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- カテゴリ:一般
- 発売日:2010/02/10
- 出版社: 文藝春秋
- サイズ:19cm/251p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-16-372050-0
紙の本
ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘
著者 水木 悦子 (著),赤塚 りえ子 (著),手塚 るみ子 (著)
おやじの秘密、しゃべっちゃおうか−。日本の漫画界を代表する、水木しげる、赤塚不二夫、手塚治虫の娘たちが、三者三様の家族、そして3人が共有する、父親への深い想いを語る。「娘...
ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘
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商品説明
おやじの秘密、しゃべっちゃおうか−。日本の漫画界を代表する、水木しげる、赤塚不二夫、手塚治虫の娘たちが、三者三様の家族、そして3人が共有する、父親への深い想いを語る。「娘が選ぶ父の傑作漫画」3編も収録。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
水木 悦子
- 略歴
- 〈水木悦子〉水木しげるの次女。水木プロダクション勤務。
〈赤塚りえ子〉赤塚不二夫の長女。現代美術家。株式会社フジオ・プロダクション代表取締役社長。
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紙の本
父は、父、私は私、でも…。漫画界巨匠の三人娘たちによる座談会。
2010/03/16 15:50
21人中、21人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:書痴 - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず、朝日新聞の記者が思いついたという、本書のタイトルが秀逸です。タイトルから、それぞれ、誰の娘だかすぐ想像でき、それだけでも、三人の父親の凄さを物語っていると思います。
本書は、「ゲゲゲの娘」こと、水木しげるの次女悦子さん、「レレレの娘」こと、赤塚不二夫の長女りえ子さん、そして「らららの娘」こと、手塚治虫さんの長女るみ子さんたち三人による、各自の父親に対する思い出話、対談集の内容になっています。
有名漫画家のプライベートな話や、仕事にまつわる数々のエピソードが満載、これだけでも興味がわかないはずがありません。一般家庭とは異なった、ある意味特殊な家庭環境で育ったお三方が、幼少期から青春時代を通し、父親とどんな係わり合いを持ち、影響を受けてきたか、そして現在、父親の創造した作品も含め、どのような姿勢で父親と向き合っているかを語ります。
水木悦子さんのお話で、印象に残ったのは、子供時代、姉と父親が漫画のことで喧嘩になり、「お父ちゃんの漫画には、未来がない。手塚漫画には未来がある」姉の手厳しい発言に対し、水木しげるは「これが現実なんだ!おれは現実を描いているんだ!」と返答したそうです。おならや、変な人(容貌も含め)が好き、勘違いのため来る原稿依頼は全て引き受けていたというような、ほのぼのした話が良かったです。
伝説的なエピソードで有名な赤塚不二夫ですが、父親の愛人と一緒にセブ島旅行させられた高校生のりえ子さんの話は、まるで漫画みたいで強烈でした。ディズニーランドの年間パスポートを所持し、エレクトリックパレードが大好きな、意外な一面も知りました。
「とりあえず好きなように、子供が納得するまでやらせる。もし迷っていたら拾ってあげる。それが親の役目だ」という、手塚治虫の教育観は、手塚作品の底流と共通するものがあって興味深く思いました。また、るみ子さんが、赤塚不二夫にホテルに誘われたという驚きの証言もあります。
父親の女性観、好きな音楽、父親に対する愛情、反発、そして父親の作品を後世に伝えるための仕事と、まだまだ話題は尽きません。育った環境は個性的で各人バラバラですが、父親の偉大な遺産を受け継ぐお三方ですとって、共通するのは、父親の仕事(作品)に対する誰にも負けない愛情と誇りが感じられました。
あとがきで、特に心に残った言葉がありました。ご両親が相次いで亡くなってから半ば呆然自失の赤塚えり子さんに、「何度でもお父様のことは話した方がいいよ。気持ちの整理になるから」と手塚るみ子さんが話したそうです。このことは、まさに、本書の背景に流れるテーマだと思います。
文章の下に脚注があり、お話に出てきたキャラクターもきちんと紹介されているので、水木・赤塚・手塚作品にあまり馴染みのない読者にも、読みやすいかと思います。お三方の写真も掲載されており、本文中に、誰がどのキャラクターに似ているかという話も出てくるので、見比べてみてはいかがでしょうか?
