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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2009.4
- 出版社: 春秋社
- サイズ:21cm/425p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-393-93495-1
- 国内送料無料
紙の本
音楽家のためのアレクサンダー・テクニーク入門
著者 ペドロ・デ・アルカンタラ (著),小野 ひとみ (監訳),今田 匡彦 (訳)
F.M.アレクサンダーやその他の優れた教師の言葉、たくさんの写真、テクニークの目的と応用についての徹底的な分析などを紹介。音楽で表現する心身を基礎からつくりなおす究極のメ...
音楽家のためのアレクサンダー・テクニーク入門
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商品説明
F.M.アレクサンダーやその他の優れた教師の言葉、たくさんの写真、テクニークの目的と応用についての徹底的な分析などを紹介。音楽で表現する心身を基礎からつくりなおす究極のメソッドがわかる。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ペドロ・デ・アルカンタラ
- 略歴
- 〈ペドロ・デ・アルカンタラ〉イェール大学音楽院で修士号(音楽)を取得。アレクサンダー・テクニークの公認教師。チェリスト、音楽教師、文筆家。
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紙の本
音楽家だけにしておくにはもったいない、自分を知るための思想
2012/01/14 10:43
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:更夜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アレクサンダー・テクニークレッスンの創始者、F・M・アレクサンダーはオーストラリアの
舞台俳優で、俳優として命である声が出なくなるという症状に悩み、医者からも見はなされた時、自分で
自分の身体と精神を学び、思考錯誤した上で、見事、俳優として復活。
その後、実践した事を体系化し、理論としてまとめ、イギリス、アメリカと移住して
アレクサンダー・テクニークレッスンを広めます。それが20世紀初頭のことでした。
合理主義的であるために、ジンクス、迷信、占い、瞑想、神秘学といったものは完全に
否定しています。
すべては自分の身体の中、心の中に起きることでありその責任は本人の認識にあるのです。
私はギターからこのレッスンを知り、一年近くレッスンを受けていて、身体レッスンとしての
有効性というものを実感しています。この本のタイトルは‘音楽家’とついていますが、
全体は第一部から第三部、合計25章に分かれており、そのうち、音楽演奏については1/4ほど
であり、楽器をやっていないから関係ない、と切り捨てられないものがたくさんあります。
これは、治療法、エクササイズ、ツボおし、ポーズといったものではなく、「思想であり教育である」
と定義されているように「やり方」ではありません。むしろ、「考え方」ではないでしょうか。
著者アルカンタラ氏は、チェリスト、チェロの教師であり、アレクサンダー・テクニーク教師です。
アレクサンダー・テクニークレッスンを言葉で説明するのはとても難しい、と著者アルカンタラ氏は
何度も書かれていますし、本、文章、言葉だけで理解しようとしないこと、ということもしつこいくらい
念を押しています。
それでもこの本は今まで読んだアレクサンダー・テクニークレッスンの本の中では一番、おもしろい、
わかりやすい、そして文章が英知とユーモアとウィットに飛んでいる、という点でずばぬけています。
また、精神(マインド)と身体(ボディ)は常に連動している、という考え方が基本のひとつであるのですが
日本でも「病は気から」という言葉があります。
まず、自分の身体の仕組みの正確な認識を始めにするので、骨格図や内臓図を見ますから、
他のアレクサンダー・テクニークの本はまるで医学書のようになってしまいがちですが、
この本にはそういうものは一切ありません。
そのかわり、写真を多用しています。音楽家だけでなく、合気道、ダンス、スキー、幼児と
いった良い身体の使い方をしている例をたくさん載せています。
特有の言葉がたくさんあるのですが、その中で一番特徴的なのが、
「エンド・ゲイニング」(end-gaining)です。
これは、結果だけにとらわれる、結果論、結果主義、成果主義ということなのです。
アルカンタラ氏の文章の読みやすさに、たとえ話が多いということがあるのですが、
結果だけに気をとられてしまう・・・痩せたいからダイエットする、その為に食べない。
泣いている子どもを怒鳴りつけて泣きやませようとする。腰が痛いからといって水泳をする。
または椅子が悪いといって椅子を変える。
自分の間違った認識を捨てることで、「自分を変えていく」という考え方です。なにかを付け加える
のではなく、無駄な、間違ったものを捨てるという消去法であり、それにはまず、自分の事を
どれだけわかっているかの認識にかかっていると説きます。
そして「ずさんな認識」を修正することを学びます。なんとなくの思いこみから間違えた
身体の使い方、身体に悪い考え方をしないよう、心がけることを少しずつ学んでいきます。
ギターのコミュニティサイトで、よく「腱鞘炎自慢」という人がいます。
「たくさん練習した」→「腱鞘炎になった」→「自分はギターが上手い」というイメージを持って
いる人が意外と多いのに驚きました。楽器は指の力だけでやるものではなく身体全体の
力を「どう発散させていくか」だということを常に言われているのですが、身体を壊すような
無理な練習する、イコール、根性があるから演奏が上手いは「ずさんな認識(イメージ)」
だと思います。
しかし、このレッスンは万能であるという盲信的な所はなく時にとてもクールであり、限界、
または混乱を起こす可能性も高いことも著者の過去の様々な経験からの英知でもって
正直に書かれています。
もし、怪我や病気になってしまったら、まず医療でありますが、医者は「どう考えて生きていくか」
までは治してくれません。
なんでも、ひとことですぐにできるようになりたい、治したい、または、自分の好きな事を好きな時に
好きなようにやって「自己満足」、そういう人には向きません。それはエンド・ゲイニングです。
なんとかしたい、でもわからない、どうしたらいいんだろう?と自分に疑問を持っている人
だったら何でも有効です。
音楽、楽器演奏というのは、ひとつの「例」であって、これは「生きるため」のレッスンです。
心理身体学(サイコ・フィジカル)というのは奥深く、そうそう理解、身につくものではありません。
著者も書かれていますが、いきなりこの本だけで独学は無理で、教師についてレッスンを
受けた人がさらに理解を深める、または新たな面を知る、そういう目的の本です。
アレクサンダー・テクニークレッスンの入門となっていますが、まず、レッスンを受けて、自分で
経験してからこの本は役立つものです。