紙の本
もてる男っていうのは、基本的に若いんです。気分もですが行動も。もちろん適度に軽薄で図図しい。でも、ここまでもてる私立探偵っていうのは珍しい。樋口の願望、入ってません?ま、楽しいから、いいかっ!
2009/08/19 20:07
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
樋口有介、昔、読んだことがある気が・・・なんて思ったんですが、勘違い。私が読んだのは樋口修吉で、『縁かいな 始末屋清七』という時代小説でした。無論、樋口明雄も樋口直哉も読んではいるんですが、一番感心したのは樋口修吉。でも何故、彼の作品を読まなくなってしまったのでしょう、不思議です。
で、『捨て猫という名前の猫』、樋口修吉の作品だと思って読み始めたんですが、こんなに面白い話を書くんだったら、続けて読んでおけばよかったのに、って思いました。ホント、こうして書評をまとめようとする今の今まで勘違いしてました、同じ人だと。ま、全くの間違いだったんですね。この手の勘違い、結構するんです、わたし・・・
で、なにより思ったのが、こんなに女性にもてる私立探偵って、過去にいたんだろうかっていうことなんです。ただし、アリエネー、って文句をいっているわけじゃあない。ニコニコしながら、これって男の、っていうか樋口有介の願望なんだろうなあ、男って何歳になってもかわらないなあ、これじゃ老人が更衣室に忍び込むわけだ、なんて最近のニュースを思い出したりなんかして。
柚木草平のもてかた、といったら前方位なんです。彼は38歳なんですが、十代から同世代まで、どんな女性とも仲良くなっちゃう。それも、お友だちとして、なんていう奇麗事じゃあなくて、いつでもいいですよ、準備できてますから、そんなノリです。よく考えると、これって西尾維新『化物語』の主人公・阿良々木暦のもてかたと同じかもしれないなあ、って思います。
高校生の暦を好きになる、っていうか暦が好きになるって言うか分かりませんが、ともかく彼といちゃいちゃしちゃうのは小学生から学校の同級生まで、しかも美女というか可愛いって言うかそんな女の子総なめなわけです。で、その姿勢っていうのは冗談で紛らしていますが性的なものをいつも露にしている。相手もそれを知っていて楽しんでいるところがあるんです。
こうして男女関係だけ見ると、柚木草平と化物語のシリーズって似ています。特に主人公二人の女性へのポジション。無論、軽妙さでは維新だし、暴力的でアヴァンギャルド的なところでも維新に軍配なんですが、でも樋口との20歳以上の年の差を考えると、樋口、頑張っているなあ、って思います。特に、読んでいて無理して若づくりしている感じがないのが、エライ!
ただし、本の作りは違います。講談社の切り札とも言える維新本の基本はペーパーバック。それにコミックスというかアニメ世界から飛び出てきたような可愛らしいイラストがついていて、それだけでも楽しめる優れものですが、樋口のこのシリーズはハードカバーで、装画もイラストというよりは絵画風。装画は最上さちこ、装幀は SONICBANG CO.,
でお話の詳細です。これはそっくり出版社さんのHPの言葉を借ります。
*
『刺青白書』以来九年ぶりの長編
シリーズ最高傑作、いよいよ刊行!
『誰もわたしを愛さない』で、新たに柚木草平の担当となった月刊EYES編集部の小高直海。編集部期待のエース候補として、日夜編集業務に携わる彼女が受けた一本の電話が、柚木を深い憂鬱に誘うことに。若い女の声で「秋川瑠璃は自殺じゃない。そのことを柚木草平に調べさせろ」と言って切れたその電話の事件は、女子中学生が三軒茶屋の雑居ビルから飛び降り自殺を図ったものだった。
道を歩けば芸能界のスカウトが寄ってくるほどの美少女が、うらびれた雑居ビルでひっそりと息を引き取る。だれもが羨むほどの美少女の突然の死に疑問を抱いた柚木は、瑠璃の生前の足跡をたどってみる。
瑠璃が通っていた原宿の手作りアクセサリーショップで個性的な美人オーナー、そして青井麦という少女と出会う。さらに、瑠璃の母親もとびきりの美女で――。
柚木が調査を始めた事件は、さらに加速的に動き出してゆく。事件の背後に蠢く存在に気付いた柚木が導きだした真相とは?
