紙の本
世界宗教から始める、宗教超入門。
2009/09/02 00:48
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちひ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「14歳の世渡りシリーズ」なので14歳むけに書かれた本であるらしい。でも14歳以上であれば誰が読んでも良いと思う、宗教について考える本。民族宗教のユダヤ教・日本神道、世界宗教のキリスト教・イスラム・仏教などについて調べ、考える。たいていの場合、こういうふうに宗教を扱う本は序章や第一章で宗教を概観したあと、「歴史の古い順」または「信者の多い順」に宗教を並べて解説するのだが、この本は違う。
はじめに
第1章 宗教ってなに?
第2章 仏教 悩み多き王子・ブッダを開祖とする最も古い世界宗教
第3章 キリスト教 神の子・イエスを開祖とする世界最多の信者数を誇る宗教
第4章 イスラム教 預言者ムハンマドを開祖とする最も新しい世界宗教
第5章 危険と隣り合わせの宗教
終章 神さまは存在するの?
「はじめに」で民族宗教と世界宗教の違いについてがっちり学んだ後、三つしかない世界宗教を古い順番に学んでいく。なるほど、慥かに仏教は世界で最も古い世界宗教である。しかしこの本を読むまでわたしにそのような視点が皆無であったことに気付かされた。(恥ずかしい。)世界宗教はなぜ世界宗教たり得ているのか。開祖その人はどのような人だったのか。わかったふりをしないで、わかることとわからないことを分けて学んでいく。
「……わからないよね。実は僕も書きながらよくわからない。まあそれも当たり前。これは仏教の奥義なのだから、簡単にわかるはずがない。」(78頁)
そして、超歴史的な真実を明らかにする性質を持つ宗教が、それ自体は実は歴史的な存在であることをふまえ、歴史に思いをいたす。
「十字軍の遠征だけじゃない。歴史はずっとその繰り返しだ。昔のことだけではない。今もある。だから知ってほしい。歴史は確かにくり返すけれど、くり返しているのは歴史ではない。//くり返すのは人だ。//人が同じ歴史をくり返す。だからそろそろ知らなくちゃいけない。学ばなくちゃならない。考えなくちゃならない。」(141頁)
このへんはいつもの森氏のスタンスである。「ああ来た来た!」とさえ思える。でも森氏が宗教や宗教的なことについて、照れずにここまできちんと語っているのは、なかなかすごいと思う。
ただ、最後の最後でパスカルと同じ轍を踏み、宗教を「賭け」と思いこむところに堕してしまうのはどうなのかと思う。ちょっぴり残念。
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まんが・パレスチナ問題の知識がとっても役立ちました
神様とは宗教とはなにか
森さんが頑張って考えてます
まあ14歳向けの結論ではあるけれど
最後の一文が本音ですよね
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[ 内容 ]
「神さまお願い!」誰もが一度は祈ったことがあるはずだ。
でも、神は本当にいるのだろうか??
仏教、キリスト教、イスラム教の三大宗教を軸に、 “信仰とは何か”というテーマに迫る。
オウム事件のドキュメンタリーを撮った映画監督が、宗教と戦争、カルトの問題にまで踏み込んだ、書き下ろし最新作。
[ 目次 ]
第1章 宗教ってなに?
第2章 仏教―悩み多き王子・ブッダを開祖とする最も古い世界宗教
第3章 キリスト教―神の子・イエスを開祖とする世界最多の信者数を誇る宗教
第4章 イスラム教―預言者ムハンマドを開祖とする最も新しい世界宗教
第5章 危険と隣り合わせの宗教
終章 神さまは存在するの?
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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神様ってなに?っている表題そのままの本でしたね。
他の国で発行したらある意味怒られそう。日本でしか成立しない本かもしれませんね。
それは日本人が宗教に鈍感というか順応しすぎというか拒絶しすぎというか・・・・・
とにかくほとんどの日本人は無宗教だと自分のことは言うでしょうね。
みんな、クリスマスを祝い、正月を祝い、墓に線香をあげ、お宮参りなどに行くというのに
そんな国の人だから読んで欲しい本。
なぜ中東では戦い、テロが起き、コーランが焼かれ、日曜日は休みなのかがわかると思いますよ。
それでなくても三大宗教の勉強にはなります
(途中、著者独等の注釈が入りますが・・・・)
でもなんにしても見た事無いもの、神!
