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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2010.1
  • 出版社: 新潮社
  • レーベル: 新潮新書
  • サイズ:18cm/189p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-10-610345-2

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著者 北村 薫 (著)

高校の国語教師の経験もあり、人気作家にしてアンソロジーの名手である著者が教えてくれるのは、ベストセラーに振り回されるのではなく、ゆったりとした気持ちで好みの作品を見つけ、...

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自分だけの一冊 北村薫のアンソロジー教室 (新潮新書)

税込 748 6pt

自分だけの一冊―北村薫のアンソロジー教室―(新潮新書)

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高校の国語教師の経験もあり、人気作家にしてアンソロジーの名手である著者が教えてくれるのは、ベストセラーに振り回されるのではなく、ゆったりとした気持ちで好みの作品を見つけ、自分だけの本を編む愉しみ。好評を博した特別講義を完全再録。【「BOOK」データベースの商品解説】

ベストセラーに振り回されるのではなく、ゆったりとした気持ちで好みの作品を見つけ自分だけの本を編む愉しみを語る。人気作家にしてアンソロジーの名手でもある著者の特別講義を完全再録。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

北村 薫

略歴
〈北村薫〉1949年埼玉県生まれ。早稲田大学ではミステリクラブに所属。89年「覆面作家」として「空飛ぶ馬」でデビュー。「夜の蟬」で日本推理作家協会賞、「鷺と雪」で直木賞受賞。

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みんなのレビュー19件

みんなの評価3.9

評価内訳

紙の本

もしかすると、この本と冲方丁の『天地明察』の二冊があれば、他の本を読む必要がないかな、っていいたい、そういう作品です。色々教わりました、今までの読書は何だったんだろうって反省もしました。だから、この二冊に、みーちゃん大賞、差し上げます

2010/02/19 21:06

19人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

私の家には案外、アンソロジーというものがありません。ミステリの短篇集や年鑑類はあっても、それはあくまで傑作集であってアンソロジーではありません。無論、選ぶという行為のなかに著者なり編集者の選択眼や基準があることは確かですが、それは読者が簡単に想像がつくもの、といえるでしょう。

私が傑作集の類を読むのは、あくまでもある時代の作品で読み落としがあるのが厭だからで、そこで気に入ったものがあれば、その小説を含むオリジナル短篇集を読むことにしています。つまり、あくまで原典にたどり着くための手段のわけです。だから小説そのものを独立して読みます。前後のつながりとか、そういった視点は全く持ちません。

で、この本を手にしたとき、私の頭にあったのも「これを読めば、今まで知らなかった傑作・名作に出遭えるかもしれない」という考えだったわけです。まして、著者の北村薫はデビュー作を含め、アンソロジーや詩歌関係のものを除けば殆ど全作品を読んでいるはずの大好きな作家で、特に『北村薫の創作表現講義 あなたを読む、わたしを書く』(新潮社2008)を読んで、あらためて教育者としても優れた人だったんだと感心したばかりでしたから、その北村お薦めの本が出ている、とばかり思っていたわけです。

でも、違いました。嬉しい誤算だったと言っても過言ではありません。目からウロコがボロボロで、ああ、早稲田での講義もだけど朝日カルチャーでの話も聞いておきたかった、と思いました。勿論、大学生の長女と浪人中の次女に早速読ませることにしたのはいうまでもありません。

まずあらためて驚かされるのは北村の記憶力です。そして、その元となる資料をじつによく保存しているということ、そして幼い時から創作活動の準備みたいなことをしていたんだなあ、ということです。例えば、小学生時代のノートが登場します。え、です。私の手元には大学時代のノートはおろか教科書も、卒論のコピーも残っていないのに・・・

しかもです、そのノートには自分が気に入った『スペイン民話集』の一篇が完全に写され、しかもスペインの色塗りの地図まで描かれているわけです。私の手元には高校時代に描いた漫画の原稿だってないのにですよ。しかもです、北村の手元には昔、父親から贈られた当の本もきちんと保存されているわけです。

