紙の本
日本のあるべき成長の姿とは
2012/01/12 04:36
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書で著者は言う。
『経済構造の抜本的改革、とくにサプライサイド改革を重視する構造改革派と、金融政策によって緩やかなインフレを実現し、デマンドサイドからの回復を目指すべきとするリフレ派の角突き合いばかりが焦点化されている状況はよろしくない。』
なるほど、とも思う。確かに、今のデフレ・円高経済状況を脱するには、様々な手段の組み合わせと柔軟な対応が必要なことは言うまでもない。
事実、ここで筆者が言う「リフレ派」と呼ばれている人たちでさえ、供給側の改革、構造改革が不要と言っているわけでは決してない。ただし、そこに向かう手段と時期を誤ってはいけないと言っているに過ぎない。
右か左か、正か負かといった議論はすべきではない。
しかし、だからといって、この構造改革派とリフレ派の“対立”、サプライサイド重視かデマンドサイド重視かの“対立”をあいまいにすることも問題である。
ここまで長期間、日本の経済を“悪く”してきた原因の追求は決して怠ってはならないことだからだ。歴史の検証と後世への継承は、今に生きる世代の義務なのだから。
そして、あの“失われた10年”以降、さらに現在まで長期間、日本の経済を“悪く”してきたのは、この対立構造から見た場合には、明らかにサプライサイド重視側、構造改革派にある。
一時期の外需頼みの「庶民にはまったく縁の無い」好景気期間を含め、日本は超長期にわたって内需が押さえ込まれている。そしてこのことへの対策が必要な時に、サプライサイド側の改革(それも決して正しい対策ばかりとも思えないが)ばかりに着目していたツケが、今の日本の貧困な経済状況なのではないのか。
まずは、需要喚起のための政策発動による労働環境の創出が、今からでも早急に望まれる。
そして、このような時だからこそ、日本のこれからの成長のあり方といったものを明確にし、認識しておく必要がある。
日本の進むべき“成長の姿”についての議論の一つに経済成長重視の姿勢をとるか、脱経済成長の姿勢をとるかの問題がある。
本書の著者は指摘する。
『反成長パラダイムに関しては、高度経済成長の陰で、公害や交通事故が増大し、マスプロ化やオートメーション化が人間疎外を深めたという、あまりエビデンスベーストではない実感や予断から逃げられないのでしょう。』
経済成長に伴う負の側面、ここでは著者が触れていること、さらには地球環境への負荷増大の問題を含めて、もっと議論されてもよい。
紙の本
悪いインフレの今だからこそ読んでおきたい本
2024/03/29 00:07
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投稿者:ぶんてつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は、勝間さんが主張してきた脱デフレ政策を後押しできればと、開かれた緊急座談会をまとめたもの。
金融政策は、やる気になればいつでもできるのに日銀も政府も脱デフレ政策を怠ってきた。
現状認識をして、対策を立てて実行に移すまで本当に日本が耐えられるか心配であるが、この本の中には、簡単にできる対策が並んでいる。
確かに高い給与を安定してもらっている人たちにとってはデフレは笑いが止まらないだろう。
ただし、搾取され続ける若者たちが、いつまでも大人しいとは限らないし、何よりそういった人たちの数が増えれば社会保障は崩壊せざるを得ない。
座談会の参加者はみんな高収入だと思われるが、そんな彼らがデフレのうまみを享受するのではなく脱デフレを真剣に議論しているところが問題の深刻さを物語っているのではないだろうか。
いつもながらの鋭さの勝間さんと宮崎さんに経済学者の飯田さんが理論を提示する。
とても分かりやすい本になっていると思う。
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どうして中国古典を研究している自分がこういった本を読むかというと、一つには僕自身が高学歴ワーキングプア予備軍だから他人事ではないということがあるけれど、より大きく二は、現在の人文学(哲学や文学の方面)では、ここで批判されているうような、デフレ善玉論に近いことを平気で言う人たちが多いから。本当に何も考えずに、清貧の思想めいたことを言い、自由主義やグローバリズムを批判する。最近は「行き過ぎ」とやや表現を弱める傾向にあるけど。古典研究でのうのうと暮らしているわけなんだから(僕もまあそうだ)、訳知り顔でそういうこと言える立ち場にないと思うんだよね。
だから田中さんの当の飯田さんに当事者意識足りないんじゃないの?という指摘は重要。> http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20100219#p2
啓蒙的な効果を目指している本書において、瑕疵とすませてはいけない問題だろう。マクロの話をするにしたって、目の前の相手に話すしかないのに、身近な相手も見えてないんじゃ信用できない、となるだろう。もったいない。
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読み助2010年3月1日(月)を参照のこと。
http://yomisuke.tea-nifty.com/yomisuke/2010/03/443-fe73.html
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三人の著者による座談会形式の本。三人ともテレビで見て口調を知ってるので、
頭の中でバーチャル座談会が展開されて大変楽しく読めた。
飯田氏が主に提言を行い、宮崎氏は聞き手、勝間氏は身近な例をあげつつ飯田氏の発言を補強といった役割分担。
第1章 「失い続ける日本」の課題、第2章 デフレは百害あって一利なし では
経済学者の名前や学説を引用しながらの討論で、ちょっと難しいなぁと思いながら読んでいたが、
第3章 正しい金融政策を実行せよ になると、三氏とも日銀批判でヒートアップし、読む側もスピードアップ
して一気に読み終えることができた。
「最近ようやく待機児童の問題が取り上げられたのは、政治家の孫が引っかかり始めたから」「日銀はかって業務
命令権を握られていた財務省(旧大蔵省)に過剰な警戒心がある」と言うのはあまりにもお粗末と言うか、
あまりに人間臭くて苦笑せざるを得ない。
