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現代社会のアンファン・テリブルがテーマ。
1回読んだだけじゃ解らないので再読してみるも、仕掛けが凝っていて
まだ全貌が捉えられてない気がする。かなり細緻に富んだミステリィ。
これは2度読み推奨。というか、初読で解る人はいるんだろうか。
(結局声部はいくつなんだろう、ってね)
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2010/1/30 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
2011/7/15〜7/16
初めての深水作品。表題作と「シンリガクの実験」の2作からなる文庫書き下ろし。
「五声のリチェルカーレ」は昆虫好きのおとなしい少年が起こした殺人事件の裏側を描く。なかなか口を開かなかった少年がやっと話した動機は「生きていたから殺した」。果たして、何故少年は殺人を犯すに至ったのか?
「シンリガクの実験」は小学生の子ども達の大人とも子どもとも言えない心境を描く。
どちらも心理的な動きを丹念に描いた作品。初めて深水作品を読んだが、結構好きかも。
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「ウルチモ トルッコ 犯人はあなただ!」の作者だと知ってたら借りなかったかも。表題長編に短編を併録。表題作については最後まで明らかにされない動機がカギになるんですけど、それについてはちょっと弱かったか。ただ「ウルチモ…」みたいなでたらめさはなかったので○。短編「シンリガクの実験」は◎。こういう結末は大好きです。
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表題作の長編と短編1作併録
「五声のリチェルカーレ」
昆虫好きの少年が殺人罪で逮捕された。「生きていたから殺した」という供述の真意とは。
少年の学生時代が描かれることにより判明する真相とは?
「シンリガクの実験」
ある少年が学生時代に「実験」と称して行った行動と、そしてそれによって起こったニヤッとしてしまう結末。
表題作は家裁調査官や少年法、昆虫の擬態、バッハの六声のリチェルカーレの解説等、結構盛り込まれていて、流し読みしていた自分としては、キレた少年の話をお固く文章にしたかったのねぇ~、なんて思いながら読んでいたら、最後に少年に対し家裁調査官が発したセリフに思わずオオっとなってしまった。
思わず再度読み返し、五つの声は誰なのか読み解き、文章の構成や伏線が素晴らしいと感じた。
講談社から出版されている小説とはチョット違った作風だったのが良かったのかも。
短編は短いながらも、内容が濃くとても良かった。
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昆虫好きの少年がおこした殺人の真相。
意外性もあるし、真相を知った上で再読すればおお~ってなるんだろうけど・・・なんかメンドクサイ。
別にそこまでしたいな、とまでは思わせないような、可もなく不可もない感じ。
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表題作は何かあるな、というのは予想通りだったけど、やっぱり読み返してしまった。
タイトルの意味が深い。
「シンリガクの実験」はオチがイマイチ。
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「ウルチモ・トルッコ~」を当時読んで以来だなー。
思ったほどトリッキーな作品じゃなくて意外と拍子抜け。
被害者も動機も明かさないまま、容疑者である少年と
家裁調査官とのやりとり、そして少年の辛い日々の
回想...という2つの場面が交互で展開され、
ラストには予想しなかった結末が...。という
全体像ですが、やはり「いじめ」が描かれている
作品はなんだか読んでいて落ち着かない...。
自分の少年期が被害者でも加害者でもなく、傍観者
だったという負い目を晒されるような痛みを伴う。
昆虫が自然界のパワーバランスを生き抜くために
手にした擬態という進化。人間界のパワーバランスを
生き抜くために弱者が手するものは...なんなのだろう...。
ミステリとしてもまんまとこの作品の「擬態」に
騙されてしまった。個人的には読み応えありました。
