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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2009.2
- 出版社: 早川書房
- サイズ:20cm/514p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-15-209003-4
紙の本
アッチェレランド (海外SFノヴェルズ)
時は、21世紀の初頭。マンフレッド・マックスは、行く先々で見知らぬ誰かにオリジナルなアイデアを無償で提供し、富を授けていく恵与経済の実践者。彼のヘッドアップ・ディスプレイ...
アッチェレランド (海外SFノヴェルズ)
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商品説明
時は、21世紀の初頭。マンフレッド・マックスは、行く先々で見知らぬ誰かにオリジナルなアイデアを無償で提供し、富を授けていく恵与経済の実践者。彼のヘッドアップ・ディスプレイの片隅では、複数の接続チャネルが常時、情報洪水を投げかけている。ある日、マンフレッドは立ち寄ったアムステルダムで、予期せぬ接触を受けた。元KGBのAIが亡命の支援を要請しているが、どうやらその正体は学名パヌリルス・インテルルプトゥス—ロブスターのアップロードらしい。人類圏が特異点を迎える前に隔絶された避難所へと泳ぎ去りたいというのだが…。この突飛な申し出に、マンフレッドの拡張大脳皮質が導き出した答えは…“特異点”を迎えた有り得べき21世紀を舞台に、人類の加速していく進化を、マックス家三代にわたる一大年代記として描いた新世代のサイバーパンク。2006年度ローカス賞SF長篇部門受賞作。【「BOOK」データベースの商品解説】
【ローカス賞SF長篇部門(2006年度)】時は、21世紀の初頭。マンフレッド・マックスは、オリジナルなアイデアを無償で提供し、富を授けていく恵与経済の実践者。ある日、彼は立ち寄ったアムステルダムで予期せぬ接触を受けるが…。新世代のサイバーパンク。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
チャールズ・ストロス
- 略歴
- 〈チャールズ・ストロス〉1964年イギリス生まれ。2005年「残虐行為記録保管所」所収の「コンクリート・ジャングル」でヒューゴー賞ノヴェラ部門受賞。他の著書に「シンギュラリティ・スカイ」など。
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紙の本
サイバーパンクにおいて人類の進化を三世代に渡って描く。
2010/08/01 00:56
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
これ、アッチェレ・ランドじゃなくて、アッチェレランドっていう一つの単語なんですね。
知らなくて恥かしいです。
accelerandoで、 次第に早く[早い]の意。goo辞書サイトより提供元:「EXCEED英和辞典」
本書、サイバーパンクでして、極々近い、近未来を一番最初の世代として、
三世代に渡る家族の物語を中心に人類の進化をそのものを描いています。
解説でも書かれているけど、80年代後半から、90年代のサイバーパンクを第一世代とすると
本書なんかは、Ver.2.0で第二世代って感じ。
ただ、サイバーパンクってなによ?と聞かれると困るんだけど、
宇宙に行かないSFというのは、ちょっとちがうと思います。
(実際行っている作品はいっぱいあります)
ネットで個人が世界そのものと直結していて、世界観はわりとダークな感じで
描かれるスタイルは、隠語、造語、新語の所謂カウンターカルチャー的なポップな描写。
それで、主に、HBスタイルでノワールっぽく書かれているSFだと思っています。
この説明だとWギブスンがもろ、メインストリームみたいな説明だけど、
ストロスも他の作品は読めていませんが、ばりばり上記のフォロワーだと思います。
早い話、小説というか、文芸のほうのサイバーパンクってスタイルなんですよ。
私は、宇宙行こうが、ネットが出てこなくても、スタイルさえ合致していたら、
サイバーパンクだと思います。(暴論、ネットはやっぱり要るか、、)
で、本書も、そう。
この言語感覚、描写のテク、言い換え、表現、を見ろ、じゃない、読め!!。
ただの言葉遊びじゃないかって言われれば、それまでなんですけどね、、。
(ただ、ぱらぱら他のストロス作品を立ち読みすると、他の作品でもこのスタイルなんですね、この人)
で、スタイル重視の悪しき面は本書でも出ていまして、
