「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
大坂天満の寒天問屋、井川屋の主・和助は、仇討ちで父を亡くした鶴之輔を銀二貫で救う。大火で消失した天満宮再建のために、工面した大金だった。引きとられた少年は松吉と改め、商人としての厳しい躾と生活に耐えていく。番頭善次郎、丁稚梅吉、評判の料理人嘉平とその愛娘真帆ら人情厚い人々に支えられ、松吉は新たな寒天作りを志すが、その矢先またもや大火が大坂の町を焼き払い、真帆は顔半面に火傷を負い姿を消す…。【「BOOK」データベースの商品解説】
大坂天満の寒天問屋、井川屋の主・和助は、仇討ちで父を亡くした鶴之輔を銀二貫で救う。引きとられた鶴之輔は、名を松吉と改め、商人としての厳しい躾と生活に耐えていく。だが、大火が大坂の町を焼き払い…。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
高田 郁
- 略歴
- 〈高田郁〉兵庫県生まれ。中央大学法学部卒業。漫画原作者としてデビューの後、「出世花」で時代小説の世界へ。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
感動巨編の時代小説! 大阪商人の心意気がすばらしい!
2009/11/22 11:59
10人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
久しぶりの時代小説!
読んでとても面白かったよ、感動巨編だったよ…と聞いて、さっそく図書館で借りました。
感動巨編とは聞いていましたが、これはもう想像以上!
後半、あふれる涙がとまりませんでした。
いくつもの場面で涙、涙、涙…。
その涙があふれる目で文字がかすみながらも、次を読み進めたい。久しぶりに泣きながら読んだ本です。
いやぁ~感動しました。
舞台は大坂天満の寒天問屋・井川屋。主の和助が仇討ちで父を亡くした鶴之輔を銀二貫で救うところから物語は始まります。
引きとられた鶴之輔は、そのとき実に10歳という幼さ。かたや和助は60歳。鶴之輔は名前を松吉と改め、商人としての厳しい躾をたたき込まれ、苦しいながらも日々生活に耐えていきます。
なかなか松吉を認めてくれない番頭さんがいました。
丁稚仲間の梅吉がいました。
そして寒天を届けた先の料理屋の嬢さんがいました。
つらい日々に耐えられたのも、松吉は自分はここで生きるしかないとその小さな身体で身にしみて分かっていたからで、それだけに小さな優しさや嬉しさが沁みて沁みて…。
銀二貫が何度も登場します。
もともとこの銀二貫は天満宮への寄進のためにと大切に貯めていたお金、でした。
それを和助は人助けのためにと、使ってしまうのです。
貯めては人助け、貯めては人助け。
「敵わへん、やっぱり旦那さんにも番頭はんにも敵わへん、」と松吉は胸の内で思うのです。
とにかく読みどころはたくさんなのです。
松吉と嬢さんの恋の行方にもハラハラしました。
寒天作りの厳しさを目の当たりにしました。
そして漉し餡の作り方を初めて知りました。
「思えば、自分が偶然の出会いによって、今日まで生かされてきた。(略)そうしたこと全てが、いまは偶然と言うよりも、天の配剤に思えた。目には見えない大きな存在に守られ、生かされているのだ。これが和助の言う、大阪商人の大切にする『神信心なのだとも思う。」
松吉の言葉に大いにうなずくばかりです。
そして、大阪商人の心意気のなんとすばらしいこと!(まぁ、そうでない大阪商人もおりましたが)
何度も何度も打ちひしがれるような場面に立ち会ったとしても
へこたれず生きていく和助たちの姿に、
ただただ、感動です。
そうそう、物語の最初と終り頃に羊羹が登場するのですよ。
蒸し羊羹と練り羊羹。この羊羹つながりがなんともうまい構成で、うなります。そしてその描写がなんとも美味しそうで、久しぶりに羊羹をほうばりたいと思いました。^^;
紙の本
ええ夢でおました
2009/12/26 09:34
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんか、ようわからへんけど、心の臓のあたりがあったかあになって、恥ずかしいから大っきい声でいはれへんけど、ぽとんと涙が落ちました。
商人の苦労話やいうたらそれまでですが、嘘かほんまかわからへんけど、ほんまにあんじょうでけた物語(はなし)やす。読みおわったあと、おおきに、ごちそうはんと、いいたあなる、それぐらい、美味しい物語(はなし)でおます。
安永七年、大坂で寒天問屋を営(や)ってはった和助はんは偶々遭遇した武士の仇討ちに、大火で燃えてしまはった天満宮の再建のために持ち合わせていはった銀二貫を差しだして、「仇討ち買い」をしなはったんだす。
その時、助けはったのが、まだ十(とお)にもみたない袴姿の少年、のちに和助はんとこの店の丁稚となりはって、名も松吉と変えはったのが、この物語の主人公だす。
松吉はんが子供ながらも武士を規律を捨て、商人(あきんど)として、やがて和助はんの店の再興に奔走する姿を描いたこの物語(はなし)の魅力は、なんといっても登場人物たちの話す大坂弁だす。
まるで「でしゃばらへん。せやからこそ、それぞれの旨味を、喧嘩させんと上手いこと」引き出す寒天のように、物語に艶と情をもたらしておます。そういやあ、作者の高田郁(かおる)はんは漫画原作者としての経歴をもってはって、そのあたりはお手のものとちがいまっか。
そら、物語(はなし)やさかい、悪いお方もでてきはりますが、そんなんはあんまし気にならしまへん。それより、松吉はんも和助はんも、松吉はんが好きにならはる嬢(いと)さんも、こうるさい番頭はんも、みいんなええ人なのもうれしいやおまへんか。
それに、ええ人だけやない。
みいんな、なんぼ苦しいことがあってもくじけへん。なんぼでも立ち上がりはる。強おおまっせ。それが大坂の商人(あきんど)気質というものでっせ。
そうや、この物語は、夢みたいなもんや。せっかく夢みさせてもろたんやさかい、気持ちのいい夢のほうがええに決まってます。なんか得した気分や。
ほんにええ物語(はなし)でおました。
◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でお読みいただけます。