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商品説明
後世の映像領域に多大な影響を与えた、映画「犬神家の一族」の明朝体表現。あのL型配置の特太巨大な明朝体が指し示すものは何か。ヴィジュアル資料をもとに、コンセプト、技術・技法、歴史、そして社会的背景を検証する。【「TRC MARC」の商品解説】
エヴァも、任三郎も、はじまりは犬神家だった。
図版点数150点、映像画面225コマ
ヴィジュアル資料をもとに検証する
市川明朝、初の研究書。
アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」
ドラマ「古畑任三郎」
CM「資生堂TSUBAKI」など
後世の映像領域に多大な影響を与えた映画「犬神家の一族」の明朝体表現。
その手法はテロップ表現の古典的スタイルになろうとしているのに、
映画評論、デザイン評論の両分野で詳細が語られることはほとんどなかった。
あの、L字型配置の特太巨大な明朝体が指し示すものは何か。
コンセプト、技術、歴史、さらに社会的背景が解きほぐされ、
タイポグラフィの深みが今、たちあらわれる。【商品解説】
目次
- 序章 「犬神家の一族」の周辺
- 市川崑タイポグラフィの影響/70年代の金田一耕助ブーム/問題のありか/明朝体の系譜
- 第1章 市川崑明朝体の正体
- 金田一耕助の推理/「犬神家の一族」明朝体の条件/書体のウエイトと容疑者たち/金属活字の時代/写真植字とは何か/容疑者たちの素性/エッジの処理と印刷適正/髭あり書体と髭なし書体/手型あわせと共犯者/混植組版の理由/事後共犯はミスか/市川崑の姓名/井上刑事が指し示す真実/書体に託した意味/『悪魔の手毬唄』『獄門島』『女王蜂』/市川崑明朝体の正体/市川崑の関与
- 第2章 市川崑明朝体のレイアウト
- レイアウトの分析手法/出版物のフォーマット/レイアウトグリッドの機能/映像のなかの文字/『犬神家の一族』の特殊な画面比/四種類のレイアウトグリッド/気配りのレイアウト/グリッドの変遷とその理由/縦組横組のレイアウトパターン/L型配置の変化/市川崑がめざしたもの/『病院坂の首縊りの家』
- 第3章 タイポグラフィの作法
著者紹介
小谷 充
- 略歴
- 〈小谷充〉1968年岡山県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科修了。デザイン制作会社勤務を経て、島根大学大学院教育学研究科准教授。
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著者/著名人のレビュー
本書のタイトルを目に...
ジュンク堂
本書のタイトルを目にしたときは、驚きました。
市川崑の明朝体と言えば、「犬神家の一族」をはじめとする金田一耕助シリーズの冒頭で、画面を覆わんばかりに貼り付けられた役者やスタッフのクレジットのことで、後に「エヴァンゲリオン」のサブタイトルのデザインがこれに倣ったことは有名です。
しかし、そんな話題で一冊の本になるものなのか?
読んでみてまたまたびっくり。たかだかクレジットのデザイン、と思って読み始めたところが、話題は深くて広い。
活版とは、写植とは、との解説を混ぜてタイポグラフィ初心者への配慮を見せつつ、「手形合わせ」「仮面をかぶった容疑者の入れ替わり」とまさに「犬神家」を地でゆく語り口で、市川崑の使用した書体を特定、さらにはこのデザインへの市川崑自身の深い関与を推理するなど、第一章だけでもお腹いっぱい。
さらに詳しく分析することで、監督が密かに込めた意図があぶり出され、当時の文化状況を眺めながら、このデザインがどんなものから影響を受けながら誕生したのかが探られます。
金田一映画好きとしては、大満足の一冊でした。
紙の本
あの『犬神家の一族』の文字、あの市川崑の表現しようとした文字たちの話
2017/09/30 12:14
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画監督市川崑が作品タイトルなどで使用した文字について、タイポグラフィの観点から考察された書。タイトルにあるように主に『犬神家の一族』のタイトルロールを主として考察されているが、他の市川作品についても触れられているし、活字自体の変遷なども述べられている。また、単に文字のことだけでなく、映画画面のレイアウトのことから、それら作品の背景となっている時代状況のことまで広く考察されており、一風変わった映画評論と言えるが、きっとタイポグラフィやデザイン全般について興味のある人であれば面白く読めるだろう。
かく言う私も、市川崑作品が好きだと言うだけでなく、デザインについても関心があり、その点で面白く読めた。
おそらく世間一般からすると『犬神家の一族』のインパクトが強く、そこで出てくるいわゆる市川明朝体と呼ばれる文字デザインが特徴的に思えてしまうのだろうが、これを読むと市川崑は常に文字デザインを意識していたし、通常の映像と同じように様々な意味をそこに込めていたことがわかり、改めて映画作品を鑑賞したくなってしまった。本書にも多くの図版が収められており、市川作品の多くのタイトルロール等の図を眺めていると、これが実際の映画としてどう流れて見えているのか気になってくる。
というように、総じて非常に興味深い映画監督論になっているのだが、やや『犬神家の一族』というところにこだわりすぎて(いるように、見えてしまったのだが)、推理小説仕立ての語り口になっているところがかえって安っぽい感じの評論に見せてしまったのではないかと思えて残念だ。