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- カテゴリ:一般
- 発売日:2009/11/13
- 出版社: 文藝春秋
- サイズ:20cm/322p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-16-371950-4
紙の本
完全なる証明 100万ドルを拒否した天才数学者
世紀の難問「ポアンカレ予想」を証明したロシアの天才数学者ペレルマンは、なぜフィールズ賞を拒否し森へ消えたのか。同時期にソ連で数学のエリート教育をうけたユダヤ人の著者が、ペ...
完全なる証明 100万ドルを拒否した天才数学者
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商品説明
世紀の難問「ポアンカレ予想」を証明したロシアの天才数学者ペレルマンは、なぜフィールズ賞を拒否し森へ消えたのか。同時期にソ連で数学のエリート教育をうけたユダヤ人の著者が、ペレルマンの実像を浮かび上がらせる。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
マーシャ・ガッセン
- 略歴
- 〈マーシャ・ガッセン〉1967年モスクワ生まれ。ジャーナリスト。『US News & World Report』誌の特派員。
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書店員レビュー
数学の超難問として...
ジュンク堂書店岡山店さん
数学の超難問として『ミレニアム懸賞問題』の1つに数えられるポアンカレ予想。ロシアの数学者グレゴリ・ペレルマンがその証明に成功したのは、2003年のことでした。彼はどのようにして世紀の難問の解明に成功したのか……
と、こうして書くと数学に興味のない方には敷居の高い作品のように思われるかもしれませんが、作中に難解な数式は出てきません。
それどころか、ペレルマン本人が直接登場することすらありません。
彼はどのようにしてポアンカレ予想と巡り会ったのか。
どうして問題解明の懸賞金を受け取ろうとしないまま数学界から去ってしまったのか。
1人の天才の謎に迫っていく展開はとてもスリリングで、読み物として極上の味わいがあります。
人の心に明確な解はなく、直接触れるための解法は、もちろんありません。
しかし筆者はペレルマンと同時代を生きた経験を活かし、時代背景を細やかに描写し、ペレルマンと親交のあった人たちの証言を整理することで、天才と呼ばれた数学者の輪郭を丁寧に浮かび上がらせています。
そこに現れたペレルマンという人物に何を思うか――解は1つではありません。
自然科学担当 加藤
紙の本
ソ連時代のもっとも良質な部分で純粋培養された、数学者ペレリマンという生き方
2010/10/29 15:03
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サトケン - この投稿者のレビュー一覧を見る
世紀の難問「ポアンカレ予想」を証明したロシアの天才数学者ペレリマンは、なぜ数学のノーベル賞ともいわれるフィールズ賞受賞と賞金100万ドルを拒否し森へ消えたのか。ほぼ同時期にソ連で数学のエリート教育をうけたユダヤ人の著者が、ペレリマンの実像を浮かび上がらせる。
数学者ペレリマンについては、NHKスペシャル「100年の難問はなぜ解けたのか-天才数学者 失踪の謎-」と「ポアンカレ予想・100年の格闘-数学者はキノコ狩りの夢を見る-」で興味をもったのが最初のキッカケである。NHKの番組では触れられていないが、ペレリマンという明らかにユダヤ系の名字から予想されるとおり、ソ連においてユダヤ系知識人がいかに苦労したかについて本書では詳しく書かれている、しかも著者のガッセン自身がソ連出身のロシア系ユダヤ人という出自をもつ人なので、おなじ時代の空気を吸った人として著者としては最適であろう。著者は現在米国在住である。
世界を解明したいという、学問にとって本質的な欲求にもっとも忠実なのが数学者ではないだろうか。「ポアンカレ予想」については、数学が専門ではない私には、本書の第9章で要約されているいこと以上にはわからないのだが。
最初からカネ儲けが目的の研究であればいざ知らず、純粋数学にかかわる者は理論の証明に人生を賭けているのであって、カネが主目的ではなかったことは十二分に推測できることだ。本書の最後の段階でいきなりでてくる中国人数学者たちの非常に醜い行動から、なおさらペレリマンの姿が崇高に見えてくるのである。
ペレリマンがフィールズ賞の受賞と賞金100万ドルを拒否した件については、私も含めて多くの人が、なにやら痛快で爽快な、一服の清涼剤のようなものを感じるだろうが、当の本人はまったく異なる考えのようだ。著者の推測もその一つの試みであるので、ぜひ一読して確かめてみてほしい。
ペレリマンはユダヤ人ではあるが、なにかしらロシア正教会の隠修士のような趣がある。世俗の評価にはいっさい背を向け、世間との接触をすべて断って引きこもってしまった、まさに隠者(エルミタージュ)のような生き方である。信頼していた数学に失望し、数学にかかわる人間関係に失望した一人の純粋な男。これは、資本主義におけり学問のあり方、つまり学問の本質をカネに換えるということへの嫌悪感の現れでもあるのかもしれない。
ある意味では、ペレリマンは、ソ連時代のもっとも良質な部分を純粋培養したまま、ソ連崩壊後のロシアで生きているともいえるのだろう。本文の記述によれば、父親と妹はイスラエルに移住、本人も米国での研究生活のなかで、米国移住の可能性を検討していたようだが、結局ロシアに戻り母親と一緒に暮らしているという。資本主義社会のど真ん中で生活した経験がカギとなっているのかもしれない。
数学者ペレリマンの生き方とは、学問と資本主義の関係について、もっとも深いところから反省を迫る生き方であるといえようか。ぜひ一読を薦めたい。
紙の本
考えさせられました。
2010/04/30 04:57
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:龍人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
数学者グリゴリー・ペレルマンの話です。浮世離れした数学にまつわる話ですが、学者の世界の大変さが伝わってきます。また、ロシアという国に興味を持ちました。人間の幸せとは人それぞれなんでしょうね。