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紙の本
日本SF精神史 幕末・明治から戦後まで (河出ブックス)
著者 長山 靖生 (著)
【日本SF大賞(第31回)】【星雲賞ノンフィクション部門(第41回)】幕末期の架空史から、明治の未来小説、戦後の現代SF第一世代まで…。近代日本が培ってきたSF的想像力の...
日本SF精神史 幕末・明治から戦後まで (河出ブックス)
日本SF精神史
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商品説明
【日本SF大賞(第31回)】【星雲賞ノンフィクション部門(第41回)】幕末期の架空史から、明治の未来小説、戦後の現代SF第一世代まで…。近代日本が培ってきたSF的想像力の系譜を、現在につながる生命あるものとして描くと同時に、文学史・社会史のなかにSF的作品を位置づけ直す。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
長山 靖生
- 略歴
- 〈長山靖生〉1962年茨城県生まれ。評論家、歯学博士。歯科医の傍ら幅広く執筆活動を行う。「偽史冒険世界」で大衆文学研究賞受賞。ほかの著書に「日露戦争」「奇想科学の冒険」など。
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紙の本
想像力の系譜たどる野心作
2010/09/09 12:55
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:野あざみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本SFが、源流を幕末まで遡れる事実に驚いた。あのころの未来は、どんな将来予測を立てたのか。明治、大正、昭和と時代と共に変遷していく「精神史」、つまりSFする心は、何を伝えようとしたのか。本書にびっしり詰め込まれている。
文明開化の下、明治15年発表の貫名駿一「星世界旅行」は、広がる世界観を描く。話者は「腕力」「智力」「文明」と3世界を訪れ、地球より、進んだ世界もあれば、遅れた世界も示した。道徳的成長を遂げ、政府も法律もない「文明世界」は、理想郷として描かれている。根本には無政府主義思想より、「身分制度からの解放が、一つのユートピアだった」と著者は指摘する。また同時代の特徴に、話者は乗り物で移動するのではなく、「魂」だけが飛んで行き、見聞を広めるスタイルも興味深い。
明治時代は他に、民権から国権へと、政治的啓発を扱った作品が多かった。参政権、憲法といった政治参加の意識醸成から、国力の強さを前面に覇権主義を示唆する作品へと移る。
異彩を放ったのが、村井弦斎だ。「発明と恋愛による社会改良」を主題に、男女間の平等な結婚やアイデア品発明、食生活改良を多く扱った。いささか楽観主義ではあるが、著者は、「民権でも国権でも達成できない真のユートピア建設への近道と考えていた」と解説する。
著者によると、胸のすくような一発逆転や救世主の登場を描くことで、「そんなことはありえない」現実の空しさを表すのも、日本SFの特色という。昭和7年発表の海野十三「空襲葬送曲」は、東京が大空襲に見舞われ、新兵器による逆転勝利で幕を引く。勝ったとはいえ、取ってつけたような展開だった。軍部から発禁処分を受けたことから、当時の状況について的を射ていたと推測される。
SF界に金字塔を建てた昭和48年出版の小松左京「日本沈没」も、同様の意味合いが込められていた。危機に瀕し、国民の生命を守るため奔走する国家像が描かれていた。保守的で復古調の作風と受け取った識者もいたという。しかし、実際、そこまで腹をくくる政治家はいるのか。ましてや当時の田中角栄首相が唱えた「日本列島改造論」による本土破壊と同時代だった。慈しみ、守る政治家など、幻想に過ぎない。
時代に根ざして未来を見すえる力と、体制になびかない批評精神をこれからも読み続けたい。本書の熱き思いに触れ、あらためて思った。
紙の本
幕末・明治維新から戦後までの日本SFの歴史の紹介
2010/04/18 14:48
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
幕末・明治維新から戦後までの日本SFの歴史の紹介。「精神史」とあるように、各時代毎にいかなる意識・思いでどのような作品が、今日のSFに該当するものが書かれてきたか、またどのように理解され誤解されてきたか、を分析している。作者と作品の一覧にはおわっていない。
これまでの日本SF史の紹介本は、戦後以後の歴史が主であったが、本書では幕末・明治の歴史が豊富である。幕末・明治維新の危機感を反映した日本独自の科学小説、啓蒙小説がいろいろとあったようである。どのような内容のものか興味をそそられる題名のものが多数ある。
今日のようにSFも文学の一分野として世間一般に認められるようになると、このような歴史を整理しておくことは、意義のあることである。将来好事家にとって貴重な資料になるかもしれない。
紙の本
森鴎外や尾崎幸雄も登場
2024/04/27 15:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ichikawan - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本SF精神史はわかるにしてもサブタイトルに「幕末・明治」とあるのに首をひねった人がいるかもしれない。森鴎外や尾崎幸雄といった、SF史に登場するとは思えないような人物たちも関わるものなのである。
電子書籍
日本SF史通覧、待望の電書籍化
2018/12/31 11:11
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Otto Rosenthal - この投稿者のレビュー一覧を見る
SFがまだ架空史と呼ばれていた幕末の近世から、平成の現代にいたるまでの日本のSFの流れが分かります。紙の書籍も味がありますが、SF史らしく電子書籍でスマートに楽しむのも一興です。
紙の本
150年に亙る日本SF史通覧
2018/12/31 10:50
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Otto Rosenthal - この投稿者のレビュー一覧を見る
近世から明治・大正、太平洋戦争を挟んだ戦前・戦後の昭和そして平成の現代までのSFを一挙に紹介するために合本・加筆修正した大労作です。