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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2010.2
- 出版社: ヴィレッジブックス
- サイズ:20cm/614p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-86332-223-3
紙の本
螺旋
著者 サンティアーゴ・パハーレス (著),木村 榮一 (訳)
絶妙な語り口、緻密なプロット、感動のラスト。大ベストセラー小説『螺旋』の作者トマス・マウドは、本名はもちろん住んでいる場所すら誰にも明かさない“謎”の作家。「なんとしても...
螺旋
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商品説明
絶妙な語り口、緻密なプロット、感動のラスト。大ベストセラー小説『螺旋』の作者トマス・マウドは、本名はもちろん住んでいる場所すら誰にも明かさない“謎”の作家。「なんとしても彼を見つけ出せ!」出版社社長に命じられた編集者ダビッドは、その作家がいるとされる村に向かう。一方、麻薬依存症の青年フランは、盗んだバッグに偶然入っていた『螺旋』をふと読み始めるのだが…。いったいトマス・マウドとは何者なのか?2つのストーリーが交錯する時、衝撃の事実が明らかになる!驚異のストーリーテラーが放つ、一気読み必至の長編小説。【「BOOK」データベースの商品解説】
本名も何も明かさない謎の作家、大ベストセラー「螺旋」の作者トマスを探す、ある編集者。一方、麻薬依存症の青年は偶然「螺旋」を読み始めるが…。トマスとは何者なのか。2つの物語が交錯する時、衝撃の事実が明らかに!【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
サンティアーゴ・パハーレス
- 略歴
- 〈サンティアーゴ・パハーレス〉1979年スペイン生まれ。コンピューター関連の会社に勤めるかたわら、小説を執筆。「螺旋」がヨーロッパ若手作家フェスティヴァルのスペイン代表作品に選ばれた。
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紙の本
ミステリアスな展開の果てに見えてくるのは、「琴瑟(きんしつ)相和(あいわ)す」という言葉の意味
2010/05/25 22:46
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
マドリッドの出版社に勤めるダビッドは社長から作家トマス・マウドを見つけ出すように指示を受ける。マウドは12年前、社にSF小説『螺旋』の原稿を郵送してきた。当時傾きかけていた社は『螺旋』のヒットによって奇跡的に回復したのだ。以来マウドはこれまでその素性も住所も明かさぬまま、定期的に続編の原稿を送りつけてきたが、ここにきて突然次の原稿を送ってこなくなった。続編が出せなければ社は再び苦境に立たされる。
ダビッドは限られた手がかりから、マウドが鄙びたブレダレッホ村に暮す六本指の男だと目星をつけるのだが…。
スペイン人作家パハーレスが2006年、25歳で発表したデビュー作です。
600頁を超える大長編ですが、ダビッドがたどるミステリアスなストーリー、読書好きにはたまらない本と作家をめぐる旅、そしてガルシア=マルケスはじめスペイン語圏文学を長年紹介してきた翻訳家による練達の訳文が相俟って、全く飽きさせることなく、わずか4日で読み通してしまいました。
ミステリアスとはいうものの、この小説は本格的なミステリー小説の部類には属さないでしょう。