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表題作と『シンリガクの実験』を収録。
すぐに読めました。
期待しすぎていたのか、ちょっと「?」というかんじでした。
とはいえ、少年の心理(動機)と昆虫の擬態の絡まりかたは興味深かったです。
「キレる」ということを表面上だけ描いて告発するのではなく、少年の側からと、少年に謁見する家裁調査官(つまり大人で、それも「昔自分が子どもだったことを覚えている」大人)の側から掘り下げてあって、安易な理解を拒ませるところなんかは、真摯な作品だと思いました。その分怖いし。
それから、いじめ方・いじめられ方に迫力があった。
『シンリガクの実験』は…面白くなくはなかったけれど、あんまりよくわかりませんでした。
どうやったら学年中を操ったりできるんだろう…。
2010/5/27 読了
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ミスリード箇所ってあったかなぁ。
思春期特有かどうかは知らないですが、過剰な自意識と擬態の結び付け方がちょっと納得し切れなかったです。
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加害者の少年の「生きていたから殺した」という謎の言葉をめぐるミステリー。再読必須の仕掛けも巧妙だが、そのトリックとテーマ、虫や音楽に関する蘊蓄が見事に融合している。大満足でした。
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少年犯罪(或いは子ども社会)をテーマに昆虫の擬態や生物の進化、そしてバッハと絡めて描かれる本作。…いやしかし完全に嵌められた。やられた。再読せねば。油断を誘う見事な構成力に完敗。
短編「シンリガクの実験」は、遠い記憶をくすぐられつつ素直に楽しめた。デザートとして申し分ない。
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◆五声のリチェルカーレ・・・家裁調査官の森本は困り果てていた。目の前にいる14歳の少年はクラスメイトを2人刺したが、その動機を決して語らないばかりか、「生きていたから殺した」などという、無差別殺人ともとれるような発言すらする。昆虫好きでおとなしいと評判だった少年の心の中は一体どうなっているのか。
◆シンリガクの実験・・・相手の気持ちを見抜く特技があった僕にとって、クラスを思いのままにあやつることはとても簡単だった。そんな中、自分と同じ特技を持っていると思われるアオヤギミユキが転校してきた。
以上2編が収録。
◆五声のリチェルカーレ・・・読んでいる途中、犯行があまりにも唐突だなぁとは確かに思っていた。転校を繰り返し、行く先々でいじめに合っていた少年の過去のやり過ごし方からして、そんな行動に出るのはイマイチ腑に落ちず、なんだか突然人が変わったかのような印象。「ん~??」と思っていたらやっぱり最後の2ページで真相発覚。これはたまたまではあるが、この1冊前に読んでいた作品と”○○○○○○○”という点で同じであったため、驚き少なめ。「へぇー」とは思ったけれど、じゃあ今まで読んでいたほとんどの部分はこの犯行を行った少年の過去や行動ではなかったということで・・・。犯行を行った少年は一体どんな過去を生きて来て(昌晴と似たようなものであったことは想像がつくが)、どんな人間だったのか。
だから全ては紙一重なんだよ。つまりこのストレスフルな現代社会では、
被害者になるのも犯人になるのも、ある意味偶然なんだ。
いつどこで誰が被害者になるかも、全くわからない。
これを昌晴のように「それは絶対に違う。少なくとも自分自身が犯罪者になることは自分の意思で完璧に防げる」とは言い切れないと思っている自分は大丈夫だろうか(^^;紙一重で犯人にならなかった○○と、紙一重で犯人になった○○は一体何が違ったのだろう?
◆シンリガクの実験・・・アオヤギミユキの行動ははたして計算だったのか?それとも本当に素だったのか。謎は残るが、最終的にはそんな彼女に見事にやられてしまったという結末がおもしろい。
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読了、初読65点、2回目再読時20点、3回目再読で40点。
途中からネタバレあり。
**
昆虫好きで気の小さな少年が殺人を犯したと言うことで逮捕された。
家裁調査官との面談で漏らした、生きていたから殺した、という言葉の意味は?
