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  • みんなの評価 5つ星のうち 4.5 194件
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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2009/05/01
  • 出版社: 朝日出版社
  • サイズ:19cm/414,7p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-255-00432-7

紙の本

単純な脳、複雑な「私」 または、自分を使い回しながら進化した脳をめぐる4つの講義

著者 池谷 裕二 (著)

母校で後輩の高校生たちに語る、脳科学の「最前線」。巧妙な脳のシステムとは? 心はなぜ生まれるのか? 切れば血の吹き出る新鮮な情報を手に、脳のダイナミズムに挑む。知的興奮が...

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単純な脳、複雑な「私」 または、自分を使い回しながら進化した脳をめぐる4つの講義

税込 1,870 17pt

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商品説明

母校で後輩の高校生たちに語る、脳科学の「最前線」。巧妙な脳のシステムとは? 心はなぜ生まれるのか? 切れば血の吹き出る新鮮な情報を手に、脳のダイナミズムに挑む。知的興奮が沸きあがる4つの講義を収録。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

池谷 裕二

略歴
〈池谷裕二〉1970年静岡県生まれ。薬学博士。東京大学大学院薬学系研究科准教授。科学技術振興機構さきがけ研究員。記憶のメカニズム解明の一端として脳の可塑性に注目。著書に「進化しすぎた脳」など。

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著者/著名人のレビュー

 ?手を見れば理系か...

ジュンク堂

 ?手を見れば理系か文系か判別できる??
 嘘だ!と思った方、ページをめくってみて下さい。この問題の答えとそれを巡る別の問題――統計のワナや脳の不思議なからくりがわかる筈。
 脳科学の分野で名高い著者の母校での講義を収録、実にテンポ良く研究の最前線を語る。寝る間も惜しんで読み進めたくなるに違いない。

みんなのレビュー194件

みんなの評価4.5

評価内訳

紙の本

自分の脳に愛着がわいてくるかも?!

2012/08/19 20:23

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:桔梗 - この投稿者のレビュー一覧を見る

今流行りの脳科学
脳といえばぱっと思い出されるのは茂木健一郎さんだろうけど この池谷さんの本もおもしろい
一見難しい脳の仕組みと心のつながりを簡単にしかも面白おかしく説明してくれる

印象に残ったところをいくつか挙げてみると

まずひとつめ
ひらめきと直感とでたらめは違うということ
ひらめきというのは後からその理由を言えるが 直感は何となくそう思うだけなので理由が言えない
それでも『直感というのはわりかし正確で、正しい結論を導いてくれることが多い。』のだそう
なぜかというと 
無意識にかつ自動的に積み重ねられた学習や経験が“直感”という形で表われるから 
確かにそれは“でたらめ”とは全くの別物

ふたつめ
『記憶には即物的に「役立つ」以外の、別の側面があると思う。もっと根本的なところで記憶は「自分自身を創造している」』

などなど

いささか哲学的な話が多いかと思われる方のために 実用的なものもひとつ
好きな人を振り向かせたければ「何かを手伝わせる」作戦がいいそうです
ただし「使いっ走り」にならない程度に!!
理由は…
私もウン十年前にその作戦を知りたかったです


精巧にできていると思っていた脳が 案外いい加減で曖昧だったり 
不要と思われるようなゆらぎやノイズを賢く有効利用しちゃったり
びっくりするような話や感心する話 くすっと笑っちゃうような話がぎっしり
次々と明かされる脳の意外な一面に
脳って案外可愛いやつなんだなぁと思っちゃいます

