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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2009.10
- 出版社: 本阿弥書店
- サイズ:21cm/155p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-7768-0655-4
紙の本
赤とんぼ 渥美清句集
さくら幸せにナッテオクレヨ寅次郎 無類の読書家で芝居や映画の「見巧者」だった渥美清にとって、俳句は唯一とも言える趣味だった。尾崎放哉や山頭火を髣髴とさせる自由律の全223...
赤とんぼ 渥美清句集
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商品説明
さくら幸せにナッテオクレヨ寅次郎 無類の読書家で芝居や映画の「見巧者」だった渥美清にとって、俳句は唯一とも言える趣味だった。尾崎放哉や山頭火を髣髴とさせる自由律の全223句を、参加した句会別に時系列で掲載。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
渥美 清
- 略歴
- 〈渥美清〉1928〜96年。東京生まれ。東京市立志村国民学校高等科卒業。映画「男はつらいよ」では寅次郎役で48作主演。45歳で「話の特集句会」入会。紫綬褒章受章。96年9月、国民栄誉賞受賞。
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紙の本
寅次郎、渥美清の夢
2009/11/05 07:26
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
俳優、渥美清さんが亡くなって、もう十三年経ちました。歳月の早さに驚きます。
まして、昨年固まった休暇がとれて、渥美さん演じる、映画『男はつらいよ』シリーズ四十八作を立て続けに観ていた身にとっては、信じられないような時間に思われます。
シリーズ第一作が昭和四四年(1969年)で、最後の作品『寅次郎 ハイビスカスの花』が平成七年(1995年)ですから、渥美さんは二十六年に亘って、あの憎めない風来坊である車寅次郎という人物を演じ続けたことになります。そのことを思えば、今、渥美さんの死からの年数はまだ半分。いかに寅さんとしての、渥美清という俳優の役どころが長かったことがわかります。
ただ渥美さんにとって、あの車寅次郎はきつい役だったと推測します。特にあの映画が国民的な人気シリーズになってからは、他のどんな役を演じても、寅次郎に見えてしまうというつらさはあったと思います。渥美清は『男はつらいよ』の寅さんだけでは終わりたくなかったのではないでしょうか。
生前、渥美さんが「風天」という俳号で句作をおこなっていたことはよく知られていますが、もしかすると句作をすることで、寅さんではない自分自身を取り返そうとしていたのかもしれません。
本書は、そんな渥美清さんが詠んだ俳句を年代順に編んだ句集です。
読み手としては「さくら幸せにナッテオクレヨ寅次郎」(昭和四八年)のような句にどうしても惹かれがちですが、俳句の出来としてはやはり後半になるにつれ、形が整ってくるのがよくわかります。
特に初期の頃は自由律(十七字、季題の有無にとらわれない句の形式)の句が目立ちますが、後半は堂々と俳句表現を存分に楽しんでいるのがわかります。
本書の書名となった「赤とんぼじっとしたまま明日どうする」は、平成三年の時の句ですが、「乱歩読む窓のガラスに蝸牛」「あと少しなのに本閉じる花冷え」など一人静かに本を読んでいた俳優の秀句が光ります。
俳優、渥美清さんは俳諧の異端児山頭火や尾崎放哉を演じたかったといいます。
渥美さんは彼らの姿に何を見ていたのでしょうか。それこそ、寅さんとはまったくちがう、故郷をもたない人の哀しみだったのかもしれません。
◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でご覧いただけます。