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商品説明
俺は犬。名はアロー。赤茶色の身体に、頭から背中にかけて白い矢のような模様が入っているので、この名前になった。東京郊外の小さな町、浮羅田町で暮らしている。このところ、人間たちと俺たち飼い犬の間で話題になっているのは、犬の銅像の前に突然出現したゴボウの謎だ。些細といえば些細なできごと。だが、妙な点が多すぎるのは確かだ。幼い柴犬・ボンタから依頼を受け、俺は渋々調査に乗り出した。だが、俺を待ちうけていたのは、不気味な幽霊犬の噂と、ますます混迷していく謎だった。その矢先、もうひとつの奇怪な事件が起きた。犬の鋭い嗅覚と観察眼をもってしか気づけない「不可能犯罪」。俺は、エキスパート犬たちの助けを借り、徹底的に謎を解明する決意をした。プロフェッショナルな技術を持つ犬たちが、リードから放たれ、深夜の町を疾走する!クールでスタイリッシュ、笑いと涙満載のドギー・ハードボイルド。【「BOOK」データベースの商品解説】
闇に光る黒い鼻、微かな音も逃さぬピンと立った耳、宙を飛ぶピンクの肉球…。犬の能力すべてを駆使し、ミッション・ワンポシブルに挑む! 犬好き&ミステリー好き必読の本格ドギー・ハードボイルド。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
霞 流一
- 略歴
- 〈霞流一〉1959年岡山県生まれ。映画会社に在職時、94年「おなじ墓のムジナ」で横溝正史ミステリ大賞に佳作入選し、作家としてデビューする。ほかの作品に「夕陽はかえる」「死写室」など。
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紙の本
読んだ後犬を飼いたくなるかも!
2010/09/25 15:21
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:プラチナ若葉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本、まず表紙の絵がかわいらしい。
物語の主人公アローが穴の中からひょいと顔を出している。この絵にやられて手を出す人も少なくはないだろう。
しかし、このアロー、読めばわかるが、犬の間ではかわいらしいというキャラクターじゃない。けっこうハードボイルドでニヒルなヤツなのである。
アローが公園や動物病院で会う犬たちは、犬種ごとの特徴を持ったキャラクターがあり、なかでもGOOD8(G8)のメンバーは個性的な優秀犬ぞろい。
アローとボンタがG8たちと繰り広げる大冒険や、悪人を追い詰めていく様子をには、人間って犬に比べたらなんて鈍感で無能なんでしょう!という気分になる。
またこの本の売りは、痛快なストーリーを読むうちに、知らず知らず犬の生態や犬を飼う注意点に詳しくなれるだけでなく、ページに犬の足跡マークがついていたり、あとがきを著者の番犬ハチが書いていたりと本の遊び心を楽しむことができること。ブックカバーを外すと違う絵が出てくるのも楽しい。
猫と違って犬というものは返礼をするというのが掟だそうである。
この本を読むと、特に犬好きではない人でも登場する犬たちから、犬を好きになる、というお礼をもらえることは確実である。
紙の本
ほとんど霞流一作品を読んでいない私がいうのも変ですが、この作品、ベストではないでしょうか。ま、彼のユーモアが空回りしている部分はあるんですが、伏線の張り方が見事です、はい
2009/09/08 19:51
6人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
霞流一のミステリを読むのは『スティームタイガーの死走』『ウサギの乱』につぐ三冊目。といっても五年ちかいブランクがあるので、お気に入り作家というわけではありません。もし、これが理論社のミステリーYA!シリーズの一冊でなかったら、手を出さなかった可能性大です。ミステリとしてより、私にはこの人のユーモアに感心しないんです。
それと『ロング・ドッグ・バイ』というタイトル。わかるんですよ、狙いは、上手いし。うちの娘なんかも見ただけでニヤついています。でも、この本て図書館であれば児童書の書架に並ぶんです。しかも、あいうえお順で作家別でしょ、多分。随分騒がれたけれど中学生だったら本歌である『ロング・グッド・バイ』、読まないですよね。だから意味わかんないでしょうね、きっと。
大体、ミステリーYA!っていう叢書の狙いというのが、ミステリマニアではなくて、読者があまり好きそうではない中高生あたりに、ミステリという切り口でこの広大な世界を紹介したい、っていうところだと思うんです。そうだとすれば、チャンドラーも村上春樹も読んでいない可能性が大きい。そういう人たちにこのタイトルぶつけて、どれだけ拍手喝采されるんだろうって思います。
とはいえ、坂崎千春の装画はいいです。カバーの地色はちょっと濁りが感じられて、なんでもっと透明感がでないの? なんて思いますが、でもこの絵はいい。それと頁の表示が、肉球のデザインマークにさりげなく入っているのが楽しい。それと本文27章に出ている霞流八(番犬)の解説も面白い。そんなブックデザインはモリサキデザイン、マークイラストレーションは谷山彩子。
内容紹介は、カバー折り返しの文章を拝借します。
*
俺は犬。名はアロー。
赤茶色の身体に、頭から背中にかけて白い矢のような模様が
入っているので、この名前になった。
東京郊外の小さな町、浮羅田町で暮らしている。
このところ、人間たちと俺たち飼い犬の間で話題になっているのは、
犬の銅像の前に突然出現したゴボウの謎だ。
些細といえば些細なできごと。
だが、妙な点が多すぎるのは確かだ。
幼い柴犬・ボンタから依頼を受け、俺は渋々調査に乗り出した。
だが、俺を待ちうけていたのは、不気味な幽霊犬の噂と、
ますます混迷していく謎だった。
その矢先、もうひとつの奇怪な事件が起きた。
犬の鋭い嗅覚と観察眼をもってしか気づけない「不可能犯罪」。
俺は、エキスパート犬たちの助けを借り、
徹底的に謎を解明する決意をした。
プロフェッショナルな技術を持つ犬たちが、
リードから放たれ、深夜の町を疾走する!
