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紙の本
V.T.R. (講談社ノベルス)
著者 辻村 深月 (著)
怠惰な生活を送るティーのもとに、三年前に別れた恋人、極上の美女アールからかかってきた一本の電話。「アタシの酷い噂話や嘘をたくさん聞くことになると思う。ティーにだけは知って...
V.T.R. (講談社ノベルス)
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商品説明
怠惰な生活を送るティーのもとに、三年前に別れた恋人、極上の美女アールからかかってきた一本の電話。「アタシの酷い噂話や嘘をたくさん聞くことになると思う。ティーにだけは知っておいて欲しいと思って。アタシは変わっていない」街に出たティーが友人たちから聞くアールの姿は、まるで別人のように痛々しく、荒んだものだった—。彼女が自らを貶め、危険を恐れずに求めたものとは…。【「BOOK」データベースの商品解説】
元恋人アールからの電話で街に出たティー。友だちから聞くアールの姿は痛々しく荒んだものだった。彼女が自ら貶め、危険を恐れずに求めたものとは。「スロウハイツの神様」のチヨダ・コーキのデビュー作。両面ジャケット仕様。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
辻村 深月
- 略歴
- 〈辻村深月〉1980年生まれ。千葉大学教育学部卒業。「冷たい校舎の時は止まる」で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。
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紙の本
今までに読んだことのない世界観の本
2018/06/30 23:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:avocado - この投稿者のレビュー一覧を見る
登場人物は、ティー、アールなど英語のアルファベットの読み。
そして舞台設定が本当に不思議な世界で、登場人物の名前とも相まって、独特の世界観。
最後の最後でのどんでん返しに思わずため息が出ました。
読んでよかった!
紙の本
いつもとは作風がガラリと変わる
2023/10/03 21:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kochimi - この投稿者のレビュー一覧を見る
チヨダコーキのデビュー作!
いつもの辻村先生とは
作風がガラリと変わりますが
ノリノリで書いてる雰囲気が伝わります。
主人公ティーの一人称で進むのですが、
羽多野渉氏の声で聞こえてくるのは
私だけ?(ですよねww)
紙の本
新たな世界観
2020/06/07 23:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
スクラップになったロボットたちが打ち捨てられた、「エデン」が哀愁たっぷりです。死んだように生きていたTが、生まれ変わっていく姿に重なります。
紙の本
そして物語は「スロウハイツ」を髣髴させる
2010/05/13 21:20
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品は辻村作品の一つ『スロウハイツの神様』の主要人物にして人気作家コーキの小説として書かれている。
『スロウハイツの神様』は私にとって痛々しく、切なく、けれど心が締め付けれれるくらい愛に溢れた作品だった。
「スロウハイツ」荘で共同生活をする若者たちと人気脚本家チヨダコーキ。才能という存在を彼らは愛しつつも妬み、尊敬しつつも嫉妬し、応援しつつも貶める。どうしようもない感情の渦を飲み込んで、彼らは真実と答えを見つけていく・・・。そういう心をぎゅっとつかまれるようなたまらない作品だったのだ。
だからそれだけに、この作品は少しだけ不十分(辻村さん的にSF)だ。
圧倒的な人気を誇るカリスマ的作家チヨダコーキが執筆したという設定なのだが、それだけの質と内容がない。
そしてなんとなくしっくりこない一人称が気に障る。
それでもこの作品を読み終えてよかった、と思えたのだから不思議だ。
主人公ティーは殺人を国に許可された1000人の殺人職「マーダー」の一人。
家族代々マーダーだったためそのまま受け継ぐことの出来ただけ、と自負するティーは仕事(殺人)もせずに女の元を渡り歩くヒモ生活を続けていたが、そんな彼の元に思わぬ電話が掛かってくる。
電話の主はアール。ティーの元彼女で誰からも好かれる絶世の美女、しかも同じくマーダーで腕も一流という、絵に描いたような「イイ女」だった。3年ぶり、つまり別れてから消息不明になっていたアールだったが「アタシは変わっていない」と意味深の言葉を残し電話は切れた。ティーは彼女の消息を探りに友人たち、関係者たちを訪ね歩くが聞こえてくるのは豹変した彼女の噂ばかりだった。
元カノの消息を聞いて回るティーの一人称を借りて彼らの生きる世界、彼女と友人たちとティーを囲む思い出、彼らそれぞれの心の傷と痛く優しい癒しを時に切なく時に優しく時に残酷に明かしていくという形式。
彼らによればアールは売春を斡旋し、トランス=ハイのファミリーを次々と殺しているという。酷い噂とその変貌ぶりは謎を深めるばかりだ。
そして物語の重要なキーを握るのが そのトランス=ハイである。
彼ら友人たちの親兄弟、大切なモノを残酷にも殺していった伝説的凄腕のNo.1マーダー「トランス=ハイ」。
トランス=ハイはなぜ急に表世界から姿を消したのか?なぜ女だけは殺さなかったのか?
アールはソレと関係があるのか? なぜティーにだけ連絡をし、豹変してしまったのか?
3年間というアールとティーの空白の時間にそのなぞが詰まっている。
トランス=ハイは表舞台から姿を消しその名をほしいままに悪用する集団がはびこり、アールはそんな奴等を殺して周り悪評漂わす存在へと豹変した。そしてティーは、何も知らずに怠惰な隠遁生活をして世間を離れていた・・・。そんな3年間。
軽いノリだった前半も・・・こうして読み進めティーが訪ね歩く友人たちの話を聞くうちに物語は重みを増していく。
トランス=ハイはアールとティーの友人たちから確かにあまりに多くのものを殺し奪ったが、なぜか彼らはソレを悲観し悲しみにくれているようには見えない。
むしろその喪失は過去との決別の契機になった、そんな風にすら見えるのだ。
そうしてようやくこの作品全体の重量感を実感する。「彼」の悲しい優しさと、弱さと、彼が強くした彼らの今を知って。
アールとティー、二人を見守り続ける悲しいほどに優しい友人たち、彼らの過去の軸に座る「トランス=ハイ」という圧倒的な存在・・・
そう、この物語は「スロウハイツの神様」そのものだったのかと、思わずにはいられない。
物語は最後まで曖昧な部分を残し、終わっていく。
しかし「スロウハイツ~」とともにこの物語に揺るがないものがあることだけは解る。
彼が彼女を、彼女が彼を愛したということ。
くさい言い方だけれど、それだけは変わっていない。
「アタシは変わっていない」
彼女が残したその一言が、最後の最後になってようやく本当の意味で真実を語ると、気が付くはずだ。