろう?
なぜ書店員が人に「本屋ふぜいが」と言われなくてはならないのだろう?
なんで本屋の店長が「本屋さんになりたい」という甥に「やめておけ」と答えざるを得ないのか?
押し寄せる新刊、届かない客注品、万引き、金は出さずにノルマを課す本部、大規模書店との競合。
そんなこんなに疲れ果てた店長は、受け持ち店が閉店すると、チェーンの別の店への異動もせず、他店からの誘いにも乗らず、「本屋」から足を洗ってしまいます。
時には店の床に頬を寄せて語りかけるほど、本屋を愛した店長が。・・・・まさに刀折れ矢尽きた、傷だらけの店長です。
本や本屋を愛する人が読むと、辛いところも多々ありますが、打てる手を打ちつくし、とことん頑張った人のリタイアは、静かな静かな始まりを感じさせます。
傷がふさがったら、元店長はこれまでとは違う本読みの人生を進まれることでしょう。
願わくばもう1冊、その後の店長の話を書いて欲しいところです。
きっと本から離れることのない元店長が、どんな「本のある生活」を送るのか、ぜひ知りたいと思います。
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久々に泣きながら読みました、というか小説以外で泣いたのは本当に久しぶりだなぁ…。
自分が大手書店に勤めておらず、どうしても自店と重ねて(他も一緒なのか!と。この舞台の書店はめどがつきます)色々思うところもあり、かなり泣けました。
別に出版業界の中でどうして書店だけが薄給・激務(これは異論があるかもしれませんが)なのか、とかそういった理不尽さで泣けたわけではないのだけれど…この店長さんの、それでも、本が大好きな生き方そのものに(安っぽいですが)感動したのかもしれません。
前に本の雑誌365号でも思わず引用メモしたけれど、書店員は評論家ではないから、ひとまず目の前のお客さんに向き合って働くしかないなぁ、と再び決意を新たにした感じです。
あとこれ読んで思ったのが、自分が書店で働いてから業界本をめっきり読まなくなったし、買う気も起きなくなっていたなぁと。
どうしても発言力の大きな書店ばかりな感じがしてしまって…。だからこういう中小規模書店の実際を書いたのはなかなかないのではないでしょうか。
大手の人の書いたもの読んでもけっ!とどうしても思ってしまうし、本の雑誌営業の杉江さんブログみたいな巨大書店に対して危惧している人の文章ばかり読んでいたなぁと。ふと思い返してしまいました。
いずれ日本の書店がamazon、大手5大書店(やな言い方ですね)、「個性派」書店のいずれかになるのかな…とは思ってしまいましたが。
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どうして本屋になりたい?・・・「本が大好きだから。」
「本屋はやめとけ」と言いながら、不覚にも主人公の店長は彼の甥に対して、自分も同じ理由を答えてしまう。
物事の本質がこのように明解に言い表される職業もあまりないのではと感じ入ってしまったこの本は、書店のどうしようもない状況とそれでも続けていたいという思いの両方がわかるから、同じ感情を共有し続けることができた。
でも・・・なぜかホッとして、嬉しくて、そして泣かせる本だった。
こんな人が本当はいつまでも本屋にいてほしい、という思いが叶う社会であることを祈りたい。
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ちょっとだけ読んだけど、う〜ん。面白いんだけど、SNS移行前のあおてんさんのサイトの読み物とあまり変わらないような。書店のあるあるネタなのかな?
真面目でとてもよい人なのだけど、頑な過ぎて痛いところがある。判る気はするのだけど。
あおてんさんの読み物はモンスター客とのやり取り中心だった記憶があるが、書店(業界)の内情あり、長と名のつくものの務めについての苦悩ありで、重苦しく痛いけどなんとか読了。
伊達さんには書店に戻ってきてほしい気もするけど……
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出版不況、リアル書店の閉鎖が続く中、書店員の店長は何を考え、何を目標に仕事しているのか。
店長が語る書店の将来には希望が感じられない。本好きの人間としては寂しいけど、これが現実だ。
ただ一つの救いは、著者は書店員に絶望して辞職したが、本を嫌いにはならなかったこと。本に対する需要はまだあるはずだ。
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書店の最期を看取る。
ついさっき、朝日新聞で、ある企業広告を目にしました。
本屋のない町で
私たちは幸せだろうか?