都会の生活とは縁遠いブレダレッホ村でダビッドは、地元住民たちとの奇妙で滑稽な交流を体験していきます。その体験がダビッドに気づかせてくれるのは、仕事に追われて余裕のない日々の中で顧みることのなかった妻シルビアがとてもかけがえのない存在であること。ちょっと早いかもしれない中年の危機に身を置くダビッドが、「琴瑟(きんしつ)相和(あいわ)す」という言葉の意味を知っていく物語として私は読みました。
訳者あとがきにあるパハーレスの他の作品もぜひ読んでみたいものです。
*「デッド・ロックに乗り上げた」(26頁)は「~に陥る」の誤り。「ロック」は「rock」ではなく「lock」なので乗り上げることはできません。
紙の本
六本指の人間て、最近の小説によくでてきますが、実際のところ、どうなんでしょう? で、この探索行、かなりドジな男の行動で笑えます。深いお話なのに楽しい、これは珍しいことです。小説好きにはお薦めの一冊。
2010/09/28 19:16
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
書店で見かけて気になって仕方のない本でした。理由は二つ。一つはタイトルです。私、「螺旋」という字に弱いんです。もう見ただけで目の前に渦が迫ってきます。螺旋、で小説といえば、加納朋子の『螺旋階段のアリス』、清水義範『二重螺旋のミレニアム』であり、安東能明の『螺旋宮』でもあるんですが、私にとって気になるのは海堂尊『螺旋迷宮』でしょうか、未読なんです。
そういえば椎名誠の『ドス・アギラス号の冒険』に登場するドス・アギラス号は、螺旋舵をつけて、殆ど揺れを感じさせないという素晴らしい船でした。同じ著者の『長さ一キロのアナコンダ』には「アルキメデスの螺旋とカブトムシはどっちが強いか」という文章があります。菊地信義の『装幀思案』には、近現代日本の装幀十選の一冊として加納光於『螺旋都市』が挙げられていました。
そうそう、多くの本のカバーにイラストを書いている中山尚子はジックラードを模した螺旋形の建物が好きだし、夭折した画家・有元利夫の代表作である「花降る日」にはジックラードが描かれています。ま、私にとって螺旋といえばオウム貝であり、それがキーワードでもある夢枕獏『上弦の月を食べる獅子』ということになります。いや、あれは素晴らしい小説でした。獏で一冊選べ、といわれれば私は『上弦』をあげます。
それとカバーです。ともかく色がいいんです。で、遠目に私は西洋の古文書か地図なんだろう、なんて思っていました。で、カバーアートワーク 藤浪理恵子とあるのを見て、ああ、彼女ならこれくらいやるな、って納得したんです。私、好きなんです、藤浪理恵子の版画。ともかく上手い。彼女が描く男性も女性も、ともかくリアル。プラス幻想味。なかなかいません、女性でここまで描ける人。前から一葉でもいいから欲しいと思っていました、彼女の作品。でも高い・・・
結局、本で見て満足してるんですが、今回は鈴木成一デザイン室のブックデザインも見事。今までも藤浪の作品を使った本にはいいものが多いのですが、『螺旋』はトップクラスではないでしょうか。長々と書きましたが、これで漸く内容に入ることができます。ところがです、これがなかなか難しい。説明がしにくい。困った時の出版社のHP頼みは
*
編集者に下されたのは「ある作家を探し出せ」との極秘命令。しかし彼の行きつく先には衝撃の真実が待ち受けていた――
「君にはトマス・マウドを見つけ出してもらいたい」出版社社長から大ベストセラー小説『螺旋』の作者を発見せよとの極秘指令を下された編集者ダビッド。 彼は作家がいるとされる村に向かう。一方、麻薬依存症の青年フランは、盗んだバッグに入っていた『螺旋』を読み始めるのだが……。正体を明らかにしない謎の作家、トマス・マウドとは何者なのか?二つのストーリーが交錯する時、驚くべき事実が明らかになる!