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紙の本

知識の海に飛び込む、いや、知識の雨が降りそそぐ、かな。Webサイトは必見。

2009/07/28 17:10

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 数年前、著者がアメリカ留学中に行った講義の内容「進化しすぎた脳」もとても面白く読めましたが、今回母校で行った、というこの講義もそれを上回る面白さ、刺激でした。
 テンポよく進む中で示されるのは、表題どおりの脳科学が示した人間の姿です。生き物は、とりあえず存在する機能を発展、使いまわして沢山のことを扱っている。基本の法則・機構は単純で、それだけででも説明できる部分がかなりある。ヒトが「心」を複雑なもの、と感じるのにはちゃんと理由がある、などなど。豊富な実験例を紹介しながらの説明は、(ときたまオヤジジョークで滑ってしまいそうなところもありましたが、)ポイントを要領よくおさえてくれてわかりやすいものでした。
 脳の働きを示す実験としてよく取り上げられる「錯視」や、コンピュータのシミュレーションも例として沢山出てきます。中には動画でないと実感できないものもありますが、それを携帯やパソコンからみることができるようにしたことは新しい試みとしてなかなか成功しているといえるでしょう。「時間のずれ」を動画で体験するのは、やはりへー、本当だ、と「驚愕」です。コンピュータの画像が簡単なプログラムでなんだか「生物っぽい」動きをするのも、みていると「生きていると判定する」基準ってなんだろう、などとあらためて考えてしまいます。本を買ったら、Webサイトは必見。中でも複数ニューロンの変化を音楽のように耳で経時的に感じとるというのが、聴覚の特徴を上手に使っていて印象に残りました。

 実験例がとても豊富、と書いたのですが、豊富すぎて「こういうのが科学が発展してくるとおきてくるなやみかな」などとも感じてしまいました。沢山の情報が、じっくり考えるまもなく(まあ、読書ですから、自分で途中で眼を離してもいいんですが)テンポよく示され、とまどうまもなく著者の結論が示される。最近の知識は、こんな風に「降るように」現れるのをどう受け止めるか、というのが問題なんだ、というのも体感したようです。
 知識の海の中に飛び込む感じ。いや、知識の雨が降り注ぐ、感じでしょうか。表紙にも書いてありますが、「高校生とともに脳科学の深海へ一気にダイブ。」です。でもこの本の場合は、最初はちょっとおぼれそうになるかもしれませんが、著者のちゃんとしたガイドつきなので楽しく安心してドキドキ、はらはらできます。
 
 「自由」や「心」といった問題にも、大胆に切り込んであります。「リカージョン(入れ子構造)」や「ラッセルのパラドックス」などをキーワードとしてなされる説明は、正しいかどうかはまだわかりません。でも、「心は複雑で簡単には理解できないすごいもの」と思いたがるように脳ができているかもしれない、と考えて見ることは一つの「冷静な」理解の一歩かと思います。少なくとも、「複雑で理解できないすごいもの」として「不可侵領域」にしてしまうよりはずっとよいようにおもわれるのですが。
 先日、「脳科学と哲学の出会い」という本を読みましたが、そこでは哲学系のアプローチはまだこれから、という印象でした。「これから」と言っているうちに脳科学の方はこんなにどんどんいろんなことを出してきています。「自由」「こころ」をここまで単純にすっぱり説明されても、それでも心は大事、と思うのに変わりない。それをどう扱うか。わかってきたこと、を理解させてくれるこのような本をてがかりに、ちゃんと自分で考えることができるようでいたいと思います。

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紙の本

この、本に書かれてありますことは、基本的には般若心経の「色即是空 空即是色」を証明しているようなものでしょう。

2010/02/07 21:10

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みどりのひかり - この投稿者のレビュー一覧を見る



 もし、天文学者・佐治晴夫先生がこの本の著者のように、高校生に脳のことを語ったとしたら、きっと般若心経を持ち出して来たでしょう。
こちらの{「ゆらぎ」の不思議な物語(佐治晴夫著)}に般若心経について書いておられるのですが、購入できませんとなっていますので、別の本を紹介しましょう。

こちら{金子みすゞをめぐって_1_Misuzu_talk(佐治晴夫著)}です。

 般若心経については、{「色即是空」の研究_般若心経の読み方(山本七平_増原良彦著)}という良い本もありますがこれも購入できないのが残念です。図書館などで借りてください。

かならず読んでほしい般若心経の本は、こちらの
般若心経・金剛般若経_ワイド版岩波文庫_中村元_紀野一義訳註
です。

 この、{単純な脳、複雑な「私」}に書かれてありますことは、基本的には般若心経の「色即是空 空即是色」を証明しているようなものでしょう。

 我々の感覚器官について、脳での認識についての新しい発見がいろいろと書かれています。例えば赤い花を人が認識しているときの赤色は、同じ花を見ても蝶が認識している色は異なると言ったようなことです。眼の他に、耳や鼻や舌や身体の感覚についても同様なことが紹介されています。

