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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2009.6
- 出版社: 宙出版
- サイズ:15cm/530p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-7767-9542-1
紙の本
公爵と百万ポンドの花嫁 (オーロラブックス)
1881年ロンドン。ニューヨークの成金を父に持つソフィア・ウィルソンは、英国貴族の結婚相手を探すため、母に付き添われて海を渡った。ロマンティックな恋愛結婚にあこがれるソフ...
公爵と百万ポンドの花嫁 (オーロラブックス)
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商品説明
1881年ロンドン。ニューヨークの成金を父に持つソフィア・ウィルソンは、英国貴族の結婚相手を探すため、母に付き添われて海を渡った。ロマンティックな恋愛結婚にあこがれるソフィアは、ある夜会で“危険な公爵”と呼ばれるウェントワース公爵ジェイムズと出会う。両親から愛情を受けずに育ったがゆえに人を愛するということを知らないジェイムズ。彼は結婚する気などなかったが、友人から「結婚はビジネスと同じ」とそそのかされ、爵位を求める裕福な女性と結婚するのは意味があるのでは…と考えた。莫大な持参金つきの美しい花嫁をめぐる恋の争奪戦が始まった。果たして、情熱的な米国出身の令嬢と愛を信じない公爵との結婚は?そして、次第に明らかになっていく公爵家の秘密とは。きらびやかな恋と深まる愛を心ゆくまで味わえる極上のヒストリカルロマンス。【「BOOK」データベースの商品解説】
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紙の本
花嫁の値段は?
2009/07/19 06:43
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:斜麓駆 - この投稿者のレビュー一覧を見る
カナダのヒストリカル作家ジュリアン・マクリーンの「アメリカの女相続人」シリーズの第1巻です。2003年から2007年までに4巻出版されているようです。
原題が「公爵と結婚する法」ということからも,アメリカ人(の富豪)がイギリスの爵位や貴族階級にどれほど執着心を持っているかということがうかがわれます。階層社会であるアメリカと階級社会であるイギリスとが私たち日本人からみると,そう大きな違いがないように見えるのですが,実は意識の上ではかなりの開きがあるのかもしれません。イギリスとアメリカのライフスタイルの違い,男女観・結婚観の違いに至るまで,事細かにヒーローとヒロインに語らせながら,作者マクリーンは明らかにしていきます。
「ミス・ウィルソン(ヒロイン)は,このロンドンへ称号を金で買うためにやってきたのだ。そして彼は非常に価値の高い称号(公爵)をもっていて,さらに彼女が用意している代価を必要としている。これは取引だ。それを彼女は了解している。彼も了解している。その点を忘れてはいけない。」ヒーローはこのように自分に言い聞かせてヒロインに惹かれる気持ちを自分で抑えようとします。つまり,貴族のつとめとして,結婚は子供を得るための仕組みであり,妻を愛するためではないと考えているからです。
一方,ヒロインであるソフィアはアメリカ人らしくヒーローに惹かれる自分の気持ちを抑えようとはせず,「あなたは,愛が幻想だと思っているの?」「わたしはあなたのためにすべてを捨てたのよ,あなたを愛していたから」と心から訴えます。国民性の違いばかりでなく,幼い頃から愛されて育ったソフィアと,逆に小さい頃から父母に愛情をかけられず,逆に父親からは疎まれ,しかも祖父の代からの自分の家族に架せられた血のせいだとも考えていたウェントワース公爵ジェイムズとの,家族との関係からくる感じ方の差でもあるのです。
結婚後,ソフィアはジェイムズの領地であるヨークシャーで義母や義妹と過ごします。義母は前公爵夫人として,頑ななまでにマナーやしきたりを重んじ,アメリカ人であるソフィアに対してもつらく当たるのですが,義妹は身近なところに姉ができたことを喜びます。夫であるジェイムズは,ときにソフィアに惹かれるのを逃れるようにロンドンに行ったり,領地にいるときでも食事の時間をずらしたりと,ソフィアを避けるのですが,領地の農家の盲目の老女に聖書を読んで聞かせる姿や,館の使用人たちとよい関係を築いていくソフィアの姿を見ているうちに,次第に「癒し,慰め,愛」という,これまであえて目を背けようとしていたことが周囲の人々によい影響を与えてることに気づき,ついに本当の愛に目覚めるのです。忌まわしい過去のことがらにも自らの力で乗り越えようとするジェイムズに変身していったとき,ソフィアとジェイムズは本当の夫婦に,なっていくのでした。
そのために使われたお金が百万ポンドであっても,決して高くはないのよ,と作者はページの裏でほほえんでいるようです。