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  • みんなの評価 5つ星のうち 4.1 525件
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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2009/03/01
  • 出版社: ポプラ社
  • サイズ:20cm/332p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-591-10875-8

紙の本

恋文の技術

著者 森見 登美彦 (著)

京都の大学から、遠く離れた実験所に飛ばされた男子大学院生が一人。無聊を慰めるべく、文通武者修行と称して京都に住むかつての仲間たちに手紙を書きまくる。手紙のうえで、友人の恋...

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恋文の技術

税込 1,650 15pt

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商品説明

京都の大学から、遠く離れた実験所に飛ばされた男子大学院生が一人。無聊を慰めるべく、文通武者修行と称して京都に住むかつての仲間たちに手紙を書きまくる。手紙のうえで、友人の恋の相談に乗り、妹に説教を垂れ—。【「BOOK」データベースの商品解説】

大学から遠く離れた実験所に飛ばされた男子大学院生が、無聊を慰めるべく、文通武者修行と称してかつての仲間たちに手紙を書きまくる。手紙のうえで友人の恋の相談に乗り、妹に説教を垂れ…。ほろにが可笑しい書簡体小説。【「TRC MARC」の商品解説】

収録作品一覧

外堀を埋める友へ 7−36
私史上最高厄介なお姉様へ 37−60
見どころのある少年へ 61−85

著者紹介

森見 登美彦

略歴
〈森見登美彦〉1979年奈良県生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。「太陽の塔」で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。「夜は短し歩けよ乙女」で山本周五郎賞を受賞。

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みんなのレビュー525件

みんなの評価4.1

評価内訳

紙の本

書いて書いて書きまくる‘往復書簡ですらない’キュートな手紙小説

2009/03/14 23:31

20人中、20人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:カフェイン中毒 - この投稿者のレビュー一覧を見る

クラゲの研究という名目で能登の実験所に飛ばされた、京都の大学院生・守田一郎。
コンビニひとつない田舎で、人恋しい気持ちから文通を始めます。
相手は、地元京都の知り合いたち。

・恋に悩む友人
・研究室を我が物顔で仕切る先輩(女)
・かつて家庭教師をした教え子(小学生)
・クラブの先輩であり新進作家の森見登美彦氏
・本質をつくのが上手い妹(女子高生)

「文通修行」と称して、この5人に手紙を書く。
書いて書いて書きまくる。
能登にいながら、京都の狭い交際範囲のことはたいてい耳に入るほどに、
書いては出す、返信もらう、書く…の繰り返し。

そう、これは‘守田一郎の書く手紙のみ’で成り立っている小説なのです。

返信は来るのです、意外とまめに、皆さんから。
なのに、出てくるのは守田一郎が書く手紙のみ。
往復書簡ではないわけで、そこが従来の手紙小説とは少し趣が違います。

守田一郎、手紙を出す相手によって、文体から物言い、ときには話の内容まで微妙に変えています。
これは意識せずとも誰もがやってしまう、よくある話でしょう。
しかし第三者がそれらのすべてを目にすると、滑稽でたまりません。

恋の相談に乗ったり、復讐をなだめたり、己は復讐に走ったりと忙しい。
手紙を書くという個人的な行為のもとに、彼の顔が見える仕組みです。

見事なのが、守田一郎の書く手紙のみで、相手がどういう返信をしてきたのかが、
とても鮮やかに浮かび上がるところでしょうか。
一度も肉声が出てこない人たちのことが、やけに詳しく描写されているような気になるのです。
そして、彼らのなんと魅力的なことか!

