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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2009.12
- 出版社: ウェッジ
- サイズ:19cm/404p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-86310-063-3
紙の本
アリの背中に乗った甲虫を探して 未知の生物に憑かれた科学者たち
この地球上に、まだ発見されていない生物はどれくらい残されているのか? 若きリンネの探検旅行から、深海・宇宙の生命探索にいたるまで、未知の生物発見に生涯を捧げた科学者たちの...
アリの背中に乗った甲虫を探して 未知の生物に憑かれた科学者たち
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商品説明
この地球上に、まだ発見されていない生物はどれくらい残されているのか? 若きリンネの探検旅行から、深海・宇宙の生命探索にいたるまで、未知の生物発見に生涯を捧げた科学者たちのおかしくて感動的な物語。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ロブ・ダン
- 略歴
- 〈ロブ・ダン〉ノースカロライナ州立大学動物学部準教授。『ナチュラル・サイエンス』などの一般向け科学誌で活躍するサイエンスライター。
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紙の本
生き物を知り尽くそうとする人間の熱意の凄まじさ。
2010/05/16 08:43
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「アリの背中に乗った甲虫」?そんなもの存在するのだろうか。本書の英語の原題はEvery Living Thing。未知の生物を探し、生き物の世界像をつくりあげた人びとを紹介した本である。
18世紀、全ての人に共通する名前で全ての生き物を名付けることを始めたリンネ。そしてその後、多くの研究者があらたな生き物を見いだしては人間の「生き物の世界観」を作り変えてきた。
「肉眼では見えない小さな生物の世界」を顕微鏡を使って報告したレーウェンフック。深海で太陽のエネルギーを必要としない、硫化水素で生きている生物を報告したチャレンジャー号。日本語のタイトルに取り上げられた甲虫の話は第六章に取り上げられているが、これもまた「思いもよらない生き物の世界」の探索物語である。
これらの、「生き方の違う」生物を見いだした発見とは別の意味で、「生き物の世界像」を変えた話もある。葉緑体、ミトコンドリアという細胞内の小器官は別の生物が共生したものだという「細胞内共生進化説」、rRNAの配列解析で生物種間の遠近を調べる手法を使った新しい系統樹の作成などである。
この本は、こういった新しい生物世界観を作るために活躍した人びとの生い立ちや研究のきっかけなどを伝記的に入れながら紹介していく。伝記的な部分には、各人の時には妄執と紙一重といいたいほどの凄まじい熱意が感じられる。
しかし読んでいくには、正直なところそういう伝記的な部分と総括的な仕事の意味づけの部分とが錯綜してわかりにくいきらいがあった。400ページあまりの、薄くはない一冊なのでそれもある程度はしかたがないのかもしれない。しかしあまり興味なく読み始めた読者をぐいぐい引きこむというよりは放散してまとまらない感じを与えるように思う。
それぞれの成果は複雑に関係しあっているので、こういった厚い科学読み物の常として、やはり索引も欲しいところである。もしかしたら英語の原本には(常として)あったのかもしれない。日本語になるとどうしても長くなりがちなので、省略されてしまうケースが随分あるのだが、これもその一つであるとしたら悲しい限りである。
リンネが「全ての生き物に名前をつける」と決意してから250年余り。現在「2021年までにスウェーデンの全生物種に命名する」プロジェクトがあるそうだ。もし生物が今も進化し続け新しい種を生み出しているのなら、おそらく「完結した」と言えるときは来ないだろう。なにしろゴールが動いているのだから。しかし、それでも知り尽くそうとする熱意こそが、人間の原動力のようなものではないのだろうか。この本に登場する人々からは、その熱意と原動力を充分感じることができる。