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虐殺器官  ハヤカワ文庫 JA

虐殺器官(早川書房) 伊藤 計劃著
税込価格: ¥756 (本体 : ¥720)
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出版 : 早川書房
サイズ : 16cm / 414p
ISBN : 978-4-15-030984-8
発行年月 : 2010.2
利用対象 : 一般

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コメント・書評

一つ段階をすっ飛ばした、現代の戦争の行く末。
muneyuki
2012/01/27 04:30:53
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★★★★★

戦争における、合理性、そして誰かの都合が優先される、という状況が進行して行ったらこうなっちゃう、という世界が『虐殺器官』の世界。「戦争」が描かれるのですが、それはあくまで主人公、クラヴィス・シェパード大尉の一人称で描かれます。クラヴィスは何度も戦闘を経験し、人の死に触れ、己の死を身近に感じながらも、「死」に慣れない。「死」に引っ張られ続けます。それはテクノロジーの発達が、「死」と「思い」を分けてしまった世界だから。「オルタナ」というコンタクトレンズ状のコンピュータを角膜に貼り付けて、麻酔技術の一種である「痛覚マスキング」によって痛覚を認識しつつも「痛い」と思わない状態を創り上げ、薬品と洗脳を使…  全文読む 評価する

いま、ここにある地獄
yjisan
2011/02/20 22:46:17
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★★★★★

 イスラム原理主義テロリストの手作り核爆弾によってサラエボがクレーターと化した近未来。先進諸国ではテロ防止を理由に、人や物の流れをITによって徹底的に管理・追跡する監視体制が構築されていた。今やピザを注文するにも、指紋による個人認証が必要なのだ。その甲斐あってか、先進国ではテロが一掃されたが、その一方で途上国においては、内戦や民族浄化による大規模虐殺が激増していた。 覇権国家たるアメリカ合衆国は、世界で頻発する大量殺戮に対処すべく、虐殺を指揮している武装勢力の指導者たちを暗殺するための部隊を設立した。それが情報軍特殊検索群i分遣隊だ。彼等は特殊なテクノロジーとカウンセリングのおかげで、感情に左…  全文読む 評価する

背景や細部がよく書き込まれている
萬寿生
2011/01/03 20:36:03
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★★★★★

 背景や細部がよく書き込まれている。言語学、大脳生理学、文学に関する部分、社会問題や心理問題、および地理や町並みの風景などである。そのようなところまで注意が行き届き丁寧に描かれているくらいであるから、話のすじだてや展開も十分練られて構成されている。日本のSF小説の賞を総嘗めにしたこともうなずける。 内容や粗筋の紹介は避けるが、主人公は暗殺を専門にする米国特殊部隊の大尉である。日本人は一人も登場しない。戦闘や活劇の場面が多く、ハードかつワイルドである。  全文読む 評価する

読了直後、言葉が出ないほどの衝動を受けた。作者の夭折が惜しまれる傑作。
yukkiebeer
2010/08/08 18:41:58
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★★★★★

 米軍大尉クラヴィス・シェパードはある男の暗殺を命じられていた。インドやアフリカといった内戦地域で大規模虐殺の種子を蒔いている米国人ジョン・ポールだ。当該地域の人々に憎悪と殺戮の念を植えつける上でポールが利用するのは、人間が持つ“虐殺器官”であった…。  緻密に構築した近未来の世界を舞台に著者が描くのは、人間社会を大きく突き動かしていく力を持った言語の姿です。 作者はサピア=ウォーフの法則や、チョムスキーの生成変形文法を模したかのような「脳に刻まれた言語フォーマットのなかに隠された混沌を示す文法」などの言語学風言辞を駆使しながら、人類を戦争へと駆り立てる駆動力を言語の中に見出そうとしています。…  全文読む 評価する

平和の礎となるものを直視せよ
くまくま
2010/03/22 17:57:51
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★★★★★

 9・11後の先進国では、テロへの抑止・防止のために、全ての人・物にトレーサビリティが要求されるようになった。カウンターテロのための暗殺という禁じ手は秘密裏に解禁され、世界の平和を守るという名目で行使される。アメリカ情報軍大尉クラヴィス・シェパードは、途上国で自国民を虐殺する大臣の暗殺命令を受け、現地へ向かう。だが、同時暗殺対象であるアメリカ人ジョン・ポールは既に去った後だった。 訪れる国々で必ず虐殺が起きるという経歴を持つジョン・ポール。幾度もの暗殺命令にも拘らず、彼がターゲットスコープに入ることはない。かすかな痕跡を辿り、クラヴィスはプラハを訪れる。そこから明らかにされる、人類に組み込まれ…  全文読む 評価する

終わりなき戦争と平和
消息子
2010/03/11 14:22:42
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★★★★★

 エクリチュールとは死者の国である。とラカンが言ったかどうか知らないが、似たようなことは言っているはずだ。 だから本書も死者のものであり、実際、作者はもう鬼籍に入っている。この小説を書いているときにどれほど自己の死を差し迫ったものと感じていたのかは知らないが、冒頭からおびただしく死のイメージに満ちている。当然、これは戦争の物語なのではあるが。 9.11から少し未来の世界。先進国はテロ対策に管理を強めている。他方、発展途上国では政情不安が続き、世界のあちこちで虐殺行為が頻発している。そしてアメリカ国防省は他国での要人暗殺を不可避の紛争解決手段としている。「ぼく」、クラヴィス・シェパードはアメリカ…  全文読む 評価する

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