紙の本
大不況下、ヒトラーの政策に学べ!
2009/05/07 17:33
14人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:としりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヒトラーの政策に学べ!などと言うと、軍国主義を復活せよと言うのか!などと早合点をする人もいるだろう。それほど、ヒトラーあるいはナチスと言えば、大軍拡、軍国主義、全体主義、侵略主義など、悪のイメージばかりである。
しかし、そうした「ヒトラー(ナチス)=悪」のイメージは戦後につくられたという側面が大きいようだ。
わが国も敗戦国となったために、戦勝国から戦争責任を押しつけられ、戦前は全否定された。本書を読んで、ドイツも同じだと思ったものだ。
本書は、ヒトラー政権成立の過程やその経済政策に焦点を当てている。
第一次大戦後のベルサイユ条約で過酷な賠償を課された上に、世界大恐慌の影響をまともに受け、青息吐息だったドイツ経済を見事に復活させた。ヒトラーの手腕は実に見事と言うほかない。ドイツ国民が熱狂的にヒトラーを支持したのも当然だろう。
何も大軍拡をしたというのではない。実に効果的な公共事業を行い、労働者支援の政策を行ったのだ。特に、この時代に労働者のためのアスベスト対策をしていたというのは驚きではなかろうか。また、経済手腕も見事なものだ。現代日本も大いに学ぶべきところが大きい。少子化対策もユニークなものだ。
復興は見事だったが、その後は第二次大戦へと転がり落ちる。
第二次大戦への道については、なぜそうなってしまったのか、という点で興味深いものがある。単に侵略主義になって片っ端から他国を侵略したなどという単純な話ではない。
あらためて思う。ドイツも日本と同じで、敗戦国となったために侵略者という汚名を着せられ断罪されたのである。戦争はお互い様のものであって、もともと善玉・悪玉などと区別できるものではない。そうした側面も本書から読み取ることができるのである。
評者が今年(2009年)になって読んだ本(17冊)の中で、本書はベスト3に入ると言っておこう。
紙の本
何を学び、何を学ばないか
2020/04/11 07:54
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:司馬青史 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ある一面のみで全てを否定する。この本はその誤りを私たちに示している。
ナチス・ドイツ、アドルフ・ヒトラーはユダヤ人の虐殺をしたという事実では、間違いなく悪である。その事実を私たちは忘れてはいけない。
しかし、ナチス・ドイツ、アドルフ・ヒトラーが類稀なる経済政策で、当時の世界に第三の道を示した事もまた、紛れもない事実である。
今のような時代だからこそ、ナチス・ドイツの、アドルフ・ヒトラーの経済政策、経済思想から私たちは学ぶべきだ。
ある一点の悪という事実のみを見て、全てを否定してはいけない。
歴史を知る上で大切な事は何を学び、何を学ばないかと言う事だ。
私たちはナチス・ドイツ、アドルフ・ヒトラーの人種政策を学ばず、その経済政策と経済思想こそ学ぶべきである。
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ナチスドイツの知られざる一面
2016/01/03 01:11
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投稿者:栗太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヒトラーといえば独裁、軍国主義といったイメージが強く、悪という印象を持っていたが、この本には実はヒトラーの経済政策は現在の日本にもつながる先駆的な政策を取り、成功していたことが詳細にわかります。ヒトラーの知られざる一面を知ることができる一冊です。
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史上最大の悪玉ナチスの経済政策について書かれた本です。
前々からナチスの躍進が、ヒトラーのカリスマ性だけが原因なのかと疑問に
感じていたことが、この本を読み解消された気がします。
経済政策の合理性など、ナチスの別の側面を知るにはおすすめの本です。
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最初の章は「いまの日本でやっているのは70年前にヒトラーが(以下略)」というパターンが多かったのに若干疲れましたが(婉曲表現)後半の経済政策での様々な施策は文句なしに面白い。そして当時の国同士の状況といくつかのドイツ内外のWW2へのターニングポイントの話は納得度高し!