*
軽妙洒脱、というのともちょっと違うんですが、柚木草平のナンパ探偵ぶりが少しも嫌味にならず、悪ふざけにもならない、それがとても新鮮です。しかもそれがミステリとして謎に絡んでいる。次々登場する美女たちはそれぞれ個性的で魅力がある。男性だけではなく女性にも受け入れられそうな楽しいミステリ。
正直、樋口の全作品を読みたくなりました。勿論、樋口有介の小説のことですが・・・
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もしかしたら既になってるのかもしれないけれど、このシリーズは映像化して欲しいです。
柚木草平さんは・・・堤真一かなー。
にしても今回のはかなり切ないエピソードでした。まあ毎度か・・・(2009.5.5.)
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「秋川瑠璃は自殺じゃない、そのことを柚木草平に調べさせろ」若い女の声でかかってきた月刊EYES編集部への奇妙な電話は、そう言って切れた。それは一週間前に、“女子中学生が飛降り自殺”と新聞で小さく報じられた事件だった。誰もが羨む美少女に、何があったのか―。事件を洗い直す柚木草平は、ある真実を探り出す。調査のために訪ねるのは、美少女に美女ばかりの青春私立探偵シリーズ。
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柚木草平シリーズ最新作。出来過ぎなストーリーに楽しい会話。魅力的なキャラクターの大盤振る舞い。樋口有介はやはり、いい。
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「秋川瑠璃は自殺じゃない。そのことを柚木草平に調べさせろ」という一本の電話から、哀しい事件は動き出した—。
場末のビルの屋上からひっそりと身を投げた女子中学生の事件へと柚木を深く導く“野良猫”の存在。
柚木草平シリーズ最新刊。
ハードボイルド......とまではいかないけれど、このシリーズの持つ独特の空気感が好きです。
いい加減で、女性にだらしなくて。でも、なぜか譲れない一本の正義がある柚木。
久々の新刊でも変わっていないところが嬉しかったですね。
本作はミステリーですが、少女たちの哀しい物語でもあります。
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出てくる美女のほとんどが悪人と言う設定が珍しいシリーズ異色作。ハードボイルドらしくトリックも何もない。推理も犯人が明らかになってから。悲しい身の上の中学生が殺害されるという救われない内容だけに、シリーズの特徴のシニカルなユーモアが影を潜め、夏の終わり湿った空気が作品全体を覆っている。読むなら今の季節にぴったりの作品。最後に一つ解けない謎が出てくる。これは頭を捻っても考えてもわからなかった。
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職場の異動があったり、通勤経路が変わったりとなかなか落ち着いて読書ができませんでした〜でも、異動の不安を癒してくれたのが樋口センセの本でした〜♪ 柚木草平シリーズの最新刊!おぉ〜草平さんの女たらしっ度がアップしてます。女性に軽口をたたき、飄々としながらも、後悔と厭世の日々を鬱々と過ごす・・・くぅぅぅ〜かっこいいぞ!日本人だけど許す!(笑) 今回は草平さんの心に傷を残す哀しい事件でしたが、最後に草平さんに出逢えた少女「麦」はつかの間幸せな気分になれたに違いありません。 別れて暮らす娘の加奈子との会話が絶妙です。んふ〜♪今日は樋口センセのサイン会でした〜行ってきました大宮まで(笑)サインを頂き 握手をしてもらって すこ〜しお話もできてラッキー♪うれしかったです。・・ということでまだ読んでません^^;感想は後日帰りの電車で、冒頭の草平さんと娘との会話をチラ読みしてたら止まらなくなりましたが、今読んでる本が終わるまでは我慢がまん〜〜〜
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7月-2。3.5点。
柚木シリーズ。女子中学生の自殺について、
自殺じゃないから柚木に調査させろと、匿名電話が編集部へ。
女子中学生の友達や、バイト先の女店主や、母親や。
数々の美女を相手に、段々真相へ。
相変わらずの樋口節。さっと読めた。
ちょっと熱い面もあり。良い。
もう少しペースを速めて欲しいかな。
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月刊EYESの編集部に
「秋川瑠璃は自殺じゃない。そのことを柚木草平に調べさせろ」と
若い女性の声でかかってきた電話がこの物語の始まり。
レギュラーな人々は相変わらずで、
それぞれの出番でそれぞれの役割を果たす。
なんだか救いようのない物語のなかで、
少しだけ、気を緩められるスペースになる。
物語は哀しい。
母親に売られる12歳の少女。
親に捨てらる12歳の少女。
あまりにも哀しい、二人とも死んでしまうのだから。
出てくる女性はみんな、曲がったモラルと曲がった感性を持つ。
なんだか、女は怖いよ、そうでしょ、ほら。
と言っているようだったが、この話でいちばん悪い奴を決めるとすれば間違いなく河合昭良、だと思う。
なんだか、実は実直で真面目な人が踏み外した、
みたいな書かれ方してるけれど、
こいつが、浮気しなければ、何も起こりはしなかった。
のちに娘を売る母親も、元々は河合の教え子で、
河合に口元が似ている自分の娘が嫌だったのかもしれない。
南橘香乃だって恋人を河合に殺された復讐だ。
その河合の娘なんてどうでもいい。
結局は、自ら作った最初の妻との家庭を
きちんと守れなかった河合のだらしなさと
想像力のなさが生んだこと。
刑務所で和家具の制作を覚えるなんて
まだこの時点で目標持ってんじゃないか、このおっさん。
男だからさぁ、仕方ないよねって許すんじゃねぇと思う。
あんたのせいで、娘は死んだのだよ。
関係のない「麦ちゃん」まで死んじゃったのだ。
と、河合に嫌悪感を持つのは私だけ?
