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産婦人科だけでなく、現在の医療の持つ問題点が医師の視点で、書かれています。
患者からすれば、非日常である医療だが、医療現場の医師や看護師達にとっては、日常であり、その部分の認識の違いがこの問題の根本ではないか
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テレビドラマを見ていて、「原作もそうなのだろうか?」と疑問を持ち、本書を手にとりました。
いやはや、全然違いますね。
登場人物の人間性も、医療に対する責任も、医療従事の過酷さも、医療の難しさも、この本のほうがずっと強く感じることができます。
何よりも作者の信念を強く感じる。
テレビドラマはとっかかりとしてはアレでいいのかもしれないけど、合わせてこの本も読ませないと全く意味がないでしょうね。
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産科医療保障制度ってよくわからない!と思っていましたがこんなバックグラウンドがあったんですね。
岡井崇先生は本当にすごいなぁと思いました。
妊娠や分娩って本当にリスクとの背中合わせです。
このことって一度経験すると心に根強く残ることだと思いますが、
大抵の妊産褥婦さんはこのことに気付いてないのかもしれないし自分には関係ない!と思ってるかもしれません。
誰にでも起こりうるものなんだと思っておいてほしいです。
少子高齢と叫ばれる中で医療従事者の確保はいつまで経っても課題の1つなんだろうなぁ…。
医療用語や法律用語は少し難しいけれどそれでもたくさんの方に読んでほしい作品の一つです。
患者さんからの「ありがとう」という言葉に何度も励まされます。
こちらの方こそありがとうございます。
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ストーリーとしては途中までは面白いと思う。けど、どんどん産科医の窮状を訴えているとしか思えないようなセリフだったりが増えて閉口。
けれど、医療問題は日本として考えていかなければならない問題だし、ぜんぜん医療に素人の私には「こんな問題があるのか」って知ることはできた。
でもーーー、こんな風にあからさまに書くっていうのはなーーー。
最後の那智への電報とか、いらないしょ。読んで無いけど。
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柊奈智は大学病院勤務の産婦人科医だ。
過酷な労働条件ではあるが、生命の誕生という感動の瞬間に
立ち会え、患者から感謝される今の仕事に誇りをもっている。
ある日、奈智が当直をしているとき
入院患者の美和子の容態が急変し奈智の判断で緊急の
帝王切開手術を行った。
子どもは無事に生を受けたが、術後の美和子の容態が
思わしくなく、出血をくり返し、医師達の懸命の治療
もむなしく美和子は帰らぬ人となった。
患者を救えなかった奈智はショックを受けるが、その
出来事について奈智の判断に誤りがあったモノとして
医療訴訟が起こされた。
奈智は裁判所で証人として証言を求められた席で
原告代理人の弁護士からヒドイ言葉を投げつけられた。
いくら患者に親身に尽くしても一歩間違えば訴訟を
起こされる。奈智は訴訟を起こされる恐怖から
産婦人科という仕事に熱意がもてなくなった。
☆
現代の医療制度の不備や医療政策の遅れ等に
重点をおいて書かれています。
物語の最後に手紙形式で書かれている文が
この物語で言いたかったことの全てが記載されています。
患者は最高の技術者から手術を受けたいと思う。
しかし後身を育てるために技術に応じた若手の術者が
手術を行うコトは常道である。
この本に書かれている事故は医療ミスではなく
「医師の力不足」であった。
これは医者なら誰しもが経験するコトだと思う。
医師に限らず、誰しも経験を積んで育ってゆく。
力不足を医療事故ととらえられたら
誰もが手術を行うことが出来なくなる。
過酷な医療現場と法整備の遅れ・・
そういうコトがテーマになっていました。
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ドラマで大好きになり、本も手に取った。
変わらず面白い。一気に読了。
奈智の人間ドラマが好きなので、徳本さんの問題だけでなくもっと日々のドラマを見たいという気持ちが、ドラマでも本でもあったのだが、本を読んで、それは著者の「産科医療を変えたい!」という強い思いが表れた結果ということがよく分かった。
元々産科医療には興味が強いのだが、どちらかというと私は自然なお産派。無理な医療介入にも否定的だったが、この本を読んで、改めて「正常なお産がすべてではない」ということを思い知らされた。
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主人公の奈智、さいごはどうなることかと思いましたが
全部が解決して(医療制度以外)、読後感はすっきりでした。
産婦人科や医療訴訟の現状、医師と患者の本来あるべき関係、
インフォームド・コンセントとムンテラの違い
などほかにもたくさん学ぶことがありました。
永遠に続きそうな医療談義には私も熱くなりました。
大学病院はただマイナスイメージばっかり持ってたけど、
本来は医療従事者にとっての学びの場でもあるということを
再認識しました。
この小説の病棟は医師も看護師も助産師も
みんなが患者を必ず助ける、
良いお産をするなど、とことん良い医療をしようという熱意に溢れていて、
激務の中でも一緒に働く仲間をすごく大事にしていました。
上の者は下の者に目をかけ丁寧に指導し、
下の者は上の者を尊敬してそれを目指して努力し、
同期はお互いを高め合える関係でした。
これがお手本だと思いました。
そこかしこに心に留めておきたい言葉があります。
付箋貼ってたらすごいことになりました
最後の最後に、何ページにもおよび手紙を奈智に送った人物が
わかった時にはやられました。
一度は前の自分をなくしてしまった奈智ですが、
それを取り戻した今、さらにグレードアップした、
患者さんが安心できる医師になってるんやろなぁ。
私もそんな、部屋に行った瞬間患者さんの顔が綻びるような
看護師になりたいです。
ちなみにイメージソングは
LIBERAのI am the dayです。
生命の誕生の神秘さを感じさせるなぁと思ったからです。
