紙の本
ミステリとしても、青春モノとしても
2009/07/16 23:39
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヤバイバ - この投稿者のレビュー一覧を見る
現在パートとしてのミステリ部分も読み応えありますが、特筆すべきは過去パートの高校演劇少女群像でしょう! キャラがきれいに描き分けられているので、読者男子はきっと萌えます(笑) 揺るぎないようでもあり、薄氷を踏むようでもあるこの年代特有の「仲良しグループ経験」のある女子読者は「わかるわかる」と深くうなずいてしまうでしょう。新人とは思えない程、手堅い印象の作品でした。次作も期待します。
紙の本
ドロドロ感は好き
2024/02/21 16:03
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投稿者:栄本勇人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
全体的な性格の悪さは好みだが、物語上の甘い部分が多くもやっとしてしまった(野暮かもしれないが警察まわりなど)。他の評判の良い作品も読んでみたい。
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一気読み!眠かったけどページ捲る眼と手が止まらない!
現代のホラー調ミステリー・パートと過去の
ガールズ青春小説パートが凄く良いバランスで
組み合わさって展開されます。
ミステリーとしての犯人探しは、登場人物が多くない為
おのずと分かってしまいますが、そのある意味致命的な部分が
全く気にならないくらいにストーリー全体の熱と構成が強い!
過去パートの持つ力強さとミステリーを度外視して単独作品としても
成り立ちそうな面白さが結果王道ミステリーと融合した結果全体として
さらに惹き付ける作品となっている...的な
島田荘司氏の選評が全てを表す秀作。
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家の事情がそれぞれある少女達が「演劇」と言うことに向かって突き進んでいく羅針盤(劇団名)時代の話が非常に好感が持てました。それぞれの個性もくっきりと出ていてその部分は甘酸っぱい青春小説。語り口は現在と過去が交互に出ていて、果たして現在のホラー映画の主役はそもそも羅針盤時代の誰なのか、その時代に何があったのか、誰が脅迫状を出しているのか。謎が謎を呼び面白く読めました。唯一これはなあ・・と思ったのが、羅針盤時代のラストの展開。どうしても必要だったのでしょうか。別の方法でもダメージつけることは出来たと思うけど。
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過去と現在を行き来しつつ、物語が進みます。
誰が死ぬの!?誰が犯人!?と読み進めて…。
数限りない小さな悪意がやるせない、と思いました。
それを動かしていたのは犯人だけど。
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本を閉じた瞬間に懐かしさが込み上げてきた。
演劇をやっている人間の半数は同じ気持ちになるのではないだろうか。
私も高校時代3年間演劇部に所属していた。瑠美と同じように男子との付き合いなんてそっちのけで、朝から晩まで演劇のことを考えて過ごしていた。
この役は普段どんなことを考えてどんなものが好きでどんなものが嫌いなんだろう。身近にいるとしたら私は彼女のことをどう思う?
衣装を着て練習する期間を作るには本番日から遡ってそろそろ衣装を集め始めなければ。
あの台詞はどうも言っていてしっくりこない。台詞と動きがあっていないせいか台詞の解釈が間違っているからか。
しかし学生という身分だったからずっと練習に打ち込めるわけではなく実際に皆で練習出来る時間は授業終了後の3時半から6時までの2時間半。授業が午前中で終わる土曜日はオアシスだった。
私は運良く先輩方にも同級生にも後輩にも恵まれていたから、部活を飛び出して自由にやりたいとはあまり思わなかったけれど、顧問のやり方が気に食わないと思ったことはあった。
『学生らしく、等身大で台詞が面白いものをやりなさい』
これだけ聞くともっともらしく聞こえるけれど、毎年主人公が劇を通して成長する人情物ばかりをやらされた。これは自信が持てる!と部員全員で提出した脚本案を、顧問の好みで却下されたこともあった。
それが関係あるのかないのかはわからないがうちの学校は橘高校とは違っていつも地区大会止まりだった。『冷たい現代っ子』が演じる古臭い人情劇は観客受けは悪くなかったので特別賞などはいつも貰っていた気がするが。
颯爽と部活という枠組みを飛び出した羅針盤のメンバーを見ていて羨ましいと感じたのは私が結局そういうしがらみから抜け出せずに3年間を過ごしてしまったからかもしれない。
懐かしさの他にもう一つ役者を目指す私が忘れてはいけないものがこの本には描かれていた。
理屈が無く、演劇が好きだということ。
高校生が劇団を立ち上げて4人だけで活動をしていくなんて恐ろしくパワーのいることだと思う。
私も高校を卒業した2年後大学2年生の秋、高校時代の部員たちと公演を打ったことがあった。高校という居場所を失ったらまず第一に練習場がない。公民館の会議室を借りたり部員の家に集まって練習したりしたが、場所を借りるにもそこまで移動するにもお金がかかった。高校時代『お客さんに見せる』ということを意識して練習してきたつもりだった。しかし実際に『お金をとる』ということを考えて脚本を作ったり練習していると、自分たちが進めている方向が果たして正しいのだろうかと煮詰まってしまって練習場に気まずい空気が流れた。小屋を借りるにも音響を探すにも大道具、小道具、衣装を作るにも莫大なお金がかかった。芝居をつくるにはとにかく人間とお金と場所がいる。皆学校との、アルバイトとの両立が上手くいかなくて泣きながら話し合ったことを今でもはっきり覚えている。いかに自分たちが学校に助けられていたかをこのとき初めて思い知ったのだった。
それだけ大変な作業を4人だけでやってのけた彼女たちのパワーは、演劇が好きで、演劇がやりたくてしょうがない���いうところから来ていると思う。