本文の最後に勝間氏が、我々が今日からできる行動のまとめ(ツイッターやブログで反デフレを発言、地元の
政治家に働きかける、ハイパーインフレを懸念する人をやさしく説得など)を書いていて、とても親切設計。
巻末にある、三氏それぞれのオススメ本を順次読んでいきたいと思う。
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勝間和代、宮崎鉄弥、飯田孝之著「日本経済復活 一番簡単な方法」光文社新書(2010)
う~ん、、、勝間さんが書いているからと思ったんだけれど、個人的にはあまり面白くない経済書だったな・・・。
一言で言えば今の日本経済政策に対する不満を3人で言い合っているといった感じ。
ここに来てようやく日本経済の停滞がここまで長期化し、旧来型の財政支出やシステム改革の校かが見られなかった理由が明らかになった。それは、日本の経済政策の失敗、つまりは人為的なデフレ、であると論じている。
確かにそうだが、今まで気がつかなかったのか、といった感じで・・・。読む時期が遅かったのかな~なんで思ったけれど。
まあでも多少は経済の勉強になる本かもしれないかな。
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デフレの原因はデフレ恐さに金融政策をうてなかった政府や日銀にあり、デフレがひどくなる先には給料カットや失業率増加があるということ。対策としてインフレ率2%を金融政策(貨幣供給)でコントロールすることでのりきれるとしている。最後のほうで宮崎さんが「目の前の商品のプライスが下がるのはうれしいとしても、「それは何が原因なのか、その先に何があるのか」を推論してみること」と語っている点に頷けた。
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金融政策やデフレに対する認識が基本的に同じ人たちの本なので、わかりやすい。でも、通貨の供給量があとどれくらい増たらインフレになるのか、国債が膨らみ過ぎたらそののちの影響は?といろいろ気になることも。他の意見に関する本も読まないと。
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「経済の素人として~」の立場の宮崎氏が早々と前言撤回されて議論をリードしていたのが面白かった事を除いて、三方ともロジカルで明快。反対のポジションを取る方でもこれくらいエビデンスベーストな主張をしてほしいものである。
反リフレ派やデフレ容認派の一般人に読んでほしい一冊。
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友人に貸してもらって読みました。
デフレいくない!2%に目標設定して誘導すべき。
インフレいくない!とか、なんとなく反成長な論調は問題がある。
経済成長で税収は増えるし、失業率もデフレのままでは改善はされない。
日銀はインフレはダメとか言ってないでそっちに誘導しろ!
そのため理解してる経済学者出てこい!
庶民は経済リテラシー身に付けろ!
というお話・・・( ゚ω゚)?
わっかんねぇ/(^0^)\
というのが問題なんでしょうか・・・。
この本で批判されてた人はきっとこの本の論者を批判するし、それを自分が評価するだけのリテラシーがない。
多分自分みたいにようわからん・・・って人はいっぱいいるやろうけど、それやと、政策評価できんやん・・・
自分の国が何しようとしてるのか理解しないといけないし、できれば間違ってると思えばそのときいる立場でできることはしたいです。
とりあえず勉強します・・・。
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経済まったく無知なので結構難しかったです。デフレの弊害、日銀の無策ぶりなど多少なりとも理解できたのは収穫でした。
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やっぱり、デフレはよくないものだのだ、と実感した。生活観で見ると、価格が下がってラッキーと思うけど、そうではなくて、社会一般の視点で見ると、失業が増えて、経済が停滞することだから。
面白くて、流し読みしてしまったので、もう一度読みたいと思う。
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日本経済について、思想的・抽象的に議論。
勝間和代、宮崎哲弥、飯田泰之の鼎談。
久しぶりに思想的な本を読んだら、全く理解できませんでした。
そもそも、鼎談本をきっちり理解できた試しがないです。朝生もそうです。
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タイトルの答えとしての本書の結論は.おカネの供給を増やすこと。それは確かにいいことかも、とは思った。
ただ、随所にある、アンチ成長派や定常型社会論に対する批判は、底が浅く、逆に著者三人の人間性とは言わないまでも、価値観には違和感をかんじた。
健康食品を食べるようになったり、故障もしていないものを買い換えたりすることが、量から質への転換と言っているのは、全く賛成できず。
価値観はほんと多様だなあと思い知ることができた。
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[ 内容 ]
このままでは、日本はほんとにダメになる―飯田「脱デフレ政策、金融政策というのは、そんな難しい話じゃないんですね。
それなのに、脱デフレ政策って非常に遅れたわけです」。
宮崎「というか、まだ本格的には全然始動していない」。
勝間「最近ようやく、しぶしぶ認めたぐらい。
現状認識して、これから対策を立てて実行に移すっていう段階です。
それを後押しできればと、こうして緊急で座談会をしているわけです」。
徹底的に考えました。
[ 目次 ]
第1章 「失い続ける日本」の課題―閉塞感を打破するために(成熟した社会とは;一身独立して一国独立する;政治に対してシニカルになれ ほか)
第2章 デフレは百害あって一利なし―実力を発揮できない日本経済(問題はサプライサイドか?デマンドサイドか?;日本でハイパーインフレが起きる可能性;まずは安定化政策を ほか)
第3章 正しい金融政策を実行せよ―デフレ脱却のポイント(おカネとモノは表裏一体;5つの提言;2%のインフレを目指せ ほか)
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]