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  • みんなの評価 5つ星のうち 4 642件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2009.5
  • 出版社: 徳間書店
  • サイズ:20cm/290p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-19-862731-7

紙の本

神去なあなあ日常

著者 三浦 しをん (著)

美人の産地・神去村でチェーンソー片手に山仕事。先輩の鉄拳、ダニやヒルの襲来。しかも村には秘密があって…!?林業っておもしれ〜!高校卒業と同時に平野勇気が放り込まれたのは三...

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神去なあなあ日常

税込 1,650 15pt

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商品説明

美人の産地・神去村でチェーンソー片手に山仕事。先輩の鉄拳、ダニやヒルの襲来。しかも村には秘密があって…!?林業っておもしれ〜!高校卒業と同時に平野勇気が放り込まれたのは三重県の山奥にある神去村。林業に従事し、自然を相手に生きてきた人々に出会う。【「BOOK」データベースの商品解説】

高校卒業と同時に平野勇気が放り込まれたのは三重県の山奥にある神去村。チェーンソー片手に山仕事を始めるが、先輩の鉄拳、ダニやヒルの襲来、さらに村には秘密があって…。林業にゆる〜くかける青春の物語。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

三浦 しをん

略歴
〈三浦しをん〉1976年東京生まれ。2000年「格闘する者に○」でデビュー。06年「まほろ駅前多田便利軒」で第135回直木賞を受賞。ほかの著書に「仏果を得ず」など。

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書店員レビュー

ジュンク堂書店京都BAL店

今年の本屋大賞で惜し...

ジュンク堂書店京都BAL店さん

今年の本屋大賞で惜しくも4位だった作品です。
ニートになりかけの無気力な主人公が、高校卒業と同時に強制的に山奥に連れて行かれ林業に就くというストーリー。
タイトルの「なあなあ」は「のんびり行こう」「まあ落ち着け」という意味の方言で、その言葉通りのゆったりした神去村の日常を追った話です。・・・と思いきや、それだけではないのがミソ。何といっても、山の自然の厳しさや美しさと村人たちのパワフルな交流に触れるうちに、自分もそこで暮らしているかのような気になります。詩作が趣味だった主人公勇気がどれだけたくましく成長するか、見守りましょう。

京都BAL店文芸書担当

みんなのレビュー642件

みんなの評価4.0

評価内訳

紙の本

ちきしょう、また楽しく読んでしまった!

2009/07/01 15:07

13人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kako - この投稿者のレビュー一覧を見る

前作のドロドロっとした雰囲気が一掃され、なんとまぁびっくりするほど「さわやかぁ~」で「青春の匂い」がする作品になっていました。よくもこう読者の心をかき乱すものです(笑)。もぅ本の装丁からして素敵じゃないですか!むかつくことに挿絵がまたがっつり本作にマッチしていて、心を和ませてくれます。

お話をものすごく簡潔に説明すると、高卒の世間を全く知らないといってもいい普通の男の子がいきなり林業に放り出され、文句を言いながらもまんまと山の魅力と田舎の引力にずっぽりはまっていくというものです。
文章はその男の子「勇気」が、パソコンに日記を残すという設定で書かれています。山のこと、田舎の村の恐ろしさを全く知らない彼にとって毎日が不可思議の連続。
山の神様のことを信じて疑わない村の人々の中に混じれば、勇気の疑問は心の中で叫ぶしかありません。
何故そんなことをするのか全く分からないけれどとりあえずやっている風習は、理由を聞いて誰もわからなければ結局参加するしかありません。
風よりも早く伝わっていく自分では秘密にしておいているつもりの片思い、何故か皆の話題に上がってしまい頼んでもいないのに親切にアドバイスを頂けます。
横浜で育った勇気にとって神去村は日本語の通じる外国のようなもの。とまどい不安だらけで最初はとんずらすることを考えていますが、びっくりするほど素敵な人たちにがっちり周りを囲まれてしまい、徐々に諦め・・・というより神去村を好きになっていく勇気。人類皆兄弟ではありませんが、村これ全部親戚のように濃く厚い付き合いに、彼にもなぁなぁの精神が浸透していきます。
なんでも「なあなあ精神」でこの「なあなあ」も作品の魅力の一つ。魔法の言葉でございます。
「ゆっくり」「おちついて」「しかたない」あらゆることに使うことができ、そう言っておけば間違いないという素敵な響きをもつ言葉。村の人々の言葉尻についていて、まあゆるやかな時間が会話の中で経っています。
勇気がこの「なぁなぁ」を口にすることができる時、そこには立派に山への愛情を持ち、林業に生きてきた男たちへのリスペクトを感じている男に成長していることでしょう。

