紙の本
視点が高くなり、視野がひろがる、良い意味で不思議で、おすすめの思考法本
2009/06/27 23:11
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:目指せ代表取締役 - この投稿者のレビュー一覧を見る
副題で「論理を超える問題解決の技術」とあるが、この本は決して思考のテクニック本(技術本)ではない。この本は、考え方や、物事の感じ方に対して、自分自身を見つめなおす機会をくれる本と考えてもよい。決して、ガチガチの論理本ではなく、むしろ、エッセイのように、日常の事例を通じて、現代の差別化不全の時代に必要な「おもしろい成果」の生み出し方を一貫して説き、「気付き」を与えることを主眼としているのであろう。「目的」、「関係性」、「価値観」、題材としているものが外資系の経営コンサルタントの書く内容とは思えないのも、ギャップでおもしろい。変にかっこいいことを言うだけのコンサル本が多い中、本質をかっこつけずに、変にまとめあげずに、余韻を残しながら、わかりやすく伝えている。新しいコンセプトに出会ったときの、落ち着かない感。それを感じられる珍しいビジネス書。視点が高くなり、視野がひろがる、良い意味で不思議で、おすすめの思考法本。
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著者は、杉野氏と内藤氏の二人である。どちらもATカーニーの人。
杉野氏は、東工大ー欧州経営大学院ーNTTドコモーATカーニーM、
内藤氏は、東大ーソニーファーストリテイリングーATカーニーM、って感じである。
どちらも実務についていた点が特徴的
MBA問題解決とかフレームワークとか、「コンテンツ」を仕入れるのはもうやめろ。
そんな事やったって、差別化できない。よって、コンテンツではなくコンテキスト思考を
行え。そして、具体的に本書ではその方法を述べよう。って感じ。
ちなみに、コンテキスト思考ってのは、
1.環境ー関係性ーユニークな視点
2.土壌ー価値観ーぶれない自分軸
3.太陽ー目的 ー共感
の3軸である。
うーん。言ってる事が矛盾してねぇ?
筆者は、本で執筆されること=万人に知られるって事、つまり差別化にならん。
簡単に言ってしまえば、こうなる。なのに、まず本でいってるじゃん(笑)
ここが一点。
次に、関係性を観るのは、俯瞰して観察しなければならない。
ビジネスの場合は、バリューチェーンを頭に入れておかなければならない。
これ、結局フレームワーク必要じゃんって言ってねぇ?(笑)
で、価値観で二元論とか言ってるけど、これも一種のフレームワークだよな?
弁証法的思考法とかもさぁ。
俺から言わせれば、考え方も知恵も知識も、ブラッシュアップしてなんぼって事。
当然何もしらなければ何も出てこない。基礎は必要。全部ひっくるめて知ってる状態。
そこからさらに知恵を絞って新しいフレームワークや考え方を紡ぎ出す。これが重要。
単純にそれだけだろ。
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率直に、面白かった。このような考え方も確かにあるなあ、と感じた。思考や働き方、もしくは、生き方を、少し柔軟にできる本。
【良い点】
・書かれている内容が、全て斬新で、それでいて直感的な納得性が高い(主張しているコンテキストという概念も、それにまつわる事例も、新しく、そして、納得できる)
・論理や事例が、理屈っぽくなく、非常にわかりやすい(筆者はコンサルタントだが、コンサルタントのイメージと異なる)
【悪い点】
・理論的な裏づけが少なく、経験則的な側面が強い(でも、なんとなく正しそうなので、納得はできる
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視野が拡がる本です、というか、とても自分自身を考えさせられる本です。