 参考までにこちらの押井守_脚本監督【DVD】うる星やつら:2ビューティフル_ドリーマーは、般若心経と同じテーマを扱っております。このアニメの声を担当した声優さんたちは大変な感動をしておりました。

 これらは2000年くらい前にインドや中国ですでに考えられていたことであり、般若心経という経典にすっきりと纏められております。ただ、すっきりし過ぎて、つまり詳しくは説明してないので、まず、論理的に理解するのがなかなか難しいのですが、説明さえわかりやすくすれば、たいてい解ります。この{単純な脳、複雑な「私」}を読んだあとで、般若心経を読むとその論理がよくわかるようになるでしょう。しかし、この論理が解ることと、経典が言おうとしたことはまた別です。

 経典が言おうとしたことはたぶんこちらでしょう。

宮澤賢治の「眼にて言ふ」堕落論・日本文化私観_岩波文庫_他二十二篇

日本人とユダヤ人_イザヤ・ベンダサン著


 単純な脳、複雑な「私」の著者、池谷 裕二氏が般若心経をご存知かどうかはわかりませんが、読んでいなければこれから読んでほしいし、読んでいれば高校生への説明の場で、2000年の昔に先達がどれほどすごいことを考えていたかを語ってほしかったと思います。私“みどりのひかり”がこの本の中味を紹介するとすれば、まず、般若心経を説明するでしょう。
それから

数学する遺伝子_あなたが数を使いこなし、論理的に考えられるわけ

生物と無生物のあいだ(福岡伸一著)

「マックスウェルの悪魔_確率から物理学へ」都筑卓司著

歴史は「べき乗則」で動く(マーク・ブキャナン著水谷淳訳)

なども合わせて説明するでしょう。

 そして、この本でも般若心経でも述べていますように、意思を持っていると思っている自分というものが実は疑わしいものであります。

 だけどもそれで生きていきましょう、ということを語るでしょう。

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紙の本

興味をお持ちなら、是非

2015/08/20 16:55

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:北の本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る

ガザニカの本を3冊読了した後に、脳科学最前線のこの本を読んだ。タイムリーだった。
母校の高校の後輩への特別講義をまとめてもので、非常に平易に書かれている。

脳が全てをコントロールするという単純な図式ではなく、脳と身体各部位はフィードバックシステムで運営されている。身体の情報がなければ、脳は無明無音の箱の中の虜囚である。
心が痛むときには。実際に脳が痛みを感じている、生命のただ一つの定義はまだない、脳は合理的な物語を作りたがる等々、興味深い。どうも私たちは何も感じず、考えずいることが苦手らしいのだ。
各人の生命観を否定しない懐の深さにも感銘する。

海外の研究者やサイエンスライターと比べると、日本の研究者は、高度な内容を平易な文章で、ユーモアをもって書くことが不得手だと感じていたが、気鋭の研究者が、一般人にも分かり易く語ってくれることは嬉しい驚きだった(だが、ジレンマは強くあるらしい)。

身構えずとも最新の知見に触れられる、とても良い本だと思う。

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紙の本

内容紹介&著者紹介

2009/05/14 18:06

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:朝日出版社 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ため息が出るほど巧妙な脳のシステム。
私とは何か。心はなぜ生まれるのか。
高校生とともに脳科学の深海へ一気にダイブ。
「今までで一番好きな作品」と自らが語る感動の講義録。

20年前に卒業した母校で、
著者が後輩の高校生たちに語る、
脳科学の「最前線」。
切れば血の吹き出る新鮮な情報を手に、
脳のダイナミズムに挑む。

・手を見れば、理系か文系か判別できる?
・ひらめきは寝て待て
・決断した理由は、脳ではなく、身体が知っている
・「心が痛む」ときは、脳でほんとに痛みを感じている
・進化の過程で、動物のパーツを使い回してヒトが完成した
・「君は30秒後にミスをする」
・僕らにある「自由」は、自由意志ではなく自由否定
・ランダムなノイズから生み出される美しい秩序――創発
・遺伝子は生命の「設計図」じゃない!