それに頼ってしまう人間の弱さを考えさせられる一冊かもしれません。
人は「死」の概念を持ったときからそれにおびえて生きていくのだから・・・・
もしかしたら「誰も私のことなんか・・・・」っと思う人よ!神はすぐそばに、イヤ、あなたの中で・・・
「その存在を信じなくてもいい。神などいないと思っていてもあなたの生活に何の支障もない。でもこれだけは知っていて欲しい。あなたは一人でないこと、つながっている事、愛されているという事、赦されているということを」(本書より抜粋)
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児童向けに書かれた世界の宗教や信仰についての解説書。意外と知らない世界の宗教感や信仰の重要性を、平易な文章とわかりやすい章立てで丁寧に紹介しており、とてもわかりやすい。
日本にいるとおざなりにしがちだけど、ニュースや各種作品の背景となる「宗教」を知る入門書としては、とてもおすすめだとおもう。
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面白かった!!!!まだ8月は終わっていないけど、断トツで今月の一押し、だと思います。いつも評価の☆はつけないことにしている私ですが、今回初めて5つ☆をマーク。「14歳の世渡り術」シリーズということで、若い人対象の文章になっているのですが、私の頭にはちょうどよかったみたい。実は、信仰とか宗教に関心があり、若いころからいろんな本を読み散らしてきた私。今まで、なんか、????と思いながらも、そのままにしてきていた疑問点が次から次と解消されて、本を読みながらも、スカっと爽快! プラス、森達也が書くのだから、もちろんただの解説書ではないわけで、そこがまたよかったという・・。(#^.^#)神さまって本当にいるんでしょうか、というところから始まるこの本。「見た人の数はとても少ないはずなのに」(この言い方も森さんらしいよね)絶対にいないと断言する人はあまりいない、と言われて、うんうん、そうだよね、と。私自身、無宗教ながら、時々、神様っているんじゃないか、と思うことがあり、また、いてほしい、と願う気持ちがあることも確か。世界三大宗教の話から民族宗教、アニミズム・多神教、それに近年のカルトにいたるまで、穏やかな語り口で、ゆっくりと話を聞かせてもらっているような心地よさでした。で、世界の三大宗教の話の一番目は仏教。私の長年の疑問は、ブッダって仏教の中でどんな存在なの? ブッダ自身が仏なの?それとも神や仏と話すことができた人?仏舎利塔はいいにしても、仏像として多々残されている、菩薩とか弥勒とか阿弥陀如来ってブッダが信仰の対象として提示していた仏様たちなの?生前のブッダは決して自らを神格化することはなかったし、神や仏の存在を示したこともなかった。それに、そもそも、信仰というより哲学というか人間の生き方を説いたのだった、と言われて、なるほどぉ〜〜と。でも、ブッダの入滅後、教えを広める過程で、多くの国を経由して日本に入ってくるまでに、バラモン教やヒンズー教の神々の姿と融合していわゆる「仏様」になり、日本に入ってからは、神道の神々までそこに合体してしまったという面白さ、というか、アバウトさ。ここでは千字しか書けないので割愛するけれど、イスラム教、キリスト教に関しても、へぇ〜〜、そうだったの!!という驚きの連続でした。そして、大事なことは、「宗教と国家権力が結びつくと、ろくでもないことになる」という点。宗教は人によって必要だったり、必要でなかったりする。これは各自が選べばいいこと。でもね、と森さんらしい落ち着いた論調で伝えられる、第二次世界大戦時の神道やアメリカ同時多発テロなど、一面からのみ論じる恐ろしさ。これまでにも感じていたはずのことだったのに、また新たな展開を見せてもらえてとても興味深かった。キリスト教もイスラム教も仏教も、イエスやムハマンド、ブッダが言ったことだけを信条としていれば争いは起こらなかった、と言われると、またなるほど、と。宗教は利用されやすい、だから、自分の頭で自分の言葉でしっかり考えて対応していきたい。集団で暴走する怖さ、メディアによる煽り…。宗教は生き方の全てを導いてくれるほど親切ではない。でも、足元を照らしてくれることがある、というとらえ方が好きでした。一度読んですぐに再読、きっとこれからも何回も読むんだろうな、と思える一冊でした
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神さまって本当にいるの? 世界の宗教とその現状を踏まえ、宗教とは、信じるとは何かを考えてみる。
正直、今さら14歳向けの宗教の本なんて読むのもどうかな? と思ったのだが、著者が森達也さんだったので手に取ったところ、「読んでよかった!」。
これは宗教の本というよりは、神との、宗教との付き合い方を考えてみよう、という本である。そのために、知識として世界の三大宗教やオウム真理教のことなんかも説明してあるが、それはあくまで「考える」ための材料であり、素材である。
神様っているの? という素朴な疑問から始まるこの本では、宗教と人間のこれまでの成り立ち、歴史、事件などをざっと説明しつつ、「でも、これだけが宗教の全てではない」ということをきちんと教えてくれる。そして、一緒に考えてみようと小まめに言葉をかけてくれる。
「宗教だから」とか、「関わると面倒だから」だとか、曖昧なことを言わずに、一度自分で考えてみよう。わからないことがあったら、自分で調べて、比較検討してみよう。そして、何が本当で、何がおかしいのか、そしてそれがおかしいのなら、どこがどうしておかしいのか。ひとつの意見を鵜呑みにせず、物事にはいろいろな面がある。そのことを、まずは知ろう。
上記の事柄は、ほかの森作品でもよく出てくるキーワード的な言葉だが、この本でもそれらのことが、中学生にもわかりやすい文章で書かれている。
