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  • みんなの評価 5つ星のうち 4.1 1,023件
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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2009/08/27
  • 出版社: 小学館
  • サイズ:20cm/205p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-09-386259-2

紙の本

神様のカルテ 1

著者 夏川 草介 (著)

神の手を持つ医者はいなくても、この病院では奇蹟が起きる。夏目漱石を敬愛し、ハルさんを愛する青年は、信州にある「24時間、365日対応」の病院で、今日も勤務中。読んだ人すべ...

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神様のカルテ 1

税込 1,320 12pt

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セット商品

神様のカルテ 全3巻 3巻セット

  • 税込価格:4,51041pt
  • 発送可能日:購入できません

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商品説明

神の手を持つ医者はいなくても、この病院では奇蹟が起きる。夏目漱石を敬愛し、ハルさんを愛する青年は、信州にある「24時間、365日対応」の病院で、今日も勤務中。読んだ人すべての心を温かくする、新たなベストセラー。第十回小学館文庫小説賞受賞。【「BOOK」データベースの商品解説】

【小学館文庫小説賞(第10回)】栗原一止は信州の病院に勤務する内科医。一般診療から救急医療までをこなす地域医療の現実は厳しい。それでも仕事を続けるのは…。地方病院を舞台に個性豊かな登場人物たちが織りなす、いのちの物語。【「TRC MARC」の商品解説】

神の手を持つ医者はいないがこの病院では奇跡が起きる

栗原一止は信州の病院で働く、悲しむことが苦手な内科医である。ここでは常に医師が不足している。専門ではない分野の診療をするのも日常茶飯事なら、睡眠を3日取れないことも日常茶飯事だ。
そんな栗原に、母校の医局から誘いの声がかかる。大学に戻れば、休みも増え愛する妻と過ごす時間が増える。最先端の医療を学ぶこともできる。だが、大学病院や大病院に「手遅れ」と見放された患者たちと、精一杯向き合う医者がいてもいいのではないか。
悩む一止の背中を押してくれたのは、高齢の癌患者・安曇さんからの思いがけない贈り物だった。第十回小学館文庫小説賞受賞作。

【編集担当からのおすすめ情報】
第二弾『神様のカルテ2』は、9月末日発売!
第二弾は読み応えじゅうぶんの長編です。
第一弾より、100ページ増!【商品解説】

収録作品一覧

満天の星 5−76
門出の桜 77−143
月下の雪 144−205

著者紹介

夏川 草介

略歴
〈夏川草介〉1978年大阪府生まれ。信州大学医学部卒。長野県の病院にて地域医療に従事。「神様のカルテ」で第10回小学館文庫小説賞を受賞し、デビュー。

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「号泣」「涙が止まら...

ジュンク堂

「号泣」「涙が止まらない」と書かれた本が、ある。涙には浄化作用があり、そんな本を読んで思いっきり泣きたいと願ったこともある。だが邪な願いのせいか、未だかつて、ある昭和の純文学以外泣けたことがなかった。しかし、思いがけない本書との出会い。まさか電車内で嗚咽をこらえることになろうとは。きっかけは、舞台が実家のある信州で、実際にお世話になっていたと思われる病院が主人公の勤務先で、今もお参りしている神社が印象深く登場するという、たまたま手に取ったにしては驚くほどの偶然だった。約一年前、信州を離れて、少し寂しい気分でいた頃である。最初は、どこかで読んだ文体だなぁ、とか似た世界を知ってるなぁ、とかやや冷めた目で読み進めていたのだが、悩める主人公や脇を固める魅力的な仲間たちなど、実はどれとも似ていない、生き生きした個性があった。死と向き合う。生と向き合う。誰にでも訪れる事実。涙の中から何かを学んで、残されたものは生きていく。医者という役割を、神様に与えられたこととして真摯に受けとめている、そんな風にタイトルを深読みしてしまった。たとえ泣けなくても、本書の魅力は少しも損なわれるものではない。

みんなのレビュー1,023件

みんなの評価4.1

評価内訳

紙の本

大切なものはどこにあるのか

2012/08/19 20:34

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:桔梗 - この投稿者のレビュー一覧を見る

信州のある一都市の小さな病院で働く内科医・栗原一止
常に医師不足なこの病院では 内科医も即席の救急医として日夜押し寄せる患者さんに対応している

夏目漱石を愛読し 普段も古めかしい文語調で話す栗原 
周囲には変わり者と言われるが 忙しくてもいつも患者と精一杯向き合っている心優しい医師
そんな栗原に 大学の医局に戻らないかという話が舞い込む
最先端の医療かそれとも…
迷う栗原を訪ねてくるのは 大学病院に見放された末期癌の患者