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紙の本

経験と自信が変えていくもの

2009/10/07 15:35

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:カフェイン中毒 - この投稿者のレビュー一覧を見る

三重県中西部、奈良との県境にあるらしい神去(かむさり)村。
横浜育ちの平野勇気は、高校卒業と同時にその村に放りこまれ、林業に携わることになりました。

社会経験もなく、腕力も体力も都会っ子そのものである彼は、
逃げ出すことすら不可能と思われる山奥で、渋々と仕事に就くのですが、これがもう……!
大量の花粉(そりゃそうですね)に、ダニやヒル。
なにより、山での仕事は思うようにならないことばかりで、
隙あらば逃げ出すチャンスをうかがう彼の気持ちも、わからないでもありません。

山仕事に慣れながら、自分の身体の変化を感じる勇気。
出荷されるまでの気の遠くなるような年月を思い知らされ、日々接する木への想いも変わっていきます。

まんまと林業にハマっていく若者を描く一方で、その彼の目を通して、
過疎化する村とその住民、そして山の神様のことが描かれているのですが、これがめっぽうおもしろい。
意味不明な神事の数々、命知らずの祭、いつまで経っても余所者として扱われる不満。

若者が圧倒的に少ない土地で、
さまざまな世代の村人に囲まれ、学び、大人になっていく主人公の姿は、見ていてとても眩しい。
描写こそありませんが、おそらく身体だけでなく、顔つきも変わっていることでしょう。
程よい自信と、自然に対する畏れを知った謙虚な心、村で知った「なあなあ」の構え。

さて、勇気の前途多難な恋心は実るのでしょうか。
相手の女性に、彼の変化が映っているなら、
そう遠くない日に、山の男は彼女を振り向かせることができるのではないかと思います。
物語の中に息づく人々の幸せを願わずにいられない、心地の良い本でした。

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紙の本

日本の風土が好きになる傑作青春ストーリー!

2012/01/18 09:42

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ジーナフウガ - この投稿者のレビュー一覧を見る

物語の書き出しから、もう、神去(かむさり)の村が、
どういった場所かと想像力を掻き立てられるところに作家・三浦しをんさんの筆の冴えを感じる。

肩の力を抜いて、安心して小説の流れに身を任せられる、それだけ信頼を置ける作家さんは、そうはいない。
よって。僕にとって三浦作品を読むことは、至福の読書時間を過ごせることを意味する。

今回も又、抜群の発想で造り上げられた物語世界が存分に楽しめた。
高校の担任が、主人公に内緒で、勝手に申し込んだ『緑の雇用』制度。

それで成り行きから『林業研修生』として、三重県の、携帯も圏外の僻地、神去村まで、
派遣されることになったのだから、設定からして、笑わせてくれる。

加えて、主人公が神去村での生活を表も裏も包み隠さず、記録する形で、
語りかけてくる告白体の文章形式が、斬新で面白い。主人公・平野勇気くんを出迎えたのは、

『ケータイ』の電池を『どうせ圏外や必要ないやろ』との、己に都合良い理由で、
いきなり沢に投げ捨てる野生児ヨキ。けれど林業の天才、空っ惚けた『なあなあ』な性格の持ち主でもある男だ。

肝心の勇気の職場。林業会社・中村林業の面々も、バラエティー豊かな顔触れだ。
『おやかたさん』と村の衆から慕われている、遣り手若社長清一さん。

教え方が荒くて厳しいヨキの代役で勇気の教育係を務めることに相成った巌さん
(子どもの頃、山の神様に認められて特別な体験をしている)。

飄々と惚けてるがいまだバリバリの現役な山男三郎じいさん。全員が、山仕事は仕事じゃなく、
生きかたそのものです、って感じなのがカッコいい。最初は神去村からの脱走を企てたりしていた勇気だったが、