本書で、お三方が指摘されているように、メジャーな作品以外にも、全ての作品に思い入れがあり、本書を契機に、もっとたくさんの作品を読んでみたくなりました。
紙の本
父親の仕事の中に自分を探す娘たち
2010/09/25 09:50
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
ゲゲゲの娘、レレレの娘、ラララの娘 水木悦子 赤塚りえ子 手塚るみ子 文藝春秋
有名漫画家の娘さんたちによる父親を語る対談集です。なかなか楽しい。タイトルの語呂がいい。
水木しげるさんは現在88歳でご存命のようです。対して、赤塚不二夫氏は72歳、手塚治虫氏は60歳という長命とはいえない年齢で亡くなっています。亡くなっているから言えるということもあります。
娘さんたちの年齢がはっきりとはわかりませんが(顔写真はとても若く見えます。)、40代なかばのようです。
子ども時代は、毎日自宅で、マンガの海の中にいるようだった。うらやましい。されど、有名人のこどもであるがゆえに学校では嫌な思いもした。また、父親はマンガの天才だからといって、聖人ではない。なかには眉をひそめる父親の愚行もあります。父親の金銭感覚が尋常ではない面もあります。だからヒット作を生むことができるということもあります。
父親が亡くなったあと、娘たちは、父親の作品をむさぼり読み、亡き父親が残したメッセージを読み取ろうとします。また、作品中に自分をモデルにしたキャラクターを探そうともします。父と娘の関係とか愛情にまで言及(げんきゅう)が至ります。
生きているときのあるいは、娘が若かった頃の父親は、娘にとって目の上のたんこぶです。異性の親子関係が語られていきます。読んでいて父親の支配下にある娘さんたちの生活は窮屈でした。ただ、たまたま父親が希少な職業に就いているだけで、親子のやりとりは、多くのサラリーマン家庭と変わりません。
有名な漫画家さんの家族は派手な生活を送っているものとの誤解がありました。中小企業、家内工業のようなもので、地味で、かつ身近に倒産の危機があるものでした。また、父親3人は仕事に対してとても真剣で、天才といえども朝から晩まで、あるいは夜も寝ずに徹夜で何日もマンガの構想を練り、描(か)いていたことがわかります。
紙の本
父親を反芻し続ける娘たち
2010/07/13 22:16
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
水木しげる、赤塚不二夫、手塚治虫の娘たちが朝日新聞紙上でおこなった鼎談をもとにした一冊です。
同世代の娘三人が型破りな父親たちの素顔を縦横無尽に語りつくすといった趣向です。
まずは書名が秀逸。誰もが思いつくわけではないけれど、耳にするとこれ以上の題名は思いつかないと誰もが納得できるタイトルです。鼎談を企画した朝日新聞の記者氏が寝ている最中に思いついたというエピソードもふるっています。
岩見隆夫著『総理の娘 ~知られざる権力者の素顔』は歴代宰相11人の娘たちが父親の、公人ではなくまさに父親という素顔について語るという書でした。総理大臣はメディアの批判にさらされることの多い、国民一般からは悪役的存在として見られることも多い存在ですが、娘たちは父親の知られざる善き点をインタビューを通して知らせようとしています。
一方、この『ゲゲゲの娘…』は、日本のマンガ界を牽引してきた、その世界では雲の上の人といえる父親たちの、だらしなくも人間くさい側面にスポットを当てているのが特徴といえるでしょう。
そしてまた娘たちは偉大な父親を持ってしまったがゆえに、父親と比較される宿命を負って生き続けることを余儀なくされます。周囲の人々が常に彼女たちを、誰それの娘、という好奇と期待と嫉妬の目で見つめ続ける圧力に苦しむことも一度ならずあるのです。
そんな状況下で手塚治虫の娘るみ子の次の言葉が印象に残ります。
「どこの家庭でも、同じようなことはあると思うんですよね。父親が先に死んだとき、子供は父親が遺したものを持って自分の道を歩いていかなくちゃいけない。」(30頁)
いや、決して「同じ」と呼べるような生易しいものではないものを引き継いだ娘たちの心を思いながら、大変興味深く読みました。
紙の本
三者三様。
2020/08/28 20:51
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
当然ながら手塚家、赤塚家、水木家、それぞれが違う。第一線の漫画家として活躍していたのは同じでも、がむしゃらに描き続ける手塚、破滅型の赤塚、マイペースの水木。身近で過す娘たちの父親像もそれぞれ違う。
三人とも父が好きなのは同じ。
紙の本
どんな有名人でも、娘にとってはただの「父」。
2010/11/11 16:12
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
有名漫画家三人のお嬢さんが集まっての鼎談。2008年7月朝日新聞掲載の座談会を元にしたものだそうである。
何を忙しくしているのかよくわからなかった、かなり変わった行動もあった父親像がくったくなく話されている。しかし、父がどんなに有名人でもすごくても、娘にとってはやはりただの「父」なのである。逆に言えば、どんなに凡人でもすごくなくても、子どもにとっては「ほかの人とは違う」ということでもある。それがよくわかる対談、というところであろう。内容的には「あるかも」とそんなに驚くこともなかったというのが正直なところである。
挿入されている、娘が選んだ「傑作」三篇はなかなか娘でしか選べない秀逸なもの。著名な代表作品とは一味違う味わいを発見した気がする。
他の書評でもタイトルは高く評価されているが、やはり本書は「タイトル勝利」の一冊であるようだ。先日「タイトルに偽りあり!」というタイトルの書評があったが、タイトルに魅かれて手にとってはみたものの・・・ということはしばしば起こる。ちょっと読んで見ることが出来る、「街中の本屋」の価値はやっぱり大きい、と妙なところに思いがいってしまった。(因みに私は、実際の経験がないもののネット通販は好まないという人種である。)
そして一つ、本書の「対談」で気になったこと。本文中の対談の中でインタビュアーのような形で入り込んでいる発言がある。発言者の名称に当たる冒頭部分は棒線表示。かなり詳しいことを発言して話をリードしていると思うので、ちゃんと早い時点で名前を出す価値はあると思うのだが。おそらく「企画・構成」の方ではと思うが、やはり無記名の発言者は不気味なものです。