栗原は漱石のある短編を思い出し 自分の仕事と重ね合わせる

寺の山門で仏師が仁王を彫る
仏師の見事な手並みに驚嘆する見物客に別の若者が言う
『あれは木に仁王を彫りこむんじゃない。最初から木の中に仁王が埋まっているのを掘り出すだけだ。』

医師という仕事は 絶える命を引き延ばし 助けているわけではない
土に埋もれた定められた命を掘り起こして光をあてているだけ

医師に限ったことではない
わたしたちは いつも
はじめからそこに在るものに光をあてているだけなのかもしれない


最近 前へ前へと歩き続ける人が多いように思う
何かにせかされるように 疲れても転んでもとにかく前へ前へ… 
ついあれもこれも欲しいと欲張ってしまうけど
大切なものはちゃんと最初から足元にあるんじゃないかと
読んでいてそんな気がした

“ときどき立ち止まって足元をしっかり見る”

たまにはそうしてみるのもいいかもしれない


少し歩きつかれた時に読みたい 温かく元気が出る本でした

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紙の本

疲れた心と体を優しく包み込む物語

2010/03/04 22:12

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る

本作の主人公で、一人称の話し手となる、
栗原一止(くりはらいちと)は、
本庄病院に勤務する5年目の内科医。

話しぶりが古風であることを
最初に「ご容赦願いたい」と語る栗原。

  これは敬愛する漱石先生の影響である。

  学童期から『草枕』を愛読し、
  全文ことごとく暗証するほど反読していると、
  こういうことになる。

  瑣末な問題のはずだが、
  世の人々はこの一事をもって私のことを
  変人と笑うのだから嘆かわしい。

  このような場合は、
  彼らの不寛容をこそ笑い飛ばせばよいのだ。

とまぁ、こういう語り口である。

本庄病院は、一般診療から救急医療まで、
幅広い役割を果たす地域の基幹病院である。

  本庄病院は開設以来、変わらぬ理念を打ちたて続けている。

  診療に昼も夜もない。

  患者に一次も三次もない。

  あらゆる事態に対応するのが
  地域医療の基幹病院としての当然の義務である、と。

  理念は完璧である。

  しかし内実はそう単純ではない。

このような舞台設定で、
過酷な地域医療の現実が展開されるのかと思いきや、
確かにベースは過酷な状況なのに、語り口が語り口だけに、
主人公が主人公なだけに、
深刻な状況でもどこかにおかしみが漂う。

  「智に働けば角がたつ、情に掉させば流される…」

  「意地を通せば窮屈だ。とかく人の世は住みにくい」

ひとりが『草枕』の冒頭を言い出せば、
もうひとりが続け、「住みにくい世の中に」乾杯する。

栗原が住んでいる「御嶽荘」の住民はこんな面々だ。

御嶽荘はというと、こんな場所である。

  家賃は駅前でありながら破格の安さ、
  部屋の広さも四畳半から十二畳と多様な造りである。

  もとは旅館を経営していた建物であったため、
  各部屋の扉は全て襖であるが、
  ちゃんと古風なネジ鍵が付いているから、
  機能上の問題はない。

  (中略)

  トイレ、風呂、キッチンことごとく共用であるが、
  これもまた旅館であっただけに、
  トイレの数は多いし、
  一階のキッチンは蛇口が横一列に四つも並ぶ
  巨大なシンクを備えて機能的である。