そういえば、私の中学時代の同級生で学年で一番成績のよかった、後に女医となった友人に久し振りにあって話したとき、彼女は中学時代の日記を持ち出し、あの時私はこう思っていた、誰々さんはそのときこんなことをして私は笑った、と事細かに当時を再現してくれました。いやはや、優秀な人というのは似ているんだ、私なんかとはエライ違いだ、なんてつくづく思いました。

でです、北村は物として過去を保存しているわけではなさそうなんです。なんでしょう、この記憶力。不思議なことに、この本にはこの講演が何時のものであったのかという記述がないのですが、でもこの一、二年のことでしょうから北村は60歳に手が届こうとしているわけです。悪いですけれど、老人ですよ。でも、その人が実によく自分が過去に読んだ作品のことを覚えている。

勿論、講義のために調べなおした、ということもあるでしょう。編集者の力を借りるということもあるでしょう(編集者の能力については、この本だけではなく『北村薫の創作表現講義』にも詳しく描かれています)、ノートもあるかもしれません。でも、少なくとも北村自身の記憶力なしには、この講義はありえない、そういうものです。ちなみに、その記憶力にここまで圧倒されたのは、この本でも言及がある都筑道夫の『推理作家のできるまで』を読んで以来のことです。

それらの全てを駆使して自分のお気に入りの、或いは与えられたテーマにあう作品を選び出す。しかもです、単に探し出して終わりではない。さらに篩にかけて、この作品の結末の文章が、この作品に繋がるとか、そういう赤い糸で結び付け、並べなおし、メッセージを込めて編む。それがアンソロジー。

だから、アンソロジーでは面白そうな作品を適当に選んで読む、なんていうのは、本当はアンソロジーの半分しか味わっていないことになります。編者の意図を読み、仕掛けを解き、赤い糸を見つけて本当にそれを味わい尽くしたことになる。いやはや、私は小説の書き手のことしか頭になくて、編者の残りの仕事はコメントを書くくらいだとしか思っていなかった・・・

さらに言えば、こんなことをしているのは北村だけではないんです。彼とコンビで何冊も傑作集を編んでいる宮部みゆきも、そうらしい。北村が持っていない本を宮部が出したり、或いは編集者がさり気無く示したり。作家の世界、出版界の世界って何なんだ? って思います。アンソロジーを編む、っていうのはそれだけで立派な創作行為なんですね、それを知っただけでも、私の世界観が変わってしまいました。

私は今年に入って、自分の人生観を変えるであろう本に二冊、出遭いました。いずれ書評を書くことになりますが、一冊が冲方 丁の『天地明察』(角川書店2009)、そしてもう一冊がこの『自分だけの一冊』、上村愛子のお母さまの言ではありませんが、私はこの二冊を読むことが出来ただけでも幸せです。ありがとう、北村薫・・・

帯の言葉は
        *
直木賞作家の授業を公開
  読むだけなんて
   もったいない
  編む愉しさもある
        *
カバー折り返しの言葉は
        *
「先生、単に読むだけではない本の愉しみ方はありま
せんか?」「実は、とっておきの方法があります。それ
は……」――高校の国語教師の経験もあり、人気作家
にしてアンソロジーの名手である著者が教えてくれる
のは、ベストセラーに振り回されるのではなく、ゆっ
たりとした気持ちで好みの作品を見つけ、自分だけの
本を編む愉しみ。好評を博した特別講義を完全再録。
あなたも「北村教室」の生徒になってみませんか。
        *
以下、各章を簡単に解説しようとしましたが長いので、タイトルだけ。

第一回 アンソロジーは選者そのもの

第二回 アンソロジーは別の本への呼び水

第三回 アンソロジーは《今という時》の記念

     終わりに

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紙の本

読むのみならず、編む愉しさを伝授する特別講義。そこで編んでみました『マイ・アンソロジー』。選ぶおもしろさを実感!

