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紙の本
「町歩き本」としての面白さも持った物語
2010/01/27 22:57
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:木の葉燃朗 - この投稿者のレビュー一覧を見る
雑誌『メフィスト』に、「尋ネ人探偵」のタイトルで連載されていたマンガの単行本。主人公は、古地図好きの女子高校生、鹿子木千束。彼女の祖父は、古美術商であり、尋ね人探偵もしている。その仕事にまきこまれたり、祖父の目論見にはまったりして、千束は東京を、そして京都を歩く。
とはいえシリアスなミステリーではなく、むしろ明朗快活な冒険劇という印象。千束の物事への熱中ぶり、ある種のこどもっぽさも、物語の明るさに影響を与えている。他の登場人物もそれぞれ個性があって、その組み合わせ(噛み合い方)の上手さが物語の面白さになる。
そうしたフィクションとしての面白さとともに、実在する場所、実在する(した)人物をテーマにしていることで、町歩きの本としての面も持っている。おそらく、著者は登場した場所を実際に歩いているのだろう。町の描き方からそのことを感じる。ただ写真を資料にしただけでなく、その場を訪ねた時の感触のようなものが絵に表れている。これは風景を正確に再現することとは必ずしもイコールではない。その場所に行ったことのある人には実感として分かる、そして行ったことのない人には魅力と感じる、町の持つ雰囲気が絵の中にある。
そういう描き方をしているので、簡単に量産できない作品だと思うが、シリーズとして続いてくれれば嬉しい。