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専門用語が多くてちょっと大変ですが、産婦人科の厳しい現状を読者に訴えようとされているのがわかります。希望もありますが、正直、出産がこわくなりました。
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『ノーフォールト』の意味の1つは『あなたのせいじゃない』だそうです。
現代医療は進歩していて救える命が増えたのかもしれないけれど医療に絶対的なものは存在しない。
1つしかない命に人間は必死になる
妊婦は自分1人だけの命じゃないから
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下巻は産婦人科医療の訴え。そして、やはり医者も人間。お産はリスクが伴うことと患者も認識する必要がある。
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TVドラマの原作本。産科の現役医師による小説である。柊奈智は若手中堅どころの産科医師。激務に励みつつ、患者の立場に立って、よりよい医療をと日夜研鑽を積んでいる。そんな中、緊急帝王切開で奈智が執刀した患者が出血多量から死亡し、奈智を含め担当医師が訴えられ、被告として法廷に立たされる。患者の死と裁判の重荷につぶされそうになる奈智の姿を中心に、今日の産科医療をめぐる問題点が浮き彫りになって行く。正直、「うまい」小説ではない。エンターテインメント性が高いわけではないし、説明的な台詞が多い。しかし、現場の大変さを熟知した現役医師が描くこのストーリーは、小説ではなくドキュメンタリーではないかと思わせるほどの説得力がある。「ノーフォールト」とは、「無過失」のこと。医療ミスがなかったとしても、患者が亡くなることはある。特にお産は、大半が問題がないとしても、何らかの割合で危険を伴う。患者にもしものことがあった場合、医師に過失がなければ患者は補償を受けられない。そのことが裁判を増やしている側面もあるという。患者への補償と、医療行為自体の可否を分けて考えるべきとする、無過失補償制度についても多くのページが割かれている。産科の現状を訴え、医師にとっても患者にとってもよりよい道を探ろうとする著者の主張は意義あるものと思う。ラストは大甘の大団円となるが、産科の将来を案じる著者の切なる思いを反映したものでもあるのだろう。*ドラマの方は日本シリーズやバレーの中継が伸びて、録画がうまくいかず、あまり見ていない。原作と比べて奈智が癖のある人物として描かれているし、人間関係がてんこ盛りになっているようだけれど、この先、どんな展開になるのかな。
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待ち遠しかった上巻からの続き。
医療事故の疑いを掛けられ、病院としてではなく名指しで
訴えられた彼女。原告弁護士の戦術に翻弄され、大きな
精神的ショックを受けるものの、そのまま立ち直れない
かと思いきや・・・・・
もちろんフィクションだろうけども、医者としての成長、患者
との信頼、医療現場の現実(つらさ)、国の無策ぶりなど、
普通の人からしたら想像できない世界を知ることができた。
本職は医者という作者が伝えたかったというだけあり、内容は
妥協せず、ちょっとどころかかなり医者の立場に偏った訴えの
ような気もしますが、全体を通してはハラハラさせられる感動
ものだったと思います。
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この本は、「ギネ」という題名のドラマになったことで知った。
舞台は、大学病院の産婦人科病棟。
私の妻が助産師ということもあり、まずドラマを見て、この本への興味がわき、手にとった。
主人公は産科医師。
判断の難しいケースでの帝王切開で、そのご母体死亡。
遺族から医療過誤として訴えられる。
妻からいろいろ話しを聞き、新聞等でも問題視されている、産科の医師不足。
この本でも大きな問題となっており、月の半分以上が当直(当直明けは普通に日勤)というかなり厳しい状況が描かれており、さらに出産というものが我々が思っている以上に危険もあるということがうったえられている。
もちろん正常に出産できれば問題ないが、思うように赤ちゃんが出てこない、急激に脈が落ちるなどで緊急の帝王切開もある。
帝王切開をすると、いろいろな感染病にかかるケースもある。
今回もそういったケースの一つであるが、母体死亡がすべて病院の責任だといった報道のされ方は危険であろう。
そういったケースが増えたことが医師不足にもつながってるとも書かれている。
もちろん遺族はやるせないが、こういったケースに用いられる制度が、「ノーフォールト(無過失補償制度)」だそうである。
外国では導入されている国もあるそうで、病院の過失の有無に関係なく遺族には補償金が支払われ、病院側の審判は第三者機関が行い、基本的には裁判で遺族と病院が争うことはないということ。
こういう制度の導入が遅れている日本では、これからの話なのは言うまでもないが、病院とはとても大切なものであり、医師とは信頼できるものであるはず。
しっかりとした基盤を作り、有能な医師を増やし、医療に専念できる環境をしっかり作ってほしい。
医師が描いただけあり、リアリティがありながらメッセージも伝わってくる作品であった。
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熱い思いが伝わってくる。この下巻は何度涙ぐんだことか。物語の展開や結末は見えてる通りやけど、そんなん関係ない!
この熱い医師の思いを、周産期医療の現実を知ろう!!
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実に面白い話だった。かなりお薦めである。
周産期医療だけではなく,広い意味での医療事故について,現実を知っておくという意味でも,興味深い内容であった。
また,自分の仕事にも重ねあわせて捉えることができる内容でもあった。
教材を制作するものとして,子どものことを考えると,ミスはあってはならないのであるが,時にミスが出てしまうことがある。
また,どう考えてもミスではないのに,ミスではないのかと追求されることもしばしばある。
医療の面,編集の面と,いろいろと考えさせられた1冊だった。