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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2009/09/18
  • 出版社: 講談社
  • サイズ:20cm/348p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-06-215771-1

紙の本

新参者 (加賀恭一郎シリーズ)

著者 東野 圭吾 (著)

日本橋。江戸の匂いも残るこの町の一角で発見された、ひとり暮らしの四十代女性の絞殺死体。「どうして、あんなにいい人が…」周囲がこう声を重ねる彼女の身に何が起きていたのか。着...

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新参者 (加賀恭一郎シリーズ)

税込 1,760 16pt

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商品説明

日本橋。江戸の匂いも残るこの町の一角で発見された、ひとり暮らしの四十代女性の絞殺死体。「どうして、あんなにいい人が…」周囲がこう声を重ねる彼女の身に何が起きていたのか。着任したばかりの刑事・加賀恭一郎は、事件の謎を解き明かすため、未知の土地を歩き回る。【「BOOK」データベースの商品解説】

江戸の匂いも残る日本橋の一角で発見された、ひとり暮らしの40代女性の絞殺死体。彼女に何が起きていたのか。着任したばかりの刑事・加賀恭一郎は、謎を解き明かすため、未知の土地を歩き回る。『小説現代』掲載を書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】

立ちはだかるのは、人情という名の九つの謎日本橋の片隅で発見された四十代女性の絞殺死体。
「なぜ、あんなにいい人が」と周囲は声を重ねる。
着任したばかりの刑事・加賀恭一郎は、未知の土地を歩き回る。
加賀恭一郎シリーズ【商品解説】

著者紹介

東野 圭吾

略歴
〈東野圭吾〉1958年大阪府生まれ。「放課後」で江戸川乱歩賞、「秘密」で日本推理作家協会賞、「容疑者Xの献身」で直木賞を受賞。

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みんなのレビュー866件

みんなの評価4.2

評価内訳

紙の本

新参者をさがして

2009/11/26 01:25

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ロンタス - この投稿者のレビュー一覧を見る

日本橋の子伝馬町で、一人暮らしの45歳の女性が殺害されました。女性の評判は良く、友人らも殺害理由に心当たりはありません。加賀恭一郎は犯人の手がかりをさがすため、江戸情緒の残る人形町で、捜査をはじめます。
「煎餅屋」に「料亭」、「瀬戸物屋」、「洋菓子屋」などいろいろな店で聞き込みをし、謎の多かった被害者のことが少しずつわかっていきます。そして、また容疑者達のことも、、、

この本の面白いところは、舞台が、古き良き日本文化の残る人形町で繰り広げられるところです。人形町の人々が複雑に絡み合い、一見無関係とも思われる事件の遺留品につながっていきます。また題名の『新参者』、どんな意味があるのだろう?と思わず考えてしまいました。

一章一章が短く、比較的早く読み終わりましたが、気づかなかった伏線を探しながら、もう一度隅々まで読んでみたい本です。とてもおもしろかったです!

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紙の本

人と人との関係、つながりを軸に描き出された、最高のミステリ作品。ミステリ敬遠者にもおすすめします。

2009/11/04 05:39

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:月乃春水 - この投稿者のレビュー一覧を見る

特にものすごいミステリファンでも、東野圭吾作品をすべて読破しているわけでもありません。刑事・加賀恭一郎流に言うなら、いわば「新参者」であるわたしが言うのもなんですが、これまで読んだミステリの中でも、いちばん好きです。ベストな作品です。

江戸の匂いも残る日本橋。この町の一角でひとり暮らしの女性が絞殺された。着任したばかりの所轄の刑事、加賀恭一郎が事件の謎を解き明かすため、付近を歩き回る。そこで出会う人たちが章立てになっています。
様々な人間の思い、ことば、人と人との関係。それぞれが絡み合い、ドラマを見せてくれます。じんとしてしまうのは、そこなのです。

人形町にある煎餅屋の『あまから』の娘、菜穂。母の代わりとなって育ててきた祖母、聡子は危篤状態になり、退院したばかり。入院給付金支払いの手続きのために、診断書を取りに保険外交員の田倉が訪ねてくる。嫌疑のかかった田倉は、警察に正直にアリバイを話さなかった。(第一章 煎餅屋の娘)

料亭『まつ矢』の小僧、修平は主人の泰治にたびたび頼まれることがある。誰にも内緒だぞ、と念を押され、人形焼を十個買うのだ。餡入りが七、なしが三。その人形焼が被害者宅で見つかった。ひとつは、なぜかワサビ入りだった。(第二章 料亭の小僧)