読めば大満足確実!ともかく面白く、長編小説や海外小説を敬遠する方にオススメしたい1冊です。私は原稿を読み始めるとページを繰る手が止まらなくなりました(600ページを超える作品であることをまったく感じさせない!)。作家探しの謎を中心に、様々な人間の姿を深く描き切った、心震える長編小説です。
*
となります。困難な命令を受けたというのがダビッド・ベラルタ、35歳、コーアン出版の査読委員会のメンバーで、一年以上前から正社員として働く編集者で、仕事はそれなりに出来ますが、有能、という感じはしません。彼が担当しているレオ・バエラですが、『処女作『秋の神』が六カ国で100部以上売れた作家で、第二作『北では雨が降らない』は30万部どまりだったものの、それなりに評価され、真価を問われる三作目『クラヴィコード』を執筆中、ただし行き詰っています。
で、このダビッド、いろいろな理由をつけて子供を作ることに消極的、なんていうところは私がもっとも嫌うタイプです。ちなみに、妻のシルビア・ベラルタは34歳の美女です。夫が職業柄出張することが多いこともあり、会社勤めをしていますが、年齢のこともあり、切実に子供を生みたいと思っています。こういう女性の気持ちを理解できない男は、私なら即死刑です、はい。
で、ダビッドに困難な仕事を命じたのがコーアンで、コーアン出版の社長です。コーアン出版社の現在があるのは、トマス・マウドの『螺旋』を出版し、それがヒットしたから、といってよく、続編もベストセラーとなり、今も『螺旋』に支えられているといっても過言ではありません。ところがです、出版社の誰一人としてトマス・マウドにあったこともなければ話しをしたこともありません。
21世紀の『指輪物語』と言われる大ベストセラー小説で、今も完結せず続編が待たれている『螺旋』にしても、原稿が二年ごとに郵送されてきて、コーアン出版は指定口座に払い込みをするだけです。社長のコーアンにしても、トマスの本名はもちろん住んでいる場所すら知らされず、まさに“謎”の作家のわけです。で、次の原稿が来ないままに、続編を待ち望む読者の声は大きくなるばかり。そこで、無責任にもコーアンは完結篇の出版を公言してしまいます。
とはいえ、その連絡を著者にとることすらできません。だから、自分のところの社員に作家を探し出し、原稿を貰って来いと命じるわけです。ところがこれが難しい。で、努力の甲斐あって、トマスが居そうなところを何とか見つけはするのですが、どの人間も謎の作家らしい雰囲気を持っていて、絞込みができません。これは、という手がかりで作家を見つけたと思ったら・・・
この小説に6本指の人間が数多く登場します。三つ指であれば横溝正史の作品に出てきたはずですが、6本指の人間といえば、わが国では豊臣秀吉がそうであった、という説がありますが、あまり小説に出てきません。ところが海外では出てくるんです、6本指の人間、しかも作家です。そう、ディーン・クーンツ『オッド・トーマスの霊感』で重要な役割を果たすリトル・オジーことP・オズワルド・ブーンです。かれは体重400ポンドで、6本の指をもつミステリ作家です。
そういえば、青柳いづみこの傑作に『六本指のゴルトベルク』というピアニスト事情を語ったエッセイ集があります。そのうたい文句に「『羊たちの沈黙』のレクター博士には指が六本あった!」とあります。そうなんだ・・・でも私、『ハンニバル』読んでても『羊たちの沈黙』読んでないし、だから記憶の網にかからないのかな、なんて思ったりして。要するに、世界的に見れば、六本指はそんなに珍しくない・・・
最初はもっと時間がかかるかと思っていた本ですが、読み出せばイッキに近い感じで読み終えることができます。「読み始めるとページを繰る手が止まらなくなりました(600ページを超える作品であることをまったく感じさせない!)」は決して大げさではありません。ミステリ的なテイストもあるし、謎解きは途中で見えてしまうにしても、肯けます。藤浪のカバー画とともにお楽しみください。
紙の本
長編デビュー作
2021/01/27 04:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
スペイン作家の長編デビュー作。回りくどい特有の翻訳ではなく読みやすかったが、要所要所で不要かなと思う章もあった。作家探しのミステリーというより日常的な人間模様を描いた切ない愛の御話。核の部分はまさに“二転三転”最後まで楽しく踊らされた
紙の本
一気に読んだ本
2014/08/02 23:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アトレーユ - この投稿者のレビュー一覧を見る
話の流れは時間軸に沿って展開される、主に三人のそれぞれの人生。
3つの人生が螺旋のごとく、交わらずに中心を向いて動いていく。
「どこかで交差するのか」と期待もしたが、無理にくっつけた感のあるラストは、しっくりせず作りすぎ。
ミステリー要素もあるが、もう少し人生を深く描き進んでくれたら…と思ってしまった。
それでも一気に読みたくなるドライブ感は良い。