宝島社は電子書籍に反対です。
私がいままさに読んでいる本が呼び寄せたかのような符合に、軽い驚きがありました。
出版業界がいま、悲鳴を上げている。
それ以上に、小さな本屋が断末魔の苦しみを味わっている。
さらに、店長は、夜も眠れない日々を強いられている。
音楽メディアは、あっさりとI tune ストアに白旗をあげてしまいました。
CDショップの最大手がどんどん店じまいをしています。
私たちは、CDのパッケージが好きなわけではなくて、CDの中身が好きなのでしょう。
CDショップの撤退も、それなら、致し方ない。
でも、いまだに、「本」そのものが好きな人はたくさんいます。
かくいう私もその一人なので、店長伊達さんの呻き声のように、書店の現実を知らされると、胸が痛みました。
「使えない」
と題された一文。
インターネットでたまたま見つけたブログの記事に、伊達さんの店の実名入りで、「あの本屋は使えない」と書かれていました。
どんな経緯があったかまでは書かれていなくて、伊達さんは落ち込んでしまいます。
でも、しばらくして「使えない」の意味を実感します。
ある日、売れ行きランキングにも入り、そろそろ売れそうな本を、仕入れ担当者が返品しようとしていました。
この書店では、売場によって担当者の責任で発注・返品をするのだそうです。
「これから売れそうだよ」という伊達さんの意見に、
「それって、『ランキング依存』ですよね。僕はランキングに左右されるのは好きじゃないんですよね」
「ランキング依存じゃない。『ランキング参照』だ。
ランキングは客のニーズの一面なのだから、参考にはすべきだ。君の好きな本だけ置いたり、来る本を流れ作業的に置いたり返したりするのはただの「作業」だろ。考えながらやるのが「仕事」だよ。俺は「仕事」で君にこれを返すな。と言っているんだ」
「それなら店長の分野に置いてください。僕の方ではいりません」
伊達さんは、自分の担当コーナーである新刊書の台にその本を置きました。
数日して、その本が売れはじめ、客から次々問い合せが入ります。
でも、返品した後で、在庫がありません。
「ああ、ないならいいや。よそで買う」
「使えない」って、こういうことなのでした。
伊達さんの書店は、近所に全国チェーンの大型店舗が進出してきて、最後は矢尽き、刀折れ、閉店に追い込まれました。
いま、日本のあちこちで、こういう出来事が起こっているに違いない。
本は、書店は、出版は、どこへ行くのでしょうか?
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書店の置かれた厳しい立場は分かるけど、読んでると愚痴に聴こえてしまう。
俺は連休も取れない、朝から晩まで働いてるんだ、って。
筆者がそれをアピールすることを目的として書いたのではない、ことは分かるのだけど、どうにもその事が強く主張され過ぎてて好きではなかった。
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正直、冒頭から半分以上、【負】の感情しか書き綴られていなくて救いがない内容にページを閉じたくなりました。
結局最後までそのテンション感はかわりませんでしたが、結局“好きだから”というひどくあいまいで、抽象的なものにすがり、私も生きていると実感しました。
でも、私はやめない。
まだ何かできることがあるはず。
自分の中でちゃんと納得できる最後が見えたら、そのときが辞めどきかなと。
私も本、日本語、紙、形に残るものが大好きで大好きでたまりません。
今のところ。
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読んだきっかけは朝日新聞の書評欄で見かけたんだったか。中規模チェーン店本屋(?)の店長さんの悪戦苦闘記。執拗に書かれるのは本への愛情、ノスタルジー、自己満足、世渡りベタ。同情はするが、ビジネスとはそういうもの。忙しいのは、傷だらけなのは、お前だけじゃない。「俺の品揃えにこだわる、俺の店をコンビニみたいにしたくない」なんてセリフはコンビニで悪戦苦闘している多くの店長さんたちをキレさせたことだろう。