わざと、プロットを省いて紹介したのですが、
恵与主義なんかのアイデアはウェブが本格化したフォロワーの世代の作品らしく面白いのですが、
ちょっとストーリーが弱い。
勿論、ストーリーはあります、けど、わりと人類の進化という大きなものを描いていながら
ミミッチイというか、セコイ話が多く、
これで、ストーリーがすごいと傑作になったんだけどなぁ、、と思いました。
(でも、上半期のSF界の充分話題の一冊だと思う)
で、このすごい隠語、造語、新語、言い換えを訳しているのが、
早川のSF翻訳のエース酒井昭伸さんです。
七王国のシリーズでは、ちょっと訳禍事件をおこしていまして、
ネットのほうで大変なことになっていますが、
(私も氷と炎の歌に関しては、一作目からのハードコアなファンなので怒れるファンの一人です)
本書の仕事は、やっぱりすごいと思います。
これぐらい、弾けて訳さないと伝わらないと思うし、この言語感覚に浸る楽しさみたいなものが
出ていると思いました。
サイバーパンクについては、ちょっと偉そうに書きましたが、
その一つ前の世代、ニューウェーブについては、私、今一ピンとこないというか、
判らないんですね、、。
本書やっぱり話題の大作SFですごい作品ではあると思います。
紙の本
主人公はネコ?
2016/12/06 19:38
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:doob - この投稿者のレビュー一覧を見る
...と、思ってしまったのですが、皆さんはいかがですか?
「自分って何なんだ? 唯一無二だろ!」ってこだわったのがネコちゃんだけだったようなので。
対して、他の人(?)達の末路というか、顛末はすごく皮肉に思えました。
紙の本
やっぱりサイバーパンクはそれ以上のものではなかったかな、って。文学的な感動は皆無だし、わくわくしないし、これじゃあ正統的な『ハイペリオン』なんかに遠く及ばない気がします。私なら、神林長平を薦めるなあ・・・
2009/09/23 19:31
5人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
SF苦手人間です。特にサイバーパンクがダメ。大昔ですがウィリアム・ギブスンが『ニューロマンサー』を引っさげて登場したとき、スワっとばかりにとびついたんですが、全く歯が立ちませんでした。正直、チンプンカンプン。多分、この頃のサイバーパンクはwikkipedia の冒頭に書かれている
*
サイバーパンクはSF界における思想、運動、スタイルをさす。従来のハードSFや、スペースオペラ、サイエンスファンタジーなどに対するカウンターとしての思想、運動である。それらを体現する小説に盛り込まれた要素・スタイルを抽出し、これをサイバーパンクと呼ぶのが現在の潮流である。
*
というのが当たっていたと思います。でも、多分、私のようなSFのコアな読者ではない人たちからの反発が大きかったんじゃあないでしょうか。SFがその定義を拡張させることで読者層を拡大した、それがこのサブジャンルのなかでも起きたんじゃあないか、と私は思っています。結果、ハードなサイバーパンクに対し、ソフトなものが登場した。それが
*
典型的なサイバーパンク作品では、人体や意識を機械的ないし生物的に拡張し、それらのギミックが普遍化した世界・社会において個人や集団がより大規模な構造(ネットワーク)に接続ないし取り込まれた状況(または取り込まれてゆく過程)などの描写を主題のひとつの軸とした。さらに主人公の言動や作品自体のテーマの社会や構造・体制に対する反発(いわゆるパンク)や反社会性を主題のもう一つの軸とする点、これらを内包する社会構造・状況や経済状況などを俯瞰するメタ的な視野が提供され描写が成されることで作品をサイバーかつパンクたらしめ、既存のSF作品と区別され成立した。
*
ということになっていったんじゃあないでしょうか。そうすれば、ネットを扱った物であれば自分たちのジャンルとして取り込める。取り込まれた作家にとってそれが良かったかどうかはわかりません。だって映画の『トロン』や『マトリックス』、或いはコミックスの『AKIRA』や『攻殻機動隊』をサイバーパンクっていうのはどう考えても無理がある。サイバー、っていうところだけは合っていても。
ちなみにWikipedia で、感心したのはサイバーパンクの代表的な作品 [編集]の紹介のなかで『serial experiments lain』 1998年 について(ただし、制作スタッフは「lainはサイバーパンクではない」としている) と付記している点。ジャンルで売ろう、っていう側の戦略がわからないわけじゃあないんですが、ねえ、乗るか、そんなものに!