山仕事のいろはから身に付けていく内に、林業仕事に誇りを持つまで成長していくのも面白い。
だが、現実では嫌な事もある。僻地な上、長年、顔見知りのみで住み暮らしていた神去村。

最初、勇気をよそ者扱いし邪険にする。が、ある事件の起きた時、
名前に負けない勇気を見せて大活躍した勇気を、徐々にではあるが、

神去村の一員として認めようとする。それもこれも、神去山の神様の威厳を、
住民全員が信仰し畏れ敬う念が、色濃く息づいているからだろう。クライマックスとなる、

オオヤマヅミの神に捧げる大祭の描写は圧巻の一言!それにしても三浦さんは、
作中人物の暮らす環境や立場の違いなどから来る心理状況を描き分けるのが上手だなぁ、と思いました!!

あ、蛇足ですが、勇気が惚れた女性含め、おかみさん達(山の神って言いますね)
の凛々しさも読後感を爽快な物にしてくれています。青春小説の大傑作をオススメ致します!!

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紙の本

林業の大切さを感じました

2017/10/20 18:59

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:L - この投稿者のレビュー一覧を見る

林業という一見すると地味なお仕事小説かと思いきや、さにあらず。仕事内容から神去村のひとたちまでとても興味深くおもしろかったです。

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紙の本

山の中の神に出会う

2009/09/08 16:01

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:うみひこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

物語を読むという行為の不思議さは、あらゆる差を、性差、年齢、人種、時代を乗り越えて、主人公と同化してしまうことにある。だから、この夏、「私」は、横浜から来た高校出たての「俺」に変身して、山また山の奥の神去村のさらに山奥の神去地区で、呆然としながら日々を送った。この作品を何度も読み直すという行為は、だからなんだか夏休みの思い出に浸る行為ににている。
 簡単に荒筋を言うと、こうなる。主人公の俺は、高校を出てフリーターになるつもりが、親と先生の陰謀で、卒業と同時に、いきなり山奥の林業の村に、研修生として放り込まれ、「林業」の修行する羽目になる。
迎えに来た駅で、俺の携帯電話の電池パックを奪って投げ捨てるような奇妙な金髪男に連れられて行ったのは、森林組合の研修所。チェーンソーの使い方とかを教わった後に、さらに山奥に連れて行かれ、一軒の家に(夫婦喧嘩中の)若い夫婦と お婆さんと一緒に同居することになる。どうやら、俺は 「中村林業」という会社に就職をしたらしい。何も分からないまま、ゆるい時間の流れの中で、俺は林業を学んでいき、淡い恋をし、祭りに参加する。それだけが物語なのだ。(が、実は、その祭というのが凄まじく…なのだが、それは読んでからのお楽しみ)

けれども、作者が語る現在の日本の林業というもの、山を守り、木を守っていくやり方は、本当に面白い。木が雪で折れる音を聞いている切なさ。毎日、山に入っている者にしか分からない事々が、ああ、そうだったのか、そんなふうに日本の山はあるのかと思わせるものがあり、興味が尽きない。
 
さらに、山の神秘。
山奥で暮らす人々の感覚として、作者は方言の「なあなあ」を設定しているのだが、それは、狭い集落の人間関係の中で、相手を追い込まないための知恵でもあるし、山と共存していくための、古くからの知恵でもある。そして、そんな村人を書きながら、作者が一端、山の神秘に筆を染めると、「なあなあ」の真の意味が分かってくる。

神隠しに逢う子供、 神隠しにあったことのある男、濃い霧の中のを渡っていく音。例えば、柳田国男を読んだとき、頭の中で物語が動き出す感覚を、見事に、作者は独自の形で、小説にして見せた気がしてならない。
 
私は、この本の山の中の風景の、濃い霧に逢うところが、好きで仕方ない。ここを書きたくて、作者がこの物語を書いたのではないかとも思っている。 そして、ここを読みたくて、私は何度も、「なあなあ」な感じのこのゆるい小説を読み返してしまう。
 
作者が、書いて見せた数多くの神秘、不思議な祭の風景。それらを含めて、神去を、幻の故郷の一つとして心の中に残しておきたい。
そう、思わせる小説なのだ。 

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紙の本

ユーモアが無い三浦しをんって、普通なんです。無論、上手なんですけど、男と女の関係が異様に平凡。むしろ、しをんと弟くんの関係のほうが面白いかも。それと伝統的なものをやたら大切にするのが説教くさくて・・・

