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紙の本
日本語は亡びない (ちくま新書)
著者 金谷 武洋 (著)
昨今、日本語の存亡を憂う言説で溢れているが、本当に日本語は亡びるのか? 庶民に支えられている日本語を見つめることから、大胆かつ繊細に、日本語の底力を徹底的に解明する。【「...
日本語は亡びない (ちくま新書)
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商品説明
昨今、日本語の存亡を憂う言説で溢れているが、本当に日本語は亡びるのか? 庶民に支えられている日本語を見つめることから、大胆かつ繊細に、日本語の底力を徹底的に解明する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
金谷 武洋
- 略歴
- 〈金谷武洋〉1951年北海道生まれ。モントリオール大学で博士号(言語学)取得。専門は類型論、日本語教育。モントリオール大学東アジア研究所日本語科科長。著書に「日本語に主語はいらない」など。
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水村美苗の『日本語が亡びるとき』への違和感を表明した本としては賛成だが・・・
2010/03/12 23:11
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サトケン - この投稿者のレビュー一覧を見る
2002年に出版された『日本語に主語はいらない』(講談社メチエ)を読んだとき、よくぞ言っていただいたと感謝したくなったと、私は bk1 の書評に書いた。
本書は、具体的にはバイリンガルの日本人作家・水村美苗の『日本語が亡びるとき』(筑摩書房、2008)への反論を意図して執筆したと、著者は「はじめに」で述べている。私自身、水村美苗の本を読んだとき非常に強い違和感を覚えたので、またとない援軍が現れたものだと思って、著者の「蛮勇」には大いに期待して本書を手に取った。
ざっと読んでみての感想は、「満足半分」に「期待はずれ半分」である。
「満足半分」というのは、著者の専門である、カナダ人への日本語教育実践から発見した日本語の特性から、日本語はけっして亡びないことを論証していることだ。これについては大筋で賛成である。著者の理論が正しいか正しくないかは、言語学の専門家どうしで論戦しあえばいい。
「期待はずれ半分」といったのは、本の半分が本論とはあまり関係ない、宮部みゆきと中島みゆきの話で占められているからだ。しかも、言語学的な分析ではなく、このふたりの「みゆき」が表現する日本人の心性について語っているだけであって、だから「日本語は亡びない」という論旨とは、結びつきが弱すぎるのである。
結論としては、この本は、水村美苗の『日本語が亡びるとき』への違和感を表明した本とはなっているが、分量を半分にして、言語社会学的な話で残り半分を書くべきではなかったのか、というのが私の感想である。
とまあ、ここまで辛口の評価をしてきたが、水村美苗の『日本語が亡びるとき』への反論がでてきたことは、たいへん喜ばしい。著者がふと漏らしているように、水村美苗には12歳の時に、自分の意思ではなく有無をいわさず米国に連れて行かれたときに経験したトラウマがあるのだろう。
日本語を実用的に使っているのは、ごくごく少数のインテリ作家だけでなく、圧倒的多数の一般ピープルだからだ。どう考えても、日常生活で英語を使うとはとても思えない圧倒的な日本人にとって、「日本語が亡びる」などという危機意識は、はっきりいって無縁の発想だろう。
ほんとうに亡びる可能性が高いのは、話者が激減している、いわゆる「危機言語」である。人口が減少しているといっても、1億人を切るのにいったい何年かかるというのだ。日本語が「危機言語」であるかどうかは、この本がある程度まで解答している。
「日本語は亡びるか」というテーマに興味のある人は、半分は読むに値するので、目を通したらいいとはいっておこう。