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商品説明
誰もがエネルギー作りに参加できる「ユーエネルギー」に向けた進化が起こりつつある。「スマートグリッド革命」の意味、ビジネスや生活に及ぼす影響、アメリカ・欧州・アジア・日本における展望などをわかりやすく解説。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
加藤 敏春
- 略歴
- 〈加藤敏春〉米国タフツ大学フレッチャー・スクールにて修士号取得。在サンフランシスコ総領事館経済担当領事、内閣審議官等を歴任。一般社団法人スマートプロジェクト設立。著書に「安心革命」など。
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紙の本
もっとスマートグリッドのことを知りたい
2011/06/04 19:56
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:JOEL - この投稿者のレビュー一覧を見る
原発事故が起きて以来、目にすることが多くなった言葉のひとつが「スマートグリッド」だ。次世代送電網や賢い送電網という日本語があてられることが多い。
太陽光や風力などによる発電は自然条件に左右されるため一定しない弱点がある。その電力を送電網に流すために、送電・配電網側に、その不安定さを調節する機能を備えられないか、という発想をもとに考えられたのがスマートグリッドだ。
著者は94年-95年にかけて、アメリカのシリコンバレーが活況を呈し始めたときに、現地にいたことがある。IT革命を体感しているのだ。そして、スマートグリッド革命は、IT革命よりもずっとスケールの大きなものだという。
これまで消費者は電力会社から電気を送ってもらい、電気料金を支払うだけの存在だった。著者は、「ユーエネルギー(You Energy)」という概念を提示して、パラダイムシフトが起きつつあるのだと指摘する。受け身の存在から、自らも発電し、節電し、情報をやり取りして、電力に責任を負った存在に変わる。
2011年5月19日、東芝はランディス・ギア(スイス)というスマートメーターの製造大手企業の買収を発表した。
スマートメーターはスマートグリッドを実現するのに欠かせない。家庭やオフィス、工場といった消費者の側から、今、どこでどれくらいの電気を使っているのか、リアルタイムで発電側に知らせる装置だ。これがあれば、発電側でも必要とされる電力を的確に送り出せる。
原発事故以降、電力会社の発電能力の何%を使っているのか、ネット上のいたるところで表示されるようになった。「ああ、午後1時の時点で80%を超えているのか」などと気にかける生活が東日本では続いている。
しかし、スマートメーターを含むスマートグリッド技術が普及すれば、電力の需給調整の効率性がぐっと高まり、余分な電力まで発電しなくても済む。
余力があとどのくらいあるのかなどと心配しなくても良くなるし、スマートグリッド技術が普及すれば、余計に石油や天然ガスを燃焼させる必要もなくなるのだから、節約にもなる。
「エネルギーウェブ」という著者のキーワードからは、未来社会の姿が立ちのぼってくる。2010年7月1日という大震災前に出版された本とは思えないほどに、今の社会状況にとってヒントになることがたくさん書かれている。
ただし、著者はかなりの博識で、いろんなことに言及していく。そのため、読者の側では一生懸命考えながら追いかけていかないといけない。エネルギーのことを詳しく学びたいと思っている勉強家のための本、という印象を受けた。
著者はエコポイントの提唱者でもあるらしい。あれは、ほんとにエコなのかどうかよく分からないまま終わってしまった。さしあたり本書の評価とは分けて考えた方が良さそうだ。