それぞれの返信に憮然としたり、慌てたり、生意気にも説教したりの守田一郎ですが、
じつは彼には「想い人に恋文を書く」という目的があります。
それは物語の軸にもなっているのですが、そこはそれ、なかなかうまくいきません。
ちなみに、彼の失敗書簡集(恋文&反省文)も披露されています。
自虐的なツッコミに、涙を禁じえません。

恋文の技術を磨くどころか、これだけ手紙を書く彼が、彼女には1通も出すことができないのです。
ヘタレ万歳。

最後に、彼女への長い手紙が出てきます。
気色の悪い失敗作を生み続けた反省からか、とても素直な手紙です。
伊吹さんというその女性が、守田一郎の目を通して書かれているのですが、
惚れるのも無理はないという、なんともさりげないイイ女であることがわかります。
というのも、もちろん守田一郎の文章から推し量っただけなのですが。

たった半年のあいだの出来事です。
紙に書くという行為でなくとも、連絡をとる方法などいくらでもある昨今、
「文通」にこだわる彼のほろ苦い想いが、笑い続けた物語をしっとりとしたラストへと導いてくれます。

何度も声をあげて笑いながら、ふと思ったのが、
森見登美彦という人は、文章を書くのが好きで好きで仕方ないのだろうなということでした。
ちょっとしたことでも文章にして楽しむということに、
慣れ親しんでいるのではと思わずにいられない物語なのです。
そしてそこには、常にサービス精神が溢れています。

彼の手にかかると、少々姑息で詭弁をふるうヘタレな男性が、
なんだかキュートに思えてしまうので参ります。

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紙の本

森見登美彦さんは愛すべき阿呆だ。

2018/11/06 00:50

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る

最近,どうも妄想作家に心を奪われているんじゃないかと
心配している。これは妄想全開の作品。
ペンギン・ハイウェイと他作の書評を見て,読もうリストに
入れた作家さんである。

恋文の技術は,モリミーといわれる所以が爆裂している
ヘンタイ書簡集であった。「モリミー」とは森見さんを愛する
読者たちがつけたニックネーム。
ご本人はお気に召さないらしいが、モリミーの意味がよく分かった。
こんなのばかり読んだら、あだ名の一つもつけたくなる。
久しぶりに声を上げて笑った。

十二章の書簡集。石川県の能登半島にある七尾市の
実験所に飛ばされた守田君のお話。
大学院生の守田君は,教授の命令によりクラゲ研究の
手伝いのため現地に赴任する。着任直後に,京都の研究室にいる
仲間たちと文通する事を思いつく。

差出先ごとに各章がまとまっている。守田君の目標は,
いかなる女性も手紙一本で籠絡する技術を身につけることで,
飛ばされた研究所で文通武者修行に明け暮れるのである。

第一章の相手は親友の小松崎君。
研究室に院生として残った同期生。
ふわふわに太っているのでマシマロと呼んでいる。
そのマシマロ小松崎が研究室の新歓コンパで新入り四回生に
惚れたことを知り,守田君は恋の相談相手を買って出るのである。

第二章の相手は研究室の先輩で,天敵でもある大塚女史。
小松崎君との文通と同時進行で進んでいることが分かる。

そんな調子で全編まとまっている。
相手の返事は,想像力をつなげて行間を読むことになるが,
なかなかうまく読ませてくれる。

それにしても,第五章「女性のおっぱいに目のない友へ」は,
なんというタイトルだ。娘に軽蔑されかかった。本当に危なかった。
第四章「偏屈作家,森見登美彦先生へ」も何だかなあ。
どっちも反則スレスレでは。守田君は森見さんの研究室の
後輩という設定で,結構モデルの多い話なのかもしれないと
思いつつも,作者本人が堂々と登場する話も珍しい。

まあ,これも含めてモリミーなんだろうけど。

守田君は文章の技術を向上させ,書きたい相手への
手紙の習作を積み重ねる。
果たして籠絡できるほどの恋文の技術が身につくのか。
こんなしょうもないことにハラハラどきどき,守田君の恥ずかしい
失敗談の積み重ね,よくもまあ考えたものだ。

最後の手紙は,私は気に入った。気に入ったとも。
これまでは図書館で借りていた作家さんだが,
フォローしていこうと思った。すでに三冊ほど積読にした。

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紙の本

小説でこんなに大笑いしたのは初めて

2020/02/29 15:44

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:mi - この投稿者のレビュー一覧を見る

今まで小説を読んでこんなに大笑いしたことはなかった。
ばかばかしさ炸裂で、本当に大好き。
友達にこの本を紹介したら、お礼を手紙でくれた。読んだら手紙を書きたくなってしまったとのこと。
本当に面白く、久しぶりに手紙を書きたくなってしまう一冊!