いかにも変わった人しか住んでいなさそうではないか。

主人公の周りには悪い人はいない。

癖のある医師たちも患者たちもいい人揃いである。

本名ではなく不思議なあだ名で呼ばれていることも多い彼らは、
おもしろく味のある人ばかりなのである。

主人公と妻との関係や友人との関係も
うらやましいばかりにいい感じだ。

敵役が出てこないので水戸黄門ですらないのだけど、
ハラハラ、ドキドキもちっともしないのだけど、
予想通りの展開で、そのまま行ってしまうんだけど・・・。

終末期を迎える人々との命の対話は、直球の名言が
あまりに多くて、InBookがついつい増えるのだけど。

栗原が患者達と向き合い、自らの進退問題と重ねあわせて、
彼なりに医療というものを定義する言葉を素敵だと思った。

ちなみに、この彼が語る医療に対する向き合い方に影響するのが、
「子どものころに読んだ心に残る短編」である
「寺の山門で、仏師が仁王を彫る話」である。

これは、たしか『夢十夜』に収録されていたお話ではなかったか。

全体的にどろどろとした感じは全くなく、
ちょっときれいすぎるといえば、きれいすぎる。

でも、本作はそれで良いのだと思う。

現実はそうじゃないと思ってしまうと
魔法の効果がなくなってしまうような気がする。

ここは、そのままこの世界に身を委ねて、
疲れた心と体を癒すのによいのだ。

でも、これはどっぷりつかって現実から逃れる場所ではない。

疲れた心と体を癒して、次に向う勇気をそっとくれるのである。

  御嶽荘は不思議な空間である。

  まるで世の中に適合しきれなくなった人々が、
  さまよい歩いた先に見つけた
  駆け込み寺のような様相が確かにある。

  だが、寺と大きく違うことは、
  訪れた人々はけして世を儚んで出家などせぬということだ。

  彼らは再び世の中という大海原に向けて船を出す。

  難破を恐れて孤島に閉じこもる人々ではない。

  生きにくい世の中に自分の居場所を見つけるために
  何度でも旅立つ人々だ。

  そういう不器用な人々を奇人と噂するのは、
  生きることの難しさを実感したことのない凡愚の妄言である。

  この思いは、御嶽荘に住まう人々の共通の誇りと言ってよい。

  誰もが皆、誇り高き路傍の人なのだ。

本作は、この御嶽荘の描写、そのものの世界なのである。

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紙の本

歩くことに疲れた時は

2011/03/07 10:45

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:koo± - この投稿者のレビュー一覧を見る

就業前の20分間読書。たまには気分を変えてノンミステリ。2010年本屋大賞第2位。

漱石の「草枕」を愛読する勤務医の一人称。作者は現役の医師で私小説的風合が強い。現場からのメッセージに魂がこもっているな。登場人物も魅力的。下宿「御嶽荘」の人々の描写には郷愁感が漂い、ふと学生時代を思い出す。読みやすい。嗚呼読みやすい。 のってきたところで無情にもタイムリミット。はぁ仕事するか。とかくこの世は住みにくい。

昼休み。会社でこんなの読んじゃあ駄目だな。迂闊だった。やばいウルっとする。

帰宅後読了。安曇さんの帽子と学士殿の門出のシーンが頭から離れない。「本屋さんがみんなに読ませたい本」っていうの分かる気がする。漱石を意識した独特な語り口調を受け入れられるかどうかがひとつの指標となるが私的にはツボ。作風としても成功していると思う。

若年作者の処女作ということで人物造詣にも文体にも青臭さが目立つ。ちょっと若い女性の描写が弱いかな? しかしその稚拙さと純粋さが合間見えて、そこはかとなく心に響くものがある。このピュアさをどう継続していくかが、医師・作家としての「明暗」の分かれ目か。

曲がりくねった山道の中で、ふと見つけた時代錯誤な道標。雨風に晒されてボロボロに朽ちかけてはいるが、迷うことなくまっすぐに帰る場所を示している。歩くことに疲れた時は、ふと立ち止まって読み返してみよう。思いがけない出会いに感謝。

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紙の本

ヒットがうなずける作品。肩の力が抜ける感じが良いです。

2017/05/11 21:18

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る

内科医で夏目漱石を愛する一止(いちと)を取り巻く物語。
激務をひょうひょうとこなしながら,愛する妻と隣人,同期の
医者たちとのほのぼのした人間関係が魅力だ。
主人公の一止の人物像もうまい。
セリフの言い回しに個性を持たせ,分かりやすく印象に残る。

「満点の星」「門出の桜」「月下の雪」の三話から成る。
患者との日常の触れ合いは,様々に一止を左右する。
泥のように疲れて帰る先には,妻と仲間たちがいる。
仕事とプライベートとの対比,仕事場での気のおけない
仲間たちとの時間。

びっくりするような展開はないけれど,静かすぎもせず,
非常にバランスの良い作品だ。
医療が舞台となっているが,派手な手術シーンはない。
患者の死にも立ち会うが,そんな時にも深入りし過ぎることはない。
気の合う仲間たちとの時間が中心なのである。

三話ともラストがじいんとする。
最近,意外な結末を追い求める小説が多い。
それはそれでいいんだけれど,中には無理してまで驚かせようとする
作品も目にすることがある。
神様のカルテは,あまりにものほほんと結末を迎え,何となく展開も
読めてしまうのだけれど・・・胸に去来する感動の波は大きい。

