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全体的に、説明が足らない気がした。
こういう話を一般的にわかりやすく書くのは「生物と無生物のあいだ」の人が上手だと思った。
進化論のうち、環境が生物を選ぶという、環境説の話。
産業革命後のイギリスが、煤煙で木の幹が真っ黒になると、もともと白っぽい蛾がかなりの短期間で黒く変化したように、進化というのは思ったよりも早く進行する。また、このように、環境の変化が生き残る生物を選びとる。
で、変化というのは、いつ何時訪れるか分からないので、下手に最適化してしまうと次の変化を生き残れない。
だから、ある環境で最も強いものが生き残るのではなく、そこそこ適応しているレベルの方が有利。
また、環境になるべく依存しない仕組みをもつものが有利。
面白かったのが次の2点。
安定期であっても、遺伝子は常に変化していること(中立説)。種として次の変化に対応できるようバリエーションを増やしているんだと。
過去に大絶滅は5回起こっているが、実は今が6回目の大絶滅期。つまり人間のせいで種の数が激減しているということ。
1/18読了
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ビジネスの世界の話かと思いましたが、主に進化論のからの話です。しかも「強いだけでは生き残れない」ではなく「強い者は生き残れない」ですからね。でも、ここで言う強さとは、「ひとり勝ち」と言う意味の強さです。逆風に強いという意味ではないみたいです。
地球の40億年という生物史を振り返ると、生き残っているのは「強い者」ではなかったと言うことです。確かにイメージ的には「強い者」より「環境に順応したもの」と思っていましたが、そうでもないのかもしれない。環境に選ばれた者が生き残るのと言う方が正確のかな。
ダーウィンの進化論にはなかった「環境は変動し続けるもの」という切り口から、生物資源経済学の観点から、今こそ「長期的な利益」のために「短期的な利益」の追求を控え協同行動を取るべきだと唱えています。
なかなか分野外で難しい話でしたが、興味深い内容でもありました。
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まえがきに記載されているトヨタ渡辺社長のことば「強いものが生き残るのではなく、環境変化に対応できたものだけが生き残るのだ」を生物学史を通じ、最後に生物の一つの種類である人間の世界にもあてはめ「ファンド」、投機による一人勝ちを糾弾し、共生を訴えかけている本。
生物学を楽しむのであれば良書ではないかと思われます。(素養のない、私にとっては言葉の説明があっても、読解が困難な個所もありました。)
が、こと人間社会や経済に置き換えるには少し乱暴(生物学の記述に比べ圧倒的に経済的な記述が少ない。)かと。また「終戦後、マッカーサー元帥により導入された日本国憲法で、この民主主義が相当に完成された形となったのである。そして戦後からバブルあたりまでは民主主義が比較的よく機能していた。」の記述には驚きを感じ得ずにはいられませんでした。
池田信夫氏の言うとおり「床屋談義」と揶揄されても仕方が無いように思われます。
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[ 内容 ]
約40億年という生物史を振り返ると、生き残っているのは「強い者」ではなかった。
ダーウィンの進化論にはなかった、「環境は変動し続けるもの」という斬新な切り口から、「協力行動」という生命の生き残り戦略に注目する。
終章では自由市場主義の瑕疵まで論及。
ダーウィン進化論にはじまり、総合学説に発展した現代進化論に、いま「環境変動説」が加わる。
[ 目次 ]
第1部 従来の進化理論(ダーウィンの自然選択理論;利他行動とゲーム理論;血縁選択と包括適応度;履歴効果;遺伝子の進化と表現型の進化)
第2部 環境は変動し続ける(予測と対応;リスクに対する戦略;「出会い」の保障;「強い者」は生き残れない)
第3部 新しい進化理論―環境変動説(環境からいかに独立するか;環境改変;共生の進化史;協力の進化;「共生する者」が進化する)
[ POP ]
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[ 参考となる書評 ]
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環境が何が最適かを決める、というのは面白かった。なかでも、同じプログラムを入れて同じ部屋に入れておいた亀ロボットが全く違う習性を持つようになっというところは面白かった。たしかに同じ研究室にいても違う机に座っていて、違う景色を見ているわけだから、同じ環境にいるとは言えないわけだよなぁ。
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昔、学校で習った進化論はいまこんなに多説あるのか。ゲーム理論って、こんなロジックだったのか、などなど、本論以前の初歩的な部分で感心。
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この本は、だいたい三つの内容に分かれている。
1.進化理論
生物の進化は、環境の変化によって引き起こされる。
それに生き残った生物が、新しい環境に適応して進化する。
環境の変化に生物が追随しているだけで、勝手に進化する分けではないのだ。
2.生物の戦略
では、どのような生物が生き残るのか。
ある特定の環境に最適化したもの~強者~ではなく、全ての環境でそこそこのタイプである。
環境の変化に強い(環境への依存度が低い)ものほど生き残りやすいのだ。
3.社会的応用
それでは、環境依存から抜け出すためにはどうしたら良いのか。
他者との共存(異種または同種の生物同士の協力)が最も有効な方法だそうだ。
これが今、人類が生き残るために、するべきことであるらしい。
感想としては、環境が進化の主体となっているところが新鮮であった。
ただ、人間の歴史や社会をも進化理論で分析している。
そこまで応用して良いものだろうか、いささか行き過ぎている感じもする。
最後の部分に疑問は残るが、進化論を勉強するためには素晴らしい一冊である。
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ここでいう「強い者」=子孫を多く残すもの.生き残るのは,あまり環境に依存せずに,環境に変化があっても絶滅しないもの.後者を「強い者」と呼べば,結局,強い者が生き残る,ということ.