ビジネス書であり、特に流行の思考法の本なのですが、骨太な「生き方」の本とも思えます。最近では、一番のオススメ本です。
内容は、「客観」ではなく「主観」で感じ取って、「おもしろい成果」を生み出そうというものですが、ほとんどが、「言いえているなあ」と感じます(一部は自分の意見と異なる部分もありますが、それはそれでよいような気がします)。内容は骨太で、ズシッと重たいものです。それでいて、企業や人物の事例などは、とてもわかりやすいものが選ばれており、気楽に読み通せるのもよいです。読後は、なんだか不思議な感じ。うーん、久々に考えさせられました。
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PRマンであれば、比較的、当たり前の考え方や視点かなぁと思いました。
著者の意気込みは伝わってくるのだが、考え方やフレームだけだとやっぱり分かりづらいし、お勉強の出来る著者にありがちな「 」の乱用が分かりづらさを助長している気がした。
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ビジネスにおいてコンテキスト(文脈)が重要と主張し、それについて「おお!」とうなずいたり、「ん?どういう意味だ」と疑問を思ったり、良い意味でモヤッとする。ハイコンセプトを読んだときもこんな感じだった。こういう本は、読んでから数日後にじわりじわりと意味深さが押し寄せてくるんだよなあ。いろいろと深く考えたい人、ハイコンセプトが合う人に、おすすめ。
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ロジカルシンキングや仮説思考の先を行くコンテキスト思考の提唱をした本。
従来のフレームワーク思考などをコンテンツ思考と定義し、それと対極にある思考をコンテキスト思考と定義している。そしてそのコンテキスト思考こそが「おもしろい成果」をもたらすものであるとしている。つまり、われわれがロジカルシンキング等を学ぶ目的はビジネスにおいて高い成果を出すためであるが、その目的を達成するためにはコンテキスト思考まで身に付けなければならないというもの。たとえば、企業にとって、競合企業が存在すると売上が落ち、あるいはそれを維持するために広告宣伝費や販売促進費などのコストの増加で利益が落ち込むというマイナスの影響が出ると考えがち。たしかにそれもある。しかしコンテキスト思考の一つである「環境のコンテキスト」に注目すると、かならずしもそれだけでないということがわかる。あるいは、ソニーとパナソニックのブルーレイにおける競争。実はこれも、「環境のコンテキスト」に注目して分析すると、両社にとっておいしいものであったということがわかる。
コンサルタントに興味のある人や経営に興味のある人は読むべき一冊だと思う。
ちなみに著者は経営戦略コンサルティングファームA.T.カーニーのマネージャーの方である。
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■目次
まえがき
第1章 コンテキスト思考の全体像
「コンテキスト」とは何か
「コンテキストの時代」の到来
「コンテキスト思考」とは何か
第1章のまとめ
第2章 コンテキスト思考の3Sフレームワーク
3Sフレームワーク
Surroundings(環境)―私たちの周りにある関係性
Soil(土壌)―私たちの中にある価値観
Sun(太陽)―私たちの前にある目的
「コンテンツ思考」の限界と3S
第2章のまとめ
第3章 「Surroundings(環境)=関係性」のコンテキスト思考
ケース:売れ筋商品を拡大したら、売上げが落ちた
「関係性」とは何か
「関係性」はなぜ重要か
「Surroundingsのコンテキスト思考」=「関係」ではなく「関係性」
「Surroundingsのコンテキスト思考」の実践のコツ
第3章のまとめ
第4章 「Soil(土壌)=価値観」のコンテキスト思考
クイズ:いちばん美しい数学の方程式は?