言うなればテッパンネタ。
激しい刺激や,鋭敏なものは詰まっていない。
悪い言い方をすると,この本を読んでベタだなあと思う人も
いると思う。

小説を読んで心が温まる。
青臭いと言われようと,そんな時間が過ごせると私は素敵な
気持ちになる。物足りなさが残る人もいると思うが,
くつろいで楽しみに任せるのもいいもんだね。
楽しい気持ちになれる一冊。

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紙の本

人と人との間にある温かい気持ちを感じさせてくれる作品です。

2010/05/11 03:18

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:依空 - この投稿者のレビュー一覧を見る

帯に「この病院では奇跡が起きる」とあったので、ゴットハンドを持つ人でも現れるのか?と思っていたのですが、そういったものは一切ない普通の人のお話でした(笑)
夏目漱石を敬愛し、愛読書は『草枕』という主人公の一止は、信州の病院で働く医師。古風な話し方と独特な思考回路を持つが故に院内で変人と呼ばれています。本書は一止の勤務先である病院と、暮らしている御嶽荘が舞台となり、患者や職員、御嶽荘の人々との交流を描いた作品となっています。

どんなお話と言われれば、全体的には淡々とした何でもないお話だと思います。でも、ひとつひとつのお話には溢れんばかりの優しい眼差しが注がれていて、最後のページまで読むと心がほんのりと温かくなります。時々しんみりとする場面もありますが、コミカルな一止のおかげでくすっと笑える部分もあったし、細君である榛名、彼と腐れ縁であり同僚の砂山次郎、同じ御嶽荘に住む男爵や学士とのやりとりもユーモアがありと、バランスが取れていたかなと思います。
一止とその周囲の人々の様子を語る一方で、終末医療や医師不足で悩む地域医療の問題点も所々で語られています。ただし医療問題と言ってもそこまで踏み込んだ内容ではないので難しくはなく、さらりと読むことができます。医療問題を提起してはいますが、やはりこのお話は人と人の繋がりがメインなのだなと感じますね。

一止たちと学士さんとのエピソードである「門出の桜」の時にも人と人の繋がりとその温かさを感じさせてくれましたが、それをより感じさせてくれたのは、やはり入院患者である安曇さんとのエピソードでしょう。ガンと宣告され、大学病院からは手遅れだと見放された安曇さん。安曇さんのセリフのひとつに、「病むということは、とても孤独なことです」という言葉があります。夫に先立たれ余命を宣告された上に、病院からは見放され……、そんな孤独と恐怖の中で死を迎えるしかなかった安曇さんの心を救ったのは、一止の医師としての姿勢から生まれた確かな信頼関係です。終末医療のあり方というものを考えさせられるエピソードでもありましたが、やはりそれよりも人の心を救うのは人の心だということを感じさせてくれる、忘れられないお話でした。

読み応えとしては軽めの作品でしたが、人と人の間にある温かさを感じられる素敵な作品だったと思います。

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紙の本

愛のある作品です。

2010/05/20 00:08

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みどりのひかり - この投稿者のレビュー一覧を見る


 医学部を出た小説家の作品は、昔いくつか読みました。

 安部公房、北杜夫、どちらも個性の強い作家です。(作家はみんな個性は強いかな)

 安部公房は小学生の時ラジオの「魔法のパイプ」がものすごく面白かったし、高校で再び出会い衝撃をうけ、夢中になって読みました。

 北杜夫も若いころ読んでいて、楽しかったし手紙も出して返事の葉書を戴いたこともありました。私の尊敬している方の素晴らしい詩を、まだ学生だった北杜夫さんが大変な評価をしていたことを聞いたこともありました。その詩をここに紹介できないのが残念ですが。作品では最近読み直して感動のあった「夜と霧の隅で」が良かったでしょうか。

 「神様のカルテ」の夏川草介さんは、安部公房や北杜夫よりも、ずっと素直な感じのする方です。作品自体が素直な感じがします。でも、三人に共通するのは、人間に対する愛でしょうか。

 神様のカルテは、文章は錬れてないし、表現力もまだまだだなあという感じで読み始めたのですが、読み終わると言いたいことはちゃんと伝わって来たなという感じでした。(文章が練れてない、表現力がまだまだというのは人のことは言えません。私の文章がそうですから。)

 ネットで調べたら、夏川さんの顔写真があって、この作品のとおりのさわやかな優しい感じの方でした。医師として700日間休日のない大変な日々を過ごして来たようです。

 そういう中から産まれて来た作品ですね。愛のある作品です。


:::::

