紙の本
視覚的文学入門書
2009/04/05 15:10
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:難しい文学が苦手な私 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「文は人なり」とはよく耳にする言葉だが、本書は、「文体は作家なり、家も作家なり」(監訳者あとがき)というユニークな視点から、作家が文を紡ぎだす場としての家の存在にスポットを当てている。コクトー、ヘミングウェイ、ヘッセなど、20人の著名な欧米の作家たちの実際に住んだ家々が、美しい写真で紹介され、それぞれの人生、それぞれの作品との関係が明らかにされる。訳文も流麗で、読みやすい。ここで取り上げられている作家の作品の中でかつて読んだことがあるものについては、もう一度読み直してみたくなり、読んだことがないものについては、こんど読んでみようという気にさせられた。いわば視覚的文学入門書のような感じで、これで読書の楽しみ方がひとつ増えた。
投稿元:
レビューを見る
キレイな写真集。マルグリット・ユルスナールの家が案外女性らしくて一瞬驚きつつ、これはグレースが設えた雰囲気なのだろうと思ったり。現代作家の家も見てみたい。
投稿元:
レビューを見る
ヘルマン・ヘッセ。M.デュラス。マーク・トウェイン。ヘミングウェイ。19世紀末〜20世紀半ばほどの欧米作家の家と作家の生涯を印象的な写真とともに綴る。多くの作家がノーベル賞受賞者であっても、その生涯は決して栄光と幸せに彩られたものではない。精魂こめて作り上げた家、安らぎの場であったはずの家、それでもどこか物悲しい印象がぬぐえないのはそのためか。日常の脱却のために本を眺める人には最適の一冊である。本棚に大事において、ときどきそっとめくってみたくなるに違いない。
投稿元:
レビューを見る
普通サイズの本と思っていたら、大判でした。
作家の家へのこだわり、すごいのだなと思いました。
自分の宇宙を創造しているような、そんな気がします。
美しい写真と丹念な取材で語られる作家の家。
見応え十分です。
投稿元:
レビューを見る
古い時代の家が多く、そのまま実践に生かすのは難しいけれど、とても素敵な一冊。
特にバージニアウルフの家が素敵。
投稿元:
レビューを見る
ヴィタ・サックビル・ウェストの家に興奮!一度は行きたい聖地(←ガーデン好きにとって)シシングハースト。内部を見るのは初めてだ。しかしヴィタの家ならずとも、雰囲気のある家ばかりである。作家の人生に関する記述はなしにして、家の細部の説明に徹する本作りでもよかったのではないか。20人の作家はそれぞれに非凡な人生を送っているのだが、非凡の方向性がどうも似通っているように感じられるのだ。だいたい、人の人生を20人分もいっぺんに読むものではないと思う。少しずつ読めばいいのか。
見ていて惹かれるのは、必ずしも広壮な邸宅や豪奢な部屋ではない。暖炉と本棚のある部屋こそこの世の幸せだ。
投稿元:
レビューを見る
2010/7/4図書館で借りる
素敵。買おうかしら。
1.カーレン・ブリクセン
2.ジャン・コクトー
3.ガブリエーレ・ダヌンツィオ
4.カルロ・ドッシ
5.ロレンス・ダレル
6.ウィリアム・フォークナー
7.ジャン・ジオノ
8.クヌット・ハムスン
9.アーネスト・ヘミングウェイ
10.ヘルマン・ヘッセ
11.セルマ・ラーゲルレーヴ
12.ジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーサ
13.ピエール・ロティ
14.アルベルト・モラヴィア
15.ヴィタ・サクヴィル=ウェスト
16.ディラン・トーマス
17.マーク・トゥエイン
18.ヴァージニア・ウルフ
19.ウィリアム・バトラー・イェイツ
20.マルグリット・ユルスナール
投稿元:
レビューを見る
家の内側、インテリアがメイン。
本棚製作の為に読み始めたけれど予想を上回る面白さでした。
ガブリエーレ・ダヌンツィオ、ディラン・トマスの家が居心地良さそう。
投稿元:
レビューを見る
どんな部屋から、その作品が生まれてくるのか、興味をひかれます。
登場する部屋の作家さん、割と古い人ばかりですが。
でも、いいな。
投稿元:
レビューを見る
とても綺麗な一冊だった。
気持ちのいい海辺の別荘のような小さな家から
お城と見まごう豪奢な家まで、実に様々。
どの家にもぎっしり詰め込まれた書棚があり、
一冊一冊ゆっくりと手にとって眺めてみたい気分になった。
どんな本を読んで、この作品が生まれたのか。
書棚には持ち主の全てが現れる。
投稿元:
レビューを見る
帯文:"カラー写真で見る文豪20名の家と生涯"
目次:プロローグ―マルグリット・デュラス、1.カーレン・ブリクセン、2.ジャン・コクトー、3.ガブリエーレ・ダヌンツィオ、4.カルロ・ドッシ、5.ロレンス・ダレル、6.ウィリアム・フォークナー、7.ジャン・ジオノ、8.クヌット・ハムスン、9.アーネスト・ヘミングウェイ、…他
投稿元:
レビューを見る
インテリアの素敵な写真集のつもりで購入したのですが、パラパラと写真をながめるだけではもったいない!!作家たちの人となりを覗き見することができるのです。
人を拒む・人を恋しがる。。。
へ~、なるほど~です。
投稿元:
レビューを見る
想像の余地が残ってる空間がたまらなく好き。
例えばホテルの様に
「ここは完璧です。さぁ、お寛ぎください!」
と、私の為に何もかもが整えられた美しき空間よりも
「散らかってるけど、そこ掻き分けて座って。」
なんて言われる知人の家だとか。
知人はただの散らかしやだが、
創作を生活の糧にしている芸術家の家は
いやいや~
真に面白いっ!