2009/10/15 20:36

7人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

まず、このタイトルで何かイメージできる人って凄いと思うんです。「神」と「日常」という言葉から強引に奈良か京都に嫁いだ人の適当な人生か、なんて思う以上に一歩も出ません。第一、「神去」っていうのが分からない。読み方もそうだし、なんだか山田正紀の伝奇小説風で、そうなると絶対に三浦しをんとは結びつかない。もう大混乱なわけです。

しかもです、目次を覗くと

一章 ヨキという名の男
二章 神去の神様
三章 夏は情熱
四章 燃える山
終章 神去なあなあ日常
謝辞

となっていて、まあ、完全に神がかり。ヨキ、なんていう名前も完全に古代、縄文時代だろう、なんて思うわけです。おまけに燃える山、おお、富士山が噴火していた時代か、それこそ神代の世界の話だなあ、なんて完全に独走というか妄想が暴走するわけです。ま、実はこの「神」というから連想された世界、というのはそんなにこの小説の内容と離れているものではありません。

出版社の以下のことば
              ×
神去村の人たちはおっとりしている。彼らの口癖は「なあなあ」で、「ゆっくり行こう」「まあ落ち着け」など、いろんな意味に使われているが、語尾にも「な」がつくので、のんびりした感じになる。神去村には林業従事者が多く、百年単位んの作業をしているので、あくせくしてもしようがないと思っているみたいだ。俺は平野勇気。高校卒業式の後、俺の行き先は、担任の先生と母親に決められていた。この神去村で、林業の研修生として働くことになっていたのだ。ローカル線の終点の駅に出迎えに来てくれたのは、髪を金髪に染めたヨキというガタイのいい男だった。チェーンソーの使い方など教えられたところで、俺は「緑の雇用」というシステムの応募者にされたのだと知った。しかし、「やっと神去村に若者が来た」と涙ぐんでいるおじいさんを前に帰るとは言えなかった。俺の山の生活が始まった。……。
              ×
だけでは分からないかもしれませんが、だんだんそんな気分になって来ます。主人公は高校出たての平野勇気、将来、なにになろうとか、分からないからとりあえず勉強しようとか、一切考えないバカものです。ま、ここでもう感情移入できないんですが、この勇気の姿をどう思うかでこの作品の評価が決まる、といって過言ではありません。

息子を無理矢理、研修生にしてしまう無責任な両親や教師のことが少しも笑えない、というのは三浦にしては珍しいことです。この
話、本当に彼女が書きたかったものなのか、かなり疑問ではあります。たとえば、林業のこと。それなりに詳しく描かれていますが、正直、調べて書いたということがあまりに濃厚に感じられて、単に設定として利用しただけ、という気がします。

挿絵もいやに優等生。清潔で、普段だったら私も褒めるんですが、お話の内容と相俟って、なんていうかヤングアダルト! みたいな、推薦図書! みたいな臭いが鼻について気持ちが悪い。ま、そうは言っても主人公が気に入れば問題はないんですが、どうもこの往生際の悪いヘタレっていうのが駄目なんです、私。

しかもです、勇気という男を動かすのが女でしかない。こういう話ってゴマンとあるわけでしょ。伝統的なものと若者の組合せ、これまた私は高く評価していないんです。田中啓文の『笑酔亭梅寿謎解噺』がそうでしょ。ユーモアの空回り具合も一緒。それに人情の絡め方も。まだ、下手な男女関係が混じりこまない田中の話のほうがいいかもしれない。

何ていうんでしょう、『あやつられ文楽鑑賞』『仏果を得ず』の時も思ったんですが、古典や伝統、産業、環境みたいなものを無条件で素晴らしい、人類の宝、守らねばならない、なんていうふうに持っていくと、折角の大切なものが薄汚く見えるんです。私が天邪鬼、っていうこともあるんですが、説教聞かされたくないやね、なんて思うんです。

むしろ男女の話が前面に出ず、しをんの文楽に寄せる思いが素直に伝わった『仏果を得ず』のほうが、ましかもしれません。それに比べれば、この話、あまりにもフツーで、説教臭い。作家自らが惚れていないような男を主人公にしちゃいけません。そういうのは自然と読者に伝わるんです。むしろ私は、勇気を嫌いぬいた三島老人にこそ共感します。