嫁姑問題でもめている最中の瀬戸物屋『柳沢商店』。被害者の三井峯子はこの店を時折訪れていた。誰かにプレゼントするため、箸を注文。品物はまだ届いていない。峯子は嫁の麻紀にメールを送っていた。頼まれたものを買っていたのだ。被害者宅では、江戸時代から続いている刃物専門店『ききみや』で購入し、包まれたままのキッチンバサミがみつかっている。(第三章 瀬戸物屋の嫁)

『寺田屋時計店』にはがんこな店主、玄一と妻の志磨子、ひとりの職人がいる。ひとり娘の香苗は高校卒業と同時に駆け落ち。柴犬、ドン吉をいつも夕方に散歩に連れて行くのは、娘を許していない玄一だった。散歩の途中で玄一は、被害者とときどき顔をあわせていた。事件当日、三井峯子と会った公園を加賀は何度も確認する。(第四章 時計屋の犬)

洋菓子屋『クアトロ』で閉店時間間際にやってきた常連の女性客。きょうは買いたいと思っていたゼリーが売り切れ。どうしようかと言っているときに女性の携帯電話が鳴る。

小さな劇団で舞台セットを汗だくで固定している清瀬弘毅のもとに、父親の直弘から電話が入る。峯子…母親が殺された、と。弘毅は大学を中退して家を飛び出して以来、母とは二年間会っていなかった。その後、両親は離婚している。
浅草橋に恋人の亜美と住む弘毅は、遺体が見つかった現場まで行き、そこで加賀に会う。母が小伝馬町に引っ越してきた理由は、自分とは関係ない、単なる偶然だと弘毅は話すが、そうではなかった。(第五章 洋菓子屋の店員)

事件当日、三井峯子の部屋を訪ねる約束をしていた吉岡多美子。約束の時間を変更してくれと電話をしていた。ふたりは大学時代からの友人で、峯子が離婚を考えたとき、翻訳の仕事を手伝って、と頼み、「翻訳家として独り立ち出来るまで私が面倒を見てあげる」と言っていたのだった。ところが、多美子はプロポーズされ、ロンドンに行く話が持ち上がり、二人の友情がぐらつきはじめる。
峯子の部屋を訪れ、床で倒れている姿を発見、通報した多美子は、自分とてつもなく大きな過ちを犯したと、悲しみと後悔と自責の念に苦しんでいる。
後日、加賀と多美子は『柳沢商店』に向かい、峯子が誰かにプレゼントするはずだった箸を手にとって見る。(第六章 翻訳家の友)

峯子が馴染みのない小伝馬町で暮らすようになったのは、重大な意味があったと知った清瀬弘毅は、せめて母が死の直前まで何を考え、どんなふうに生活していたのかくらいは知っておきたいと思う。峯子は離婚の際、弁護士を間に立て、その人物とは時折メールのやり取りをしていたという。弘毅は弁護士に会いに行く。

直弘は清掃会社を興して二十七年になる。大学の一年後輩の岸田に財務全般を管理してもらっている。これまで口出しは一切してこなかった岸田だが、行きつけのクラブでホステスをしていた女性を社長秘書にしたのだけは露骨過ぎる、と忠告しているが、直弘は意に介さない。

弘毅は社長秘書の宮本祐理を呼びとめ、父との関係を単刀直入に訊く。警察が父を犯人ではないかと疑っている、自分も父親をあまり信用していない、という弘毅に、祐理は、ほんとうのことを知ってもらうしかない、ときっぱり言い放つ。(第七章 清掃屋の社長)

藤山雅代は人形町に民芸品屋『ほおづき屋』を出して二十四年。加賀は独楽を買った人を探しているというが、最近売れたのは、事件が起きた後だった。

岸田玲子と5歳の息子のところへ義父の要作が訪ねて来る。後日、玲子が銀座での買い物から帰ってきたところへ、刑事が再び訪ねて来て、義父が来た日の様子を詳しく話してくれという。玲子はその日の夜、殺人事件があったと知り驚く。加賀は岸田が孫に独楽を持って来た日を確認する。(第八章 民芸品屋の客)

日本橋署の刑事、上杉博史は、今回の捜査はなんだかおかしい、とぼんやりと思っている。有力な手がかりが得られないまま、容疑者をリストアップすることさえ難しい状況だった。事件発覚時には不可解とされていた問題がいくつか解決されているが、「関係ないことが判明した」と説明されただけ。
ある人物の元へ向かう上杉に、加賀が自分も一緒に行っていいか、と声をかける。

後日、加賀は上杉を浅草橋の劇団の稽古場に連れて行く。次は、小伝馬町にある洋菓子屋へ。加賀は、順を追って話し始める。(第九章 日本橋の刑事)