壁にかけた写真、一息入れる為の椅子、関連の本がぎっしり詰まった書棚、創作の過程でひょい、と生まれた小さなお宝達。
彼らの家には訪れた客の想像力でさえも、刺激する独特な雰囲気がある。
だから、
図書館の書棚でこの本を見つけた時は胸が高鳴った。
そして
思ったとおりの、
いや、それ以上の空間がそこには広がっていた。
これは、
作家が執筆しやすい様に、と家に手を加え続けてきたせいか?
それとも、
これまで執筆してきた作品らの、穏やかで心休まる呼吸音のせいなのか?
良くはわからないが、
この大きくて重たい本が、
(ここじゃなく、家に持ち帰ってゆっくり読みたい。)と、決意させる程の魅力に溢れていたのは確かだ。
大好きなヘミングウェイや、ヘッセの家にもお邪魔できたのは嬉しい限り。
知らない作家さんだけど、いい家だし、伝記がまた面白いな…
と、最後に代表作を眺めていたら
あ!
大好きな『木を植えた男』の作者だったのか~~
なんて、嬉しい再会もあった♪
(ジャン・ジオノ)
投稿元:
レビューを見る
海外の小説家の自邸。昔の人が多いため、ゴージャスな写真にうっとり。が、文章は修飾語が多すぎて、読みにくい。ある意味海外文学っぽいな。大物揃いなんだけど、読んだことないどころか知らない作家も多く、自分の無教養を反省。
投稿元:
レビューを見る
ヴォーグ誌などの編集長を勤めたF.プレモリ=ドルーレとカメラマンのエリカ・レオナードが作家21人の家を訪ね、作家たちの生涯や作品の紹介を美しい写真とともにおさめた大判の優美な一冊。
プロローグはマルグリット・デュラスから。光を浴びて無秩序に大きくなっている折鶴ランが窓に置かれた部屋には、中板がたゆんでしまった書棚と主がいなくなったガラスのランプがあり、くすんだ金色の額縁のなかの絵は紙が湿気て変色している。
マルグリットが引きこもって作品を書いた家。外へ出ると池があり、水を求めるように木々が水面に枝垂れている。あまりにも西洋的でインドシアの面影はまったくない。
ジャン・コクトーが晩年を過ごしたミリー=ラ=フォレの家。この家はパリから50kmほどのところにあり、現在もコクトーの家として保存され公開されている。
ラボンド城という城の一部らしく佇まいも落ち着いた風情がある。
町にはコクトーがステンドグラスと壁画を制作したサン=ブレーズ=デ=サンプル礼拝堂がある。
ピエール・ロティ(ロチと表記されることもある)は海軍士官として世界各地を回り、来日し日本に二度滞在したこともある。日本ではあまり有名ではないが芥川などはロティについて書いている。若くしてアカデミー・フランセーズの会員にも選出され、個性的な人物であったが、故郷のフランス南西部のロシュフォールの自宅にグローバルで国際色豊かな部屋をいくつか作った。自宅は一般公開され、トルコ風の部屋やルネサンス様式の部屋などが予約すれば見られるという。
内部も外部も凝った邸宅の多いなかでアルベルト・モラヴィアの家はとてもシンプル。
あるのは机と窓から見える海だけ。伴侶となる女性は変わっていったが海の青さは変わらなかった。
降り注ぐ光の中でモラヴィアは朝から執筆に勤しんだという。
ほかに、イェーツの塔の家、ヘルマン・ヘッセの城、マークトゥーエンの温室のある家、ユルスナールが女性伴侶とともに暮らした終の住処など、作家たちの愛した庭や風景や愛用の家具や小物も溢れる贅沢な一冊です。