「価値観」とは何か
「価値観」はなぜ重要か
「Soilのコンテキスト思考」=「価値」ではなく「価値観」
「Soilのコンテキスト思考」の実践のコツ
第4章のまとめ
第5章 「Sun(太陽)=目的」のコンテキスト思考
クイズ:あなたは太陽をどのように描きますか
ケーススタディ:ロジカルに正しい目標に動かない組織
「目的」とは何か
「目的」はなぜ重要か
「Sunのコンテキスト思考」=「目標」ではなく「目的」
「Sunのコンテキスト思考」の実践のコツ
第5章のまとめ
第6章 コンテキスト思考の土台となる基礎能力
「コンテキスト思考」の土台となる2つの基礎能力
「知識」だけではなく「教養」
「理解」だけではなく「楽観」
あとがき
■レビュー
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重要視されがちな「コンテンツ」に対して、
「コンテキスト」の重要性にフォーカスした本。
よくあるコンサルが同じような内容を書き直したような本とは違った新しい視点を持てる良書。
もうちょい読まないと自分の糧として入ってないけど、一部解釈加えてメモ
・文字で表現されるコンテンツと違って、
コンテキストは物理的に認識できないため、能動的に読む必要がある。
・Sun(目的)
「ありたい姿」もコンテンツではっきりしている部分と、曖昧なコンテキストな部分がある(太陽の絵の例)
「目標」がコンテンツであり、その経緯や背景である「目的」はコンテキスト。
共感を得るには分かりやすい目標だけでなく、共有が困難な目的も示す。
目標だけ受け取ってもなぜそこに進むかが分からない。
人に訴えるにはストーリーで。(交通事故のビデオの例)
前半に物語で目的を、後半に目標を押し込んで共感を起こす。
ここでロジカルなチェックは忘れないように。
「目標」は一度決まるとこれが軸・前提となって問題把握・課題分析・対策策定・実行が始まる。
但し実際には「目標」は早いスピードで変える必要が生じる場面がある。
「目的」が変わったのに合わせて「目標」を再定義する必要がある。
朝令暮改はおかしくない。
優れた経営者は「ありたい姿」が何なのかを常に考えて追う。
すなわち、目的(コンテキスト)を変化をいち早く感じて、目標を再定義する。
停滞企業は目的が変わっているのに目標の再定義がされない。
・Surroundings-環境(関係性)
例)健康に育ってた木を別の場所に移したら光があたらず枯れてしまうことがある。
「関係」よりも「関係性」
表面に見える関係だけではなく、その裏の関わり合いである関係性を見て初めて理解出来る。
(「風が吹けば桶屋が儲かる」の例)
これを理解することでその関係性を用いて他に応用が出来る。(オランダの空港のトイレの例)
・Soil(価値観)
例)健康に育ってた木を別の場所に移したら土壌が悪く枯れてしまうことがある。
・エアポートテスト
・ぶれない軸、価値観を明確にするためのひとつの方法として、「極論で考える」
・価値観ポートフォリオで考える(物質と精神の充足度のマトリックス)
コンテキスト思考の原動力は「教養」と「楽観」(当たり前に感謝出来ること)
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丸の内オアゾでは、ベストセラーのコーナーで第5位にランキングされていた。
売れているようなので買ってみた。
とにかくコンサルタントっぽい内容なのだが、買って正解だった。
なにが良いかというと、コンテキストという新しい視点を提示している点でおもしろかった。
こういう本のように、新しい視点を投げかけられると、こっちもちゃんと考えなくてはいけない。
それによって、こちらの考え方が揺さぶられ、新しい気付きがある。
こういう著者と読者の間での、ああでもない、こうでもないというキャッチボールが読書の楽しみであろう。
7割で賛同、3割で違和感。そういう本が良書なのだが、この本はまさにそういう本。
英語の3Sが変にまとめ過ぎているのが如何にもコンサル的だが、言っていることはごもっともなのでご愛嬌かな。
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ロジカルシンキングは必要だが、それのみではなくロジックの裏・コンテクストを読めるようにならねばならない、という本。
quite agree、ロジカルシンキングはコモディティとして持ち、それに感性を乗せていくことが必要だと思う。
