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悪魔の花嫁 (創元推理文庫)
数多の怪事件を解決してきた名探偵ド・グランダンと友人トロウブリッジは、婚礼を控えた花嫁が衆人環視のなかで姿を消すという怪異に遭遇する。彼女が着けていた帯が異国の邪教に由来...
悪魔の花嫁 (創元推理文庫)
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商品説明
数多の怪事件を解決してきた名探偵ド・グランダンと友人トロウブリッジは、婚礼を控えた花嫁が衆人環視のなかで姿を消すという怪異に遭遇する。彼女が着けていた帯が異国の邪教に由来するものと判明したのち、花嫁の母親が自殺を装って殺され、その後も赤子の誘拐や儀式殺人など事件が相次ぐ。これらは世界各地で暗躍している悪魔崇拝者の仕業か。シリーズ唯一の長編、本邦初訳。【「BOOK」データベースの商品解説】
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紙の本
総天然色ローラーコースターオカルトミステリー
2010/03/27 17:19
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:わたなべ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ウィーアードテイルズで90篇以上掲載され人気を博した名探偵ジュール・ド・グランタンを主人公にしたオカルト・ミステリー唯一の長篇ということで、タイトルが某少女漫画をどうしても想起させるのだが、内容は当たり前だがまったく関係なかった。婚礼の日に花嫁が衆人環視の中姿を消す、という怪事件を皮切りに、花嫁の母親の自殺、嬰児誘拐、謎の女の出現、など矢継ぎ早に事件が発生し、そのたびに名探偵が快刀乱麻を断つ如く推理を展開して悪魔教を奉じる謎の組織による世界転覆を目指す陰謀の真相に肉薄していく……というストーリーはスピード感のあるちょっとしたローラーコースタームービーを思わせるもので、というか、おそらくはこの手の冒険推理小説からたとえばスピルバーグなどはその映画の想を得ているのだろうからそれはまったく逆というものである。エロティックで残虐な描写、設定、細部に事欠かないのだが、描く筆致が絢爛でどこかマニエリスティックに淫した文章で、展開の速さも相俟ってほとんどナンセンスな軽さをたたえた一種の「艶」のようなものに達していて、いわゆる植民地主義的ないかにも白人優位の偏見やらキリスト教的なそれやらがふんだんに語られるにも関わらず、そもそも記述される世界があまりにもうさんくさいのでほとんど気にならないというか、あっけにとられているまにあれよあれよという感じで読み進まされてしまう。また、たくさんの短篇が背景にあることからだろうゲストキャラクターが多く、名探偵とワトソン的語り手以外に捜査陣にアメリカ人イギリス人フランス人と個性豊かな面々が次々に登場するのもどことなく昔のオールスター総出演映画を髣髴とさせるものがあって、まあ正直くどいのだが、それはそれで豪華な感じで面白いとも思ったりもする。そういう過剰さの中に置かれた普通に考えればありえないハッピーエンドは、この奇怪に薄っぺらな物語世界の中ではそれもありだろうというよりもむしろきっとこれしかないんだろうと思わせられるほとんどスラップスティックな悪夢の論理で納得できる/させられる爽快さなのであった。あまり多くの人にはすすめられないが、私は非常に面白く読んだ。また、例によって訳者解説がきわめて詳細ですごい。