かつてないほどの知的興奮が沸きあがる、
4つの講義を収録。

池谷裕二(いけがや・ゆうじ)
1970年、静岡県藤枝市生まれ。薬学博士。現在、東京大学大学院薬学系研究科准教授。科学技術振興機構さきがけ研究員。堅実な実験と、斬新な視点に立った研究が国の内外を問わず、多くの人を惹きつけている屈指の脳研究者。記憶のメカニズム解明の一端として「脳の可塑性」に注目し、論文や学会に精力的に発表を続ける。2006年に日本薬理学会学術奨励賞と日本神経科学学会奨励賞、2008年には日本薬学会奨励賞と文部科学大臣表彰(若手科学者賞)を受賞。一方で、最新の科学的知見を一般にむけてわかりやすく解説する手腕は圧倒的な支持を集めている。主な著書に、『海馬』(糸井重里氏との共著、朝日出版社/新潮文庫)、『進化しすぎた脳』(朝日出版社/講談社ブルーバックス)、『ゆらぐ脳』(木村俊介氏との共著、文藝春秋)、『のうだま』(上大岡トメ氏との共著、幻冬舎)などがある。

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紙の本

ほんとうに面白い本でした

2009/07/05 11:19

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:hamushi - この投稿者のレビュー一覧を見る

私はこの本を、地元の中学校の空き教室で、二日がかりで読みました。
そこは、普段学校に出てこられない生徒が、期末テストを受けるための会場になっていました。心身にいろいろな事情を抱えて、他の子どもたちと同じように授業を受けることはできなくても、なんとか自分で勉強をしてテストだけは受けておく…そんなイレギュラーな「学校生活」を送る中学生もいるのです。

そんな場所での読書でしたから、子どもたちにとって学校って何なのだろう、学校教育ってどんな意義があるのだろうと、つくづく考えながら、この「講義録」を読むことになりました。

とても残念なことですが、なんらかの理由で規格外の個性を帯びてしまった子供たちは、どうしても「学校」という制度からはみ出してしまい、居場所を見出しにくくなります。

そうした子どもたちにも、「学校」は、分け隔てなく「義務」や「目標」、場合によっては「夢」や「希望」をも提示して、そこに自分を合わせるようにと促してきます。もちろんそこにあるのは、政治的・機械的な強要ばかりではなく、関わってくださっている先生方の個人的かつ人間的な思いも含まれています。生徒たちを思い、その将来を憂いながら何とかして守り育てようとする気持ちは、たしかにあるのだと思います。

けれどもそこにはとても危うい状況が存在することも事実です。

子どもたち、生徒たちが、「自分は何者であり、どんなふうに生きたいのか」ということを自発的に考えるための余地を、そして言葉を発する機会を、「学校」という制度は与えそびれることが多いのです。大人の憂いや、一方的に提示される目標や夢のなかで、自分というものを見つけそこねたまま流されてしまった先に待つものは、足場となるような確固たる自分の気持ちもないまま、絶壁の如き未知の困難に直面するという、とんでもない状況であるかもしれません。とくに、規格外の個性を帯びたために、「学校」という場でプラスの恩恵を受けることの少なかった子どもたちの場合、負の自己イメージという負債まで背負って、そのような困難にぶつかっていく可能性が高くなります。

個性が制度に合わないということを理由に、「学校」が、一方的に負債を与える場であっては困ります。もっと柔軟に、いろいろなタイプの子供たちが、自分というものを考え、つかみ、そして世の中に出会っていく場としての「学校」があれば、どんなに素晴らしいことか。

本書は、その思いに対する答えの一つを示していると思います。

著者は、第一線で活躍するプロの研究者として、自分の研究対象である脳というものの性質について、最先端の研究内容を紹介しながら、高校一年生にも十分に理解できる言葉を使って、実に魅力的に語って聞かせてくれています。さらにはどのように世の中を捉え、考え、興味の対象を見つけ出していくかということを、ワクワクするような気分とともに教えてくれています。