このように、人と人とのつながりを軸に描かれているのが特徴です。
ちょっとした偶然や誤解、見逃しが、人を事件に巻き込んでしまう…そんな恐ろしさが底辺にはあるものの、人と人との関係を丁寧に描き出しているのは、従来のミステリ作品との違いで、大きな救いになっているのではないかと思えます。

事件の第一発見者で、被害者の友人の吉岡多美子に、ひとつの謎解きを見せたあとの加賀と多美子のやりとりが、とてもいいので、ご紹介します。

「加賀さん、事件の捜査をしていたんじゃなかったんですか」

「捜査もしていますよ、もちろん。でも、刑事の仕事はそれだけじゃない。事件によって心が傷つけられた人がいるのなら、その人だって被害者だ。そういう被害者を救う手立てを探しだすのも、刑事の役目です」

このミステリはNo.1。最高の作品、とミステリを敬遠している人にもぜひ、おすすめします。


個人ブログ□□本のこと あれこれ□□

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紙の本

長期間をかけてできあがった作品

2010/05/02 07:04

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る

新参者 東野圭吾 講談社

 第1章から第9章まであります。最初は、各章が独立した短編集だと思って読み始めました。第4章まで読んで、そうではなく、各章が関連している長編だといくことに気づき、あわてて第1章に戻り、登場人物の相関図を紙に落とし始めました。各章の発表年は、2004年8月から始まり、2009年7月に完結を迎えています。5年間という長期間の製作に驚嘆(きょうたん)しました。
 6月10日午後8時頃、ひとり暮らし45歳の三井峯子さんが絞殺されます。舞台は東京の人形町です。行ったことはありませんが、本書中に江戸時代の趣(おもむき)を残す人情味が厚い商店街であることが最初から最後まで詳しく綴られています。
 読み始めに、「加賀恭一郎」という刑事の名前に覚えがあることに気づきました。同作者の作品「赤い指」に登場していた人物です。「赤い指」もこの作品も同一趣向の内容となっています。最初は、人間が動く基準は欲望だけなのかと絶望的な気持ちになります。そこからどんでん返しがあるのですが、それはあまりにも美しすぎる。気持ちが引きます。ただ今回の場合は、三井さんの死について、家族や知人たちが、それぞれ重い責任を感じていることについては納得します。
 読み手の犯人探しについて少し書きます。だれが妊娠しているのか、人間なのか、それとも犬なのかまで勘ぐりました。殺人犯人が、別れた夫では推理小説になりません。320ページで、加賀刑事がすべての独楽(こま)を買い占めた理由がわかり、そういうことなのかと虚を突かれました。さすがです。
 捜査途上において、上杉刑事と加賀刑事のコンビがしっくりいかないところは、現実の職場でのリアルな人間関係が表れています。警察以外でも、こういうことで、あたりまえのことがあたりまえに進まないことがままあります。そして、親として、こどもにどう対応していくべきかという命題はとてもむずかしい。子育ては失敗ばかりです。

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紙の本

「13」よりかなり好かったです・・・。

2009/10/03 21:55

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:イニエスタは凄い! - この投稿者のレビュー一覧を見る

「秘密」と「白夜行」は、★★★★★★。
これは、★★★★です。
ちなみに、近々映画化される「さまよう刃」は、★5個。表現に困ってしまう力作だと思います。
もちろん、個人の好みの問題なので、一概には言えませんが…。

ネタばれにならないように書評を書くのは厳しい面が多いのですが、これからこの本を読もうとしている方、もしくはどうしようか迷っている方に言えるのは、1960・70年代ならともかく、2009年の世知辛い世の中に生きている我々にとっては非常に有難い、心温まる部分もある極めて日本的な日本人にしか理解出来ない快作だと言う事です。

書籍代は決して高くないと思います!

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紙の本

いいね

2013/07/02 22:55

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ゆみぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る

日本橋の 風景や そこに暮らす人びとと そこに 溶け込もうとする 加賀刑事。
素晴らしい 作品でした。日本橋に 行きたくなります。

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紙の本

カバーほど斬新な内容ではありません。東野にとっては新しい試みなのかもしれませんが、私としては同じような話を他の作家で読んでいるので、驚きもしない。とはいえ、良くできた展開で、これでもっとユーモアがあれば、と思うんですが、そうするともっとほかの作家に近くなってしまいます。難しいですねえ、実力のある作家の新展開って・・・

2010/03/15 19:45

10人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

面白い表紙だなあ、って思って注を見たら、装幀 岡孝治、はともかく、カバー抽象画 大場玲子、ってあるのを見て。これは何だ?
って思いました。カバー抽象画? だって具象ジャン・・・で、二日間考えました。じっとカバー表の右側にある町の風景を見つめます。む、これってもしかして写真? そういう目で見つめると、どうもカバー後の町の光景も写真のような気が・・・

