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紙の本
スワロウテイル人工少女販売処 (ハヤカワ文庫 JA)
著者 籘真 千歳 (著)
“種のアポトーシス”の蔓延により、関東湾の男女別自治区に隔離された感染者は、人を模して造られた人工妖精と生活している。その一体である揚羽は、死んだ人工妖精の心を読む力を使...
スワロウテイル人工少女販売処 (ハヤカワ文庫 JA)
スワロウテイル人工少女販売処
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商品説明
“種のアポトーシス”の蔓延により、関東湾の男女別自治区に隔離された感染者は、人を模して造られた人工妖精と生活している。その一体である揚羽は、死んだ人工妖精の心を読む力を使い、自警団の曽田陽介と共に連続殺人犯“傘持ち”を追っていた。被害者の全員が子宮を持つ男性という不可解な事件は、自治区の存亡を左右する謀略へと進展し、その渦中で揚羽は身に余る決断を迫られる—苛烈なるヒューマノイド共生SF。【「BOOK」データベースの商品解説】
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紙の本
ラノベ寄りのディストピア小説。
2017/05/21 02:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
ラノベ寄りですが一般文芸書の分類だと思います。
そもそもラノベと一般文芸書の境界はきれいに線引きできる
ものではないですが、違いはなんとなく分かります。
ラノベだからパスするとの考えは自分にはありません。
文芸書がじり貧になる中で、本屋さんで多くのスペースを与えられ、
部数を伸ばしているラノベはむしろ興味があります。
残念なのは、当たりと思えるラノベは自分にとってはビブリア
古書堂シリーズぐらいで、あとは連敗をくり返していることです。
つまり合わない確率が高すぎるということで、実のところ趣味に
合うラノベを見つけたいという思いがあります。
読書の醍醐味に行間を読むことがあります。
想像力が刺激されるからであり、それこそが読書の最大の
魅力の一つだと思うのです。
物語の世界が分かりやすいことは重要ですが、分かりやすくても
行間は必要で、レールに乗せられることとは違うと思っています。
昨今は書き過ぎ小説がベストセラー的に売れるので、
こんな考えは少数派なのかもしれません。
この作品は、ラノベ的な残念な部分と、特異で個性的な
世界観の両方を持っており、かなり荒削りで評価しにくいです。
特に前半は、自己陶酔型の知ったかぶり文章が続き、
読みにくいことこの上ないです。
この読みにくさが逆に知的好奇心を煽るので、満足する人も
出てくるのでしょう。聞きかじったSF的な用語の埋め込みは、
エヴァンゲリオンで用いられた手法で、こういう意味だろ、
分かるぜ分かるぜみたいな感じがしてうっとうしいです。
しかも人工妖精と呼ばれるアンドロイドは、男にとても都合の
いい雰囲気の少女たちです。ドジかわいい漫画風のキャラで、
こんなものを喜ぶのは読書経験の浅い中学生くらいでは
ないでしょうか。
わが家の中学生女子は、男の妄想のかたまりみたいな
人工妖精に辟易していました。
でも人工妖精に頼らなければ成立しない膿んだ未来は、
もの悲しい現実を見せてくれるようで、続きが知りたく
なってきます。わたしはそこに作品の魅力を感じました。
三部構成です。特に第二部の人工妖精の置名草
(おきなぐさ)が見せる倒錯した自己犠牲は、精神の
矛盾にさいなまれていて読んでいるこちらも心が揺らぎます。
前半の酔ったような文章に対して、中盤は物語が走り出して
読みやすくなります。無駄な力が抜けており、この作家さんの
見せる世界が率直に伝わってきます。
この作品はブログ小説がベースとのことです。納得しました。
早川書房の編集さんがかなりテコ入れしたようなのですが、
それでようやく読めるレベルになったということでしょう。
この作家さんに可能性を感じることは、わたしも賛成です。
表紙の絵は人気のあるラノベ系の絵師さんで、目を奪われて
しまいます。でも小説なのだから、中身も表紙に追いついて
欲しいですね。見た目ばかり都合のいい作品では
良質とは言えませんので、酔った文章から脱却できれば
いい作品が読めるのではと期待しています。