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紙の本

斬新

2018/12/29 11:54

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:スケトウダラ - この投稿者のレビュー一覧を見る

始めから終わりまで、書いた手紙のスタイルで構成されていた。こんな小説ははじめて読んだ。発想が新しくて、すごく気に入りました。

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紙の本

腹筋割れます(笑い過ぎ注意!)

2015/03/22 05:45

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:september - この投稿者のレビュー一覧を見る

訳の分からぬあらゆる文体で繰り出される失敗恋文の数々。 面白すぎて腹がけいれんを起こすこと間違いなし。 守田一郎に注意されたし。

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紙の本

繋がっていたいという想いを込めて

2012/08/19 20:22

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:桔梗 - この投稿者のレビュー一覧を見る

いつもどおり軽妙でリズム感あふれる 妄想満載の森見ワールド

真面目でやさしい 多分頭も良い でもどこかずれてて可笑しい守田一郎
京都の大学から辺境の実験所に飛ばされた守田は 友達や先輩や妹や元教え子 
そして作家の森見先生にまで次から次へと手紙を書きまくる

言うなれば 文通の武者修行
それもこれも 愛しい女性を恋文でめろめろにしようと 己の恋文の技術を磨くためである

この手紙の数々が くだらなかったりたまにまじめだったり 
そして文章を書くということや手紙を書くことの本質をついていたり
笑わせながらも時々どきっとするような一言が書いてあったりする


私たちはいろいろな形で たくさんの言葉にのせて 自分の想いを相手に伝えようとする
手紙だけでなく メールや電話や 会って話したり
たくさんの言葉をやりとりしてるけど

でも 内容なんてホントはどうでもよく
その言葉に込められてるのは 繋がっていたいという想い
ただ あなたと繋がっていたいという想いを お互い確かめたいだけなのかもしれない

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紙の本

一筆したためてみたくなる一冊です

2009/12/10 00:29

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Spica - この投稿者のレビュー一覧を見る

読んでいると無性に手紙を書きたくなります。
人の手紙を覗き見る快感も味わいつつ、彼の恋を応援しながらも変な方向に進んでいく彼の恋路にゲラゲラ笑い転げてました。
まさに恋文ならぬ「濃い文」!
気持ちがこもっていれば、どんな手紙も愛しくなるんだな、と実感です。

能登半島の研究所へ出向くことになった彼がこの機会にと、世の女性を手紙一本で落とすための恋文の技術を身につけるため、文通三昧を始めるお話。
そして本一冊、まるまるその書簡集なのです。
親友から、天敵の女性の先輩、妹、小学生、そしてなんと小説家森見登美彦先生!などなど、相手は様々。
友達とのやりとりで不明瞭だったところが、先輩とのやりとりで明らかになったり、ひょんなところで小学生の子につながったり、もちろん森見先生も大活躍!

肝心の愛しの彼女、伊吹さんへの恋文は失敗を重ねるばかり。失敗書簡の変態振りといったら!でも、その失敗書簡集、ずっと読んでいると結構心傾いてしまうかも、と思ったりもしました。

基本的に収められているのは彼本人の手紙のみ。
相手からの返信は無いんです。
それだけでよくココまでやれるものだな、と感心です。
あれよあれよの大文字山への集結がお見事。

彼と森見先生の手紙のやりとりが、他の森見作品誕生にも絡んできたりしていて、森見ファンとしても楽しめる一冊でした。

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紙の本

絶賛、とまでいかないのは、この大騒ぎがなんとなく空騒ぎめいているからです。同じように同一世界を描いているのに、なぜか海堂尊の小説は飽きがこないのに、森見の世界はダレてきた。理由ですか、多分、登場するのが社会人と学生の差ですね、真剣さが違う・・・