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ロジックやデータだけで語れるものをコンテンツとし、コンテンツだけでは本当の意味での問題解決はできないことを語った本。
本当に問題解決するためには、コンテンツのうらにあるコンテキスト(目的、価値観、環境)が大事だとのこと。
日本の古くからの言わずもがな、あ・うんの呼吸の経営はコンテキスト思考とは厳密には異なるものの、似ており日本人は得意とのこと。
日本のビジネスもこれから!?と思わせる、元気のない日本経済への応援歌ともとれる、良い本でした。
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コンテンツ思考の限界 cf. MBA、ロジカルシンキング
コンテンツは普遍的で、客観的なものであるためいつ誰が見ても解釈は似たようなものになる。このため、コンテンツをベースにして発想すると、誰もが同じようなアイデアを出すことになり、結果として周りとは異なるおもしろい成果の起点はいつまで経っても生まれない=ありきたりの壁
企業や人は必ずしも、論理的な説明だけで動くわけではなく、感情に従って動くときがある。もう少し言うと、論理的に分かるだけではなく、感情的にも胸が躍ったときの方がモチベーションを高めて行動できる。このため、コンテンツに依存し、それを支える論理を重視して実行しようとすると、自分だけは率先して動くが、周りがついて来なくなる。つまり、せっかく面白い構想をまとめあげても、周りがバラバラに動いてしまい、全体では空回りに終わり、期待するような成果につながらない。これがコンテンツ思考に依存して実行する場合に直面するひとりよがりの壁である
コンテキスト思考の3Sフレームワーク
Surroundings(環境)=関係性のコンテキスト
物理的に認識できない、関係性というコンテキストを能動的に考察する思考法
ex. ソニーとパナソニックのブルーレイの普及、PDFの普及
関係ではなく、関係性→ユニークな視点
①因果の関係性
物理的に認識できるモノゴトの相関関係の背後に存在する、原因と結果の関係性のこと
レバレッジ視点
モノゴトの間にある関係性を理解して打ち手を見出すことによって小さなインプットで大きなアウトプットを得る視点を手に入れることができる
ex. サラダを置くと高価なサプリが売れる、軽犯罪の防止が殺人事件の現象につながる、スキポール空港のトイレのハエと清掃費
②補完の関係性
単体としては対立関係にあるモノゴトを組み合わせることによって相乗効果を生み出すモノゴトの関係性を示す
ex. コンビニ弁当のバラエティ、ジュンク堂の売れない本の陳列、モーニング娘の人数→自己表現欲の満足、イトーヨーカドーの最上階のユニクロ店舗(シャワー効果)
Surroundings(環境)のコンテキスト思考の実践のコツ
①相関・対立関係を目印にする
複数のモノゴトの間の関わり合いを分析する中で相関関係が見つかったらその相関関係の裏側に因果の関係性がないかと仮説を立てる
②観察する
③トレードオフを考える
相関関係の裏に因果の関係性を見つけたら、あえてそこで因にあたる部分を負の方向に動かすことを考えることで、その果のほうで効果が梃子のように増し、結果的に因でのマイナスを補って余ある果のプラス効果が生まれ得ないかを検討し、全体で最も効果が最大化するポイントを見つけていく視点
ex. ドラッグストアの食品
Soil(土壌)=価値観のコンテキスト思考
「価値観もどき」に気をつける→Me tooストラテジー
ホンモノの価値観が「ぶれない自分軸」の源泉となる
価値観のコンテキスト思考の実践のコツ
①デカルトの二元論的に考える
物質と精神
物質に対する価値観=モノゴトが提供する機能に価値観を見出す
ex. 1万円に1万円の価値
精神に対する価値観=モノゴトが提供する"情緒"に価値観を見出す
ex. ゴロが良い番号の1万円に2万円以上の価値を見出す紙幣マニア
②極論で考える
単純化した極端な選択を考えることによって自らが重視する価値観が見えてくる cf.余命限定アプローチ
ex. 売上げ成長する事業と収益貢献する事業のどちらに"機能"としての魅力を感じるか? 失敗する可能性は高いがイノベーションが期待できる事業と、リスクの低い安定した事業、そのどちらに"情緒"を感じるか?