ていうことは、大場玲子の抽象画っていうのは、この町の上空にある蒼い丸とそれを繋ぐ墨らしきもので描かれた波のようなもののこと? じゃあ、写真は誰が撮ったの? なんて思うんですね。面白いというか斬新なデザインだけに、同じ表記するならそこまで書いておいて欲しかったな、とブツブツ・・・

で、早速、内容。タイトルにある新参者、っていうのが日本橋警察署に着任したばかりの刑事・加賀恭一郎です。はっきりいえば、この小説の全てが加賀一人の造型にかかっていて、それは確かに成功しています。そのかわり、他の登場人物は全て類型的。無論、みんな裏の顔を持っているという点では一筋縄で行くような連中ではありませんが、さほど面白くはありません。ということで各話について触れましょう。

目次

第一章 煎餅屋の娘(小説現代2004年8月号):美容学校に通う菜穂の母親は小学校に入る前に交通事故で亡くなった。以来、父親・文孝と祖母の聡子との三人暮らし。煎餅屋『あまから』の店を任されている聡子の入院給付金のことで家に来ていた生命保険会社の人の話を聞きにきたのが・・・

第二章 料亭の小僧(小説現代2005年6月号):人形町の料亭『まつ矢』で働く17歳の修平は、女将の頼子のことを尊敬している。そして、仕事中に彼に人形焼を買いに行かせる主人の泰治のことが、少し鬱陶しい。頼子に呼ばれて『檜の間』に向かった彼を待っていたのは・・・

第三章 瀬戸物屋の嫁(小説現代2005年10月号):瀬戸物屋『柳沢商店』では、店先でも裏でも義母・鈴江と嫁・麻紀とのあいだで言い争いが絶えない。間に立つ尚哉は黙って二人の話を聞くばかり。元キャバクラ嬢というだけで嫁を毛嫌いする母もだが、決して主張を曲げない妻も凄い。そんな麻紀のところに・・・

第四章 時計屋の犬(小説現代2008年1月号):『寺田時計店』の主・寺田玄一は時計の修繕にかけては一流の腕を持つ。そんな主人から影文はいつも叱られている。そんなところに現われた男が、玄一に訊ねたのは、彼が犬の散歩に行っているときに何度か出会った女性のこと・・・

第五章 洋菓子屋の店員(小説現代2008年8月号):洋菓子店『クアトロ』に週に二、三回顔を出してはそこでケーキなどを食べていく女性、でも今日はお目当てのものがなかったのか、携帯に電話がはいったせいか、美雪と少し会話を交わしただけで帰ってしまった。そして、清瀬弘毅のところに父親から電話があって離婚した母が・・・

第六章 翻訳家の友(小説現代2009年2月号):翻訳家の吉岡多美子は亡くなった峯子のことが気になって仕方がない。大学時代からの友だちだった峯子は、大学を出てすぐ結婚したのが不満らしく、いつも不満ばかり言っていた。そんな彼女に翻訳の仕事を紹介したら、彼女はとうとう離婚して・・・

第七章 清掃屋の社長(小説現代2009年5月号):主役に抜擢された清瀬弘毅は、母親のことが気になって役になりきれない。事情を良く知る演出家の勧めで役を降りた弘毅が向かったのは、母親が離婚の時に世話になったという弁護士のところ。一方、父親の』直弘は経営する清掃会社のことで長い付き合いの税理士から・・・

第八章 民芸品屋の客(小説現代2009年6月号):実家が日本橋で呉服屋を営んでいる雅代が人形町に伝統工芸の店『ほおづき屋』を出して24年。いい商品を集め、それが認められてなんとかやってきた彼女の前に現われた男は、最近、独楽を買った人間がいないか聞いた後、急に・・・

第九章 日本橋の刑事(小説現代2009年7月号):上杉博史は練馬署から日本橋警察署に移ってきたばかりの刑事について、鋭い洞察力を駆使して、いくつもの殺人事件を解決に導いた、またかつては剣道で全日本を制したこともある、と聞かされていた。しかし、実際の男はどこか飄々として、そんな気配が感じられない・・・

で、これを出版社のHPがどう宣伝しているかというと
              *
もう、彼女は語れない。彼が伝える、その優しさを。悲しみを、喜びを。
日本橋の一角でひとり暮らしの女性が絞殺された。着任したての刑事・加賀恭一郎の前に立ちはだかるのは、人情という名の謎。