未知のものへのあこがれは、強い学習意欲を生み出すだけではなく、その対象にあこがれる自分というものが、どのような人間であるのかを、深く考えさせる契機ともなります。とくに、「学校」という制度のなかで規格外とされる個性を持ってしまった子供たちにとって、そうした契機は、おそらくは規格外のまま進んでいくであろう、参考文献に乏しい人生を築いていく上で、強力な支えとなるはずです。

"不登校"というラベルのもとに、別室で定期テストを受ける生徒たちの心情を思いながら、このような出会いに「学校」のなかで恵まれたなら、どんなに豊かな中学生活になることだろうと考えずにはいられませんでした。


ところで、本書のあとがきに、おどろくべきことが書かれています。
著者の池谷裕二氏は、一般社会に向けてのこうしたアウトリーチ活動に長けた人として評価されているのだそうですが、そうした活動をすることに対して、次のような強い批判も受けてきているというのです。曰く、


「科学とは難解なもの。もし簡単なものだったら専門家は必要ない。それを一般向けにかみ砕く行為は真実の歪曲。嘘を並べ立てて啓蒙とはおこがましい」

「研究者ならば科学の土俵で社会に貢献すべき。アウトリーチ活動は実のところ社会還元にはなっていない。餅は餅屋。一般書はプロのサイエンスライターに任せるべきだ」

「科学者は誰もがなれるわけではない。選ばれしエリートである。だからこそ税金から多額の研究費が注ぎ込まれている。個人の趣味に時間を費やすのは無責任な造反である」


ため息が出るほどアタマの悪い発想です。

「難解な科学」を研究している「エリート」たちも、生誕直後からエリート科学者だったはずはなく、かつては幼い子どもだったのです。一体彼らはどのようにして、自分の歩むべき道を見つけて育ってきたというのでしょう。

こうした批判の一部は、おそらくはブロの研究者側から出たものでしょうが、このような愚かしいことを言う人間たちですから、所詮ろくな脳の持ち主ではありません。こうした人々に税金から研究費を与えているならば、ムダですから即座に中止すべきです。


これにたいして、著者はこう語ります。


「10代の若者が元気でいてくれると、こちらまで幸せな気分になります。もしかしたら、教育とは、生徒のためではなく、教師が元気をもらうためにあるのかもしれないと、そんなふうにさえ思いました」


出会いというもののすばらしさ、そしてなにより、幼いひとたちを育てるということのダイナミックにな喜びを知っている第一線の研究者を、私は心から信頼したいと思います。

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紙の本

脳はウソをつかない正直者

2011/12/26 00:54

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:JOEL - この投稿者のレビュー一覧を見る

 脳科学研究の最前線の話を母校の高校生たちにしてみせた講義録が本書である。したがって、とても読みやすく分かりやすい。
 第1章は全校生徒へ向けた講演。第2章から4章は、さらなる集中講義を希望した9名の生徒への講義だ。したがって、理系の書物は苦手という人は第1章だけを読むのでも良い。

 しかも、本書のための特設サイトが開設されており、10ほどの関連図版や動画を楽しむことができる。
 紙の書籍では見せられないものを、この特設サイトで体感させてくれるのだ。紙の書籍とウェブとが融合をして、楽しみを広げてくれるのが本書の特色である。
 
 人間の探索活動に関して、残された研究の最後のフロンティアは人間自身にある。それも直接のぞいてみることが困難な脳に。近年は少しずつ測定機器がそろってきたので、それまでの常識を覆す研究結果が出始めている。本書は、それを2009年時点でまとめてみせている。しかも、高校生への講演という平易な方法で。

 まず、科学にまつわる思いこみの否定から始まる。たとえば、科学は因果関係を明らかにすると思われている。しかし、著者によれば、「サイエンス、とくに実験科学が証明できることは、「相関関係」だけだということです。因果関係は絶対的に証明できません」となる(p.25)。解熱剤を飲むと熱が下がるが、そのメカニズムが不明なため、ただ単に相関関係があることしか言えないというのだ。