勿論、清一・祐子夫妻、そして一人息子・山太、直紀ももいい。あ、気がつきました。主人公以外は基本的に合格なんです。特に直紀の思いなんて、むしろそっちこそ主題にしたいくらい。破格の三浦が、やけに小さくまとめたお話です。無論、山場の千年杉をおろす場面は凄いんですが、正直、凄すぎて嘘っぽい。実際にあることだとは思うんですが描写がついていっていない、私はそう思います。

三浦の若さが裏目に出た珍しい失敗作でしょう。初出は、「本とも」2007年7月号~2008年8月号、単行本化にあたり加筆・修正したそうです。装画は金子恵、装幀は緒方修一。

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紙の本

小説のテーマとしてあげる着眼点に脱帽

2012/06/18 08:59

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:のちもち - この投稿者のレビュー一覧を見る

就職が危ぶまれた若者が、送り込まれた「職場」は...神去村という山奥。携帯電話すら通じない(ホントに通じないかどうかは...)山の中での「林業」という職業。横浜育ちの主人公にはもちろんかなり異次元な世界。実際に何度か「脱走」を試みるも、逃げることすらできない環境の中で、次第にその自然、そして人間関係の「中」に入っていく姿がなんとも味のあるストーリーで描かれます。

しをんさんの世界は、変わらず「人間」は中心になっていて、林業という効きなれない世界においても、やはり中心は人間です。クセのあるキャラクターが躍動し、最初はとっつきにくかった(主人公にとっても、そして読者にとっても)人たちが、気がつけば味のある「いいやつ」に変わっていました。

そして本作でいうと、林業、山という日常の暮らしでは触れることがあまりない世界の、魅力とそして苦悩が、感じられます。まるで著者自身がそこにいるような、そして山の世界における「男衆」であるような微に入り際にいる描写。「プロフェッショナル」を感じずにはいられません。自分の周りとはまったく異なる世界を垣間見れるのが、しをんさんの小説の、魅力のひとつだと言い切れます。

なんの知識も、もちろん経験もなく放り込まれた神去村で、主人公はひとつひとつ「山」を学んでいきます。そこには一所懸命な若者に対する村の人たちの温かい協力があります。実際の仕事だけではなく、花見、祭りといった村人総出のイベント、このイベントになんらかのカタチで参加して、参加するごとに「村」の中の人になっていく若者。ちょっとした「恋愛」スパイスもあったりしてストーリーの色づけとなっています。

そして本書のタイトル。最初にタイトルだけ見ると意味不明ですが、口に出して何度か読んでみると、不思議な魅力があることに気づきます。「なあなあ」=ゆっくり行こう、まあ落ち着け、っていう神去の言葉ですが、これが本書の中一貫して「なあなあ」で貫かれているのです。いい感じの温かい言葉であることが自然に体感できるのです。

山という大自然が舞台ですが、古くから伝わる「伝統」と、職業としての「林業」を誇りを持って大事にする村人たち。その魅力に、本人も気づかないうちに惹かれていく都会育ちの若者。そこで生きる人間を中心に描かれたしをんワールドに、またたくまに引き込まれる本書です。


【ことば】まだまだ神去村のこと、ここに住むひとたちのこと。山のことを、知りたいって思うんだ。たしかなのは、神去村はいままでもこれからも、変わらずにここにあるってことだ。

最後の方にでてくる主人公の科白。つまりこの場所が自分の居る場所である、って気がついたんだろう。それまでは脱走を企てても、結局それに気づいた彼は、幸せなのかもね。

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紙の本

なあなあ

2015/03/22 05:49

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:september - この投稿者のレビュー一覧を見る

森と共に生き林業をなりわいとする神去村。勇気は「なあなあ」なこの村で林業に関わっていくことでしだいに村へと溶けこみ、知らず知らずのうちにこの仕事に魅せられていく.... ヨキが千年杉を伐倒する時のかっこよさと、みきさんにデレデレしている時のギャップが読んでいて笑えた。

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2009/05/21 23:04

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2009/05/25 10:55

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2009/06/07 12:58

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2009/06/09 13:24

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2009/06/19 00:41

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2009/07/01 15:46

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2010/01/27 12:38

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