舞台は、日本橋。江戸の匂いも残るこの町の一角で発見された、ひとり暮らしの40代女性の絞殺死体。「どうして、あんなにいい人が……」周囲がこう声を重ねる彼女の身に何が起きていたのか。着任したばかりの刑事・加賀恭一郎は、事件の謎を解き明かすため、未知の土地を歩き回る。

「こんなことが出来ればと思った。でも出来るとは思わなかった」――東野圭吾
              *
となります。最近、東野の小説を敬遠してきたせいで、彼の作風の傾向がわからないのですが、これって雰囲気が西澤保彦に近い感じがするんです。なんていうか全体を包む柔らかさ。これをもっと文体で先鋭化していくと伊坂幸太郎になるんでしょうが、なんていうか全てをウロボロス的に円環させて楽しむ、っていう伊坂流ケレンはない。

ま、そこに東野に特徴的な人間への視線を見ることができるんですが、私はどうもその優しさが苦手です。なんていうか正論! っていうのが鬱陶しい。無論、殺人者の更生を描くようなウザさはないんですが、もっと人間ていい加減で、嘘つきで、不器用で下品で、馬鹿で、それでも愛しいというか・・・

私はそれを一言でユーモア、で括ってしまうんですが、東野にはこれが不足しているかな、でも漸くそちらに目を向けたかな、なんて思うんです。無論、以前の作品に『毒笑小説』っていう、タイトルからはブラックユーモアとしか思えない作品があることを承知してはいますが、なにせ未読なもので言いにくい・・・

最後に帯のことばをタイポグラフィックに再現してみましょう。

日本橋の一角で
ひとり暮らしの女性が
絞殺された。
着任したての刑事
加賀恭一郎の前に
立ちはだかるのは、
人情という名の謎。

もう、
 彼女は
  語れない。
 彼が伝える、
その優しさを。
 悲しみを、
喜びを。

以上です。

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「悪意」は何処へ?

2011/09/16 10:21

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:koo± - この投稿者のレビュー一覧を見る

東京の下町を舞台にした人情味あふれる短編ミステリ集。阿部寛主演でドラマ化もされているのでなじみの方も多い筈。主役はおなじみの加賀恭一郎。加賀モノで短編とは珍しい。つうか阿部ちゃんが加賀ねぇ……。

各章ホロリとさせてくれる結末。こういうのなんかいいね。古き良き世直し時代劇っぽい。浅田次郎がミステリ書くとこんな感じだったりして。

一話完結かと思いきや、各々の事件は絶妙に繋がっている。主軸は女性翻訳家の絞殺事件。そして意外な真犯人。何気ないドラマを繋ぎ合わせ、ある下町らしいアイテムから謎を氷解させる加賀の推理が冴え渡る。地味だけど正統派の論理性。案外いまどき希少で貴重。好きです。

共通テーマは親子愛。「赤い指」もそうだが最近の加賀シリーズはこのテーマに傾倒している。東野さんも良い意味で年を取ったということだろう。

しかし最近なんか変わったな加賀のイメージ。本著ではそのまんま阿部ちゃんだったのには苦笑。先日読んだ「アマルフィ」の黒田みたいに事前にタイアップ決まってたのかな? 昔の斜に構えた影のある感じが私的には好きなんだけど。あまり露骨な人情路線には走って欲しくないってのがファン心理。

構成も巧みだし主役・脇役問わずキャラも魅力的。まさにベストセラー作家の手練。あえて苦言を述べれば、連作短編の宿命か読み応えが少々薄いのが難。東野作品ってけっこう何時までも心に後引くのだが、なんか今回のは早々に記憶から薄れそうな予感。昔に比べ登場人物が一様に善人になってしまったのも要因かも。かつての東野ワールドにドロリと渦巻いていた「悪意」は何処へ?

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う~ん・・・加賀恭一郎って???

2009/11/21 18:18

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:とら子 - この投稿者のレビュー一覧を見る

短編になっているので、読みやすいとは思いますが、
加賀恭一郎を仏陀かマザーテレサのように書きすぎの感が…。
これまでの加賀恭一郎とちょっと違っているような…。
こう思うのは私だけでしょうか。

ちょっと「悼む人」を思い出す作品でした。

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阿部寛が似合う男

2015/03/26 09:44

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:september - この投稿者のレビュー一覧を見る

読後に「加賀シリーズ全部読むなこれは。」と、うならせた1冊。 たしかに阿部寛にピッタリかも(笑)

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2009/09/08 03:09

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2009/09/19 23:08

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2009/09/21 23:29

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2009/09/24 16:46

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2009/10/13 22:44

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2009/09/30 21:59

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