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20090528/195992/
ここの書評を読んで探しに行ったけど大満足です。
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生活に困っているものはお金が入ったらそのほとんどを生活費として使う。それは消費を喚起することになる。つまり生活に困っているものを助ければ、消費が増え、社会全体が活性化する。景気を喚起するために財政出動するとき、もっとも効果があるのは、低所得者層に向けて支出することだ。
国際経済に一人勝ちはありえない。特定の人だけが潤っているような社会は長く続かない。
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うーん、確かに読んでみるとヒトラーの経済政策ってキチンと福祉を重視し、ケインズ的な政策をダイナミックにこなしているので凄いと思った。
しかし、じゃあこれを参考にできるかっていうと・・・現代社会ではこんなにも強引な政策ってできんやろ。シムシティじゃあるまいし。
ちなみに、政策ってのは特に目新しいものはなくて(当時は最新だったのかもしれんが)理想的な経済政策を強い政治力をもってダイナミックに行っているということに尽きる。あとはいろいろ羅列してるけど、羅列に過ぎないし。
と、なれば「なぜこんなことが可能だったのか」とか「こんなに素晴らしかった経済状況でありながら、なんで軍拡をやめないで戦争に走り最終的な敗戦国になったのか?」ってことを焦点にあてるべきじゃないのかなあ?そこは結構さらっとしか書かれてないんだよね。
通常であれば金持ちケンカせずなんだから戦争する必要ないし、本書を見る限り戦争ビジネスで経済を復興したわけでもない。スポットを当てた部分とわれわれが認識しているイメージが離れているんだから離れている理由をきちんと説明しないと、文章である意味がないような気がするなあ。
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ジャーナリストが書いてるから、眉唾ものの内容なのかなっていう先入観も
あったかもしれんが、やっぱ眉唾だった 笑
基本的にヒトラーの経済政策礼賛。ちょっとこれどうなの?って思うものも、礼賛。
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ナチスが政権とるのは、ヒトラーのカリスマ性が感情を捕らえただけでなく、
当時の財政、国民の財布の中身も政策に取り込んでいたことが分かる。
・結婚するカップルにお金を貸し出し、子どもが生まれるごとに借金を減額していく
・求人は年長者から採用する
すごいな
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1951年に西ドイツで行われた世論調査では半数以上の人が1933年から1939年までが最も良い時代だったと答えている。
最近、あんなに多くの人が、なぜヒトラーのような人間を支持したのか分かる気がする。
地球が壊れることより
経済が壊れていることに対して、恐怖心を煽られる人間。
いつの世も、人はヒトラーを受け入れ、目指しているのではないか。
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面白いものだった。
今まで疑問だった第一次世界大戦から数年で
なぜドイツが第二次世界大戦を引き起こす地力を手に入れたのかがよくわかった。
大変面白い読み物だったが、しかし・・・
現代日本に応用できることがほとんど無かったのは悲しい限り。
結局ナチスという独裁体制と当時の列強の軍事バランスがなければ
ありえなかった奇跡の復興と言えよう。
今の日本では体制ががっちり固まっていて何も参考にならない。
ちょっとしたユートピア小説のようなナチスの経済本だった。
教養という観点から見ると非常に有用な本。
ナチスに興味がある人も無い人も一度は読んでほしいものです。
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もちろん今と当時では国際環境も国内環境もまったく違うためにナチスの経済政策を日本に応用できるとは思わないんだけど、確かに当時のナチスはとても合理的にやれたもんだなと感心したし、こうした本を書いた著者にも拍手したい。
短期で集中的に行われたアウトバーン建設、ゲッベルスの宣伝効果、中高年優先雇用、中小企業優遇、オリンピックビジネス化、少子化•ニート対策、ゲルマニア計画など、一章からナチスのいろんな政策が書かれていておもしろい。
また労働環境を整えたり休暇なんかも充実させたり。労使関係も改善させ、他にも健康に気を使わせたり、母子支援を充実させたり。
こういったナチスの政策の成功の背景には第一次大戦後の「ハイパーインフレ」「大不況」「財政破綻」「通貨危機」「大量失業」をドイツが実際に体験してそれがヒトラーに経済のなんたるかを実地で学ばせたことが背景にあるんじゃないかと推測。
またシャハトを登用したことがどれだけナチスにプラスになっていたか。シャハトは新しい貿易決済システムや公債発行、金融危機を利用して債務を減らしたり、彼の国際経済についての見識も凄い。
また経済的な面からナチスのその他政策を見ており、反ユダヤ主義、対外膨張政策なんかも経済的な観点からの説明がありやはりおもしろい。ヒトラーやナチスの略史的なところもあるし、あの時代が好きな人はかなり楽しいエンターテインメントとして読めるでしょう。
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シャハト博士の神業ぶりに・:*:・(*´∀`*)ウットリ・:*:・
(この本に直接書いてないけど、現在の日本の政治について、うむむ・・・と考えてしまう。)
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何かと悪者扱いされてばかりのナチスでありヒットラーだが、実は政治家として国民に約束したことは誠実に実現する努力をしているし、成功もしている。1930年代の経済恐慌からいち早く立ち直って、国民の福祉を向上させたことは、もっと評価されて良いと思う。同じ時代に米国もソ連も英国も大した回復をしていない。戦争によって見せかけの経済復興を作ってみせただけではないのか。
ヒットラーは個人的は尊敬出来ないし、また政治が結果責任を負うべきものである以上は、現代からノスタルジーをもって甘い評価をすることは以ての外である。その一線を越えることなく、現代の政治経済をみると、民主主義国の政治家は必ずしも国民の福祉向上に熱心ではないことが目についてしまうのは残念。
歴史の誤りを繰り返してならぬ!と手足を縛っても国民の為になる政策を待望する。
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ナチスやシャハトの経済政策に着目したもの。
前著『ナチスの発明』といい本書といい、なんだか著者はナチに親近感があるようで、それがたまに鼻につくがたぶん嘘は書いてない。わかりやすい。
本書の内容と関係ないが、
1930年代と言えば前近代と近代の境目にあたり、社会が産業化されてまだ間もない時期である。そのため経済学も今日ほど発展しておらず、赤字覚悟の財政出動という対不況の処方箋がまだ一般的でなかった。
現にワイマル共和国末期のブリューニングなどは優れた財政家だったが、しきりに増税を訴えるなどして失敗している。これは当時の学者であるが故の限界だろう。
以下に主な内容を挙げる。
レンテンマルクによるインフレ収束(ワイマル共和国時代の出来事のはず)
公共事業による失業解消
中高年の優先雇用
中小企業への貸し渋り対策
オリンピックをビッグビジネスへ転換させる
減税
ニュープラン(物々交換貿易)
世襲農場法