2010/09/25 09:42

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:月乃春水 - この投稿者のレビュー一覧を見る

直木賞受賞の人気作家にしてアンソロジーの名手、高校の国語教師の経験もある北村薫さんが2009年に新宿の朝日カルチャーセンターで行った『アンソロジーの楽しみ』講座を完全再録したものです。

アンソロジーとは、ある意図のもとに集められた作品集。
この講座の中でも、北村さんは「アンソロジーはも選者の個性を読むもの」(P164)、≪なるほど、こんに作品があるのか≫あるいは、≪こんな配列があるのか≫と膝を打つのが、アンソロジーの喜び(P170)と語っています。

3回の講座の内容は
第一回 アンソロジーは選者そのもの(2009年1月20日)
第二回 アンソロジーは別の本への呼び水(2009年2月3日)
第三回 アンソロジーは≪今という時≫の記念(2009年2月17日)

高校三年生の12月からつけた日記や、読んだ短編の記録、評価、分析までしたノート、そして小学生の時にノートに作ったという、アンソロジー『スペイン民話集』にはびっくりします。実物の写真も掲載されているのがうれしい。
第一回では、参加者にアンソロジーを作っていただきたい、次回までに≪わたし、これが好きだな≫というものを選んで来て、教えて下さい、と宿題が出ました。

北村さんが関係したアンソロジーについての具体的な話もあります。
編集者も会場にいらしていて、その時のエピソードや、≪わたしの好きなアンソロジー≫を発表しています。

この場にいた人は、おもしろすぎて、ひとつひとつのことばも聞き逃さないようにしていたのではいでしょうか。ライブの醍醐味。経験した人はうらやましい。
けれど、こうして本になり、活字で読めるのはたいへんありがたいことです。聞き逃しもなく、じっくり繰り返し読むことができます。

わたしたち読者は、北村さんが語るご自身のエピソードと、会場でその話を聞いている人とのやりとりを、二重で、その場に居合わせたかのように感じることができます。
北村さんの語りのうまさ、多岐にわたる話題のつなげ方のうまさはほんとうに素晴らしい。
いつか実際に拝聴してみたいものです。

最後には、参加者の皆さんが編んだ『マイ・アンソロジー』が発表されています。解説や、テーマ、題がつけられたものも。


この本を読み終えたとき、わたし自身がアンソロジーを作るのは、むずかしいな…と思いました。すぐにはまったく浮かんでこなかったのです。
読んできた本はそれほど多いわけじゃないし…と、気になりつつもしばらくそのままにしていましたが、ふと、とても印象が強かった短編を思い出しました。
そうだ、あれが好きだった。そういえば、これも好きだった。読んだ直後の感じ、今でも覚えている…と、記憶の底から浮かび上がってきたのです。
それらをどのように配列しようかと考えるのも、これまた本当にたのしい時間でした。

集めてみたものは、ブログで紹介してみました。こちらです。
全部で7編、うち詩と漫画がそれぞれ2編あります。
共通点、テーマをあげるとしたら「忘れ得ぬ出来事」となるでしょうか。
ひとつ思いつくと、その作品が呼び水になる、というのが実感できました。

北村さんはこのように結んでいます。
「≪今という時≫の記念として作り、自分のために残してもいい。気のあった友達と交換してもいい。そういう試みを何年かに一回やったとしたらどうか。(略)
二十年、三十年経った時に、そのページをめくると、≪時≫が蘇って来るのではないでしょうか。」(「終わりに」P189)

選ぶ、というのは、どういう自分であるか─という表現。
(これはアンソロジーの作品選びに限りませんよね)

ちょっと試しに、選んで、表現してみませんか?


本についてのよもやま話。 <ブログ> 本のことあれこれ

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紙の本

アンソロジーを読む心躍りは、それからそれへと本が本を呼ぶ楽しさにあるのではないかと、改めて感じました。本書は、三回にわたる講演の記録です。

2010/01/20 16:47

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 小学生の時に作ったアンソロジー『スペイン民話集』、東京創元社の編集者・戸川安宣と二人三脚のようにして作ったアンソロジー『日本探偵小説全集』、新潮社から出版したアンソロジー『謎のギャラリー』シリーズと『北村薫のミステリー館』など、著者がこれまでに手掛けたアンソロジーを引き合いに出しながら、アンソロジーを編む魅力と喜びを語っていく一冊。

 『アンソロジーの楽しみ』と題して、2009年の1月20日、2月3日、2月17日の三回にわたって、著者が新宿の朝日カルチャーセンターで行(おこな)った講演の記録をまとめた本です。