 そこから脳研究へと話が展開する。主観の問題はサイエンスの土俵では扱うのが難しかったが、脳活動の変化をMRIで画像として取り出すことができるようになったので、多くのことが分かり始めた。
 恋愛をしているときは、テグメンタと呼ばれる部位が活性化する。実は、麻薬などによって快楽を得ているときも、同じ部位が活動する。つまり、恋愛はテグメンタが活性化するという「快楽」であるのだ。だから、”あんな人と付き合うな”と言われても、理性よりも快楽が上回ってしまい、恋は盲目化する。
 こうして、最新の脳科学は、ある程度、脳をのぞいてみることができるところまできた。

 おそろしいのはサブリミナルの効果を脳科学が明らかにした点だ。はたして、視覚で捉えられないほどの短時間の刺激で人は動かされるのかというのは、長く論争の的だった。
 手元のグリップを軽く握るグリップ測定をやってみる。はじめは握力ゼロ。「握れ」という指示の前に、サブリミナル映像で「がんばれ!」と見せる。これはサブリミナルなので、意識上は見えていない。ところが、「がんばれ!」とサブリミナルで表示した後に握らせた方が、何もしないで握らせたよりも、握力が2倍になったというのだ。これは『ネイチャー』というイギリスの科学雑誌に載った研究結果だ。
 そう、サブリミナルの効果が実証されたのだ。意識でとらえていることが人間にとってのすべてではないということになる。意識にはのぼらなくても、人間の行動を左右するものがあるのだ。

 脳と身体の関係も興味深い。ミュラー・リヤー錯視で、実は同じ長さなのに、どうしても一方が、もう一方よりも長く見えてしまう矢印を見た人は多いだろう。視覚的には、そうなるのだ。ところが、この矢印を指でつまんで下さいというと、指はどちらの矢印も、同じ指幅にひろげてつまもうとする。矢印の長さが実際は同じであることを体の方では知っているのだ。「身体は真実を知っている」(p.141)と著者は言う。
 こうなると、脳が身体を操っているとは言えない。逆に、身体が脳の認識を決めている部分があることを、著者はほかの実例をあげながら示す。

 さて、脳科学が明らかにしたことのうち重要なもののひとつに「脳のゆらぎ」がある。「脳回路はゆらいでいるんだ」(p.267)。脳は、外からの刺激を受けて発動するだけではなく、自発的な活動もしている。刺激がなくても、ある程度の幅をもって、自発的に活動しているのが「ゆら」ぎだ。

 ゆらぎは、パフォーマンスにも影響する。著者が例にあげるのは、ゴルフのパッドだ。相当なプロでも、パットが入ったり、入らなかったりする。これは、脳のゆらぎに左右されているからだというのだ。同じ場所、同じ距離、同じパットでも、入るときと入らないときがある。これも論文として発表されていて、「プレイヤーの脳活動を観察していれば、パッドが成功するか失敗するかを予測できる」(p.269)と言う。パットを打つ直前の脳の状態を見れば、成功と失敗が予測できてしまうのだ。MRIではなく、前頭葉のアセチルコリンという神経伝達物質に絞って観察して実証している研究がある(p.278)。「君は30秒後にミスをする」と言える可能性だって、将来的にはあるのだ。

 それにしても、脳の活動の部位を見れば、その人が何を感じているか分かる、行動の成功と失敗が分かるというのは、ちょっとおそろしい気もする。著者は全裸にされるより、脳をのぞかれる方が怖いとまで言う。
 目の前に出されたものが好きかどうか、楽しいと感じているか、うそをついていないか、こうしたことが、脳の特定の部位を見れば、たちどころに分かるのだ。池谷氏の脳科学はしばらく追いかけてみると面白そうだ。一般の人に分かりやすく伝える活動に、力を入れているから理系でなくても読みやすい書物がすでにいくつかある。 

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紙の本

脳科学が面白い

2016/05/17 18:04

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:匿名 - この投稿者のレビュー一覧を見る

昔はなになにの科学と言っても、そんなに面白いという印象ではなかったです。でも脳科学は面白いなと思いました。技術が発展していろんなことが分かるようになってきた今だからでしょうか。

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2009/05/03 19:35

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2009/11/12 22:01

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2009/06/16 09:55

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2009/07/04 09:07

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2009/07/14 16:42

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