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商品説明
日本列島の森で多くの樹木が大量枯死し始めている。原因は地球規模の環境条件の変化によるものなのか? 土壌の菌類相の変化の影響は? 拡大する樹木の枯死現象の謎に、菌類学の第一人者が迫る。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
小川 真
- 略歴
- 〈小川真〉1937年京都生まれ。京都大学農学部卒。農学博士。白砂青松再生の会会長として、炭と菌根による松林再生ノウハウを伝授するため、全国を行脚している。日経地球環境技術賞などを受賞。
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紙の本
森からドングリとキノコが消える
2010/06/03 01:32
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:鳥居くろーん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ナラ枯れ」という言葉をご存知ないだろうか。
ここ30年くらいで「松枯れ」という現象が日本中に広がり、これまで長く守られてきた多くの松林が無残に枯れ果てたことを知る人は多いかもしれないが、それと同じような現象が、いまナラ(コナラ、ミズナラなど、ドングリを作るもっとも一般的な樹種のひとつ)を中心として広がりつつあるそうだ。
松枯れの主因がマツノマダラカミキリと、それが媒介するマツノザイセンチュウであったように、ナラ枯れもカシノナガキクイムシと、それが媒介する病原菌の仕業であることがはっきりしているが、問題はそう単純ではない。
樹勢の強いナラであれば、仮に昆虫に穴を開けられても、その樹液で虫を追い出すことができる。つまり、害虫と害菌が猛威を振るうというそのこと自体が、ナラを中心とした広葉樹林そのものの衰えを示しているのだ。ではその衰えの原因はなにか……鍵を握るのはキノコ。菌類の専門家であり、松林再生プロジェクトでも精力的な活動を行ってきた著者が、ナラ枯れの真相を探る。
……近年、キノコの発生量が激減したとの話をよく聞く。特に去年の秋などは、まれに見るキノコ不作で、多くの愛好家を泣かせたようだ。ここんとこの異常気象と荒れる一方の山林環境のせいなのかな、と個人的に軽く考えていたのだけど、問題の根はもっと深かったようだ。全ては土の下で起こっているだけに。
ナラが枯れて、キノコが採れない。それだけなら街の人は「関係ないや」と、そう思われるかもしれない。ただ、同じ現象がマツ、サクラ、クリ、スギ、シイ、カシと広い樹種におよび、弱った樹が子孫を残そうと花や実を大量につけてしまうことを考えれば……これは近年の花粉症の増加、シカやサルなどの獣害の増加(山村荒廃の影の主役)の遠因として考えざるをえない。水害や山崩れも増えるし……全てはつながっているのだ。
キノコを偏愛する者として、少なからずショッキングな内容だった。CO2削減とかは後回しでいいから、なんとかしようぜ、中国……