 アンソロジーに収録する作品は、<名作ばかり並べてもいけないんです。超傑作ばかりだと、読者が疲れてしまう。駄作ではないんだけれど、「これはいいな」程度のものが入っていないと傑作がきらめかない。>p.48 といった指摘は、さすが、これまで何度となく“マイ・アンソロジー”を作り、本にしてきた著者ならでは。アンソロジーを読むのが大好きな私。「なるほど。それは言えてるな」と、頷かされました。

 で、私にとって“アンソロジーを読む一番の楽しみ、あるいは収穫”いうのは、もちろん、面白くて魅力的な短篇と出会うのがメインなんですけど、それとおんなじくらい、そこで出会った作品や作家から次の作品あるいは本へと繋がっていく、ということが大きい。このことを、本書を読んで改めて感じましたね。著者が語っている、<読書は、こんな風に次から次へと繋がって行く。これが、本に接する喜びですね。>p.89 という、その言葉のとおりです。

 それと、著者がアンソロジーに採る収録作品を頭の中であれこれ考え、選び、並べていく作業の楽しさは、本書で紹介されている上田敏(著名な訳詩集『海潮音』で知られる文学者)の講義の魅力に通じているように思いましたねぇ。上田敏の京都大学での講義を聴いた矢野峰人(ほうじん)が語った話として本書で紹介されている次の件りに、私は、北村薫や宮部みゆき、日下三蔵をはじめとするアンソロジストの達人たちの芸と一脈、相通ずるものを感じたのです。

 <それほど(上田)先生の講義は面白かった。本筋というより、横にそれて何が飛び出すか分からない。それが先生をおいては他で聴くことの出来ない、実に趣味、学識の豊富な人の口からでないと聴くことの出来ない、まことに文字通りユニークなものであった。>p.156

 ところで、本書で著者が挙げている名アンソロジーの中、小野寺健 編訳の『20世紀イギリス短篇選』(岩波文庫)の上下巻は、優れて読みごたえのあるアンソロジーです。選択された英国の短篇のいずれも味わいがあって面白く、さらに訳文が素晴らしい。忘れがたいアンソロジーとして、これは、私からも強力プッシュしたいな。

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紙の本

『北村薫の創作表現講義』の姉妹編的一冊

2010/04/04 06:53

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る


 北村薫が新宿の朝日カルチャーセンターで2009年の1~2月にかけ、3回にわたっておこなったアンソロジーに関する特別講義をまとめたものです。

 北村薫には『北村薫の創作表現講義―あなたを読む、わたしを書く (新潮選書)』という講演記録が以前ありました。「様々な解釈は作品の中に隠れてい」て、「だからこそ、読むということが、ひとつの創作になるわけ」であり、「読むというのは、自分がどういうところに立っているか----自分の位置を示す行為に外な」らないという、いわば読書を通じて自分を見出す自由を教えてくれる書です。

 今回の書『自分だけの一冊』も『創作表現講義』と通奏低音は似通っているように思われます。
 アンソロジーのためにどんな一編一編を選ぶか、それは選者がどんな自分であるかを見出す作業であると著者は言います。
 「誰が水にもぐるかで、採って来る魚は変わる。そこが面白い。(中略)アンソロジーは選者の個性を読むものです。」(164頁)

 そして同時に、アンソロジーをきっかけとして収録作の作者の別の本へと、もしくは類似のジャンルやテーマの書へと、読者がいざなわれることがあります。「アンソロジーは別の本への呼び水」となり、読者の読書体験にさらなる幅と奥行きを与えてくれるのです。

 一方で、アンソロジーはやはり編者と読者の間で好みが異なる場合もあるやに思われます。様々な(未読の)書き手の作品が編まれたアンソロジーに手を伸ばすことに私が臆しているのもそのことが一因です。
 編者と読者の好みが一致したときには幸福が生まれるでしょうが、そうではない不幸な場合についての言及が今回の北村講義にはなかったように感じ、少々残念な思いが残りました。

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2010/01/21 15:21

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2010/03/05 15:28

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2010/03/19 09:20

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2010/12/31 16:36

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2011/06/24 10:13

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2012/08/24 20:42

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2013/02/10 14:48

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