そんなふうに、キーッと眉が上がるくらい面白かった。
やっぱり、柚木さんは長編ね。
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図書館の本
内容(「BOOK」データベースより)
「秋川瑠璃は自殺じゃない、そのことを柚木草平に調べさせろ」若い女の声でかかってきた月刊EYES編集部への奇妙な電話は、そう言って切れた。それは一週間前に、“女子中学生が飛降り自殺”と新聞で小さく報じられた事件だった。誰もが羨む美少女に、何があったのか―。事件を洗い直す柚木草平は、ある真実を探り出す。調査のために訪ねるのは、美少女に美女ばかりの青春私立探偵シリーズ。
いつになく切ない物語でした。
いい加減なプレイボーイの柚木が本気で心を砕く事があると読んでいると引き込まれてしまうものだと思う。
加奈子の探偵振りにも驚かされた作品。
子供は大人に振り回されるしかないのかもしれない。
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久しぶりの柚木シリーズ。
昔は楽しく読んでいたんだけど、ちょっと飽きてくる。
美女がたくさん登場してかならず悪役。
もっとさくさく進行してほしいけれど、
のらりくらりとした感じがこのシリーズの特徴なのかも。
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2017.7.8 読了
相変わらずの柚木草平。
今回は でも 自分の娘くらいの歳の子が
不審死をするところから、
なんとなく 捜査まがいのことを
することになるんだけど、
顔なじみの刑事 山川さんも出てきて、
草平の 刑事時代の話に 少し触れる。
いつか 刑事時代の話 あるのかな?
ちょいちょい 触れられるんだけど。。。
なかなか 複雑で 誰がどうだっけ?て
私は なってしまいましたが、
相変わらず 草平の勘は 冴えています!
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「彼女はたぶん魔法を使う」から始まった柚木草平シリーズの9冊目。
柚木シリーズには、特に昔の探偵ものを思わせる独特のセリフ回しがある。
例えば、「自分に都合の悪い話は聞かなかったことにする。そうでなければこんな不愉快な人生を三十八年も、つづけてはこられなかった」とか。
で、今さらながら、へぇ~、柚木ってまだ38歳なんだ、と、関係ないところが気になった。
どちらかというと、もっと上、中年のオッサンかと思っていたから。
いまどきの38歳の男って、こんな口調で話すかねぇ。
と言っても、柚木草平モノは好きだから、別に年は関係なのだが。
気取り、照れ隠し、やさしさとか、いろんな感情が、ごちゃごちゃと複雑にまじりあって、こんな言い回しになるのかもしれない。
ただ、時々、メンドーくさくもなるが。
ビルの屋上から身を投げた女子中学生。「自殺ではない。それを柚木草平に調べさせろ」という月刊EYE編集部にかかってきた1本の電話から、柚木は事件に飛び込んでいく。
例によって憂鬱さを抱えながら。
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久しぶりに袖木草介シリーズを読みました。
人の価値……価値観と自分が思う価値……価値観。
今回は、大人のわがままな価値観に翻弄されてしまった少女の為に、草介は真相を調査します。
『麦』に、もう少し会ってみたかった。
そんな気持ちになりました。
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柚木草平シリーズ。順番でなくどこから読んでもこのシリーズは面白い。特に本作はプロットがとても良い。少しいつもよりも酷な内容だが。もうどれを読んでもハズレがないので読むのが勿体なくなってくる。