(続きはブログで)http://syousanokioku.at.webry.info/201011/article_10.html
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地元の書店(小規模チェーン店)の店長が、日々の仕事の悩みや苦しみ、怒り、無力感、大型店との競争に敗れた挫折感までを赤裸々につづった本。出版業界紙「新文化」の連載の単行本化で、「最後まで抗い続けた書店店長のどうしようもなくリアルなメッセージ」が帯のコピーである。
「本」に携わる人間のひとりとして、ときに怒り、ときに涙し、ときに微妙な距離感を覚えながらも、一気に読み終えてしまった。ぐいぐいと引きこまれる力のある文章で、知っているようで意外と知らない書店の現実に目が見開かされる思いがした。
出版不況に先行する形で、書店はずっと数を減らし続け、完全に斜陽産業となっている。雑誌はとうの昔にコンビニに奪われ、コミックの売上も落ち、活字離れで本も売れない。大型チェーンが増床・新規出店をくり返す一方で、地元の書店は淘汰され、ネット書店がその間隙を縫って台頭する。
さらに、電子書籍の大波が近い将来、出版流通を大きく変えるといわれている。物流・小売部門の取次・書店だけでなく、製造部門の印刷・製本、さらには出版社さえ「中抜き」される危険があるという。中間利益を搾取する古くさい産業は去れ、という声は根強い。
そうした抽象化された議論の背後には、しかし、圧倒的な現実がある。そこからあぶれた人たちの苦労があり、生活があり、職業人の誇りがあり、挫折もある。そのことの重みに胸が苦しくなる。
でも、とつぶやく私もいる。これって「本屋」が舞台だから「本」になっただけで、小売店はどこでも経験してきたことじゃないだろうか、と。
近郊に大型のショッピングセンターが進出したために、地方の駅前に生まれたシャッター商店街。コンビニやマクドナルド、牛丼、スタバなどの全国チェーンに蹴散らかされて消えていった地元の商店。ブームに乗って一旗揚げようと無数に乱立したあげくに淘汰の波にさらわれたラーメン屋、カフェ、居酒屋などの飲食店。
そこにはそれぞれ泣きたくなるようなストーリーがあったはずだけど、そうした顛末に、本にするほどの価値はほとんどない。残念ながら、読者はつかない。
もうひとつ。ここには電子書籍はおろか、アマゾンもブックオフも登場しない。ナショナルチェーンの大型店が近所にできただけである。それでも、この店は潰れるしかなかった。どれだけ思い入れがあっても、どれだけ嘆こうとも、逆にどれだけ力を入れても変えられない運命だった。そういう突き放した見方もできる。
閉店間際。スカスカになった棚を見て、「クソだな」「本屋の体をなしていない。こんなの俺の店じゃない」と毒づく主人公。しかし、どういうわけか売上は、丹誠込めて棚を作り込み、ぎっしりと本が詰まっていた時期とそれほど変わらなかったという。
「結局、俺の自己満足だった、ということなのだろうか?」とは、そのときの主人公の述懐である。
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同じ書店員としてはとてつもなく身につまされる内容でした。
おそらく全国の書店員が今おなじような悩みを抱えているんじゃないでしょうか。
それでも毎日書店員は本を出し続けます。
傷だらけになりながら。
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書店の仕事って大変だったんだ(;・∀・)
どこも書店でもこだわりをもった人がいるのかな?
私は大手の本屋さんでも、質問してもよくわかってないパートのおばさんみたいな人しか知らないけどな。
でもどの業種でもきっと同じことがあると思うし、書店に限らない話のようなきがする。
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書店で働いた体験をありのまま書いている。
書店員の悲しさが書かれているが、文章に迫力がなく、あっさりしすぎだ。もう少し文量が欲しい。
本をいくら読んでも文章は上達しないんだなと改めて感じる。
不器用な生き方ではあるが、芯がある。葛藤が人間味あっていい。