森氏のいいところは、人間は愚かで弱い生き物だけど、努力すればそれだけ学習できる、と未来を信じているところである。
「人は過去から学べる」「きちんと気をつければ、過ちは減る」「反省をすれば、人は賢くなれる」。文字でこれだけ書くと薄っぺらく聞こえるかもしれないが、森さんの本を読むと、確かに人間の未来を簡単に捨ててはいけないな、そのためにも賢い人間になりたいな、と思うのだ。
宗教を知るためではなく、宗教を考えるきっかけとしておすすめの一冊。
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「これは歴史を学びながらあなたに知ってほしいことのひとつだ。特に正義とか善とか、多くの人が正しいとか間違っているとか主張して決まる概念は、とても揺らぎやすくて不安定だ。だからこそ人は間違いを何度も犯す。その瞬間には間違っていることに気づかない。それが正しいと何となく思い込んでいる。そしてあとから首をかしげる。どうしてあんなことをしてしまったのだろうかと。」
仏教、キリスト教、イスラム教の3つの宗教をわかり易く解説。
とてもよくわかって、私自身改めて気付かされることもたくさんあった。
こういう本がまず初めの一歩となって、そして、これから色々と広がっていくのだなぁ、ということを実感。
そしてもちろん、この本だって著者の考えが反映していないわけはない。
色濃い、と言ってもいいかもしれないけれど、私は比較的この著者の考えに賛同できる部分が多い。
だからこそ、好んで読んでいるのだけれど。
今回も、「気づく」ことの大切さをよく知らされてもらったような気がする。
とても良かった。
この14歳の世渡り術シリーズも、また読んでいきたいなぁ。。。
【8/23読了・初読・市立図書館】
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友人に勧められて読んだ本。勉強になりました。
・人間は適応と馴致の能力がとても高い。だからこそ人類はこれほどに繁栄できた。でも良い面ばかりではない。弊害も大きい。周囲の環境や自分が置かれた立場に疑問を持つ力が弱くなることだ。
・特に正義とか善とか、多くの人が正しいとか間違っているとか主張して決まる概念は、とても揺らぎやすくて不安定だ。だからこそ人は間違いを何度も犯す。その瞬間は間違っていることに気づかない。それが正しいと何となく思いこんでいる。そしてあとから首をかしげる。どうしてあんなことをしてしまったのだろうかと。
・ユダヤ教とキリスト教とイスラム教は実は同じ神を信仰する宗教だ。
・宗教自体は悪ではない。ただ、きっかけとなりやすい。戦争と隣り合わせ。
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神様っているの?という疑問を世界宗教の歴史を紐解きながら考えていく本でした。
歴史を宗教という側面から見ることで、世界史の教科書を読むだけでは気づかなかったことが見えてきます。
やっぱり森達也さんは社会がタブー視してる話題に切り込んでいくのがうまいですね。
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宗教の出自がコンパクトにまとまっていて『聖☆おにいさん』の副読本としてもよい。なぜ梵天さんが広報なのかわかる。
人類が神様を欲するわけを掘り下げており、一気に読んだ。この14歳の世渡り術シリーズはおもしろそうだ。
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新年が明けて初詣に行ったかた、多いのではないでしょうか?日本人は一年を通じて何かと神様のお世話になっています。例えば、春夏秋冬のお祭りや、お盆、七五三、クリスマスに除夜の鐘までけっこう身近に気軽に取り入れている神道・仏教・キリスト教の神さま。でもそもそも神さまってなんでしょう?世界各国を巡り、いろいろな宗教の信者たちと出会ってきた作者が世界三大宗教や宗教と政治、はたまた危険因子含んだ宗教までわかりやすく分析していきます。
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今の私にはとてもフィットした!
宗教について勉強しようといきなり中沢新一と河合隼雄の対談を読んだのだが、めっちゃおもしろい一方で難しい!
とにかく複雑で頭がこんがらがってしまうが、そんな時に、ベイシックに立ち返れる本に出会えた。
前半の三大宗教の成り立ちが特にわかりやすくてうれしかった。
また近代の問題にも触れていて、イスラム原理主義とは何かなど、初めて基礎がわかった気がした。
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なぜ人は神をつくったのか。
宗教は危険なのか。日本人は無宗教なのか。なぜ宗教戦争が起こるのか。カルトは危ないのか。お宮参りもお葬式もクリスマスもお盆も,ごちゃまぜの日本に住んでいるからこそ,考えなくてはいけない,神さまとは何か。心の弱さでもない,危険思想でもない,宗教の話。他人を害するための神はいらない。自分を守るため,その暴走が怖い。神や宗教は,人々を一つにまとめあげるためのアイコンになる。政治と宗教が結び付いたとき,誰もがその流れに乗ってしまったら。人は繰り返す生き物だから,自分を守りたいから,過ちはまた起こるだろう。だから,神とはなにか,どうして必要とされているのか,考え続けなくては。
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子供向けにかかれた本だが中身はとても濃い。
色々と考えさせられる内容です。
おすすめです。