とはいえ、2006年度ローカス賞SF長篇部門受賞作、という言葉は魅力的。早速カバー折り返しを見ると
*
ようこそ、変容と狂騒の21世紀へ!
時は、21世紀の初頭。マンフレッド・マックスは、行く先々
で見知らぬ誰かにオリジナルなアイデアを無償で提
供し、富を授けていく恵与経済の実践者。彼のヘッ
ドアップ・ディスプレイの片隅では、複数の接続チャネ
ルが常時、情報洪水を投げかけている。ある日、マン
フレッドは立ち寄ったアムステルダムで、予期せぬ接触
を受けた。元KGBのAIが亡命の支援を要請している
が、どうやらその正体は学名パヌリルス・インテルル
プトゥス―ロブスターのアップロードらしい。人類圏
が特異点を迎える前に隔絶された避難所へと泳ぎ
去りたいというのだが……。この突飛な申し出に、マ
ンフレッドの拡張大脳皮質が導き出した答えは……
*
“特異点”を迎えた有り得べき21世紀を舞台に、人
類の加速していく進化を、マックス家三代にわたる
一大年代記として描いた新世代のサイバーパンク。
2006年度ローカス賞SF長篇部門受賞作。
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とあります。これ、いいのかなあ、よくわかんないや、っていうビミョーなCover Designは岩郷重力+WONDER WORKZ。
で、読んだ印象、その一。やっぱりわかり難い。恵与経済、っていうのは分かるんです。好きじゃあないけれど、悪くはありません。独占するよりは公開して、少しでも世のため、人のため、っていうのは理解の範囲内ではある。ただし、そのために自ら危険な目にあわせてしまったり、家族と対立するっていうのは下手だなと。
その二、やっぱりサイバーは難しい。人間の部分はわかります。でも、サイバー的な部分を読んでいると眠くなって、話の筋が縺れて何がなにやらわからなくなります。特に、パヌリルス・インテルルプトゥス―ロブスター。なに? バルタン星人? それともザリガニマン?
その三、どこがパンク? 何がパンク? もともとパンク・ロック自体が好きじゃあないからかもしれません、パンク自体に理解も興味もない。従来のSFと違えばサイバーパンク、カウンターの思想であればサイバーパンク? なにそれ、じゃあ反自民で戦った民主党はポリティカルパンクか? 違うでしょう。単なる反体制とどう違うの。っていうか、マンフレッド・マックスの行動って、信念に基づくっていうよりガキレベルの身勝手だけでしょ。ま、パンクって、思想っていうより子供の欲求不満、っていう感じのほうが強いけど。
確かに『ニューロマンサー』は新しかった。あれをサイバーパンク、っていうのは分かります。でも、そこできちんとした定義をせずに曖昧にして拡散させた。結果、ネットさえだせばサイバーパンク、って出版社、特に早川書房はいう。じゃあ、『戦闘妖精 雪風』もそうなの? 正直、出たばかりの『アンブロウクンアロー』なんて、『アッチェレランド』よりもっと向こうに行ってる気がします。
で、この本、結局は簡単な人間関係と、小難しい設定で楽しさが減じて、同じサイバーものでもP・K・ディックは面白かったし、神林長平作品を海外に出したら、そっちのほうが上じゃないか、なんて思うんです。まあ、SFマニアではない私自身の不勉強を認めた上で言うんですが、あんまり安易にサイバーパンク、って言わないほうがいい気がするんですけど・・・
最後は目次です。
はじめに
第一部 離昇点
1 甲殻類
2 創作家
3 観光客
第二部 変曲点
4 演算暈
5 中継器
6 黄昏時
第三部
7 管理者
8 有権者
9 生存者
訳者補遺
解説/小飼弾