紙の本
複雑系研究の第一人者による名作の復古版です!
2020/01/23 17:21
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、いろいろな数理についての教養が楽しく学べると大好評の「ハヤカワ文庫ノンフィクション<数理を愉しむ>」シリーズの一冊で、同書は、一般に「複雑系」と呼ばれている科学の最前線をわかりやすく解説した名著の復刻版です。著者は、もちろん複雑系研究の第一人者である金子邦彦氏です。内容は、「複雑系へのカオス的遍歴」として、「科学は文化」、「今月の論文ヒットチャート?」、「科学の大本営発表?」、「イチローのホメオカオス打法?」 」などがおさめられ、続いて、「カオス出門」、「小説 進物史観」など、知らぜざる知識が満載です。読み応え十分の名作です!
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前世紀の本という紹介ができる驚き。SF仕立てな部分もオモロい。そういやあの頃は第五世代コンピュータも破たんして、、なんて思い出せるか?
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科学の現状、そしてこれから向かう先。科学のあり方。
科学ってもっと身近なもので、単なる文化のひとつなんだよっていうエッセイ。確かに一般人は、科学を何か特別な発明をするための都合の良いツール、としか思っていないんじゃないだろうか。
でも実際はそんなもんじゃないよって話。
複雑系の小説は読んでいて面白かった。しかし円城さんのHNがこの小説に由来していたとは驚きです。
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カオス理論について勉強不足でも、金子邦彦氏の語る科学に対する考え方や複雑系とカオスの関係などはたいへんタメになった、気がする。円城塔氏の解説も、解説らしからぬ存在感があって読み応えアリ。
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最初の小さな変化が積み重なると、予想もしない大きな変化を生じるということがカオス。
パンをこねるときにも、カオスが存在する。
カオスが存在しない世の中では、パンやそばはうまく作れない。
カオスを生む力の要素と、その関係の理論式の導き方を知りたいと思った。
理論に基づいて考えた上で、そこからどうやって飛躍するかが研究には求められているというのは、広くビジネスに応用できる考えであると思う。
既存の小説を組み合わせて、人工的に小説を作り出していくという物語はおもしろい。
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興味深かったけど、いまの自分にはこれを語る言葉がなさすぎるので、もうちょっと勉強してから読み直そうかと思う。全体と個の矛盾を突き詰める、かあ。
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カオスとは、複雑系とはなんぞや?ということを様々な角度からゆるく解説してみたり小説仕立てにしてみたりした本。ぼんやりした外観としては分かったような…気がしないでもない。「カオス出門」のやっつけにも似たぶっとび度には笑った。
御多分に漏れず円城塔氏経由でこの本を手にしたのだけれど、カオス研究と物語の生成は非常に近しいところに存在しているように感じられた。=円城氏が作家になったのも納得。という結論に達した。
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いわゆる「複雑系」や「カオス」について、エッセイや小説を媒体にしてぼんやりざっくりふんわり教えてくれる本。
エッセイや小説、メタ的インタビューと多様な表現方法によってこの本は構成されている。
が、決して読みづらくはない。それは単に、科学は「もの」ではなく世界の見方をつくるひとつの文化である、という著者の思想が全編に通底しているからだと思う。
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この本は文庫の発売直後に、金子研出身の人の研究室にいる先輩(つまり金子さんの孫弟子?)に教わって買った。買ってすぐに最初のエッセイの数編を読んだけど、大した印象も持たずに放り出してしまった。このたび久しぶりに手にとったら今度はすらすら読めた。その間、金子さんは仁科賞を、文庫本の解説を書いている円城塔は芥川賞を、と師弟で有名な賞を受賞している。
さてこの本については、3つの部分からなっていて最初は科学エッセイ。解説で円城塔は絶賛しているけど、僕はとくに面白いとは思わなかった。
次の「カオス出門」は、カオスがなくなったらどうなるかという、短編SFみたいな。カオスだけがいきなりなくなるという設定に無理があるのだけど、まあまあ面白かった。初出は教養学部報らしい。駒場に行くといっぱい置いてあるあれか。
ここまではまあ、ふつうの研究者でも書きそうなことだと思った。この本のメインコンテンツは後ろ半分を占める「進物史観」という長編小説だ。僕はふだんSFをほとんど読まないのだけど、素人目に見てこの話はかなり面白かった。正直、ここまでのものとは予想していなかった。これが世に出る前、研究者仲間にこれを見せたところ、ふだんの論文と同じではないかと言われたそうだけど、たしかに僕にしても、物語が面白かったのか、こういう研究があるとしてその研究の話を楽しんでいたのか微妙なところ。だけど、よく知らないんだけど、SFってアイディアが重要そうだし、このアイディアはSF好きな人も楽しめるんじゃないかと思う。
金子さんと同じ分野の研究者で、僕もたまにお世話になっている(た)菊池さんによる書評があったので、リンクを張っておく。
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1274373906
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カオス・フラクタルの本は結構持っていたのですが、この本が文庫になったのには気づかなかった。
第一章とも言うべき「複雑系へのカオス的遍歴」にある20篇ほどのエッセイが印象的でした。
積読になったものについても読み返してみたいところです。
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芥川賞作家の円城塔さんのペンネームの由来になったSF小説が所収されている。もちろん、解説も円城さんが担当されている。
前半のエッセイは、わたしにとってはかなり難しい内容。小説ももちろん一筋縄ではいかない。
物語と進化。
人類が進化の過程で、地球の環境を変えて住みやすい街をつくっていった事を思い出す。
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円城塔氏の筆名のもとになった小説作成プログラムが登場する小説を含んだ本。『小説 進物史観』は、毒のような小説。ダーウィニズムによって進化する小説群に、読み手が影響を受け、社会が変化するという展開は恐ろしくも面白い。円城塔氏の解説同様、「上手いのでは」と思ったのですでにこの小説の毒にあてられたかもしれない。人をくったようなあとがきも含め、カオスなり複雑系なりの著者の世界観を体験している感じがする。
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「カオス理論」の入門書?
ではなく、研究者のエッセイでした。
ま、科学者のエッセイってのも、実に興味深い、ってことで。
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挫折しました!
どうやら、ファン向けのエッセイ&小説であるようです。
近所の顔見知りだけが来店する閉鎖的な喫茶店に間違えて入っちゃったかんじ。
それにしても、どういう読者に向けて書いているのかさっぱりわからなかったです。
こんな簡単なことは説明するのに、その専門用語は説明なしで使うの?という部分がたくさんあり、その違和感で読み続けられなくなりました。
ファンの方はファンでない方の分まで読むことをおすすめします。
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複雑系いわゆる「カオス理論」で著名な金子邦彦氏のエッセイ&小説。題名に冠す「カオス」の解説はあまり無く、(良い意味で)題材がごった煮のカオス的様相を呈している。
金子氏が強く主張する、科学「≠ものの発見」「=見方の提示」「=文化」、いうなれば芸術に近いものがあるという記述はなるほどと思わせられる。軽快なタッチながら鋭い洞察のエッセイ部分、人工知能を通したカオス理論が描かれる小説部分。天才ならではの飛び飛び感があるので好き嫌いが分かれるかもしれない。