③価値観ポートフォリオに当てはめる
縦軸:物質に対する価値観の充足度
横軸:精神に対する価値観の充足度
2つの価値観をどの程度充足させているかを基準にモノゴトをマッピングする
物質◯精神×=割り切り
物質×精神◯=夢追い ex. AIBO
物質◯精神◯=運命の出逢い
Sun(太陽)=目的のコンテキスト思考
ありたい姿=目標
目標は、あくまでコンテンツ
目標を生み出す経緯や背景が「目的」であり、それが「目標」というコンテンツの裏に存在するコンテキスト
何を達成しなくてはいけないか=コンテンツ なぜ達成しなくてはいけないか=コンテキスト
目的のコンテキストを能動的に洞察して周りと共有し、おもしろい成果を生み出す上で不可欠なありたい姿へ向かっていくための共感を手に入れる思考法
目標の背景にある3つのコンテキスト
①果たすべき使命 ②訪れる機会 ③自らの意思
Sun(太陽)のコンテキスト思考の実践のコツ
①物語を考える
物語は一つひとつの言葉はコンテンツであるにもかかわらず、文脈というコンテキストの格納場所を有する点で、それらのコンテキストを無意識に埋め込むことに適している。物語を考えることで、頭の中にあるありたい姿に向かって進んでいく意味合いである「目的」を浮かび上げ、その物語を周りに伝えることでコンテキストのまま共有することができ、それは周りにありたい姿の共通認識を持たせ、結果的に「ありたい姿」に向かっていくことへの共感を生み出すことができる
物語は文脈を捉え、感情を捉える(心理学者ドナルド・ノーマン)
目的のコンテキストを共有するならば、論理ではなく物語を使う思考が必要
目標とは物語のハッピーエンドのラストシーンをスナップショットで切り出したもの。目標の背景には、そのラストシーンに辿り着くまでのさまざまなドラマが想定されるはずであり、このさまざまなドラマの中にあるのが目的である
起承転結で考える
起:果たすべき使命 周りも含めた自分たちの存在意義(当事者意識の共有)
承:訪れる機会 環境変化などで自分たちに巡ってくるチャンス(課題認識の共有)
転:自らの意思 自らが意思決定をした理由やその意気込み(自信の共有)
結:目標 理想形として目指したい姿(共感の共有)
どんなに面白い小説や映画であっても、その結論やラストシーンだけを伝えても、それを聞いた人は何の「共感」も持ちえないのと同じように、リーダーが「コンテンツ」で表現される「目標」だけを伝えても「共感」は生まれず、周りは自発的にはその「目��」の達成に向かって動かない。起承転結のような「物語を考える」こと、そしてそれを周りと共有することで「ありたい姿」の共有とそこに向かうことへの「共感」を導き出し、周りを動かせるようになり、それがおもしろい成果に結実する
コンテンツ特有の普遍性を持つ目標に比べて、目的のコンテキストは記憶に残りにくい→何度も繰り返して物語を伝える
②論理は尊重する
物語を使う際には論理を守っているかを常に確認する必要がある。物語るのは論理の限界を補うためであり、論理を飛躍させてしまうためではない
③朝令暮改の勇気を持つ
おもしろい成果を生み出していくには、常にありたい姿を見つめ直し目標を再定義していくことが必要
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洞察力とはどこから産まれるのか、堂々としたリーダーシップの秘訣は何か、ロジカルシンキングだけでは解けないそんな問題に挑む一冊。筆者はそういう素質の源を「コンテキスト思考」と名付け、曖昧模糊とした、文脈とか人の心の機微のような部分の理論化を試みている。
コンテキスト思考は3つのS、関係性(surroundings)、価値観(土壌=soil)、目標(太陽=sun)に要約される。関係性とは、ものごとのつながりから思わぬ結果が生まれること。それらは定量的なデータ分析だけでは計り知れず、能動的に洞察するしかない。
次に、価値観とは元来ユニークなもの。自分なり、自社なりの価値観を知り、活用することこそが差別化の出発点となる。最後に目標。目標をたてた時に、リーダーは「目標」に至る「目的」の物語を語り、共感を求めないと成果はあがらない。しかも起承転結で語る、というあたり、面白かった。
いずれも、仕事をしながら知らず知らず使っているスキルであるが、何となく感じていることをビシッと「ロジカルに」示されて、個人的には納得した。コンテンツ思考とコンテキスト思考を二元論的に対比し続けたことには若干の疑問点も残るものの、間違いなく良書だと思う。
最後にコンテキスト思考を支えるものは楽観と教養である、と締めるあたりも、筆者の矜持の高さが窺えて心憎い。
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(S)
データ分析への偏重に代表されるような「コンテンツ重視」の考え方から、コンテンツの背景となる「コンテキスト」を重視する考え方への転換を薦めた本。書いてある内容は普通のことで、マーケティングをちょっとでも勉強した人間であれば当たり前の話ばかり。
筆者が提唱するコンテキスト思考をするために、コンテキスト思考をフレームワークとして説明しているが、その説明が最高に分かりにくい。
また、誰に向かれて書かれた本なのかがはっきりとしていないため、思考法の話かと思えばチームビルディングの話が出てくるなど、構成も支離滅裂。もう2 度と読むことはなさそうな本。