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商品説明
結城中佐率いる“D機関”の暗躍の陰で、もう一つの秘密諜報組織“風機関”が設立された。だが、同じカードは二枚も要らない。どちらかがスペアだ。D機関の追い落としを謀る風機関に対して、結城中佐が放った驚愕の一手とは—。表題作「ダブル・ジョーカー」ほか、“魔術師”のコードネームで伝説となったスパイ時代の結城を描く「柩」など、5編を収録。吉川英治文学新人賞&日本推理作家協会賞W受賞の超話題作『ジョーカー・ゲーム』シリーズ第2弾、早くも登場。【「BOOK」データベースの商品解説】
結城中佐率いるD機関の陰で、もう一つの秘密諜報組織・風機関が設立された。D機関の追い落としを謀る風機関に対して、結城が放った一手とは? 「ジョーカー・ゲーム」シリーズ第2弾。『野性時代』掲載等をまとめ単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
ダブル・ジョーカー | 5−55 | |
---|---|---|
蝿の王 | 57−103 | |
仏印作戦 | 105−154 |
著者紹介
柳 広司
- 略歴
- 〈柳広司〉1967年三重県生まれ。神戸大学法学部卒。2001年「黄金の灰」でデビュー。「贋作『坊っちゃん』殺人事件」で第12回朝日新人文学賞受賞。他の著書に「ジョーカー・ゲーム」など。
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紙の本
読み終えるのがもったいない!
2009/11/12 22:53
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カフェイン中毒 - この投稿者のレビュー一覧を見る
スパイものというのは、なぜこうも魅惑的なのでしょうか。
諜報部員が活躍する作品に心奪われたことが、過去にいったい何度あることやら。
あ、でも『007』は別です、ごめんなさい。
もちろん嫌いじゃないけど、あれは私の惹かれるスパイものとは別種なのです。
ゾルゲなんて聞いただけで、なにやらもうゾクゾクしてしまうのは、
スパイ稼業から匂いたつ、究極の秘密性のためでしょうか。
話題になった『ジョーカー・ゲーム』の続編です。
前作について、派手さはない代わりに禁欲的で美しいと書きましたが、
今作もまさにそのトーンを貫いています。
日本帝国陸軍の秘密諜報員養成所“D機関”を率いる結城中佐。
彼に選ばれ鍛えられたスパイたちの、各国での活躍が5篇収められています。
“D機関”を追い落として、自分が組織した諜報部を後釜にと目論む男の失敗。
理想に燃え諜報活動をしていた男の、自らも知らなかった心の暗部。
語り部から見る“D機関”の活躍あり、スパイ本人が語る冒険譚ありで、とてもスリリングです。
なかでも、“魔術師”というコードネームで活躍した、現役時代の結城中佐の物語は、
彼の伝説的なエピソードを縦糸に、その後のドイツでの列車事故を横糸にして、
とても魅力的に織りあがっています。
不慮の事故に対する諜報員の動き、そのわずかな隙をついてスパイ狩りをしようとする輩。
スパイにとっての失敗とは、どういうことなのか(何をもたらすのか)。
非情な世界にも、あってくれればと願う信頼関係について。
もちろん実際の諜報の世界は知りませんが、物語に求めるある種のドラマを、
過剰な演出は用意せずに、しかし堪能できるよう描かれている、そんな気がします。
“D機関”誕生のエピソードにページが割かれた前作に比べ、
スパイたちの活躍を思う存分楽しめる5篇です。
すべての物語がとても静かな印象なのに、どんどん興奮してしまう。
ついに私のお気に入りスパイものシリーズの、上位に食い込んできてしまいました。
紙の本
日本のスパイも、なかなかやるもんだぜ。
2009/09/05 07:44
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
太平洋戦争へと突入していく不穏な時代。日本陸軍に秘密諜報員養成機関として設立された、通称“D機関”の活躍を描いた短編集。
シリーズ前作『ジョーカー・ゲーム』を読まずにこちらから手にとってみたのですが、身を潜めて活動するスパイたちの、「おぬし、出来るな」とでもいった異才、異能を発揮する姿が印象的でしたね。とりわけ、D機関を率いる“魔王”こと結城中佐の、出来る奴らのなかでも抜群に“出来る”才能、凄みを秘めたキャラに惹かれました。
大日本帝国陸軍内の新たな諜報機関、風戸(かざと)率いる通称“風機関”と、既存の諜報機関“D機関”との暗闘、食うか食われるかの争いを描いた表題作・・・・・・「ダブル・ジョーカー」
陸軍軍医の脇坂が、慰問団の中に紛れ込んでいるスパイ・ハンター、暗号名「笑わぬ男」は誰なのか、その正体を突き止めようとする・・・・・・「蠅の王」
フランス領インドシナこと仏印のハノイに派遣された通信士・高林が、暗号電文がらみのトラブルに巻き込まれる・・・・・・「仏印作戦」
ベルリン郊外で起きた列車事故を機に、ドイツ情報部で伝説となっている日本のスパイ“魔術師”の影が、二十二年の時を経て浮かび上がる・・・・・・「柩(ひつぎ)」
アメリカ西海岸のロサンゼルス。バードウォッチングを楽しむ日本人、仲根が目撃した出来事。一見平凡なその光景の裏側に、スパイ同士の非情な戦いが隠されていた・・・・・・「ブラックバード」
五つの短編のなかでは、「柩」と「ブラックバード」がスリリングで面白かった。なかでも、前者「柩」に出てくる若き日の結城中佐の活躍が印象深く、前作『ジョーカー・ゲーム』ならびに霜月かよ子が描く漫画『Dの魔王』も読んでみたくなりました。
紙の本
前作に引き続き娯楽路線をばく進。最後は少しズレが発生。
2018/11/08 22:22
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作であるジョーカーゲームと同様、五編の短編集だ。
一編あたりの枚数が五十ページ前後に揃っているのは、
文芸誌で連載するためのものだろう。読みやすい。
「ダブル・ジョーカー」「蝿の王」「仏印作戦」「柩」「ブラックバード」の
五編からなる。
舞台は第二次世界大戦前の帝国陸軍。
魔王と呼ばれる結城中佐が率いるD機関が活躍する物語だ。
D機関はスパイ養成所。
スパイの格好良さ、クールさに焦点を当てている。
登場人物そのものの魅力とスパイの超人的なトリックが見どころだ。
人物像の内面に迫るような話ではなく、前作同様、徹底的に
エンターテインメントに振っている。
文学的なものは期待できないが、突き抜けるほど面白さに
割り切っていて、中途半端でないところが潔い。
本作はD機関に対抗する勢力の話や、結城中佐が
現役スパイだった頃のエピソードもあったり等、
世界が広がった感じがする。
私は表題作のダブル・ジョーカーが一番気に入った。
帝国陸軍の中で鬼子であるD機関に対抗しようとする話だ。
プロフェッショナルを貫くD機関と、昔の悪のスパイ組織の
見本のような風機関。単純明快だ。
惜しむらくは、最後の二編で若干崩れてしまっている点だ。
D機関の神秘性を追求するあまり、読者の目にまで見えなくなって、
独りよがり的な感じが強くなっている。
次作のパラダイス・ロストが原点に戻っていることを期待している。
とにかくシンプルな娯楽小説なので、そういう気持ちで接すれば
大いに楽しめると思う。
面白いので第三部に進むことにする。