しかし何故そんなに演劇が好きなのか、何故そんなに演劇のために頑張れるのかを細かく描いた描写はなかったように思う。舞台に立ったときに感じた興奮、楽しさが忘れられないということくらいで。
それは演劇を長く続けてきた私が忘れそうになっていた感情だった。演劇を本格的に勉強するようになると今まで無意識にやってきたことを理屈で、歴史で教わるようになる。腹式呼吸での発声時に内臓がどう動いているのか。シェイクスピア、チェーホフ、ゴーリキー、メソード演技…。必死で食らいついていくうちに自己流と共に大事なものをぽろぽろ落としていってしまう。
理由も理屈もない。ただ演劇が演じることが好きだからそのためにならどんなことだって頑張れる。盲目的とも言える激しい感情。演じる自分を冷静に見ることも演劇の理屈、歴史を学ぶことも重要だけれどこれは忘れてはいけない。思い出させてもらった。
私と同じ年齢になった瑠美と蘭とバタは大事なことを忘れていなかった。
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第1回(2008年)ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀賞受賞作品。映画撮影中の女優である”わたし”が何者かに脅迫される現在パートと、三人称多視点で語られる過去パートが交互に語られる。過去の事件の詳細を明かさないことで、”わたし”の正体だけなく、誰が殺されたのかという謎も最後まで持続させられるだけでなく、さらにはこの構成の中にも仕掛を仕込んでおく手腕が見事。
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現在の殺人犯の側からと、四年前の学生時代の学生劇団「羅針盤」の活動が交互に語られ、誰が殺人犯なのかと読み進めていたら、見事に引っかかりました。でも、これを映画化するって、このミステリの肝心な部分を台無しにして映画になるような気がするのは私だけだろうか??映画館で確認せねば…読みやすくて気に入ったので、この作者をしばらく追いかけていこうと思います。
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『少女たちの羅針盤』
-水生大海-
○
4年前の出来事と現在とが交互に展開される。
誰が殺したのか
誰が殺されたのか
どうして殺したのか
現在の「彼女」は誰なのか
復讐を企てているのは誰なのか
途中まで全く分からなかった。
犯人がもうすぐ分かるか…ってとこで怪しいなと思い始めた人が犯人だった。
はっきり言って衝撃。
3人の中の誰かだとばかり思ってたから。
まさかまさかの姉だったなんて。
学校に来た辺りがおかしいなって思った。
3人がちゃんと繋がっていて良かった。
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短編映画の撮影のため崖に立つ館を訪れた舞利亜。
しかしその撮影中、正体不明の誰かから脅迫をうける。
女子高生4人組の演劇ユニット「羅針盤」の1人を4年前に殺したのはお前だ、と。
という現代パートと四年前の「羅針盤」の活動を描いた青春パートが交互に展開されていきます。
第1回 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作受賞作品の「罪人いずくにか」を改題、改稿の末、今回出版されました。
島田さんに「(受賞作の『玻璃の家』より)即戦力というなら、あるいはこの人であるのかもしれない」といわしめたこの作品。
素直に面白かったです。
脅迫者は誰なのか。舞利亜は誰なのか。そして誰が殺されたのか。
気になってどんどん読み進めました。
というか、青春パートが瑞々しくってとてもよかった。
学校の演劇部を飛び出し、ストリートで活動する4人。
妨害にあいながらも周囲の助けにより徐々に成功していき、コンクールでは割れんばかりの拍手をうける。
が、ある事件のために活動は停止。
そして4年後。舞利亜となったのは誰か?この構成がとてもよかったです。
ラストの復習劇については陳腐さが気になりましたが、まあみなさん劇団員ということでこれもアリかな。
伏線の提示も自然で、とてもよいデビュー作だと思いました。
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面白かった!
ものすごく好みの青春ミステリー。
疑うのがイヤで逃げてみたら当たっていた…
でも理由までは考えられませんでした。
まさか続編があるとは!
楽しみにしています。
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「退出ゲーム」を連想しました。雰囲気はまるで違うのに、底辺が似てる感じ。
最後まで真相がわからず、ミスリードに乗っかって楽しく読めました。
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劇団を巡るミステリ。犯人がヒロインである現在と、四年前の少女たちの物語が交互に織り成されます。現在のサスペンスタッチな物語と、四年前の青春物語と、どちらも盛り上がり抜群。
特に四年前のパートが読み応えありました。序盤はすごく楽しくて。なのに徐々にまつわりつく不穏な空気や、友情に罅が入る痛々しさ。そして起こってしまう悲しい事件とその真相。あまりに恐ろしい嫉妬と悪意。やりきれなさもあるけれど、この解決はよかったなあ。
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犯人が誰なのか気になって話にどんどん引き込まれました。
面白かった!そして犯人に驚かされる。
とても読みやすいミステリーで、ミステリー苦手な人でも読めると思います。
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高校生4人だけの劇団「羅針盤」と、4年後の世界。
誰が死んだのか、誰が復讐されようとしているのか、なかなか見えないので巧い造りだとおもった。とてもおもしろかった。
『あなたが神を信じるなら、あなたの罪は神に知られているわ。あなたが神を信じないのなら、あなたにはすがるものがない。』