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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2010.1
- 出版社: メディアファクトリー
- サイズ:20cm/199p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-8401-3165-0
紙の本
私の家では何も起こらない (幽BOOKS)
著者 恩田 陸 (著)
小さな丘の上に建つ二階建ての古い家。この家では、時がゆっくり流れている…。幽霊屋敷に魅了された人々の記憶が奏でる不穏な物語。巻末に驚きの書き下ろしサイドストーリーを収録。...
私の家では何も起こらない (幽BOOKS)
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商品説明
小さな丘の上に建つ二階建ての古い家。この家では、時がゆっくり流れている…。幽霊屋敷に魅了された人々の記憶が奏でる不穏な物語。巻末に驚きの書き下ろしサイドストーリーを収録。『幽』連載に加筆修正して単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
私の家では何も起こらない | 5−27 | |
---|---|---|
私は風の音に耳を澄ます | 29−50 | |
我々は失敗しつつある | 51−71 |
著者紹介
恩田 陸
- 略歴
- 〈恩田陸〉1964年宮城県生まれ。「夜のピクニック」で吉川英治文学新人賞、本屋大賞、「ユージニア」で日本推理作家協会賞、「中庭の出来事」で山本周五郎賞を受賞。
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紙の本
幽霊であろうと、それも続いていく<命>の一つなのだろう
2010/02/07 20:02
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mayumi - この投稿者のレビュー一覧を見る
小さな丘の上に建つ二階建ての古い家。が、ここはいわくつきの幽霊屋敷だった。
10の章は、それぞれ別の人間の主観で語られる。主観のみで語られるから、視野が狭い感じがどうしてもする。視野が狭かったり、明るさが足りなかったり、見るべきものを見ていなかったり、という閉塞感がたまらなく怖い。
そう、語り手達は、あっけらかんと淡々と語っているけれど、その五感は常に囲われ、縛られている。人間、実際のところ一番怖いのは<閉じられてる>ことなのかもしれない。
タイトルが起因しているのだろうけど、昔読んだ山岸涼子の漫画を思い出した。霊の通り道にある家で数々の霊現象が起きるのだけど、その女主人はは無頓着でいる。霊現象を恐れそこをやめるという家政婦が、これだけの霊がいて平気だという女主人こそが怖いのだと、いう話だ。
「私の家」の<私>は、その漫画の女主人公より、怖い。というより、醜悪なのかもしれない。
「何も起こらない」と言いながら、<私>はその存在を感じている。そのうえで、幽霊とはこういうものであるのかもしれないと結論つけてしまう。
確かに、人が生きて死ぬという命の連鎖は、一人や個人のものではない。
だからといって、そんな風に断じてしまうのは、幽霊の存在がやるせないじゃないんだろうか。
…が、これも転じて、<私>が異様の存在におびえているという証なのかもしれない。
怖がられて、恐れられて、なんぼの存在だものね。幽霊って。
紙の本
人ではなく家が主人公
2020/02/22 18:34
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
凄惨な事件に見舞われながらも、何事もなかったように佇む丘の上の家が思い浮かんできます。死者と生者の寄り添うような関係性も心に残りました。
紙の本
時間を縦糸ではなく横糸にして、複雑に恐怖を編みこんだタペストリー
2010/06/12 09:48
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み始めてすぐに「しまった!」と思った。残念ながらこれは僕の好きなタイプの恩田陸ではなかった。恩田陸にはいくつかの顔があるのだが、これは所謂ゴシック・ホラーと言われる分野の短編集で、恩田陸的な見せ場としては短い文章の中でのことばの「切れ」ということになると思う。
そういう意味では、この作品も大変「切れ」が良い。全体を通して1つの「幽霊屋敷」を扱いながら、時間軸は各作品によってさまざまで、それがわざと前後して並べられていることによって、却って全体像に深みが出て、そして怖い。時間を縦糸ではなく横糸にして、複雑に恐怖を編みこんだタペストリーという印象。
そして、そういう怖いシーンに何気なく挿入されている、例えば風景の描写とか、家具やカーテン等についての形容などが、物語のサイドから抜群の「切れ」を以て刺さってくる感じがある。
すべての作品できっちり余韻を残して、次の章へと続けるテクニックも見事である。ただ、そういう意味では最後の「附記」は余計だったかなという気もしないでもない。わざわざ単行本のために書き下ろされたもので、帯の宣伝文ではこれが「目玉」であるような書き方がしてあるが、少し「書きすぎ/まとめすぎ」たような印象がある。
まあ、とは言え、一級のエンタテインメントと言って良いのではないだろうか。タイトルも皮肉が効いて秀逸である。
ただ、僕が好きな恩田陸は人間心理の内側を緻密に描き出す恩田陸。こういう短編集でそれを望んでも仕方がない。次はそういう長編を期待したい。
by yama-a 賢い言葉のWeb
紙の本
やわらかな残酷
2020/02/12 16:18
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
丘の上に建ついわくつきの家を巡る連作短編集。
起こる出来事は全て残酷。なのにどこか優しさを感じさせるところが更にグロテスクさを加速させる不思議な物語。
あの世のものとは大工さん達のようなスタンスで付き合うのがいいのかもしれない。