何故彼はそのようなことを犯したのか、そして事件の真相は…
表題作「五声のリチェルカーレ」他、短編「シンリガクの実験」収録。
**
初めて読んだ作家さんなんですが、え~、点数見れば分かるとおり非常に評価が低いです。
真相に辿り着くまでは、"擬態"という要素が私の興味を惹かせてくれたし、
同時に家庭裁判所調査官という立場の人間から少年事件を語らせることで、今までとは少し違った視点から考えられるきっかけになりそうで、読んでる途中はかなり楽しめました。
でいざ真相に辿り着くと、えっ?っと、これはひょっとして凄いネタにヤラれたのかとさらに嬉しくなったんですが、
ネタを確認するために序盤とキーになる終盤を読み返してみて、このレビュー書きながらも三度読み返しているんですが、、、
2度目に読み返した時は伏線が殆どなく、それでこの真相は駄目だろう、と思ってたんだけど、
3度目、今読み返しているとマニアック過ぎる箇所で数点伏線が見つかった。んだけどその伏線もわざわざネットで調べて漸く分かった訳で、作品内で分かるようにしておいてよと思ったり。
もう一つの短編「シンリガクの実験」も、何と言うか強引過ぎるのが残念。
主人公は学年中を操れる能力があるがそれを大人なら誰もが持っているスキルとしている点がどうにも。
授業参観の描写やオチのテイストは嫌いじゃないんだけど。
以下、表題作「五声のリチェルカーレ」のネタバレ
小説の構成は、一見すると、家庭裁判所調査官の森本による現在進行形の事件調査と、昌晴という少年の回想で進められているようだけど、
実際には犯人は白坂という少年であり、この少年の一人称視点の文章が稀に入っている。
狙いは当然犯人は最初から回想を重ねてきた昌晴が犯人であると思わせて、その実犯人は白坂でした、というあたりなんだろうけど
伏線が少な過ぎて、かつ真相が明らかになった直後に物語が終わっているのでその伏線も開示されないのが宜しくない。
また真相に気付かせる為の伏線だろうと思われる箇所として
昌晴少年は第三度熱傷がある。(P72より)
対して白坂少年はケロイドがある。(P136より)
でネットの情報によれば両者は別物らしく、それを知らなかった自分は同じものだと混同して読み進めていました。
このP133から始まる記述が白坂少年の視点の初めての記述。
ただその後はずっと昌晴少年の、不良に染まっていく様が描かれることになり、また白坂少年の視点で語られるのはP197まで待たなければならないというバランスの悪さ。
以上作品の構成をおそらく理解した上でも納得し難い点が数箇所。
そもそも読者に混同させる狙いがある為、白坂少年と昌晴少年は共通点が���い。
白坂少年、次いで昌晴少年という順番で一月ほど差があるけど共に転入生。
共に昆虫学者になりたがっている。
共に頬に傷。
共に前の中学で虐められていた。
などなど。
で昆虫学者になりたいと言う点に関して昌晴少年は擬態を含む昆虫全般に関して非常に詳しく、正直これが中学生かよと言いたくなる程の描写が多々描かれている。
対して白坂少年は、トカゲの尻尾を切って喜んだり昌晴少年と比べて昆虫に対して無知であることが描かれている。
白坂少年が興味を抱いているのは主に擬態とその進化の関係性なんだけど、そこも逮捕か補導後の森本調査官とのやり取りと読むと殆ど昌晴少年の受け売りで、それこそ小説裏表紙にあるように単なる昆虫好きの少年としか思えない。
なのにP205あたりを読むと人生設計の一部のように描かれていることに違和感を感じてしまう。
あとミスリードの為なんだろうけど、P150の事件後、逮捕された白坂少年に対する昌晴少年の説明で、
転入生とは言え自分より先に転入した白坂少年のことを「転校したてで友達がいない彼に同情して」という言い方はリアリティが無さ過ぎるように思う。単に関わり合いになりたくないだけならこういうことは言わないと思う。
とまぁ文句ばっかり並んじゃったけど、そんな訳で自分は楽しめない小説でした。正直なところ1回読んでそのままあ~、なかなか面白い小説だったなで終わっておけば良いんじゃないかと思うんですが。
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『同級生の刺殺事件』という凶悪犯罪を起こしたのは、昆虫好きの大人しい、クラスでも目立たないタイプの少年だった。
「生きていたから殺した」と謎の動機を語る少年。少年との対話を元に、闇に包まれた事件の真相を追う家裁調査官の森本。そして少年による“事件の回想”が始まる…。
読後すぐに「あっ、いつの間にか騙されていた!」と驚嘆。
「一体何が起こったのか?」という事件の全容を把握するためには、一度最後まで読んだ後に、場面ごとに細かく再度の“検証”を必要とする、そこで初めて読者が“大いなる勘違い”に気付く、実に匠に構成された物語。
こういう技巧を凝らした小説は大変好みです。
そして、同時収録の短編『シンリガクの実験』…実は表題作よりも好きだったりします(笑)
人死にはありませんが、これもある意味で“大いなる勘違い”の物語。けど表題作とは違った意味でハラハラして…けど最後にはニヤニヤとビックリが抑えきれない、そんなお話です。お勧めです。
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動物の進化の仕方については興味があり、作中の昆虫の解説はかなり面白く読んだ。いじめの描写はちょっと辛い。でも現実も、この程度のことはあるのだろう。 音楽は詳しくないけど、たぶんこのタイトルは秀逸。結末は予想をはずれていなかったけど、最後まで飽きずに読めた。併録の作品は・・・なんだか某サイトのまとめサイトにあるような。