クールでスタイリッシュ、笑いと涙満載のドギー・ハードボイルド!
*
です。ハードボイルド、っていうのはタイトルから無理矢理つけた感じで、どちらかというと冒険小説じゃないか、って思います。それと伏線の張り方の上手さです。それと壮大なトリックがうまく結びついている、とは思うんですが、ただそこまでやると辻褄合わせ、っていう感がしてしまうのは勿体無い。でも、全体的に好きではあります。
もう一ついいのが笑い狙いに走っていない点。犬たちの設定そのものがユーモラスなんで、さらに文章や登場人物でふざけると本末転倒になるんですが、この作品ではそうはならない。とてもバランスがいいミステリになっていると思います。これはアニメではなく実写の映画にしても楽しめるのではないでしょうか。
ちなみに、文中に出てくるバウスはボイスのこと。犬の声をいいます。このての言葉遊びは幾つも出てきますが、オヤジギャグふうの下品さがないので煩くはありません。そういうことも含め、私が読んだ数少ない(たった3冊!)霞作品のベストでしょう。最後に、多くの人物と犬が登場しますので、犬のほうを紹介しておきます。
アロー:本書の語り手である探偵犬。柴犬と洋犬の雑種。赤茶の体に、鼻から頭部、背中の真ん中あたりまで矢のような白い模様が入っている。ときどき、サッカーボールに乗る。
ボンタ:アローの依頼犬。純血種の柴犬。飼い主は整体師で、「Bone(骨)」が強くなるようにと「ボンタ」と名づけられる。ちなみに血統書用の正式名は「流雅連星号」。サイレンの音が苦手で、聞くと固まる。
レノ:真っ白な柴犬。人命救助、泥棒逮捕など数々の武勇伝を持つ忠犬で、その死後銅像に。浮羅田町のシンボル的存在。キャベツを食べるのが好きだった。
マレーナ:姉御肌の威厳を感じさせるアフガンハウンド。レノと噂もあった犬。
ウォッチ:心療内科医院の由比先生に飼われる元警察犬だったシェパード。
ハリソン:教授、と呼ばれるスコティッシュ・テリア。博覧強記で情報収集に長ける。飼い主は大学で生物学を専攻している教授。
ガッツ:ボクサー犬。
コロネ:プードル。生前のレノにあこがれていた。
(GOOD8)のメンバー
メビウス:穴フェチのミニチュアダックスフント。トンネル掘りの名手。穴のなかでメビウスがみせる恍惚の様子は、なんとも愛らしい。
エドワード二世:几帳面というかフェチというか、そんなウェルシュ・コーギー。物資調達のプロ。おおげさな名前なので、エドと読んでほしがる。
デューク:職人肌のブルドッグ。錠開けの天才で、どんな時も訓練を怠らない。
スヌーパー:スヌーピーと同じ犬種であるビーグル犬。ガラクタを改造して、便利品を作り出すのが得意だが、正直、影が薄い。
グレイ:駅前に店をもつ理容師に飼われるクールなシベリアンハスキー。力仕事担当。
ジャイスケ:ひょうひょうとしたゴールデンレトリバー。オリジナルの鼻歌のセンスは秀逸。グレイとコンビの秘密も持つ。
ポーリー:愛くるしい(見た目は・・・・・・)白いチワワ。誰もが恐れる男まさりの性格で、変装の名人。後半でポーリーが見せる変装は生半可なものではない。マンション住まい。
シンチー:空手の師範代・小林に飼われている、カンフーならぬワンフーの名手で、小林犬(ショウリンケン)のチャウチャウ。警備役だが人間相手に戦う姿は、犬というよりは空を舞うモノノケのようでもある。「アチョー」などと叫ぶ。