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ナッシュ均衡は、現実社会では適用できない。また強者が一人勝ちするというウィナーテイクスオールは長期的には構造的破綻をきたすというのが、生物資源経済学からも明らかである。共生、協力によって、居心地のよい社会を創っていくことが長期的には最適解たり得るのだという昔からの教訓を生物学的パースペクティブによって再確認することになるだろう
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吉村先生は、静岡大学の先生。生物進化学のご専門。
要は、適者生存、適応度の高いもの=強い者が生き残るという現代の進化論に対して、環境の変化に対応して生き残るものたちが生き残るという、新しい進化論を主張されている。
この考え方は、生物同士の共生とか、正直もの戦略の正しさを跡づけしてくれるので、その意味でも元気がでる。
①魚は意志で陸にあがったのではなく、川や海の浅瀬に住んでいた生物が、水が干上がるという環境の変化にともなって否応なく適応した結果である。(p74)
②1980年代にDNA鑑定法が確立されたことによって、実はほとんどつがいを代えないと思われていた多くの野鳥のヒナで5羽に1羽ぐらいがメスのうわきによる子供だった。(p121)
これも、リスク分散、だんなの鳥が遺伝病をもっていたための保険らしい。
③人間には老廃物を除去するおもしろい共生生物もいる。顔ダニだ。ダニというと何か不潔な感覚があるが、顔ダニは人間の友である。
なお、吉村先生は小学校はオール1だったらしい。「今の学生たちが、自分たちの能力を測って、自分のしたいことをあきらめてしまうのをみると歯がゆくてしかたがない。(p233) 」そうです。
自分も自分の能力の乏しさにねげずに、努力を続けたい。
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自然界でも経済でも、生き残れるのは共生を目指す者だけ。
「灼熱アジア」を読んで、ますますこの本を読みたくなった。ASEANの自由貿易協定は、小さな国同士だから共生共栄のシステムが働いているように思える。自己中心的でご都合主義なウィン・ウィンではない、本当のウィン・ウィンへの道しるべはここにあるかも。
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自然界に生きる様々な生物や、民主主義社会・資本主義社会に生きる人間、企業の経済活動において、最後まで生き残れるのは強い者でなくどういう者なのか。
示唆に富んだ文章と、目から鱗が落ちる考え方に、読み終わるまで興奮し続けてしまう。
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興味深いっちゃ、そうなんだが、ちょっとね~。
私の論文私の論文ってうるさいっちゅうの。
専門外のところにも中途半端な認識で口出ししてる感アリ。
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「素数ゼミの謎」の著者による、生物学の基本的な啓蒙書。ダーウィンの自然選択理論から始まり、ゲーム理論やリスク戦略、共生・協力などについて説明している。明らかに素人向けの本なんだけど、その割には言葉遣いがdenseな感じで、新潮選書の他のラインナップと同様、想定読者層がよく分からない。
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強い者は生き残れない
環境から考える新しい進化論
吉村仁
新潮社
約40億年という生物の歴史を振り返ってみると
最終的に生き残っている生物は「強い者」ではなかった。
強い者はなぜ滅びてしまうのか?
「強い」とはどういうことか?
生き残るための秘訣は何か?
こんな感じの本です。
そして、本書の最後にはそれまで述べた生物学的な知見から
現代社会の諸問題への提言がされています。
「適者生存ってか。強いか弱いかでなく。」
こんなつぶやきが、私のタイムラインに流れてきました。
「適者」とは具体的にどういうことか?
と考えてみると、驚くほどぼんやりしていることに気づきます。
本書にはズバリと書いてあります。
それが正しいのかどうかは判断つきませんけど。
「進化論」という言葉は耳にしたことがあっても
それがどのような主張なのか私は知りませんでした。
進化論というと、サルっぽいものから
だんだん二足歩行の人に近づいていくなっていく
あの絵がぼんやりと浮かぶぐらいの認識でした。
どうやら私の持っていたイメージは
「進化」の結果であって、進化論ではありませんでした。
本書を手にとったきっかけは
どこかの読書系ブログで紹介だったように思います。
こうした生物関係の知識には、触れたことがなかったので
最初から最後まで、新鮮な驚きと共に読めました。