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商品説明
昭和23年12月23日零時1分30秒、死刑執行開始。皇太子明仁の誕生日に、なぜA級戦犯7人は処刑されたのか?近代天皇制の研究から作家生活をスタートした著者が、戦後のアメリカと皇室の関係に新たな光を当てた作品。【「BOOK」データベースの商品解説】
A級戦犯7人の死刑執行は、なぜ皇太子明仁の誕生日、12月23日午前零時に始まったのか。謎を解く手がかりは、ある子爵夫人の日記の中にあった…。マッカーサーが天皇明仁に仕掛けた時限装置を明らかにする。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
猪瀬 直樹
- 略歴
- 〈猪瀬直樹〉1946年長野県生まれ。作家。東京都副知事。「天皇の影法師」でデビュー。「ミカドの肖像」で第18回大宅壮一ノンフィクション賞、「日本国の研究」で文藝春秋読者賞受賞。
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紙の本
刻印の意味を噛み締めて
2010/04/25 06:45
6人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第二次世界大戦が終結したとき、昭和天皇に戦争責任が問われることはなかった。
そして、新しい日本国憲法においても天皇制は存続された。
どう考えても、まず最初に戦争責任が問われるべき天皇に対し、刑を科すどころか、裁判で責任を質すことさえなされなかった。これは果たして本当に正しい選択だったのであろうか。
もちろん、このことは日本人だけが自分で決めたことではない。占領軍の政治的判断、日本統治のしやすさからの選択であったことは知られている。が、日本人の意識や行動においても、天皇制の存続が強く求められていたことはまぎれもない事実である。
このことが後々の日本に対し、どう影響したと言えるのか。
日本という国は、あれ以来、「天皇不問」という大きな負い目を負ったまま生き続けなければならなくなった。大きな重荷を背負ったまま、取り返すことのできない重荷を背負ったまま生き続けなければならなくなった。
日本という国は、他国に対し、侵略という非常に大きな痛手を与えておきながら、その悪行を行った権力のトップを、その責任の所在を判断する場に出すことさえせず、戦後も御輿の上に担ぎ温存し続けていることになる。
これで被害を被った他国に申し開きができるというのか。
ジミーの誕生日に埋め込まれた刻印が何を意味するのか。
取り返しのつかない失敗をし、さらにそれを継続し続けている日本人の一人として、誕生日の刻印の意味を噛みしめる。
歴史をさかのぼることはできない。しかし、少しでも過去の失敗を取り返し、他国の信頼を回復するための所作は探ることはできる。
少なくとも、今さらではあるが、日本がまず一番にすべきことは、日本からジミーの誕生日を消し去っててしまうことではないか。
ある個人の誕生日を、普通の一国民の誕生日と違った位置づけで祝うようなバカなまねは即刻止めるべきだ。
今度こそ日本の国民総意の基に、そうすべきだ。
紙の本
中高生の読者には、日本の戦後占領史を興味深く読むことができる書
2010/01/24 15:44
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者のもとにさる子爵夫人の孫という女性から手紙が届く。子爵夫人の戦中戦後の日記が残されていて、それは昭和23年の師走に「ジミーの誕生日の件、心配です」と書かれたところで終わっているという。夫人は誰のことを心配していたのか…。
本書の題名から、ジミーとは今上天皇のことであり、またその誕生日である12月23日がキーになっていることは容易に推測できます。事実、東條英機らA級戦犯が絞首刑に処せられたのは昭和23年12月23日、しかもその午前零時1分30秒という狙いすましたかのような日時です。本書はマッカーサーが戦犯処刑日を数十年後の日本人の記憶にも深く刻み込むための策略であったという推論を追ったものです。
もちろん、当時の皇太子の誕生日と戦犯処刑日とが一致しているという日付のミステリーは、今日ようやく明らかになった歴史の謎ではないでしょう。
本書はむしろ、マッカーサーたちが天皇を戦犯として訴追することをいかに回避したか、また天皇の退位の意思をいかに押しとどめたかについて今一度短時間で概観するのにちょうど良い書であるといえます。
「敵国の占領は、たとえ降伏していようと一部に武装して抵抗する勢力が存在してはなりません。(中略)マッカーサーにとっては、昭和天皇を権力をもたない象徴として温存しておくことで日本軍による武装蜂起の根を絶やすことができただけでなく、秩序を維持しやすいので占領コストを大幅に下げることができた」(264頁)。
日本の戦後占領史についてある程度の知識を持つ読者には今さらながらの内容で、食い足りない思いが残るかもしれません。
ですが、中高校生の読者であれば十分に興味深く読めるでしょうし、また米国によるあまり成功しているとは言い難いイラクやアフガニスタンの戦後処理を見る上で、ひとつの視点を提供してくれる本であるといえます。