2009/08/22 20:50

8人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

まず、中島梨絵の絵がいいです。特に風船の赤がいい。で、その水彩の色の優しさを出すために大久保伸子が選んだカバーの紙質がいいです。これぞ水彩画のための紙。吸湿性がありそうで、ザワっとした手触りがなんとも温かみがあります。工業的な、ではなく手作りテイストの紙で、たとえば封筒の色のぼけ味を微妙に出しています。さすがポプラ社の最近の本は、装幀がいい。

で、文章読本だと信じ込んでいたんです、私。それが小説でもエッセイでも、普通の手紙でもなくて「恋文」っていうのが森見らしくていいな、って本当に信じていたんです。このブックデザインだって、いかにもエッセイらしい優れもの、絶対に勘違いする人、いると思うんです。ワ・タ・シ・・・

でも、小説なんです。しかも、というか当然というか、いつもの京都ワールドに繋がるお話。だから連作。となれば、なんとなく全体の雰囲気が見えて来ます。ま、読んだ後で言うんですから簡単なわけで、西尾維新が『偽物語 下』のなかで阿良々木火燐に披露させたジャンケン必勝法みたいなものです、はい。

で、次に掲げた目次を見ると凡その構成が分かります。ちなみに、・・・の後の人名と矢印の意味は、本を読んで確認ください。隠すほどのことじゃあないんですが、でも、自分で納得したほうがいい。それにしても第十一話の賑やかなことといったら・・・。 

第一話 外堀を埋める友へ ・・・・・・守田 → 小松崎
第二話 私史上最高厄介なお姉様へ ・・・・・・守田 → 大塚
第三話 見どころのある少年へ ・・・・・・守田 → まみや
第四話 偏屈作家・森見登美彦先生へ ・・・・・・守田 → 森見
第五話 女性のおっぱいに目のない友へ ・・・・・・守田 → 小松崎
第六話 続・私史上最高厄介なお姉様へ ・・・・・・守田 → 大塚
第七話 恋文反面教師・森見登美彦先生へ ・・・・・・守田 → 森見
第八話 我が心やさしき妹へ ・・・・・・守田 → 妹
第九話 伊吹夏子さんへ 失敗書簡集 ・・・・・・守田 → 伊吹
第十話 続・見どころのある少年へ ・・・・・・守田 → まみや
第十一話 大文字山への招待状 ・・・・・・守田 → 妹、妹 → 森見、谷口 → 大塚、大塚 → 谷口、三枝 → 間宮、小松崎 → 三枝、守田 → 小松崎
第十二話 伊吹夏子さんへの手紙 ・・・・・・守田 → 伊吹

連作にも色々パターンがありますが、このお話のそれは極めてオーソドックス。主人公といっていいのか、中心人物は固定しています。それが守田一郎です。年齢は不明ですが、能登半島、七尾湾に面した能登鹿島臨界実験所に派遣された大学院生とありますから二十代半ば。ただし、印象的には30代後半の世間知らずのバカ息子、風ではあります。愛車はサンダーバード。

で、如何にも原発銀座あたりの人里はなれた場所で、四月から七尾駅のそばで一人暮らしをしています。ちなみに「能登鹿島臨界実験所」の「臨界」ですが、核融合にからむ「臨界」ではなくて、意味的には「臨海」に近いもの、そう受けとめたほうが良さそうです。そこで彼は「文通武者修行」を気晴らしとしています。ちなみに、実験所の所長は、守田の教授の先輩にあたります。

で、そこで守田の直接の上司?にあたる人が谷口誠司、臨界実験所の鬼軍曹で、守田たちの先輩にあたります。マンドリンの名手で、自作の歌を裏声で歌い、精力増強ドリンクを飲み、人を罵倒する男として描かれていますが、守田の個性が強すぎて、これほどの人物でも存在感は薄い、といっていいでしょう。守田を「チェリーボーイ」と呼びます。

