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商品説明
教師としての素養や思想、技術を身につけるためには、日々トレーニングが必要。その一つとして読書を取り上げ、誰でもできる効果的な読書の方法を具体的に紹介する。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
時間的・空間的・経済的な視点から、包括的に読書を論じた、新領域の読書論。そして、真摯な教師論
2009/04/19 12:59
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ホキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者が、その情熱で本書に込めたのは、「若者たちに、一人前の教師として巣立って欲しい」という願いである。
たしかに、教師の仕事は、非常に多忙で、過酷である。本書でも、若年層の教師の高い離職率に胸を痛めたことが、執筆の動機の1つでもある。しかしながら、そうした過酷さを上回るやりがいが、教師の仕事には、ある。
教師としての大きなやりがいを感じるためには、教師としての一定の力量が必要で、その力量は、教師自身の絶えざる学びが担保する。教師自身の学びへの、有力な方策が、『読書』である。
しかし、多忙な教師が、読書という形で新たな負担を強いられるのでは意味がない。本書が提示しているのは、読書によって仕事に見通しが持てて、負担が軽くなり、いっそう良い仕事ができるような、読書のあり方、つまり、「無理なく学び続ける」ための読書のあり方である。
ここで、本書の、「教師を目指している学生」や「若い先生」への焦点化が活きてくる。なぜなら、若い彼/彼女らにこそ、単に本を紹介するだけでは済まない読書への切実な障壁があるからである。
すなわち、
・たくさんの読書が最も身になる時期である学生や若年層こそ、最も収入が少ないという経済的な矛盾
・最も本を読むべき若いうちこそ、最も慣れない仕事に追われるという時間的な矛盾
・これら経済的・時間的制約にもかかわらず、読書を教育実践に役立てるために必要な、空間的な手立て
である。
本書は、教師を目指している学生や若い先生の生活をまるごとコーディネートする視点によって、上記の課題を乗り越え、教師の生活の中に読書を位置づける方法を提案している。この点で、本書は、単なる速読とか、単なる本の紹介を超えて、新しい読書論の領域を開拓しているのである。
逆に言えば、いかなる本を・いかに入手し・いかに教師の仕事に活かすか、という本書の議論は、「読書」という主題によって、広大で見定めがたい教師の専門性を、描き出すことにも成功している。その意味では、本書は「読書論」としての価値と同時に「教師論」としての価値も有しているのである。