砂の女_安部公房

夜と霧の隅で_北杜夫


 北杜夫さんの「どくとるマンボウ」と同じようなシステムで書かれているのが

こちら

です。




 

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紙の本

あたたかい物語

2021/05/05 11:03

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る

作者さんは現役のお医者さんなんでしょうか。
実体験に基づいてるとか?
政治家みたいなことをしてる大学病院関係者もいるであろう反面、
こういう地方病院のお医者さんもいるんですね。

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紙の本

ユートピアとしての医療現場

2009/12/21 12:39

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る

信州の総合病院に勤務する内科医の栗原一止(いちと)の語りによる、
地域医療、末期医療などの諸問題を含むエンターテインメント。

栗原は「勤勉・実直を絵にかいたような青年内科医」と、
自ら高評価してしまうあたりが今時の若者ですが、
反対に夏目漱石の『草枕』を座右の書としているため、
時代がかった口調でしゃべります。
そのため、病院内で変人扱いを受けています。

医者としての腕は優秀で、
外科に巨体で豪放磊落な親友がおり、
周囲の看護師も優秀で配慮が行き届いている。
住んでいるアパートは崩れそうなボロ屋ですが
その生活も楽しむ友人に恵まれています。

さらに、愛くるしい妻がおり、華奢な体型にもかかわらず、
彼女は世界的な山岳写真家として活躍。

と、まあ、これだけいい要素が並ぶ前半は
失笑を禁じえません。
エンターテインメント性は高いのですが
小説としてのリアル感がなく、軽いテイストで進みます。
「大変大変」といいつつ、ここはユートピアでしょう。

ただ、後半、先端医療を学べる大学病院勤務の話や
末期がん患者との交流、
同じアパートに住む大学院生の本当の姿が
明らかになるにつれ、物語がグッとしまってきます。

特に学士殿とあだ名されるエセ大学院生に
弁舌をふるった後の、落とし所がうまい。
栗原がカッコよすぎたら、この小説はダメになっていたでしょう。

その他にもひとつひとつのエピソードが心に響き、
自然に感動を覚えます。

ただ、医療と死は切り離せないもので、
小説で「死」を扱えば、簡単に「感動」は得られます。
その点、突出してこの作品がいいかと問われれば、難しいところ。
より深いテーマが可能だったかもしれません。

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紙の本

2巻も続けて読みました。

2016/11/21 22:08

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みきママ - この投稿者のレビュー一覧を見る

映画は観ていませんが、内容が気になり読んでみました。登場人物に情景などがとてもイメージもしやすくてわりとすんなりと読めました。内容も良かったです。

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紙の本

切ないけれど、心が温まる

2010/03/10 18:10

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ゆこりん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「24時間、365日対応」
患者にとってはありがたい病院でも、そこで働く医師や看護師に
とっては修羅場だ。「患者の生と死にどう向き合えばいいのか?」
若き医師栗原一止は悩みながら、愛する妻や同僚、そして看護師らに
支えられ、患者のために奔走するのだが・・・。

医師の仕事は本当に大変だ。特に地域医療では慢性的な医師不足で、
満足な診療ができないところがたくさんある。一止が籍を置く
本庄病院も例外ではない。医師も看護師も、ぎりぎりのところで
がんばっている。人の生と死に関わる仕事の厳しさが、この作品から
伝わってくる。一歩間違えば暗く重い話になってしまうのだが、作者の
軽快な描写でかなり救われる部分がある。さまざまな人の生き方、
さまざまな人の死に方がある。その中で印象に残ったのは、やはり
安曇さんのことだ。これこそがまさに、現代医療が抱える問題だと
思う。「どう生きて、どう死ぬのか?」このことは、自分自身がしっかりと
考えなければならない。悲しくて、切なくて、そして、心温まる作品
だった。

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紙の本

夏目漱石を読み直したくなる一作。

2016/05/17 18:58

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:うりゃ。 - この投稿者のレビュー一覧を見る

主人公の口調や愛読書など、夏目漱石へのリスペクトが感じられる。
一人称であることもあり、恬淡と地方病院の医師の日常を描いているにも拘わらず、不思議と格調高く感じられるのもそのせいかもしれない。
半分以上残されたカステラの描写が沁みた。

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2012/03/19 22:26

投稿元:ブクログ

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2013/09/15 18:45

投稿元:ブクログ

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2009/11/10 22:33

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2009/09/28 23:37

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