では、そのダメ男パワーに負けない存在がいるでしょうか。います、凄いのが。それが大塚緋沙子、守田の研究室の先輩です。就職先も決まり、研究室を完全な支配下におくクールな美女で、守田の天敵ともいえる存在。その凄さは物語の中盤から後半にかけて他を圧倒します。クールな美女?って思わず首を捻ってしまいます。

それと、まみやくんです。守田が一時家庭教師をしていたことのある間宮少年は、家庭教師のマリ先生にあこがれる小学4年生、おっぱい少年です。彼は一方的な思い込みで小松崎に嫉妬するのですが、男二人が熱をあげる「モノ」の持ち主というのが。三枝麻里子、小松崎の後輩で、小松崎が、まみやくんがあこがれる“おっぱい”をもった4回生です。

ちなみに彼女は、森見作品の愛読者で「大日本乙女會」結成のメンバーで、同じメンバーに一郎の妹で、後に兄に失望することになる高校三年生の守田薫、守田と同じ研究室の同輩で卒業後、社会人として働き始めている伊吹夏子がいます。ちなみに守田は夏子に思いを寄せています。ついでに書いておけば、小松崎友也は三枝に恋する修士課程1年生で、愚かにも恋愛の相談を守田にする“おっぱい”マニアです。

かれらにファンクラブもある若手人気作家で、守田の大学の先輩・森身登美彦、昔、レンタルビデオ店もやっていたことがある小さな「みのわ書店」の気のいいおじいさんが参加して、くんずほぐれつの人間模様を見せていきます。っていうか殆どが「おっぱい妄想」による暴走なんですが・・・

悪くはないんですが、なんだか話のスケールが小さくなったなあ、それに笑いが笑いになっていかないし。「大日本乙女會」の連中であればともかく、同じ世界に閉じこもっている感じがして、そろそろこの京大ワールドからでていかなきゃ拙いんじゃないか、って思います。無論、この世界をこよなく愛する読者がたくさんいることを知った上で言っているんですが、でもマンネリの感は免れない。

このシリーズを止めろ、とはいいません。京大ワールドも構わない。でも、いつまでもこの世界だけでいいとは思いません。これだけセンスのある人なんですから、読者としては違う世界も見てみたい。デビュー以来、それだけの時間は経った、私はそう思います。で、書誌的なデータですが、「asta*」2006年12月号、2007年2・4・6・8・10・12月号、2008年2・4・6・8・10月号に掲載されたものを大幅に加筆修正、だそうです。

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紙の本

誰に手紙書こうかな?

2009/05/01 00:10

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:さあちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 教授の命により能登に派遣された大学院生である守田一郎が海と研究所以外に何もない不毛の地で孤独を味わいクラゲの研究と実験に明け暮れながら遠く京都にいる友人や妹先輩などにひたすら手紙を書きつづっている作品である。しかもその手紙は常に一方方向。返信内容は読者の想像にゆだねられている。
 同じ一つの出来事でも手紙を書く相手によって自分のスタンスをかえているのでそこからこの守田一郎という主人公がホノグラムのように立体的に立ち上がってくるのが面白い。彼の目的は片思いの相手に読むだけで口説き落とせる恋文を書く技術を身につけることなのだが次第に瞑想と妄想の世界に迷いつつひたすら書き続ける。嗜虐的な笑いに走りつつも白ヤギさんのように書き続けるのだ。
 手紙を書く。最近しなくなった。ハガキは書く。けれども手紙は電話やメールに取って代わられた感がある。でもこんな手紙が欲しい!ならば私も手紙を書かなきゃと思わせてくれる作品だ。とくに最後の手紙はさりげなくていいなと思う。作者の術中にはまったかな?

 

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2009/03/07 17:18

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2009/03/15 14:44

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2009/03/16 00:28

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2009/03/16 10:31

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2009/03/17 19:12

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2009/08/27 12:52

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